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「ルーム」(2015)

イメージ 1「ルーム」(2015)
20160430
シネマクレー
アカデミー賞で主要4部門にノミネートされ、ブリー・ラーソンが主演女優賞を授賞した作品。賞に値するすばらしい作品だと思います。
物語は、監禁された女性とそこで生まれ育った息子が長らく断絶されていた外界へと脱出し(前段)、社会へ適応していく過程(後段)を通して親子の絆や成長を描いています。
前段での若い囚われの母親ジョイ(ブリー・ラーソン狭い部屋しか知らない少年ジャック(ジェイコブ・トレンブレイによるたった二人の世界、ここでの母親の無限の愛情と仮想現実の中で生きる少年の生きざま、母親の知恵でのサスペンスフルな決死の脱出劇を経て、後段の自由な大きな世界に飛出したはずなのに母親は直面する現実に苦しみ世界を小さくしていくなか、少年は周りの環境に生かされ大きな世界を見出し少年の成長が母親の成長を促し共に新しい世界へと旅立つという物語の展開がすばらしいです。
ここで描かれる異常な状況下の親子の絆も、このような描かれることで普遍性を持ち、今日の厳しい子育環境で悩める親たちに受け入れられる作品だと思います。
イメージ 5母子を演じるブリー・ラーソンジェイコブ・トレンブレイは本当の親子のようで、前後段の変化する環境下の演技は見事です。特に、ジェイコブ・トレンブレイ、途中まで女の子だと思って見ていましたが、その演技力には圧倒されました
 
前段、
物語は、小さなルームから、お母さんの“寝なさい”、「僕は・・へその緒を切って出てきて5才になった」の声から始まります。
おはようと朝になって、ジャックは、電気スタンや洗面第、トイレ、・・と部屋のなかにあるものに挨拶です。普通の生活、何の異変も感じません。今日は誕生日、お祝いのケーキを焼くと喜んでいます。
お母さんと一緒に歯を磨いて、身長測って、ストレッチ、壁から壁へのかけっこ。
そして二人でケイキを焼いて、出来上がったケーキにローソクがないことに、本物のケーキでないとすね怒りだします。6才になったら本物のケーキということで収まるママと一緒にお風呂。ここではママのモンテクリストの脱出劇の話しを楽しそうに聞いています。あ母さんの夢なんでしょうか。お母さんはこロッカーの中に作った小さなベットに、歌を唄って寝かせます。ごくごく普通の親子に見えます
突然男?が訪ねてきてジーンズと食べ物の差し入れがあり、「子ともは起きているか」の声。ジャックは寝たふりをしながらぎ~ぎ~というベットのきしみ音を聞いています。
イメージ 2次の日、ジャックは、木は本物、虫は本物、TVはうそ、ママは本物・・と確認しながら、小さな部屋の中が映し出され、出てきたきねずと遊ぼうとするとお母さんはばい菌があると追い払います。ジャクがねずにはどこに行くのと尋ねると、「奥で(外で)暮らしている」と返事。「この部屋は狭くて飼えない」というとジャックは泣き出し、お母さんは戸惑い始めますジャックは車のおもちゃで、ぎ~ぎ~という大きな音を出して遊び大きなストレスを感じているようです。
夜、お母さんが夕食準備してると、男がへんな匂いがするとやって来て「おもちゃは喜んだか」と聞き、お母さんはビタミンがないというと、「今の景気を知らないのか、誰に生活費を払ってもらっているんだ、何にも知らない。半年前から失業して、仕事がないんだ」と言う。そして男は裸になってお母さんと・・・、ジャックは起き出してベッドに近寄ると、男が触ろうとし、お母さんは“さわるな“と激しい取っ組み合いを始める。

このことがあって、お母さんは本当のことを話して聞かせますTVで観ていることは本当よ。貴方が小さいから嘘ついていた。もう大きくなったから信じて」と。ジャックは4歳に帰りたいと泣きました。
お母さんは「17歳でここに拉致されて連れてこられ鍵をかけられここに7年間閉じ込められた。外には別の世界がある」ことを話します。そんな世界なんか大嫌いと大混乱のジャック。収まって、お母さんと寝ていたが、起きだし、おもちゃを壊し、天窓から入ってくる光で手を壁に映しだし外に興味を示します。この混乱した心を表現するトレンブレイの演技は凄い。イメージ 3
ジャックは起きてきたママにTVを見ながらカメは本物?ゲームはと質問を浴びせオールド・ニックなんか蹴飛ばして逃げようと言うと、お母さんは「昔便器の蓋であいつを殴ったがここを出られなかった。しかし、いまやっと逃げるチャンスが来た。あいつを騙すチャンスだ」と言います。
ここにきて、親子の、この5年間の壮烈な暮らしぶり、お母さんの子に掛ける愛情の深さ、そして脱出しようとする勇気を知ることになり感動を覚えます。

脱出は、
熱いタオルをジャックの身体に当てて、高熱だから病院にとニックに迫るが、薬で治すと出て行ってしまう。
これでは無理とお母さんはモンテクリスト伯からヒントを得て、死んだリをして運び出される計画を立て、ジャックを絨毯でぐるぐる巻きにし、車に乗せられたらこれをほどいて、車からジャンプして飛び降り、駆け付けた人にお母さんはジョイ・サーマーと言いなさいと何度も練習をする。お母さんの死を賭けた計画。母親の子を思う心がよくでています。
ニックがやって来て、お母さんが「ジャックは死んでしまって絨毯に巻いているから外に出して」というと、練習どおりことが動きだします。結果は分かっていてもスリリングですばらしい演出です。
ジャックはお母さんの教え通りにトラックの荷台で転がり絨毯を解いて初めて
外の大きな空を見てその大きさ眩しさを、そして飛び降りて重力の痛み、雨に濡れた枯葉の不思議(これまではうそ)を知る。逃げようとしてガ~ンと何かにぶつかる、大きな犬と散歩中の男性。もうびっくりです。が、ニックは逃げ出し、この男性の機転でジャックは警官に保護され、尋問を受ける。名前はジャック、5才、住所は・・? 部屋と答える。母の名前は忘れていて、母から渡された母の虫歯を渡す
部屋の外の景色に、「宇宙だ」と言い、「天窓がある」と言うと警察官の機転で天蓋のある建物を探しお母さんが救出され、ふたりは立派な病院に収容されます。

後段
病院でジャックは足で歩く触れる床の冷たさ、壁一面のガラス張の窓、下を見ると道路を行き交う沢山の車。この景色に怯え、「ここは惑星」とママに聞く「ここは病院よ、先生がいいと言ったらお家に帰る」。ジャックは寝小便したと漏らす。
先生がやってきて、ご飯食べたかと聞き、パンケーキにフルーツ。ジャックはびっくりです。そして、サングラスを掛けさせられ、日焼け止めの薬を渡される。先生に「この子は普通に育っている。プラステイックではないよ」と言われる。
そしてママのパパとママがやって来た。もうびっくりしてジャックは座り込んでしまう。この世界に来て37時間、マスクをしてお祖父ちゃん、お祖母ちゃんの家に。
テレビに親子が救出されたニュースが流れていて、ここで見る世界は、ドアには内側と外側があり、マスコミが大勢押しかけて、皆の歓迎を受けての帰宅、爆撃音のなかでの帰宅だった。
ママのお母さんは離婚していて、新しいお祖父ちゃんはレオという名前。ママはびっくり。おばあちゃんが何か飲みたいと聞くが、ジュースと自分で言えないジャック。ママを通して言ってもらう。
ジャックは初めての階段をゆっくりと上がり、ママの部屋に案内される。広い部屋にびっくり。
お祖母ちゃんが髪を切ってはというが、パワーがあるからいやと断る。皆で食事、アイスクリームを貰って、小さな声でサンキュウ。でもアイスが痛かった。こうしてジャックは次から次と新しいものに触れ、慣れて行きます。
本当のお祖父ちゃんがやってきて、ママがこの子を見てと言いますが、「すまないが見ることができない」と断ります。ジャックが誘拐犯の子ということに拘っているようで、ママが失望です。
ママは昔のリレー競争をしている写真を見て、自分以外の3人は何も起きなかったと自分の運命を嘆いています。
外には大勢の人が集まるのでマスコミ対策が必要だが、お金がいるとおばあちゃんが心配している。
レオが食事を作っていて、一緒に食事。犬の話しをして、すこしづつ話せるようになっています。勉強が始まる。テレビでアニメを見る。でもお母さんに、「戴いた沢山のおもちゃで遊びなさい」と叱られます。
ママはお祖母ちゃんと喧嘩して、やさしくされるのが辛いらしい。失った時間を恨んでいるようです。
そして、ママへのテレビ取材が始まります
なぜ逃げなかったのか。
赤ん坊を出そうと思わなかったのか。etc
質問に答えられない。そして落ち込んでいきました。
そして、ある日ジャックは風呂場で倒れているお母さんを発見。お母さんは病院に。
ジャックはお祖母ちゃん、お祖父ちゃんと暮らすことに。お祖母ちゃんがママのことをいろいろ聞いてきます。洋服タンスは狭いけれどここに寝たい、ママに会いたい。
レオが犬を連れてきて、犬シェイマスと親しくなり、公園で遊ぶようになりました。ママの小さいころの写真を見て、髪を切りたくなり、お祖母ちゃんに切ってもらい、病院にいるママに送ります。
絵を描いていると友達がやって来て、サッカー遊びをしていると、ママが病院から帰ってきて、「ごめんなさい「いいよ」「もうしないと約束する」「よくなる?」、ママは髪を出して、「これを貰った時によくなると思った」と言った。
僕はママにおっぱいと言うと、「もう出ない」と言うので「でも僕のママだよ」と言った。お母さんはこの言葉に生きる喜びを取り戻しますイメージ 4
ジャックは、母と一緒ならどんなところでも過ごせると、母と一緒に、誘拐された部屋を見にやって来ます。「これが部屋、縮んだの?」「なかのものは証拠物件として警察にもっていかれているから」。ジャックにはあまりにも小さな世界にしか見えませんでした。
ジャックは植木、椅子、テーブル、洋服ダンス、洗面台などにサヨナラをし、雪のふりだした街にお母さんと一緒に、帰って行きましたこれからの勇気や希望、立ち直りを予感させるラストです。
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