映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ペダルダンス」(2013)

イメージ 1自ら海に飛び込んだらしいという友ミキ(吹石一恵さん)を訪ねる一泊二日の小さな旅を通じて、女性たち(ミキジンコ:あおいさん、素子:安藤さくらさん、原木:忽那汐里さん)がかけがえのない絆を確かめ合うロードムービーです。
「好きだ、」石川寛監督作品。同作とおなじ作風でストーリーはとても簡潔なもので、なにか大きなことが起るでもなく、映像を見て何かを感じ彼女たちの心に触れるという作品、万人向きの作品ではないかも知れません。ハマれば、不思議な感情を引き出してくれると思います。
どんな気持ちで友を訪ね、会って何を感じ、お互いをどのように思いやるかという29歳のあおいさんの心象“を見ることになります。
石川監督のあおいさん演技についてのコメント
「ペタル ダンス」で旅に出る女性たちは29歳という設定で、キャスティングを始めた時点では宮崎さんが25歳だったので、早いかなと思って。そしたら、キャスティング中に宮崎さんがどんどん変わって、大人っぽく成長していったんです。
(8年半ぶりに長編作品で宮崎さんを撮影して)年齢を重ね、柔らかさの質が変わり深くなりました。前は芯がよく見える人だったんですが、年輪みたいに柔らかさを何層かまとってきた。都会に生きている女の人は、そういう風に年を重ねるのかもなあと思いました。このコメントは朝ドラ「あさが来た」での柔らかい演技に見ることができます。
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物語は、
ジンコが風間俊介さんと何か話しているシーンから始まります。寒々とした風景、車の音。
イメージ 2ジンコは「はしょたの」と言い、彼は泣いています。ジンコ「怒らないで」、「この前のはなんだったのかな」、「それも私の気持ちよ」。二人はジャンケンして、笑って別れます。ジンコは「いいよ」と言うが、風間君はまだ答えが見つからないようで、このシーン、本当にリアルです。
原木さんは、小さな洋品店で働いていて、空を見て、「私は何も言えなかった、何も言えなかった。見てやれなかった。」「あなたのその言葉に何も聞いてあげられなかった。そしてあなたはいなくなった。」「あなたはどこにいるのかわからない、生きているのかもわからない」と友を失ったことへの自責に苦しんでいるようです。
素子は、ミキに会いに行くため彼の車を借りにきて点検がてら、彼に「ミキにあいに行く」と話すと「ミキの自殺のこと、気持ちは分かる、ミキもさびしいのかな」「なぜそう思うの」、「おれも籠っていたから」、「わかんないよ、何て言っていいかわからないよ」「会いにゆけばわかるよ」。
自殺についての本探で図書館にやって来た原木さんを、ここで働くジンコが案内します。原木さんは電車のなかで、借りたばかりの本を読んでいる。
ジンコが素子に電話で「ミキに会いにゆく」と伝えると「なんで会いに」。「なぜか知りたい」、「なぜ会いに行くのかわからない」、「ミキはかわらないよ」、「会いにくくない?」。
原木さんが働いてる店にやって来ると、閉まっていて、店長不在で洋服店が閉鎖されることになり、親しかった店員のサヨナラバ「そうであれば・・、」(気分を新たにして何かに向っていくという意味だという)、この言葉で店を去ることに。
駅ホームに原木さんが立っていて、電車は入って来ると、原木さんが倒れ、それを見たジンコは咄嗟に原木さんを救おうとして手を怪我し病院に。一緒に付いて来ていた原木さんにジンコが言葉をかけると「新しい仕事のことを考えていて」、ジンコ「勘違いしていてごめんなさい」。ジンコの「私の友達がぎりぎりのところに立って、助かったんだけど、会いに行く」に、原木さんは「運転できますか?」と問い「私が運転します」と申し出ます。
イメージ 3朝、ジンコ、素子、原木さんの三人は素子の彼(元の旦那)の車で、彼の笑顔の見送りで出発。窓から見える景色や会話を楽しみながらのドライブ。
途中停車して、ジンコはミキのことを「もっと言えることがあったのかな」と思い出し、海風で傾いた枯木に「いまこんなのかな、」と。「こんなミキに会いに行きます」と素子が原木さんに話し掛ける。原木さんは友達と分かれた時のことを思いぼんやりしていて車の発進に遅れが・・。
海の見える食堂で休憩、原木さんの体操で怪我した話、カモメを見て、ラーメン食べて。ジンコは指の間にカモメの飛ぶ姿を捉えて楽しむ。三人で海を見つめていると、原木さんが「私は曲がっています」と言い、ジンコは「私は濁っている」と言う。
素子が「自分でキズつけたら何ができるの」と問うのでジンコは「海に入ったこと?むずかしいね」と返事し、文房具屋に寄りたいと言う。文房具で鉛筆を探す。素子が何をするのかと問う。「何も考えずに買う」とジンコ。

病院に着くがミキは病室にはいないで、屋上で会う。ジンコが原木さんの運転で来たことを紹介する。ミキは「“なんで”、いつ来た、いつ帰る、一緒に海を見たい」と言い、ミキは苦しそうでうれしい表情ではない。
泊まり宿までの車中で、素子は不満そう。ジンコは「顔見れてよかった、思ったより普通に会えた」、素子「海に行きたいは嫌だった」、ジンコ「私にはミキの声が小さい」、素子「私達でしょう」、素子「“なんで”の顔が忘れられない、何も言わないのはおかしい、“なんで”とは言わない」、ジンコは微笑んで「そうだね」と素子に合せるここでのやり取りは、二人の気持ちがよく出ています。
サクラさんの所見;
ジンコが「顔見れてよかったー」とか言ってるから、なんだこいつ!と思って()。もっとさらっとしてないと、って分かっていながらも、溜まってたのが出てしまいました。
旅館に着いて、疲れで休んでいて、曇った窓に指で絵を描いていたジンコがお茶を入れて「私が飲むということはお湯を入れてほしいですね」に、素子、原木さんが寄ってきて・・・。イメージ 5
4人でまだ雪が残っている海辺にやってきて、ジンコが「ミキみたいな木があった」と言うと、ミキは「もうひとつ一緒に行って欲しいところがある。あそこに立ったの、あのとき自分がどうしたかったのか確めたい、でも一人では来れない、みんなで一緒にいたい」と言い出すと、その時、ジンコに電話があって、風間君から「聞いて欲しいことがある」「あとで」「好きだ、」「今日帰り遅くなる」。ジンコ、嬉しさが込み上げてきて「またかけるわ」。気付いた素子が雪を投げる。ここからのジンコは“にこにこ”しています。
映画「好きだ、」でヨースケが言えなかった言葉をユウ(あおいさん)に贈りましたね。石川監督の粋な配慮でしょうか。(笑)
みんなでその場所を確認する。ミキは「ここに立ちたかったの、あの時自分がどうだったか確かめたかった。一人では来れなかったから。みんなが来てくれたから、来られた」と感謝します。イメージ 6
ジンコは原木さんに、指の包帯を見せて、「原木さんともこれのお陰ですね。原木さんは何を抱えているの? たまに空なんか見ながら呟いていたでしょう」と問うと「ずっと願いことしていてずっと生きていてほしい人がいて願っていたの」「願っていたのね」「祈りですね」。イメージ 4ジンコの「何か見えるものを100個言葉で書いて」と言うことで、みなさん、真剣に書きます。書き終わると「最後に描いた3つの言葉を拾って、ひとつの絵を描いてください」。風に吹かれ、寒むそうです。それぞれの想いの絵が出来上がります。
原木さんは「最後に会った日、あなた笑っていた。笑おうとしていた? あのころから笑っていたの」と友達のことを思い出しています。
ジンコは風間君に電話のかけ直すよう素子にせかされて、はずかしそうに、かけ直す。これを見て素子とミキが「変わったね」と笑ながらジンコを見つめる
夕日のさす空、ミキから原木さんに「ありがとう」、「それは二人に云ってあげてください」。
鳥海山が見える浜辺で、ジンコ、素子、ミキの三人は風に乗った鳥の真似をしながら、ミキからありがとうの言葉なにもできなくて、一杯もらった」。ジンコ「何にもできなくても、ちゃんと同じ場所にいるよ。ずっと。ね。ね。」。三人の心がつながってくる良いシーンです。これを見ている原木さんが、「笑って、生きていて」と呟く。
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