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第43回「軍議」

如何にして徳川を勝つか。幸村は城から撃って出る案、五人衆のうち他の4人は籠城案。くせものだらけの五人衆や秀頼側近を相手に、幸村は軍議での主導権を握り、相手にしっかり発言させ、個別に説いて戦いの目的を統一し、さらに具体的な戦い方を論じ、意思疎通がしっかりできた軍議案を作り上げる手腕はすばらしい。しかし茶々の一声で籠城と決まる。考えが一致することこそが戦力、それぞれの目的が異なり治長に言い含められている者を必死に説く幸村の説得力、これまでの彼の生き様がよくでている。
戦術的に勝つには城から撃って出るしかないが、茶々に一言でひっくり返され残念だ。次週、如何に籠城案の中で勝ち目を見出すかに注目。今回は軍議という会話劇であったが、段階的に意見がまとまっていくところが見事に描かれ、複雑な案ではあるが勝てるのではないかと思える。そして、秀頼の凛々しさに賭けてみたくなる。
 
大坂城に迫る徳川の動き
・秀忠傘下で行動する真田兄弟。信吉は戦嫌いで水ばかり飲んで訓練に精がでない、一方信政は手柄を立てようと熱心に演練。そこに秀忠、本多正信が現れ「天下安寧のためしっかり働いてくれ」と激励の言葉を受ける。この際、叔父真田左衛門佐が大坂城に入ったことを知らされる。不安げな顔を見せるふたり。
・江戸の真田屋敷では、信之は源二郎が大坂城に入ったことを懸念し、「真田の同士討ちを避けねばならない。敵陣に身内がいれば源二郎の目が曇る。源二郎を好きなようにさせてやりたい。あいつは14年間このときを待っていた。敵陣に真田の旗を見せれば源二郎の決意が鈍る。敵前になど立つな」と松に手紙を持たせ京に上らせようとしている。
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・二条城の家康、「秀忠は守山に入った」という報せを聞く。「いつまで関ケ原を引きずっているか」と家康。そこに片桐且元が訪ねてくる。家康は豊臣に謀反した且元が「私の力不足でこのような有様になって」と言うのに「悔やむことではない。私の元で働いてくれ、そなたのような家臣が欲しい」と丁寧に慰労し、「大坂城では兵糧を集めているが10万の兵を養う兵糧はあるのか?城はどの程度持つか」と問いかけるが、返事しない。且元の心はここに来てもまだ揺れている。「さすがは忠臣、片桐殿」と言葉に圧され「牢人どのも数は当初よりはるかに集まっている。いまの兵糧では賄いきれない。もって半年」。且元の心情を射抜いている家康の言葉は大将軍にふさわしい。内野さんの見事な演技に魅入る。
 
○茶々の願いイメージ 2
茶々は幸村をかって二人で覗いてことのある武器庫に誘う。茶々の「この戦に勝てるか」の問いに、幸村はかって渡された山吹の押し花を返し「そのために来た。軍議で必勝の策を授ける。私は籠城策を取らぬ」と明言する。茶々は「私の愛した人たち(秀吉は入らない)は皆この世に未練を残し逝ってしまいました。親、兄みな死んだ。私はどうなってもよいが秀頼を死なせないで」と幸村を抱き懇願する。幸村は、茶々の本心を知り、「軍議がある」とこの場を去る。
イメージ 3大蔵卿局大野治長「牢人たちは増えましたか。まだまだ増えますか。兵糧などうでもなります」と籠城案を押す。素人が戦に口を出す、これは悲劇だ。
有楽斎が「時の勢いを味方に付けた方が勝ち。我が兄信長は桶狭間で今川の大軍を破ったことを思い出す」。この人の発言には当事者であるという自覚がない。
大蔵卿局は「あの真田の者を信じてはならぬ。舵を取るのは我ら」と強く言い、軍議は籠城案で押し通すことを厳しく要求する。
・幸村は内記の「昌幸さまは籠城戦が得意だった」という話を聞きながら、父昌幸が死に際に語った徳川に勝つ戦法を反芻しながら、茶々の指針を生かすよう軍議の進め方を考えている。
 
○幸村が仕切る軍議
・秀頼のもとに、大野治長木村重成、有楽斎、大坂五人衆が参加して徳川勢20万をどのように迎え撃つかの方針を決めるため軍議が開かれる。
冒頭、後藤又兵衛が「相手にとって不足なし」と自己主張。これに有楽斎が乗っかる。
イメージ 7木村重成が「ここでは戦の定石どおり籠城でいく」と主張すると幸村を除く5人衆が賛意を示す。
幸村は「籠城は援軍が来るまでの時を稼ぐもの。この戦に援軍はいない」とこの案に反対する。幸村が「ここは撃って出るべき」と主張すると又兵衛が「正面からぶつかって勝てるか」と言い「正面とは言うてない」と言争うことになる。
治長が「難攻不落の城を出る理由がわからない」という。幸村は「戦を城からなるべき遠くに離し、京、大津と上方を広く活用して徳川を分断、逐次戦力を削いでいく。京に攻め入る」と戦の構想を明かす。治長が依然籠城を主張するので「この城には十分な兵糧がない」と反論する。
又兵衛は「四方を固めて敵を蹴散らして戦う」と籠城を押す。治長はここで議論を切り上げようと秀頼に判決を求める。これを聞いた幸村は激怒し「九度山に帰る」と席を立つ。これが幸村の会議進行の作戦。「父上ならどうするかを考えた。はったりはではない、これは策だ。いずれ迎えにくる」と待つ。会議の進行の主導権をとるのが狙い。
木村重成が迎えにくる。木村に「自分の策をどう思うか」と聞くと「籠城が唯一の道」と答えるが「誰でもそれは知っている。その裏をかく」と言い放ち席に戻る。(木村はすでに落ちた)
・地図を広げ、具体的は論議に入るイメージ 4
信繁が城から出て戦う案「家康は今京にいる。まず伏見を攻め、次いで二条城を攻撃し秀頼が着くまでに家康の首を取る。同時に別の軍勢が大津と近江を我がものとする。さらに瀬田と宇治の橋を落としこれで徳川本体の出口を塞ぐ。ここまでくれば謀反するものが出てくる。そこを背後から襲う。伊達や上杉が味方して秀忠軍を背後から襲う。負ける気がしない」と説明する。
秀頼は「伊達、上杉が味方するか」と問うので「家康の首さえとれば」と返答する。秀頼はしっかりと幸村の説明を聞いている。
これに有楽斎は「みごと、さすが真田」と声を掛ける。一体このひとはどちらの案なのか?
又兵衛は「ひとつの策だがここは籠城。話しが大きすぎてついてゆけぬ」と言う。又兵衛は少なくとも幸村の話を聞く姿勢に変わってきている。長曾我部は籠城と言い、明石は「右に同じ」という。ここで有楽斎が「籠城イメージ 5のようですな」と決め掛かると突然、毛利勝永が「幸村の話が大きすぎるところが気に入った」と言い賛意を示す
秀頼は「もう少し話を聞きたい」と毅然と構えている。威厳があってとてもいい。
 
・ここで休憩に入る。
幸村は個々にこの戦さに賭ける真意を聞き、戦の目的の統一を図ろうとする。
勝永は「籠城でもなんでもいいんだ。戦場で自分の力を試したいのだ。お前に恩を売りたい、京に入るのは俺にやらせろ。家康の首を取りたい」。
イメージ 8明石は「私はキリスタン。この国に信者を増やすのが私の願い。軍議まえに大村治長から便宜を図ると言われた。徳川はキリスタン禁止令を出したから、が理由はそれだけだ」イメージ 9
長曾我部は「治長が籠城すれば願いをかなえると約束した長曾我部の家を再興することだ」。
それぞれが自分の欲だけの目的で長治の要請による籠城の賛同であることを確認する。
ここで幸村は治長が自分の案を知っている理由に思い至る。「茶々様か」。五人衆に「まず戦いに勝たねばそれぞれの望みは叶えられない。そのためには城からでるしかない」と戦う目的を同じになるよう説く。
治長は軍議での幸村の説明・態度に幸村案こそ勝てると大蔵卿局に勧めるが、聞く耳を持たない。この変心には驚く。
茶々は訪ねてきている初に「左衛門佐が帰ってきた、ここの戦は必ず勝つ」と自信たっぷりに語る。
 
・後段の軍議が始まる。
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毛利、長曾我部、明石がそろって幸村案に賛同の意を秀頼に伝える。黙って聞く又兵衛。
幸村は作戦目的は当面の徳川軍に勝こととして、具体的な作戦の詰めに入り、作戦の考え方を統一しようとする。論議が激しければそれだけ意志の疎通ができ、複雑な作戦を可能にする。
幸村は城を出て戦うのが得策とさらに議論を進めようとすると、木村は「敵を分断するということは味方も分断されるということ。まとまりのない牢人たちが最も戦えるのはこの大坂城で敵とぶつかるときではないのか」と意見を言う。幸村は「大坂城は最強の砦だ。ここしかない。最後に取っておく。先ずは撃って出る。籠城は後でもできる、定石どおりでは勝てぬ」と木村の案を取り入れより具体的な案を出す。木村は「腑に落ちた。籠城は最期まで取っておこう」と幸村案に同意する。
又兵衛は「不承知」と意地を張る。「修理になにか言われたか」と毛利が幸村の後押しする。残りは又兵衛だけだからと幸村も強気。
幸村は「あなたは何しに来たのか? あなたは死に場所を求めて、黒田藩を出て武士らしく生きるには死ぬしかないと思っている。」と問いかけると「この城では死ぬしかない」と又兵衛。「私は勝つために来ている。死ぬなら出て行ってくれ」と幸村。又兵衛が「お前は大バカ者だ。勝てるわけない、皆そう思っている」と噛みつく。信繁は「我々はそれぞれ望みを持っている。生きる望みを。私は負ける気がしない。彼らに決して負けない。死ぬなら徳川につくべきだ」と反論する。遂に又兵衛も「その言葉忘れるな! 実はな、籠城というのはまだ早い 」と大笑いし賛同することになる。後藤又兵衛には「死に場所」という言葉が痛かったようだ。イメージ 11
有楽斎の「よきものを見た」で、ここの軍議を終わる。が、ここで改めて有楽斎が「籠城以外ない」と言い出す。「これでは話した意味がないではないか」と幸村。「それぞれの意見胸に滲みた」という有楽斎に又兵衛がふざけるなと言い寄ると「しょせん金で雇われた牢人だ。身の程をまきまえろ。我らの指図に従い戦えばよい」と言い捨てる。これに治長は「聞き捨てならん。決めるのは秀頼公だ貴方ではない」と反論し、秀頼に決心を仰ぐ。
イメージ 6秀頼は力強く「決めた、籠城はせぬ。打って出よう」と宣言。これに有楽斎は大蔵卿局にこのこと伝えるとして「好きなように」と席を立つ。治長は早速幸村と陣立てに入りたいと言う。
 
五人衆が揃って「豊臣は籠城は不利と分かっていて、何故籠城に拘るのか」と言う。「貴方は何故ここに来た」と又兵衛に聞かれた幸村は「私にもよくわからん」と答える。淀殿と約束があったとは言えない。(笑) 皆唖然とする。幸村の見事な軍議裁きだった。
 
○豊臣は籠城で徳川に立ち向かうことにイメージ 10
秀頼は茶々に「この案で勝ちます。真田の案で明日2万の兵をもって京に攻め入る」と報告すると、茶々は「その者たちが信じられますか。何をするかわからない。籠城です!」と軍議決定をひっくり返す。幸村は治長から籠城になったことを聞き「それなら仕方がない、すぐに準備を」と平然と構えている。茶々に会ってこうなるであろうことを読んでいた幸村、籠城を如何に主導的に行うか、次週が楽しみだ。

20161031
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