映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「オカンの嫁入り」(2010)

 
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母陽子(大竹しのぶ)の突然の再婚宣言によって生じた娘月子(宮﨑あおい)との溝が、春の三寒四温に合わせるかのように、次第に埋まりお互いを想い合う母娘の物語。
共鳴し合う“しのぶさん”と“あおいさん”の演技は感動ものです。
しかしながら、あおいさんは、月子役について、めずらしく悩みを告白しています。何事も経験、大きな女優さんへの悩みです。(*^_^*)
「今回演じた月子は、母親のことが大好きなのに素直になれなくて、逆に酷いことを言ってしまう女の子。ちょっと複雑な設定ゆえに、その本質をつかみ切れず、監督が言っていることと、自分のやろうとしていることがすごくかけ離れているような気がして。だから、それを合わせる作業にも時間がかかりました」と振り返っています。
「わたしは今回、考えて、考えてお芝居をするということを初めて経験したので、芝居の難しさを改めて実感しましたでも難しいからこそ面白いですし、もっとちゃんとお芝居ができるようになりたい、もっとしっかりちゃんとした女優さんになりたいとも思いました。そういう発見があった作品だと思います。」
あらすじ(ねたばれ):
春とはいえ冷たい雨の夜、「月ちゃん月ちゃん」と戸を叩母陽子の声、起き上がり毛布をかぶって階段を降り戸を開けると抱きついてくる陽子、そのうしろにわけ分らん酔っ払いの男いて、「これおみやげ、けんちゃん」。
母を寝室に運び、再び玄関に降りると、男がひっくり返って寝ていて、汚いものちさわるように、毛布を投げる。月子が素足で階段を降りてくる“足の運び”、ハチ(犬)を撫でる足芸が面白いです。
朝になって、仏壇の父(薫)に手を合わせていると、この男がトイレからでてきて「臭いからはいらないで」と言う。散歩にでようとすると、ハチがすっかり男になついている。月子の不愉快感が頂点に達します。隣の大家さん(絵沢萌子)から「陽ちゃん
帰ってきたん、何時に、ほんまに・・」と声をかけられます。
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朝のハチ(犬)の散歩で高台にある公園に行き、街を見下ろし携帯を見やると、突然電車音で表情が変わる月子、なにがあったのでしょうか。月子にはある怖い体験からのトラウマがあるようです。
散歩から帰ると、食事の準備ができていて、「これ全部けんちゃんが造った」と母は嬉しそうに話します。そこに大家さんがやってきて、この男を見やって「誰や」、「私、森陽子はけんじさんにプロポーズされてお引き受けしました」と月子が挨拶をします。大家さんびっくりです。大竹さんのエキセントリックな演技がおもしろいです。
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月子が弁当作って、村上整形外科院(国村隼)のところに届けにやってきます。ここで看護師をしている母には会わないで、先生に弁当を渡し「母は結婚する言うてる、金髪で30才のリーゼントの男」と教える。
夕方、月子は先生と一緒に食材をもって帰ると、二人が仲よく料理中。夕食が始まっても、月子は不機嫌、みんなはタラの芽、・・が美味しいというが、月子無言で料理に手を付けない。先生が「いつから付き合うてん」と聞くと「3年前」とこの男。「なんでこの時期に結婚するの」に「おばあちゃんが死んで・・いろいろあって。今日からこの家に一緒に住むことになった」と罰が悪そうに言うのです。兎に角不満の月子、なんでこんな勝手なことをするのかと外に飛び出す。母は「ええから、ええんよ」と慌てるけんじを制します。
月子は、大家さんとこに泊めてもらうことにします。荷物、位牌をもって出て行こうとして、二人は掴み合いになる。母の「馨(父)さんかえして」に「いきなり男つれてきて結婚するなどはずかしゅないの」と月子が突っかかる。この取っ組み合いがわざとらしくなく面白いです。
大家さんとこで、「位牌に可哀想」という月子に、大家さんは「こんなの交通事故だ」と言い「3年間もよう騙されたな」と感心してる。月子はハチが心配で家に帰ると、あの男が犬にかってに餌やっていて、もう怒り沸騰です。
大家さんと夕飯食べていると、「けんちゃん庭で寝てるから帰って来て」と母が迎えにくる。で、帰ってみると、男が縁下で寝ていて、もうびっくりです。
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ハチの散歩時間になってもハチが見つからない、なんと男が連れて散歩していて「おしっこしない、一滴もでない、いつもそうなの?」と聞くが、電車の通過音で月子に異変が出て、あのトラウマで動きことができない。
トラウマの原因は、
月子の勤める会社に本社から本橋という人が転入してきて、仕事のことでのお相手に指名され、大阪のたこ焼き屋などの案内などしたことからひつこく食事を誘うようになる。誘いを断るとストーカーが始まり、遂に通勤電車の自転車置き場で「おれのことばかにしている」と暴力を振るわれ、これがトラウマとなり電車の音で動けなくなってしまうよ言うこのです。

月子は依然大家さん宅で寝泊まりです。家に帰って風呂に入ろうとすると風呂場にハチは出血して倒れている。突然のことに驚くが、この男が病院につれていってくれ「尿道結石とわかり」ことなきを得ます。月子はこの男がいてよかったと思うようになります。
これが契機で、大家さんとこで一緒にお好み焼きを食べることになる。大家さんは彼に「今、無職?」「その髪、カッコ悪い、ださい」「なんで板前辞めた」などと聞き、月子には「もう1年や、そろそろ働かにゃ」「この人がいようがいまいが自分の家で寝るように」と文句を言います。

夜、家に帰ると母ひとりが縁側にいて「今年は桜がはやそう、けんちゃん今日月ちゃんと喋れたと喜んでいた」と話す。そこに、けんちゃんが風呂からでてきて、シャンプーの匂いに「私のシャンプー使って」と怒る月子。

みずぬるむ日先生の自転車に二人乗りで釣りに出かける。「先生がぐずぐずしているからこんなことに」と先生がおかあさんの相手だったらと残念がる。このシーンはお気に入りです。
 
ハチと散歩していると、荷物もって帰宅中のうれしそうな二人に出会う。母とそのまま公園に。母は遊園地のデートのことを楽しそうに話す。「ほんまに結婚するの」と問うと「します」と「どこがいいん」に「へらへらしているところ、苦労しているのに、身内が一人もいない」と言い、お願いがある、白無垢着ていいいまのは冗談、忘れて」と。

サクラのつぼみが膨らんで、
先生に会って白無垢の話をすると「白無垢それでいいんじゃ。もうどうにもならん、わしはもう2回断られた。理由はあんたや」「あんたの母親であると同時に女でもある」と言われ、月子 「それでもいやや」と不満を漏らす。帰宅し屋根掃除中の彼を見て「白無垢どうぞて、おかあさんに言うといて」と話し掛けます。

大家さんとこで4人でお好み焼き食べていると、母が「一緒にいこな、衣装合わせ」、月子「無理やって」。「あんたずーとこのままでいいの?このままでは外にでれへんよ。いろんな人と交わって生きて欲しい」と話すと月子が「ずーと思っていた、私のこと邪魔になったん、早く出ていきたいから」と言うもんだから、陽子が手を挙げ月子を叩き掴み合いの喧嘩になる。
しかし、月子と陽子の気持ちが、春先の陽気に合わせるかのように、すこしづつ変化していきます。これに会せるように、あおいさんと大竹さんの変化する感情表現がすばらしい。
 
けんじが、めずらしく、月子に話しかける。
「おばあちゃんの話、うそや。つまらんことで言いあいになって店を飛び出して、帰ってみるとおばあちゃん店にいなくて、探したら店のカンターの下で亡くなっていた」「今、あたりまえのことが、死んでしまって分かる。いまでも後悔している」

月子は相変わらず大家さんのところで寝泊まり。そこに、朝、けんじが「今日、衣装合わせにいってくる」と知らせにきたが、その直後母が倒れる。
担当医師に会うと「お母は、2か月前から調子が悪いと来院、検査結果は末期ガンでもって1年、抗ガン剤ですこし伸ばせるがお母さんは望まなかった。」と聞かされます。
月子は母に「なんで教えてくれなかったか」と文句を言うと「自分で決めたこと」と言う。月子の「そんなん勝手や、めっちゃかってや」に母は「みんなにしんどい想いさせるのがいややっ」。大家さんは「あんたわ何にもわかっとらん、月子はどんなに心配したことか」と叱ります。
 
月子は先生にオカンがガンで余命がないことを告げると、先生はほとんど話すこともなくタバコをふかしふっと天井をみて涙をみせ「陽子をもっと幸せにしてやれたのではなかろうか」という。無念さが伝わってきて、ここでの国村さんの表情がいいです。

大家さんは「めそめそ泣いても何にも変わらん。あんたが支えてやらんと」と月子を促します。月子が、ただただ泣いているところに、明るい声で母から電話「いまどこ、起きたらだれもおらん、聞こえている」と聞いてくる。
月子が病院に行くと、母は陽気に隣の人としゃべっていて、月子は「なんであの人だけに話したの」と問うと、母は「けんちゃんと別れようと思ったが、あの人結婚しよう、百年生きる人はいても1年の陽子さんがいいと言うの。ここでこの人と一緒にいたいと思った」。月子「私にも言うて欲しかった、ちゃんと受け入れることができたのに」、母「言うたら受け入れる、嬉しゆうない」

帰宅して、母の言うことを反芻します。けんちゃんが無言で料理中で、月子は一緒に料理をつくりはじめる。月子が「この弁当、私が届けていい」とけんちゃんに声を掛けます。サクラの芽が大きく膨らんでいます。

病院を訪ね、母のベットに一緒に入り、やっと気持ちが一つになって。月子は「電車に
乗って、白無垢行こか」と母を誘います。
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“つるかめつるかめ”と呟いて二人で電車に飛び乗り、月子は電車恐怖症を克服したようです。
衣装合わせ、「すごいことになってます。出ますよ」と出てきた母を見て「めっちゃきれい、え~え」と月子は驚きの声を上げます。
月子の前に正座して、「月ちゃん、いままで本当にお世話になりました。月 ちゃんと一緒に生きてこら
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れて楽しかった。病気のこと黙っていて悪かった。どんなに素敵な人かを言うてしもうたら壊れそうで言えず、病気になって、このままではいかん、残りの時間の中で何をすべきか、私の人生を自分らしく、月ちゃんにみせることで月ちゃんが人生を掴んで欲しい。わずかだが一緒に居てください」。大竹さんがうつくしい。月子に「こんなのいっぺんやってみたかった」と抱き合う二人。「わたしはおかあさんと一緒にいれたらそれでいい」と月子、名シーンです。泣けます。
そして、結婚式のあと、母と一緒に料理つくり。けんじがハチの散歩から帰るが、金髪は黑に変わっていて、先生がやってきて、一緒にご飯。メガネを探す先生。かっての、なにげない風景桜が満開に
エンドロールは結婚式、ここにあおいさんの着物姿があります、最後まで観てください!
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