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「老人と海」(1958)今日は海の日、少年に癒され夢に生きる!

 

あまりにも有名な、ヘミングウェイのピューリッツアー賞受賞小説を映画化。NHKBSプレミアムでの鑑賞です。

原作:「武器よさらば」「陽はまた昇る」のアーネスト・ヘミングウェイ、監督:「OK牧場の決斗」「ゴーストタウンの決斗」のジョン・スタージェス。脚本:「陽はまた昇る」のピーター・ヴィアテル、撮影:「成功の甘き香り」のジェームズ・ウォン・ホウ、音楽:ディミトリ・ティオムキン。このスタッフの豪華なこと。もう感想なんか書けないよ!

出演者:スペンサー・トレイシー、フェリペ・パゾス、他。

物語は、

老人(スペンサー・トレイシー)はメキシコ湾で少年(フェリペ・パゾ)を伴い、漁師を営んでいた。少年は老人を尊敬し愛していたが、40日間不漁が続いた為に、親のいいつけで別のボートで漁を手伝うことになってしまう。それでも老人は毎日一人で漁に出る。そんなある日、老人は仕掛けた網に信じられない程の重さを感じる。その瞬間、網にかかったカジキと老人の4日間にわたる死闘が始まった…。


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あらすじ&感想:

老人と少年も喋ることは少ない。物語の大半は歯切れのよいナレーションで展開する。これで原作のよさが分かるようになっている。

 〇85歳の老人サンディアゴ(スペンサー・トレイシー)がひとりメキシコ湾の漁から戻ってきた。

彼は84日も1匹も釣っていない。始は少年マノリン(フェリペ・パゾス)が一緒だったが40日を過ぎたころ両親が“運が尽きた”と同行を止め、少年が乗り替えた舟はすぐに大物を3匹も釣った。

少年は老人が帰ってきたのを知ると桟橋に走り出迎えた。

老人は白髪で首のしわも深い。両手には巨大な魚と格闘した傷跡がある。その傷が古く砂漠に出来た亀裂のようだ。だが目だけは違う。海と同じ色で、明るく不屈の精神が宿る。

収穫のない老人を見るのは少年には辛い。いつも出迎え、老人の漁具や帆を運ぶ手伝いをした。粉袋で継ぎを当てた帆はまるで永遠に続く敗北の旗だった。漁師仲間に手を借りて舟を陸に上げる。

老人の漁具を盗む者はいないが夜露を避けて持ち帰る。収穫があった猟師がマカジキをさばき板に載せ貯蔵場へと運ぶ。ここで冷凍トラックを待つのだ。

「ビールをおごろう」かと少年が問えば「いいね」と応える老人。

ビールカフェ。笑い者にする漁師もいたが老人は怒らない。老人はいつの間にか謙虚になっていた。だが、それを恥かしいとは思わなかった。年配の漁師は同情したが顔には出さず話を続ける。天候や昔のことを話題にした。子供は餌のイワシのこと、今晩の食べ物のことを心配し、「イワシを買って届ける」という。「何か助をしたい」と申し出ると「ビールを奢ってくれるだけで十分だ」と言った。

ふたりは老人の家に帰りついた。

マストは外に立て、小屋にはベッド、机、椅子があり炭で煮炊きもできる。壁際に飾ったイエスの聖心の絵とコブレの聖母の絵は妻の形見だ。以前は妻の写真もあったが寂しさが募るため取り外し今は棚のシャツの下にある。

老人は“明日は85日、縁起がいい日だ”と明日の漁を期待!

「500キロの大物が釣れるかもしれない」と言う。少年は「ひとりで大丈夫か?」と心配する。老人は少年の親の気持ちを考えて同行を断った。昨日の新聞を取り出して野球記事を読む。投網も米もないが少年の申出を断わった。それでも少年は友達に誘われた野球を断って老人のためにコーヒーを買って来た。

少年が買い物から戻ると老人は椅子で眠っていた。

少年が起こし「夕食にしよう」と話す。老人はコーヒーを見つけてお礼をいう。彼らは灯りなしで食べた。老人は野球の話、話題はディマジオやほかの選手のことだった。ディマジオと漁をしたいという。「彼の親父さんは漁師だ」という。(笑)

少年が自宅に帰っていった。

目覚ましは“年でせい”だという。(笑)老人は考えた。何故年寄りは早起きなのか、1日を長くするためだと。老人はズボンに新聞を詰め丸めて枕を作った。ベッドに敷いた新聞の上で毛布にくるまって眠る。

老人はすぐ眠りにおちた。少年時代のアフリカの夢を見る。

黄金色の海岸や目が痛いほど白く輝く砂浜。そして高い峰と灰色の山々。夜ごと見る景色だ。夢の中で波音はうなり舟をこぐ。眠っていても舟のにおいを感じた。明け方は海に向かって吹く風を嗅ぐ。

いつもの陸風の匂いで目覚め少年の家に行くのだが、今夜は風がきつ過ぎた。夢を見続けた。島の白い峰を見ているとナカリア諸島の港や停泊地が現われた。嵐や女性や大事件の夢はもうみない。大きな魚、力比べ、妻さえ出て来ない。今見るのはライオンのいる海岸だ。彼はライオンと少年を同じように愛していた。少年の夢は見ない。

〇早朝、暗いうちに起き出し、出航した。

老人は少年の家の戸を開け裸足で静かに入る。少年を起こし、暗い中2人は坂を下り、ほかの漁師もマストを運ぶ。

カフェで朝食、老人は少年に「今日は自信がある」と告げた。老人はコーヒーだけで十分だった。食べることに飽き、昼食を持たない。舟に載せた瓶の水があれば十分だった。

老人は少年に見送られ出航した。

まだ暗いうちでの出航だった。海に漕ぎ出すオールの音が一斉に聞こえてくる。老人は朝の訪れを感じる。トビウオが海面を離れるときの音や暗闇を滑空する音を聞いた。海ではトビウオが一番の友となる。気の毒なのは鳥だ。特に小さなアジサシ。餌の魚はめったにとれない。鳥は俺たちより大変だ。大きくて強い鳥は別だが。なぜ繊細な鳥が海にいるのか。海は優しく美しいが残酷なときもある。

夜が明け、ほかの舟の姿が見える。

みんなそれぞれの漁場に散っていく。スペイン語では愛を込めて海を“ラ・マル“と呼び悪口を云うが常に海を女性として扱う。若い漁師の中には海を敵とみなす者がいる。だが老人は恩恵と損害をもたらす存在と考えた。

〇明るくなる前に竿を仕掛ける。

太陽が明るくなり、海面はまぶしく光る。光の反射で目が痛いから老人は顔を背けて漕ぐ。彼は暗い海をのぞき釣糸を見下ろす。なかなか食いつかない。“準備は万端だが最近運が悪い、しかし分るもんか今日こそ何か怒る“と待つ。

太陽が昇って2時間、もう目は痛くない。

カンカンドリが勢いよく急降下し再び空に舞い戻る。「何か見つけたな」とそこに急ぐ。いい餌が釣れた。少年が去ってから独り言が始まった。無駄口を叩かないのが美徳と守って来たが今は気兼ねせず思ったことを口にする。人が聞いたら変なやつと思うだろが気にしない。変なやつはラジオを持ち込む金持ちだ。

〇そのとき、手ごわく重い何かを感じた。

魚の重みに任せて糸を下へ下へと滑らせる。こいつかなりの大物だ。糸が指の間を滑っていく。魚の重さは感じるが今は泳ぐに任せていた。遂に食いついた。手応えを感じる。だが魚は逃げもせず跳ぶことも潜ることもしなかった。ゆっくり遠ざかる魚を全く引っ張れない。やがて舟は北西に向かってゆっくり動き出す。老人は後ろにゆっくり反った。魚と老人は静かな海をゆっくり進む。いずれくたばる、永遠には頑張れない。だが4時間たっても魚は舟を引いて泳いでおり老人も踏ん張っていた。まだ姿を見ていない、あの子がいればと思った。

“魚が潜ったらどうしよう、何とかする策はある。糸が切れるとまずい“と考えていた。潜らなかってよかった!

日が暮れた。

老人の汗は乾き背中や腕や足が冷たくなる。「月が出たら姿を現す」と思った。2匹のイルカが近くに現れた。老人は雄と雌の息遣いを聞き分けることが出来た。彼は魚をあわれだと思った、“見事だが一体何歳だろうと”。「こんな強い魚は初めてだ、それに変った行動する、跳ねたら俺は終る」と思った。その夜、魚は進路を変えなかった。選んだ道をまよわず進む魚の力を感じた。お互い孤独と、最後まで付き合うことにした。真夜中、糸を斬って魚が逃げ出した。“逃がした魚は何だろう、マカジキかサメかもしれない”と思った。

ところが強く糸を引く。「跳んでくれ、跳べば浮袋に空気は貯まり潜れなくなる」と祈った。舟にムシクイの一種が集る。疲れているらしい、「お前は何歳だ」と独り言をつぶやいた。我慢比べだった。手に傷を負った。「あの子がいればいいなあ、それに塩も欲しい」と思った。カツオを食べて力をつけた。

でかい魚が上って跳ねた!

舟よりデカい。「なぜ跳んだ、大きさを俺に見せつけるためにか。覚悟しろ!」、夜が明けた。

2日目の夕方になっても魚は舟を引いていた。

老人は苦しかったがそれを認めはしない。しとめるために信仰深くないが天に祈りと天使祝詞を唱えた。雨の中じっと耐えた。ヤンキースとタイガースの野球の試合のことを考えた。ふとカサブランカのことを考えて元気が出た。街で一番の力自慢と腕相撲で勝負したことを。

日没の直前波に揺れる海藻の魂を見た。

海藻で出来た毛布の下で海が愛を交わしているようだ。別の糸に掛かったシイラを舟に引き上げた。「生は不味い」と喰った。

日没、老人は「魚の邪魔をしたくない」と思った。

魚にとって難しい時間帯だ。9月になり、日が沈むとすぐに暗くなる。老人はオリオン座のリゲルを見つけた。次々に星が現れる。星は遠くにいる友だった。魚も友、こんな魚には初めて出会った。必ずしとめると誓った。

丸一昼夜と今日俺は寝ていない。頭がぼんやりする。“魚はほっとけ”と左手に全体重をかけて眠った。ライオンでなくイルカが夢に現れた。ちょうど求愛の季節だった。そこら中を跳び跳ねていた。

〇突然糸を引っ張られ目覚めた。

魚との戦い、荒れ狂う魚!海を出て3度目の太陽が登った。魚は旋回し老人は汗にまみれ身体の芯まで疲れていた。目の前に斑点が見えた。2度も気を失いかけてめまいもする。そのとき信じられないほど長く黒い景を見た。デカすぎる!魚を舟を側に引き寄せようと何度も挑戦!彼は最後の力と過去の誇りを振り絞り魚との対抗に挑んだ。銛を打ち込みしとめた。魚を舟側に括り付け、港に急いだ。

〇サメの襲撃を受けた。

舟と魚は並行して走った。1時間後サメが襲ってきた。それは海の中で最速を誇るアオザメだった。においを追って速度を上げ青い背びれが水を切る。老人は「夢ならよかったのに」と銛で戦った。1匹目のサメの銛を持っていかれた。魚の血でほかのサメが寄ってくると、オールにナイフをしばりつけ準備をした。老人はえぐられた魚をみることが出来なかった。自分がえぐられた感じだった。

数匹のサメが襲って来た。

魚に食いついたサメをオールにしばりつけたナイフで刺した。刺して、刺し続けた。魚はサメに食いちぎられていった(壮絶なシーンだ)。老人はハンマーでサメを殴って追い払おうとした。サメは食べるだけ食って去って行った。老人は「遠くに旅するとお互い散々だ。悪かった!」と魚に語り掛けた。「半分残っている、ツイテた!運が向いてくる」と陽の落ちた海を走り、帰港を急いだ。「魚は半分になった。しかし、サメを殺した」とこれを誇りに港に急いだ。そこにサメの大群が襲い掛かってきた。老人はハンマーでサメと戦った。遂に魚の半分も食われてしまった。

老人は完全に敗北したことを悟った。

〇老人は港に帰ってきたことは分った。

老人は「ベッドが待っている、これこそが信の友だち、負けると気楽だ」と思った。「何に負けたか、遠出だと思った。人間は負けない、打ち砕かれても負けない」と思った。

港に辿りついた老人を手伝う者はいない。老人はマストを巻き家に急いだ。小屋に着くまで5回休んだ。

翌朝は風が強くて少年は漁に出れなかった。

少年が「老人は戻ったか」と小屋を見に行くと寝たままの老人がいた。少年は老人の手を見て泣き出した。泣きながらコーヒーを買いに走った。

漁師たちは舟に繋がれた物を見て、ひとりが魚の長さを測り頭を切り取る準備をしていた。カフェの主人が「すごい魚だ」と少年を誉めた。

老人が目を覚ますと少年がコーヒーを持って座っていた。老人は「完敗だ」と声を掛けた。少年は「負けていない、次に一緒に行こう」と答えた。老人が「運が尽きた」と言うと「関係ない」と言い返す。少年は「漁に出る準備をしておく」と告げ、「食事を持ってくる」と出かけた。老人は再び眠りにおちた。

カフェを訪れた客は、店員の英語通訳が拙くて、海に浮かぶでかい骨だけの魚を見て、サメだとしか通じなかった。

老人は少年時代のアフリカの夢を見ていた。

まとめ:

ストーリーはシンプル。老人の漁と少年との絆の物語、

老いても夢を追う。負けても、少年に励まされまた夢を追う。人生は夢の続きだ。

 見どころは老人が苦労して大カジキを釣り上げ、ここから始まるサメとの戦い。

今ならめずらしくもない影像だが、当時、大変な撮影だっただろと思わせてくれる迫力のある映像でした。老人の心境が分かるように老人のひとりごと、ナレーションがついている。だから老人の戦いに参加できる。

フィルムだから感じられるすばらしい海の風景、これがすばらしかった。

何故老人がここまで頑張るのか?

85歳の老人が骨だけのカジキを持ち、無事港に帰還して少年の癒しをうけ、ライオンの夢を見る。夢を諦められない老いと生を表現してくれた作品、よく頑張ったと涙が出る作品でした。85歳になって体力の衰えを体感したものが実感しうる話だった。

ヘミングウェイの「老人と海」、どこがピューリッツアー賞に該当したか。

AIで調べると名回答をくれました。これに尽きると思います。

人間の尊厳と孤独

老漁師サンチャゴが、巨大なカジキや自然に対して、敗北を覚悟しながらも誇りと勇気を失わずに闘い続ける姿が、人間の尊厳の象徴として描かれている。

物語はとても単純な「老人が一人で海に出て大魚と闘う話なのに、その中で老い、孤独、誇り、挫折といった普遍的なテーマが凝縮されている。

海と自然の描き方

海を単なる背景ではなく、敵でもあり友でもあり、運命そのもののように描かれている。自然への畏敬の念や、漁師としての誇りが静かに積み重ねられている点が「古典的な寓話」のようだ。

 少年の老人への愛に涙!

私にとっては少年の老人への想いが19歳で亡くなった弟の姿に重なりました。戦後生活の苦しい時代、まだ年金制度など確立してなかった、75歳で露店で働く祖父を、自分の仕事をこなしながら支え続け19歳で事故で亡くなった弟のことが思い出されて、とても切ない物語でした。愛情深く人を大切にするやつだったと、今年は特別なお盆で迎えてやるつもりです。

偶然この作品を見て、こんなことを思いださせてくれる。映画ってすばらしいと思った。

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