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第20回「前兆」

第20回「前兆」
秀吉の側室になった茶々が身ごもったことで起きた秀吉揶揄事件の顛末。石田三成大谷吉継、信繁の犯人探しと彼らが秀吉の狂気に振り回される様が生々しく描かれている。刀狩りによる農兵の苦しみが事件原因の底辺にあるとする見方は面白い。
事件を通じて、豊臣家のなかでの家臣の力関係、就中三成の力が強くなり、信繁が智恵者として認知され、そして寧が大きな存在であることがわかります
信幸が徳川側の稲姫を娶ることで”こう”は離縁されることになりますが、お家のためとこの不条理をすんなりと受け入れる”こう”の心の広さに泣かされます。
 
○信幸の婚礼
信幸は”こう”にすまんと頭を下げる。こうは「旦那さんがよく悩み抜いての離婚の決断ですから」と不満をあらわにしない。ただ「妻としてなにか欠けるところがあったのでしょうかと聞き返す。「本田忠勝の娘、徳川には逆らえぬ」という夫のことばに、「妻としての落ち度はなかった」と知ってほっとして「長い間お世話になりました」という”こう”の健気さに涙。
イメージ 1家族が集まるなかで、昌幸は「側にいて断ろうと思うたが源三郎がどうしてもというてな!、これ止めるか」と冗談のように言い出すが「真田のためです、腹は決まっています」と稲との婚姻を受け入れます。昌幸は「源三郎を許してくれ!」と皆に謝る。おこうは里に帰ることになるようです。
薫と松は「生きていればいいことがある」としっかり励まし、とりお婆ちゃんがしっかり抱きしめて泣いてやるという家族全員が“こう”の決意に感謝し励ますつらいシーンでした。
 
イメージ 2稲が家康の養女となっての輿入れ。羊さんの花嫁姿、荘厳な式典が美しかったです。この後、小松姫となり大きな影響を及ぼすとのナレーション。忠勝が家来の一人となってついてきて、泣いている。これを見て昌幸は「せっかく化けているのだとそのままに」と皆に観て見ぬ振りを求めます。娘を嫁がせることでの悲しみ(スパイとして送り込む)は尋常ではなく、藤岡さんの演技にしっかり表現されていました。
婚礼後、ふたりの挨拶。信幸は「不思議な縁でこうなった」と言い、稲は「よろしいのですか、よろしいのですね」と厳しい表情。「寒い」という。この勇ましい女子にも初夜を思うと寒かったのかな?(笑)
信幸が寝室から出てくると、そこにこうがいて、薫の配慮で付人になったと言う。信幸は「無茶だ」と抗議するが薫は「”こう”が望みましたので」と平然としている。昌幸も「源三郎、喜べ、側におけるのだから」と取り合わない。信幸は「できるわけがない」と不満を漏らす。「昌幸の兄の子を放り出すことはできない、こうが望めばいつまでの真田家の者だ」と家族の総意で決まったことのようです。
 
○秀吉の天下
天正16年4月14日、後陽成天皇が寿楽第を訪れ大名たちは帝の前で秀吉の臣下を誓うことになり、名実ともに天下人になった秀吉の喜びは天を衝く。
「長いこと気が張っていた、佐吉風呂にでもひゃあるか、佐吉おもろいのう」と高笑いの秀吉。
家康はこの状況を「秀吉は我が春の様子。あとは伊達と北条が従えばあやつの世。しかし、秀吉には大きな悩みがある。子がおらね。誰に継がせるか、さぞ頭の痛いことだろう」とこれからの秀吉の出方を読もうとしている。
 
○茶々の懐妊と懐妊揶揄の落書き
・寧の部屋では、天皇の接待のことが話題になる。寧が「私の仕事ですらあ。帝がおいでになったときなにもわからなかった。亭主が出世するのも考えものだ」と言えば「私はなにもできず、次に帝が御幸されるときはわたしが」と茶々が言い出す。ぼりぼり物を食べながら「殿下がそのように言っていましたよ」に言う茶々に寧の厳しい目が向く。茶々と寧の間には厳しい空気が流れている。これを察した茶々が席を外すと阿茶局が「お茶々様のことですがおなかにお子が? おなかにいると腹が減ります!」と言い出す。殿下は大勢の女子がいるが孕むとは?」と寧が訝る。 
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・秀吉は「間違いないのか」と大蔵卿局に確認し「茶々でかした」と大喜び。秀吉、このとし54歳。ところが茶々の懐妊が漏れ聚楽第の白壁に落書きした者がいると聞いた三成は「高齢の殿下に子ができることを揶揄する落書きで、殿下の耳に入るとお怒りになる。にもかかわらず、片桐様が通りかかりに目にして殿下の耳に入れてしもうた。殿下がその者を獲えるよう命じた。この一件、おぬしらに任せた」と犯人探しを命じる。イメージ 3
「なんでわしらが・・」と長野長泰(警備係)は不満だが、信繁が調査に乗り出す。提灯で照らしながらの信繁の推理「消し炭で書かれており、犯人はひとりない。書く者、松明持つ者そして梯子を持つ者が必要で人目を避けることはできまい。門番にしらべてみよう」ということになる。こういう調査になると信繁は特別な才能を発揮するようです。
 
・刀狩りで集めた刀の処分を話し合っている三成と吉継のところに長泰と信繁がやってきて調査結果を報告する。
「昨日、9人が勤務だったが一人だけ来ていないものがいた。その者は転んで背中を打ち早めに家に帰ったといい、おそらく地面に落ちたときにけがをしたのでは?」と折れた梯子の段の破片を示し「これで梯子を踏み外したのでは?」と説明。「犯人の名は尾藤道休、なさけない男で勤務中に酒を飲んでいた」と報告します。三成は「道休の居場所は本願寺だろう」と彼を問責するよう指示します。
 
・長泰と信繁が本願寺を訪ねると「道休はたしかにいます、御仏を頼ってきたのを助けねばならぬ」と住職は取り合わない。そこで長泰は三成・吉継に「道休犯人だ」と報告するが、信繁は「本人に会って聞いてみなければ、なんとかなりませんか」と訴え、三成の計らいで秀長に会いことの次第を述べる。秀長は「わしが行って謝ってこよう。兄上には困ったものだ。怒りっぽくなった、助けたいのだが病にかかってる場合でないな」と言い住職から真相が聞くことが出来るよう処置する。秀長の早世は悔やまれる。住職に会って「道休はここにいたが、乱暴もので1年ほど前に追い出され国に帰ったと思っていたが、ここにいた」を確認する。

・信繁が寝込んでいる道休に「背中を痛めたのは酔って高みから落ちたためだというのだな」と尋問すると「そうだ」と言う。聞いてみると「見回りなどやってない」という。「番小屋で飲んでいた」と言い「いつもだ」という。「それでも番人か」と長泰。「百姓に戻ったところでなにもできん。刀狩で刀を奪われ喧嘩を禁じられるとやることがない。だれが攻めてくるわけでない、手を貸してくれ、仕事もなく背中を痛めて、おれは生きていてもなんの役にもたたん落書きしたのはおれではない、おれには無理だ、字が書けないのだ」と事件に関係ないと言い張る。これは信繁の捕物帳だな。()
刀を失った悲しい農兵の告白にこの時代の不安や世相が見られ、秀吉への不満をうまく描いています。
道休の取り調べ結果に、三成は「坊主なのに字が書けないのか?」と訝る。信繁は「道休が酒を飲んでる間に誰かが書いたものである」との推論を述べる。これを聞いた吉継「余計な口をはさんで済まんが、たかが落書きではないか、目くじら立ててどうする」と三成を諫める。イメージ 4
三成の「同じことが殿下の前で言えるか」と吉継を責めると「言える」と答え、このことが後押しとなり三成がことの次第を秀吉に報告します。
この報告に、秀吉は烈火のごとく怒り「門番すべてをその役を免じ牢に繋げよ。明日の夜ことごとく処刑する」「本当に怒っていることを世に知らしめる」と厳命する。三成はひどい失望の表情を露わにする。「なんとしても見つけねば今度はおれたちが処刑される」と慌てる長泰でした。
 
・信繁はきりを伴い秀次に会い「殿下を諫めて欲しい」と願い出て「落首が書かれるのは殿が万民に愛されていること」と智恵をつけます。これにより、秀次は殿下の前で諫めの言葉を述べますが秀吉は「わしの息子がコケにされた」と怒りは収まらない。「見つけ出し耳と鼻をそぎ磔け首を刎ねる。その親類縁者ことごとくはねる」と言い、2月15日夜17人の門番はことごとく首を刎ねられました。
「こんなことがあっていいのですか、ひどすぎます」と信繁が三成を責める。妻のうたは「だんな様は今夜はいくら飲んでも酔えぬらしい」と信繁に訴えます。
・ 秀吉は茶々の所で木馬にまたがり、生まれてくる子を楽しんでいる。
信繁は寧に会うと「人は一番痛いところをつかれると怒るもの、あの落書きは殿下の子でないと疑っている。誰よりも疑っているのは殿下ご自身かもしれない。あの年になるまで子宝に恵まれなかったから」と話す。ここで、きりが「殿下は恐ろしい、お変わりになったとみなさん仰っています」と言うと「みんなあの人のことはわかっとらん。殿下は少しも変わってない。昔から怖い人、明るく振る舞っているけど冷たい人、信長公より怖い人。そうでなければ天下などとれません」と寧が心のうちを明かします。天下を収めるまでになった気の小さい秀吉を知り抜いた寧の言葉が重く響くのでした。
 
○秀吉揶揄事件の結末
・「犯人がでてこないなら、町人たちから一人ずつ選んで磔けにする」という秀吉の言葉を聞いた信繁。ここに道休が死んだという知らせがもたらされ、この事件を収めるために道休に罪をかぶってもらいましょう。本人が生きていても役に立たないというたが、ここで役に立ってもらい、首を差し出しましょう」と三成と吉継に進言する。ふたりは「露見すると命は無いぞ」というがこの案に同意する。三人が道休の死体を確認し、吉継が「わしがやる」と首をはねる。
 
・秀吉に「犯人道休は死んだ」と三成が報告。秀吉の「だれが刎ねた」に「われらが差し出すよう言うたところ寺が差し出した」と答えると「六条河原に晒せ。こやつの家族をことごとく刎ねよ」と命じる。三成は「これでかんべんして欲しい。この首で終わりとして欲しい」と強く進言します。これに信繁が口を出そうとすると、厳しい声で「お前は下がっておれ」と一喝。三成は「度がすぎます、乱心は殿下のほう」とこれまでにない厳しい言葉で秀吉を諫言します。この一件で、三成と吉継の関係は三成が決定的に上位になったのでは?イメージ 5
秀吉の「三成治部、切腹」と言いかけたところに寧が駆けつけ「あんたが怒れば怒るほど噂がほんとだと思われますよ。みんなが本当のことだで殿下が怒っていると言っています。そんなこともわからないほどに耄碌したのですか。だれが何と言おうと生まれてくる子はあんたの子、放っておけばいい。一層のこと茶々様に聞いてみなさい。でんと構えておきゃあええ。聞いてみなさい」と諫めます。鈴木京香さんの力の入った説得、秀吉は小さくなっていて、すばらしい演技だ!!
強く秀吉を諫めた三成、前夜酔いつぶれるまで飲んでの結論は「なにがあっても、命を懸けて豊臣を守る」。三成は“正論に死ぬ決心”をして恐れるものがなくなったようです。信繁の意見を強く抑えたのは、信繁が正直すぎて計略がバレル、全責任は自分にあるというもので、人当たりが悪くとっつき難いが、自分の信じることに妥協を許さない人物だ。
ここに、茶々がやってきて「聞いてください」という。「その父親は源次郎です」「そんなことない」と慌てる信繁でした。「父親は殿下です、おかしな殿下!」。秀吉はことの成り行きを恥、足早にでて行きます。「ありがとうございました」と寧に礼を述べる三成。
 
「罪滅ぼしに京と大坂の人が喜んでもらえるように何かして欲しい」と寧が提案。信繁が「金を撒くこと」と提案。これに三成が反対するが、寧の「良い意見です」で採用となり、お金がばらまかれることに。
信繁の「あの落首はだれの仕業か」と三成に問うと三成は「決まっている。民の仕業、大勢の民の想いだ」。「だから殿下はあれほど恐れた」と信繁が納得します。
3か月後男子が生まれ、「捨」と名付けられ、多くの人の運命が狂ってくる・・・。

記事1 20160523
真田丸>第20回は視聴率187% 茶々が妊娠
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160523-00000003-mantan-ent