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「アズミ・ハルコは行方不明」(2016)

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なんとも奇妙な題名、これに蒼井優さん、高畑充希さん出演、原作は読まず、何が起こったのかと観てきました。
本作は、とある地方都市に突如、街中に拡散される女の顔のグラフィテイ・アート。無差別で男たちをボコる女子高校集団。OL安曇春子(28)の失踪をきっかけに交差するふたつのいたずら。この失踪事件の背景と行く末を、“アラサー・ハタチ・女子高生”三世代の女性たちの生き方を浮き彫りにしつつ描いた山内マリコさんの小説を松井大吾監督が映画化したものです。

冒頭で安曇春子がタバコに火をつけのぼる煙で消える。劇場で騒ぐ女子高生の集団。暗闇の中に浮かぶペインテイング絵など繋がらない「わけわからん」映像を見せられますが、これは春子が行方不明になる前後のエピソードをごちゃ混ぜで見せると言う奇策、ここで諦めないで次に進むとストーリーが見えてきます。
春子が行方不明になる前から物語はスタートし、アラサー春子とグラフィテイ・アートを描く男たちのガールフレンド愛菜20)のエピソードが、時間軸に関係なく交互に映し出され、ふたりの何ともやり場のない生活が浮かび上がってきます。

春子の日常とグラフィティー拡散事件を交差させ、ときに男狩りの女子高生集団を入り組みながら描くため、わかり難いという感じを持ちますが、ストーリー展開がスリリングで爽快感があり、グラフィティーペインテイングとアニメ、環ROYの音楽でPOPな作品になっています。カメラがやたら女性のお尻を追っかけるますが、これは男性目線に晒される女性を強調しているためでしょう。

地方都市の閉塞感のなかで生きる27歳のOL春子(蒼井優は実家に居ずらく、会社でのセクハラにうんざり、バカな男に惚れて捨てられ人生を諦める。
20歳のキャバレーで働く20歳の木南愛菜高畑充希はキャバレー務めで気ままに過ごし何かしたいと男を追っかけ廻るが捨てられ人生を諦めかける。
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春子と愛菜それぞれの世代での生き方が描かれ、生きずらさの処方箋が提示されています。これじゃ結婚しない族が増える!!

物語の背景には男有利社会への嫌悪感があり、観る側特に女性にとっては「それはあるある」と結構受け入れられる話、「女性が観たらきっとわかる」という映画になっているのでなないでしょうか。
ここに出てくる男性たちはちょっと悪すぎる!! いや男性へのエールかもしれない。(#^.^#)
蒼井優さんの等身大の春子の物憂い繊細な演技、高畑充希さんのエネルギーを爆発させ突っ走る演技、いままで見たことのないはじけっぷりがいい!!
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物語、

冒頭、車が夜の闇の中を走り、ドラッグストアーで車は止まり、車から安曇春子が出てきてバコに火をつけのぼる煙。劇場で騒ぐ女子高生の集団。暗闇の中に浮かぶペインテイング絵。愛菜の顔。1人の男を殴る蹴る女の子。会話する春子と今井えり(菊池亜希子)。ペインテイング絵で騒ぐ高校生。
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高速道路の橋脚に店のシャッターにオウオウと声を上げてペインテイングする二人の男。春子に「離婚した。結婚はつまらなかった!」と話す今井、これを聞いてにんまりする春子。春子の行方不明者(missinng)ポスターを貼る警官(加瀬亮これらの映像が脈絡のわからないまま、フラッシュ的にしめされ―黒い画面に「アズミ・ハルコは行方不明」のタイトルが出る。

春子が行方不明になる前後の、愛菜とボーイフレンド、少女ジャング団で起こったエピソードを書き出した映像です。映画を観終わるとこの映像がつながるようになります。この映像で「わけわからん」と諦めないで次に進むとストーリーが見えてきます。

ここからは春子が行方不明になる前から物語はスタートし、春子と愛菜のエピソードが、時間軸に関係なく、交互に映し出されふたりの何ともやり場のない生活が浮かび上がってきます。
 
○春子の物語
・春子は実家で両親と祖母と一緒に暮らしていて、母は祖母の介護で疲れてストレスを抱え春にとって決して実家は住安いところはない。母にトイレットペーパーを買ってくるよう頼まれ、ジャージ衣のままでドラッグストアーに。そこでひさしぶりに同級生の曽我雄三(石橋ひゅーい)に会う。曽我に呼び出され彼の部屋に行くと一人で侘しい生活をしていて、同級生の崎ひとみ(芹那)のことをひつこく聞かれる。

・会社に行けば社長と専務に「結婚しないのか?」「スカートはいた方がいい」とかセクハラ言葉を投げかけられ、先輩社員で独身37歳の吉沢さん(山田真歩と見比べられる。
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・ある日、会社の帰り、少女ギャング団(リーダー:花影香音)の暴行を受け倒れている曽我に出会う。「誰にも言うな!」と言う彼を部屋に連れて帰り怪我の治療をしてやる。なんとなく同情心もあり何とも味気ない身体の関係を持つ。
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後日春子は少女ギャング団に会うが「あんたは襲わない。私たちは男に復讐している」と言ってお咎めなし。十代のこの無鉄砲さに飽きれる。

・会社では吉沢さんがフランス人と結婚しアフリカに行くと噂になっている。これを聞いた社長と専務はびっくりし、急遽新社員を募集することになるが「女性は駄目だ!」という。

・吉沢さんの仕事を引き継ぎ慣れたころ、曽我がなんとひとみと付き合っている噂が耳に入る。吉沢を携帯で呼び出すが出ない。その時少女ギャング団に出会って「来る!」と誘われるが、若かったら一緒に男に復讐してやりたいと思ったが「私女子高生でないから」と断った。(笑)

・曽我を呼び出し付き合う気のなくなった彼をなりふりかまわず説得する。ここでの春子の姿がなんとも憐れだった。これを演じる蒼井さんの演技が見事です。

・曽我と別れてベットで泣く春子。母の「トイレットペーパー買ってきて」で出かけ、冒頭のシーン、実がドラッグストアーで今井さんに会いmissingを決心。
 
愛菜の物語
愛菜は成人式に、花魁のような和装でやってきて、大学進学のため名古屋に行った中学時代の同級生富樫ユキオ(大賀)に抱き付いて再会を喜び、車を持たないユキオを送って行ってそのまま体の関係に。ふたりでアニメ映画のDVDを借りにレンタルビデオ店に行くとそこでアルバイトをしている同級生三橋学(葉山奨之に会う。

・学がガソリンスタンドで働いてるアキオを訪ねると「愛菜はすぐやらせてくれるからな」と言いアニメのDVDを貸してくれる。家でこれを見た学、「これはすげえ!」と“覆面アーテイストのバクシー”に憧れ、アキオとふたりでグラフィック・アートを始める。
学は絵がうまい。高速道路の橋脚に画いてみる。ふたりはデザインを考えながらチーム名を“キルロイ”と決める。ポスター絵を考えていて「肖像権がないからこれだ!これで発見できれば大きな貢献だ!」とハルコの捜索願いポスターの画を使うことを思いつく。壁や店のドアーにこれを書きまくる。

愛菜がこれを見て「これパクリや」と脅し自分も仲間に入りたいとペインテイング道具を揃える。三人で画きまくる。これがネットで話題になり携帯の待ち受け画に使われるようになる。
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ネットでは「犯人はペインテイングしてるやつ」と大騒ぎに発展。少女ギャング団の暴行事件とアズミ・ハルコのグラフィックアートの関係がネット上で話題になり、ニュースで流される。これに恐れをなしたユキオが「やめる」と脱退する。
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・ユキオが居なくなり愛菜は学とラブホテルで過ごしていると、学が「ユキオが1っ発やらせてくれるというからこうなった!」とバカなことを言うから、愛菜の怒りが爆発した。
ユキオと学がファミレスで事後対策を話しているところに車でやってきた愛菜が携帯で学を呼び出すと、そこに少女ギャング団が押し寄せてきて学に暴行を加える。愛菜は恐ろしくなりクラクションを鳴らすのがやっとで車を放置して逃げる。
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・車の中で発見された学は警察の取り調べを受け釈放される。するとイベント会社の男に誘われ会場にペイント絵を画くことになる。これを聞きつけユキオがやってきて一緒に働くことになる。愛菜には誘いがない。「またまた男がつるんで」と自分をバカにしてると怒る愛菜
 
イベントの2日目になると客が来ない。ユキオが「仕事があるから」とペイントの仕事を降りる。そこにやってきた愛菜、酔っぱらっていてことの次第も知らず、会場にある大きなアズミ・ハルカのペインテイング幕に火を着け自分を無視したことに抗議する。
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気がつくとなんとそこに安曇春子が立ってるではないか!!
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○春子と愛菜の物語
春子が「ここで何しているの」と聞くと「死にたい。ユキオを出せ!」と言い出す。春子は「そんなのバカよ。女の子には優雅な女になる生活が最大の仕返しよ。あなたが幸せな生活をすることがユキオへの仕返し」「私を愛してくれてると消えたら!」と忠告した。
「消えて生きるの!。私は生きている、行方不明の子がへらへら笑いながらどこかで生きている。そうでなければ割に合わない」
 
・少女ギャング団が、劇場で、「拳銃で男をやっつける」アニメを観ていると警官がこれを取り囲み一斉に検挙しようとする。
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会場を出てきた彼女らは警官に向かって拳銃をぶっ放す仕草をして一斉に逃げ出す。この若さにはこの手がある。でも行き着く先は・・・。

・春子が今井とその子と一緒にスポーツカーで海に行こうとしてるところに愛菜が走り込んでくる。「一緒にいかない。男への仕返し」と春子。

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