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「何者」(2016)

イメージ 3「何者」(2016
二階堂ふみさんが出演、ことし5本目の作品。原作が朝井リョウさんの直木賞受賞作品。朝井さん作品では「霧島、部活やめるってよ」を観ています。青春の痛みがよく描かれ、あの時代の痛みを思い出し楽しめる作品でした。監督は演劇界の若き鬼才、映画「愛の渦」の三浦大輔さんです。企画、川村元気さん!
この作品は就活を通じて現代の若者が自分自身を模索する物語。原作を読んでなく、SNSもやりませんが、二階堂さんと朝井さんの作風に賭けて観ることにしました。結果は「霧島、部活」と同様、若者たちの友情と裏切り、妬みとの葛藤が生々しく描かれ、あの時代を思い出させてくれ、満足のいく作品でした。(#^.^#)
 
物語は、就活者が就活対策本部を立ち上げ、ここで就活に必要な情報を交換する場が主体でまるで舞台劇のような会話劇になっていて、その言葉と役者の表情を楽しむことになります。就活に対する考え方や職業感に触れるいくつかの決めケリフが心地よく、物語の進展にともない自分という人格が消え顔の見えない者になっていくSNSの危うさに怖くなります。就活側には地獄ですが、顔のない者のなかから選ばねばならぬ試験側も地獄でしょう。()
 
出演者は主演・佐藤健、共演に有村架純二階堂ふみ菅田将暉岡田将生さんに山田孝之さんというすばらしい布陣です。それぞれのキャラクターを見事に演じています。二階堂さんは、クレジットは3番目ですが、謎めいた一番嫌やらしい女の子の役で、本当に嫌な女の子に見えましたから、好演です。特に、この物語が伝えたい衝撃のラストシーンを佐藤さんと演じ、SNSの恐ろしさが伝わってくる見事な演技です。
誰もがこの年齢で経験する人生、観るのが痛いのではないでしょうか。評価が低いのはこのせいかもしれません。()
最後に、SNSをやらない二人が就活を制したこと(意図的?)、そして主人公が自分の顔を求めて走り出すラストが清々しい。
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物語は、
大会場での筆記試験、面接試験の風景とともに「あなた自身を1分間で表現してください」の質問に「1分間で話せる言葉は、Twitter140字のようにごく限られたもの。短く簡潔に自分をどれだけ表現できるか。就職活動はそれがすべてだ。」の何者:二宮拓人(佐藤さん)のナレーションで幕があく。
○就活対策本部の設立イメージ 1
神谷光太郎(菅田さん)のラストライブの日。就活スーツに身を包んだ二宮は部屋をシェアーしている神谷の最後の姿を目に収めるためにやってきて、なんと長く海外留学していて帰国したばかりだという田名部瑞月(有村さん)に会う。彼女は「拓人君、就活始めたんだね。拓人君の舞台も見たかった」と懐かしがる。光太郎はOVERMUSICのボーカルとして、二宮は劇団プラネットの部員として活躍。瑞月は俺たちの音楽と芝居をこよなく愛していた。ライブを聞きながらも二宮は今日の就活結果が気になりしきりに携帯でTwitterを見ていた。
 
・次の日、光太郎は茶髪を切って黒くし「引退して就職、教えてくれ」と就活宣言(天真爛漫系男子)。そこで合同企業説明会に参加することにする。会場は沢山の見学者で溢れており、光太郎が「俺自身がない」というので(あいつ大丈夫かと)適当なサイトを勧める。二宮はたくさんの企業情報を集めしっかり分析している(冷静分析系男子)。イメージ 2
瑞月もやってきて「友達と一緒に対策を練っているの」ということでその友達を訪ねる。なんと二宮の部屋の上に住む小早川里香(二階堂さん)。光太郎がプリンターを見つけて「これ貸して」ということから、光太郎と里香が盛り上がり、ここを「就活対策本部」とし情報交換の場とする。そこに彼女の彼氏だという宮本隆良(岡田さん)が顔を出す。実は彼女と同棲中で、会って3週間目だという。(こいつ、嘘ついてるな!)

・劇団プラネットの団長であったサワ先輩(山田さん)から「今日はバイト休む」というメールが入り「ギンジ(元劇団プラネットの脚本家)の新しい芝居を観ておけ」と言うのでギンジのHPを覗く。
エントリーシートを書いていると光太郎は「お前、なれているな!」とのぞき込む。「おまえは音楽という強いカードをもっているからいいぞ」と励ます。
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里香は「語学力を生かせるところで働きたい。留学で人脈を広めてきた。会社は知名度よりばりばり働けるところ。大企業には拘らない」(意識高い系女子)。
隆良は「これからは個の時代。自分は本を読んで自分を高めている。流されたくない」(空想クリエーター系男子)。
 
・俺と光太郎の部屋。俺が光太郎に「webテストでは時間配分が重要だ」と指南。光太郎がパソンコンで作業中に携帯で調べると「里香はwebテストに受かってない。英語ばかり。なんだこいつ、できねえじゃん」。
光太郎は「誰か手ずるになってくれるやついないかな」と他人依存。俺が携帯で探す。本当に光太郎のために探しているのか?
 
○俺の広告会社の受験と不合格
午前の筆記試験。俺は苦戦した。瑞月と一緒。瑞月が「隆良が受験していた」という(隆良も就活していたのか、なんだ、あいつ。いやなやつだな!)。
昼食にラーメンを食べながら「光太郎の入る出版社なんてあるのかな」と言い外を見ているとなんと里香が走っているではないか。大企業志向でない彼女がこの会社を受験? 何んであの二人が?
瑞月は「光太郎君が何故出版社を受けるかわかる。向いている気がする」と言う。(あいつが?)イメージ 5
帰りの電車で、瑞月は母親の体調不良で面倒が見られるよう安定したところに就職したいと話す。
 
・俺が里香の部屋にプリンターを借りにやってくると、沢山の名刺を作ってあって「OB20名達成、この人たちを使って情報を集める」と言う。メールで広告会社からの不合格通知を受ける。里香が「演劇系を受けないのか」と問うてくる。(なんだこいつ)
パソコンを借りて開くとそこに光太郎の履歴書がある。光太郎が最終試験にゆくらしい(こいつなんにも言わないで)。
俺はあせりを感じてギンジのHPを見る。そしてギンジにメールすると「この作品ができたら大学を辞め劇団をやる」と返事がくる。
隆良が帰って来たので「就活やってんの、広告社受けてるの」と聞くと「ギンジに会った。あの子一緒に仕事しようと言っている」と名刺を見せる。
イメージ 10サワ先輩が見えて隆良と初対面の挨拶を交わし、外に出て「あいつに想像力はない」と言うと「ぜんぜん違う。お前こそないんだ」。(厳しいな、この言葉)
この言葉に、俺は劇団のこと就活のことなどこれまでの出来事を反芻し、ギンジの言葉「舞台を人に観てもらう。前に進みたいとそれぞれが心に何かを持って」を思い出す。(想像力もないくせに、寒いんだよな!)
 
○光太郎の不合格
・里香の部屋で、光太郎が「落ちた」とビールを飲んで管巻いている。「隆良は仕事で不在。瑞月は来ない」という。里香が「烏丸(ギンジ)君は拓人の友達」と聞くんだ。「烏丸が個展を開くそうよ。うまくいくと思う。ふたりは似ていると思わない?」と言って酒を買いにでかける。光太郎が「あいつは学級委員という感じだな。メールみてる。いやな感じだな」。
酔っぱらっている光太郎に「瑞月と別れたのか」と聞いているところに瑞月から「内定もらった」という電話がはいる。「おめでとう」と光太郎が瑞月に帰国後初めて言葉を掛ける。
 
○二宮、広告会社受験。イメージ 6
・なんと里香と一緒に受験することに。集団面接では里香のやつこちらの話題を取って、ニューヨークの経験を自慢げに話す。(いやなやつだよ)。
 
○瑞月の内定祝い
里香の部屋で瑞月のお祝いにと5人で飲むことになる。里香が「私もその会社受けていたの」と言いみんなで瑞月の内定を喜ぶが、瑞月は「総合職でなくてエリア職なんだ。昇進とかあまり関係ない」と一歩引いた感じ。(里香はこのこと知って褒めてんだ)。
里香が「俺と一緒に広告会社を受験した」と言い「拓人君は演劇が好きなのでは、・・」と聞いてくる。この話が出て、瑞月は「ギンジ君と隆良が一緒にやるらしいよ」と言うと隆良が「もう断った。企画を遅らせようとしたら断ったのでやめた」「就活は自分には向いていない。私は人にあわせられない」と話を打ち消そうとする。これには瑞月、興奮気味に「その考えはよく考えて生まれたんだよね。そうでなかったら聞いて欲しい、10点でもいいから結果だして欲しい。100点まで煮詰めても誰もみないよ」。いまの瑞月の気持ちがよくでている。(悔しさもあるんだよな)イメージ 7
瑞月はもうここにはおれないと出ていくので、追っていくと、光太郎に母親のことも好きだということも話したという。「また振られ、同じ人に二度振られると気まずくなる」と言う。「彼は海外に行った彼女に会えると思って頑張った。彼は自分の人生にドラマを考えて主役になれるんだよ。一日しか考えられない私たちがじゃましては駄目」と瑞月。「就活には断固たる尺度がない」と二宮。(負け惜しみだよ)
 
○光太郎の内定
光太郎の内定祝をふたりでサワ先輩のバイト先でやることに。「おめでとう、本当によかった」と先輩。光太郎が「総文書院に決まった。音楽を止める」と言う。これ聞いて(なんでこいつが、出版か。俺はまだ決まらないのに)、席を外すと先輩がやって来て「元気そうで康心した。俺はギンジと隆良は違うと思う。たった140字が合ったことで束ねてはいかんよ。ギンジはお前に似ている。次の日程押さえておけ」とアドバイスしてくれる。
帰りのタクシーの中で、光太郎が携帯貸せというが断る。光太郎が「内定は不思議な感じだよ。まるごと自分が肯定された感じがするんだよな。就活が終わったら何にもなれた気がしない」「なんで拓人に内定がでないかわからない」と言いやがる。
 
里香の部屋にいくと、里香が「光太郎君内定でたんだね」と言い(こいつ何で知ってんだよ)「次はどこ」と聞いてくるから「大丸海上」と答えた。(なんでこんなこと聞くんだよ)イメージ 8
里香のpc借りて開けるとなんと「大日通信、瑞月が内定もらった会社ではないか)。
一方、里香は拓人の携帯を借りて聞くと「総文書院」。
里香は「こんなことしてどうなの。おなじじゃない。ちがう? あんたのことみんな笑っているよ。あんたの別のパスワード知ってるよ。自分のツイートが最高と思ってフォローしたり、してもらったりするのが大好きなんだよ。瑞月のこともそう。いい加減に気付こう。そんな人、どこの会社もとらん。そのツイート悲しいよ。自分でない人になれる場所が欲しいだけだよ」「私も同じか、ツイッターで自分の立場をツイートしないと立っておれないから」。
 
里香の言葉を聞きながら、俺の裏ツイートを反芻する。「一つ上の子、気持ち悪い」「就活はトランプのダウと」「きれいな食器しかでてこないのはカッコつけ」「あいつと同じグループとは最低」「同居人の内定祝い、出版は斜陽」「自分がドラマの主人公、どんだけ勘違いしている」・・・・と次から次へと。
 
・瑞月にアルバイト店で会うと「教室でいつも脚本を書いていた姿みていたらひらがなの“にのみや”と拓人の話が好きだった」と話す。これを聞いて「舞台をいつも見てくれていたんだ」と涙がでた。(サワ先輩も同じ意見だよな)
 
○二宮、面接試験、途中で放棄
二宮は面接試験を受けていた。試験官から「あなた自身を1分間で表現せよ」と言われ「私は学生時代演劇をやり厳しい練習をして初日を迎えると脚本する人がいて、劇団が好きで将来一緒にやろうと言っていた。僕は客観的に冷めている自分を観ていた。その痛々しそうな友人は今も続けています。先日その劇団をみて、彼の劇団を初めて観てとても恥ずかしくとてもみっともないものですが、1分では話せない。ありがとうございました」と席を立つ。
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