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第 12話「人質」

12話「人質」
昌幸は徳川と構えるために上杉と結ぶ必要性から、信繁を上杉の人質に出しこれに期待することになる。信繁が景勝の信頼を得て、これまでの価値感から景勝の「民のため尽くす姿勢」に傾き、鍛えられ、信頼され、その才能を大きく開花させていく様が描かれる。漁民たちの争いを解決するエピソードでの堺さんの大真面目な演技に、信繁役にキャステイングされたことが頷ける。
今回は、裏切り・騙し・非道の戦国時代に、全く価値観の異なる景勝という人物の登場で、大きくドラマに変化が出て、面白くなっている。
 
○「信繁人質」に対する昌幸・信繁の思い。
家康は、小牧・長久手戦勝利したため、手を組んでいるとはいえ沼田領奪取のためいつ信濃に進攻するかわからない。このため再度上杉の力を借りる必要があるが、信幸は杓子定規に無理と言い、出浦の強い後押しで交渉を進めるが上杉の返事はつれない。
上杉の出して来た条件は「信繁を出せ」というもの。信幸は「自分か」と思ったが「信繁」に複雑な心境ではないかと。ここでの昌幸の「期待してない」という目付きが面白い。
昌幸はこの条件を、信繁がすでに戦芝居を交渉し成功した経緯もあり景勝の信頼があることから、信繁の柔軟性・発想力、誠実な性格に賭けて、飲むことにする。
信繁は、祝言の一件で自分の非力を感じ、父とは違った生き方を模索していて、景勝には父昌幸と違い“義を重んじる人”としての魅力があることで、“その力”がいかほどのものであるかを見ようとの思いでこれを受ける。
父が裏切れば命はないが、ここは自分の運命を景勝に賭けることにする。それだけに彼の景勝への接し方には強い意志力があった。三十郎とともに春日山に発つ。
 
○上杉における信繁の活躍
春日山城に着いた信繁は、先客のため景勝との対面を待たされるが、先客というのが漁師だということを知って驚く。
景勝自らが、獲った魚をめぐる北浜と南浜の漁師のいさかいを聞いてこれを裁くという。イメージ 1
やっと信繁の面会となって、信繁を人質に指名した理由を聞かされる。一つは昌幸に息子を差し出す度量があるのか、もう一つは以前に助けを求めに来た際に見せた自信あふれる信繁の顔だと言う。そして、人質とはいえ客人と同じように接するとし、先代・上杉謙信の位牌が置かれている仏間に案内し、謙信の教えを語る
・上杉家は「義」のある戦いしかしない。敵の方から攻めてくれば立ち向かうが、私欲のためだけに他国を侵略することはしない。
国づくりの根幹は民の暮らしの安全を守ることと考えており、民の心をつかまずに国づくりはできない。
 
そして、沼田城をめぐる攻防で誰も死なせずに北条軍を追い払った信繁の行動は、謙信公の教えと同じだと高く評価する。
信繁は、「己のためだけに生きるとどうなるのか」と尋ねると「織田信長をみよ」と言い、「己に恥じないように生きるのみじゃ」と説く。
信繁は、自分の目指す生き方はこれだと納得、深く景勝に学ぶことを決意する。景勝もすっかり信繁を気に入っているようで自ら剣をとり鍛える。
 
信繁が上杉に受け入れられたことを喜ぶ昌幸の元に、直江兼続から沼田城の返還を迫る文書が届く。沼田城をめぐって北条氏と揉めたために上杉氏に助けを求めているのであって、沼田城を上杉氏に返してしまっては本末転倒で「これはできない」と真顔でひつこく言う信幸に、昌幸は「よかったのう。源次郎を人質にだした甲斐があったぞ。これはあいつの仕事だ」と、いつもの昌幸の間の抜けた云い方が面白い。
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信繁は景勝にこのことを申し出ると「他国との交渉は兼続に任せており、そのことは聞いていない、兼続は真田の本心を見抜くためかと思うが用心深い男だ、それで上杉がもっているのも確か」と掛け合うことを約束する。
 
ある日信繁は、景勝にもめ事の相談をしてから3ヶ月経ったが何も音沙汰がないと漁夫たちが役人と揉めていることに出会う。信繁は「何故治めないのか、先送りか」と問うと、「お館は恰好ばかりつける人で出来ないことを約束する」と言う。ここに景勝と兼勝が現れ、これを聞いた兼続は「切り捨てますか」と言い、恐ろしい人だ。そして「海には堺目がない。争いごとが多い。困った人を見ると力になりたがる。無理なものは無理だ。今の上杉にそんな力はない」と言う。景勝は、淋しげに、「いまの自分には、民の話を聞くことしか出来ない、世の中は思うようにいかん、これが本当のわしだ」と呟く。
これを聞いた信繁は「昨日まで、私は御屋形さまを尊敬しておりました」と言うと「今はそうでもないか?」、「今は、それ以上に慕わしく存じます」と、いまだ沼田城の一件をまだ兼続に話していない事を匂わせると「まだ言うとらん」。そこで、信繁が「沼田城を上杉に渡す意思が真田にない」ことを兼イメージ 3続に話すと「真田とは手を結ばぬ、それだけのこと」と一蹴される。
ここで景勝が、困った表情を見せる。徹底的に民の幸せを考えるいい人、やさしい好好爺、だが決定的に実行力に欠ける人として描かれ、兼続が蔭で悪役を買って出て支える構図になっている。しかし、景勝の話を聞いていると、信繁ならずとも、この人のためになんとかしたいと思えるから不思議、遠憲さんがうまく演じている。
 
ある日、景勝と馬で浜に出た信繁は、神社の入り口で漁師が揉めており、奉行が「鉄火起請」という方法で収めるつもりらしい。
鉄火起請とは、戦国時代から江戸初期におこなわれていた神の判定を仰ぐ儀式で、鉄の棒が赤くなるまで熱し、それを握り、指定の位置まで運べた方の主張が正しいとするもの。イメージ 4
真っ赤な鉄棒を前に、漁師は尻込みしてしまう。早く握るよう奉行が催促するが、漁師は動かない。
見かねた信繁が、奉行が「神の御心を承るにはこれが一番」と言い譲らないので、逆に「この方法が一番と言うことを鉄火起請で決めよう」と奉行に促す。さすがにこれには奉行も言葉を失い、この解決は信繁の手に委ねられる。ここで景勝が「全ては自分のせいだ。次からはよいようにする」と先送りしようとする。そこで、信繁が、日替わりで漁をすれば良いのでは?と提案するが、漁師は「潮の良い日に獲り尽されたら次の日には何も取れなくなる」と反対する。これに、景勝が「ならば潮の変わり目で分ければ良い。満月が来る度に交代すれば偏りはあるまい」。
信繁の知恵と景勝の裁きで一件落着。景勝は、信繁の民を治める知恵を大いに評価し、「お主のような子を持ちたかった」と言う。親子のような関係がみられるのが、これからの物語を面白くするのでは?。
話はまるで一休さんのとんちばなしだが、景勝が自分には欠けている決断力・実行力を信繁のなかに見ることになり、孫子の兵法にある「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」に鑑み、信繁に将の器ありとこれに惹かれていくのでは?。堺さんの真面目、誠実な演技に、描きたい信繁像を見る。
  
そのころ上田城では、梅が信繁の子を出産し、女の子で名前は「すえ」とつけられる。
 
○真田は徳川と縁を切る
信繁が景勝の信頼を得たことで上杉は真田と結ぶことになる。昌幸あての手紙には「上杉は未来永劫、真田を守ることを約束する。北条、徳川が攻め来るときは援軍を差し向ける。上州の沼田、信州の小県を真田の領分と認める」とあった。昌幸はこれにより「真田は徳川と縁を切る!」
 
○徳川、真田の戦の幕は切って降ろされた。
「徳川は敵のために城を造ったようなもの、お潰しになってはどうか」の阿茶の局案鳥居元忠率いる徳川軍が上田城に向け進軍、その兵7000。対する真田軍2000足らず。
イメージ 6昌幸はどう戦うかと問うと信幸が敵戦力が3倍なら”籠城”という真っ当な案を出すが、これは旧軍が必ず守った戦法、誰でも考え付く案では勝てないと信繁が居ないことを悔やむここに真田の勝てる戦法があるのでは?
春日山では、景勝が「わしが真田を助ける、人質を返す、存分に戦って来い。終わったら必ず戻って来い」と「人質を返すなど聞いたことがない」という兼続を押し切る。こうして信繁と三十郎は上田に急ぐ。次週「決戦」、どんな戦か、楽しみです。
 
きりと梅のコントイメージ 5
きりの「どうしてお腹の中にあかちゃんがいることが分ったの?」に、
梅「嘘っていうか、これも策ですね。だって、源次郎様、なかなかその気になってくれないから」。おもしろい。信繁に勝る知恵者です。女は強い!!

記事1 20160328
真田丸」第12話視聴率は復調17・9% 4週ぶり17%超