映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「無限の住人」(2017)

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本作、沙村広明さんの人気コミックを実写映画化したエンタテイメントアクション作品。監督は集団活劇に定評のある三池崇史さん。主演はいま話題の木村拓哉さん、ヒロインに期待の杉咲花ちゃん、脇に市川海老蔵さんはじめ個性豊かな豪華実力派キャストが参加です。所見は、往年の「痛快オールスター娯楽時代劇」(懐かしい)でした。いや、これ以上の超面白さでした。

原作を知らず、舞台挨拶ライブビューイング付で観ました。出演者の舞台挨拶のなかに結構劇中のキャラクターが入っていて、作品を面白く盛り上げてくれました。
8割が女性フアンだったことに驚きです。女性が、こんなぶったぎり時代劇を好きに成ってくれるかと嬉しく思います。とにかく映画を好きな人が増えることが喜ばしい。これだけでもこの作品の価値があります。() 作品が世界で上映されると聞き、多くの人に観てもらいたいですね!!

作品は、木村拓哉さん演じる万次が、100人斬りで致命傷を負う。謎の老婆によって無限の命を与えられたが無為に過ごす万次に、凜という女子(杉咲花に仇討ちの助っ人を求められ生きる意義を見出して、数々と現れる刺客と戦って最後に仇討ちの相手にたどりつくというストーリー。

冒頭で100人をぶった斬り、一癖も二癖もある刺客を倒し最後に300人のぶった斬りをみせるという、これまでに例のない大掛かりな集団活劇に驚きます。

これまでの時代劇、椿三十郎丹下左膳座頭市七人の侍十三人の刺客等々の活劇エンタテイメントエキスがしっかり組み込まれています。そして、この活劇の中心に立つキムタクさんの存在感が凄いです。これまでに見たことのないキムタクさん、いや俳優木村拓哉さんです!!

仇を討つまでの万次と刺客の決闘が、刺客のキャラクターがヘアスタイル・衣装・武器や戦う目的に変化があり、それぞれの特色のある決闘を楽しめますが、原作も読みたくなります。

さらに、この決闘を通して万次の無限の命ゆえの“めんどくせえ”生き方が可憐で一途な凜を守ろうと「斬る意味を見つけた生き方」に変化し、ふたりの関係が本当の兄妹に繋がり、何があっても妹を守ろうとする兄に、私のために死なせてはならないと慕う妹へと変化していく関係に感動します。

生きるためには、目的、愛がなければだめ。だらだら長生きしても意味がないという結末がいいですね!!

主人公の木村拓哉さん、凄みのある形相で斬って斬って斬りまくるパワフルでありながら、決して無敵ではなく斬られることでの痛みを見せる「無限の万次」、万次に乗り移ったすばらしい演技です。
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そして万次が命をかける凜役の杉咲花さん、守ってあげたくなる可憐さと一途さゆえの強気の姿勢にメロメロにされます。

剣士のなかでは、特に戸田恵梨香の演じる女剣士乙橘槇絵、色っぽくて切なく身体能力の高い演技に、そして、市川海老蔵さんの謎めいた剣士閑馬永空。抜群のうつくしい殺陣と生きることの悲しみの表情を見せてくれます。
エンデイングのMIYAVIによる主題歌が圧巻です!!
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物語、
冒頭、モノトーンの映像で「万次」「町」という声とともに殺陣シーン。町が「おにぎり拾ったよ」と差せ出し、万次が「バカ、馬の糞だ」と叱りつける。
水辺で風車を持った町が「お兄さま・・」と話し掛けるところに「人相書きで見た男、まとめて6人も殺した男、運悪く相手が妹の亭主とは」と万次に近づくならず者たち。
「出来れば腹かっ捌きたいが、あいつのために死ねん」と万次が呟くところで、賞金稼ぎのならず者司戸菱安金子賢)が町を搔っ攫って首を刎ねたことで始まる万次の100人斬り。

まずはこのシーンで斬って斬って斬りまくる殺陣に度肝を抜かれ、迫力のある木村拓哉さんの殺陣演技力に驚かされます。
気付くと万次が累々と転がる死骸なかにひとり立っており、彼は片腕を失い腹に相手の刀が入っている。

「町が死んでは生きる理由がない」という万次の前に800年生きているという八百比丘尼山本陽子)が現れ「殺してくれ」と申し出るが「これはありがたい虫だ、お前の身になり腕がつながる」と虫が身体に注入され万次が不死身の身体となります。

50年後、
浅野道場では凜が、父が見守るなかで、剣術の試合に励んでいた。夕食を終えたところに、逸刀流統主天津蔭久福士蒼汰)がやってきて「我らは流派にとらわれない剣客集団、流派を統一する。われらの軍門に下るか滅びるか。私の信条は一対一の勝負」と父親に挑みかかり、父を殺し、母は連れ去る。凛は謎の男に「目をつぶり息をするな」と連れ出され解放される。
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凛が父の墓前で逸刀流への復讐のためひとり修行していると、八百比丘尼が現れ「用心棒を雇え、江戸のどこかにいる」と万次が紹介される。

凜は江戸に出て、荒れた小屋に住む万次に会い「父の敵を斬って欲しい」と申し出るが「それは唯の殺人、剣の達人には意味がない」と断られる。
「善も悪もない。全部斬って欲しい、用心棒になって」と依頼する。返事が貰えないので帰ろうとすると、「待て、野伏せが出る、町まで送ってやろう。久しぶりの人間相手の稽古だ」と言い出し、送ってもらっているところで黒衣鯖人に出会う。

〇黒衣鯖人北村一輝)は浅野道場が襲われたときに凜を逃がしてくれた人。鯖人が「この2年間あなたに恋い焦がれていた。あなたを殺す、これが究極の愛だ。お前の母は私がひとおもいに斬った」()と凜に斬りかかろうとすると、そこに万次が現れふたりの斬り合いになる。こいつの生きる目的はなんだ。(笑)

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万次が斬られて倒れ、鯖人がまさに刺そうとするところで、万次の剣が鯖人を切り裂く。万次は老婆に貰った虫で治癒する。母の着けていた櫛を拾い泣く凜を見て、「明日から稽古だ、仇討ちだ。おれの背中、すこしの間貸してやる」と背中を差し出し、凜が彼の背中で泣きます。やっとhttps://youtu.be/T37GhIqsO28万次が用心棒を請け負った瞬間でした。

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幕府の策士吐鉤群田中泯)が「こんな町に逸刀流統主がいたか」と天津影久に会い、「公儀は武芸所を作りたいと考えている。武芸所師範として招きたい」と打診する。
天津は「私を統主とすること」と条件を付ける。吐は「いったん預からせて欲しい」と回答を持ち帰る。

凜が刀の修理に刀研屋に出かけると、そこに男が刀を取りに来ている。その刀は父のものだった(道場破りで持ち去られたもの)。

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小屋に帰って万次に話すと、すぐに駆け出す。男が「鯖人をやったのはあんたか?」といきなり斬りかかる。足を斬られる。この男、よく喋る。「この地は俺に有利」と走って斬りつけ、「俺は百姓の子倅。妹が遊んでいて武士に斬られた。百姓は何にもできん。あんたが昔武士ならわしの敵。あんたを雇った娘も殺す」と仕込み刀で斬り込む。万次は相手の剣を抜き刺す。

万次は刀を取り戻し小屋に戻って凜に「汚して悪かった」と言い渡す。そして「ずいぶん前に殺してしもうた妹を思い出した。どんな辛い思いでも覚えていりゃとんでもない力が出せる。今回もそれで勝ったようなもんだ。お前もとっておけ、親父の思い出を」と話し掛けると「私に似ているんでしょう、妹さんに」と凜。万次を兄のように慕い始める。こいつの何でいきているのか?
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万次と凜。腹が減ったと茶店で団子を食べていると深編傘の虚無僧がやってきて「主は万次か。逸刀流閑馬永空市川海老蔵)だ。
万次、わしと組まないか、あの天津を消す。あの若さには敬服するがいつかは倒れる。しかし主は倒れぬ」と語りかけるが万次は「生かしてやるから消えろ!てめえと組むのは危ない」と断る。
閑馬がいきなり斬りかかる。万次の背中に刀が立っている。閑馬が「おまえもあの婆に!200年前に、時代が変わると見て5人の妻を持ったがすべて死んでしもうた。死は不慈悲だ。死ぬのはもっと惨い。お前の話しは聞かなかったことにする」と再考を促す。万次の傷から血液が流れだす(毒が仕込まれている)。

凜を誘拐し木につるし「同じ資格を得るか?」と脅す。万次が閑馬を追い、ふたりの取っ組み合いの戦いのなかで閑馬は「主はわかっているはずだ。もう生きるのに疲れた」と逝ってしまう。生きる目的を失った男の末路でした。

〇吐鉤群が天津影久に「御公儀は承知した」と伝える。天津は「わしは高尾山に出向く。統主を譲るというてきている。これで皆、わしに従わざるを得ない」と話しているところに「部下の3人がやられた例の百人斬りの男が見つかった」という情報が入る。

天津は遊郭に上がり遊女乙橘槇絵戸田恵梨香)に万次排除を命じる。
万次は飲み屋で酒を飲んでいて迎えに来た凜と一緒に帰り始めるが、呼び止める女に、凜を先に帰して付き合うことにする。

突然、乙橘が「そなたを排除する。3人も逸刀流の隊士を斬殺した」と三節槍を振り廻し掛かってくる。深いスリットの入った着物が色っぽい。万次は刀鞘をくわえて刀を抜くが先に腕を斬り落とされる。
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女は消えて背中から槍に突かれる。そして待伏せされ肩を斬られ万次が危ない。万次が放った一撃で乙橘が槍を落とし「気を抜くと怖くて仕方がない。私の剣は人を不幸にする。影久が本当に正しいのか分からなくなると力が無くなる」と喋る。

万次を助けようと駆けつけた凜に「あんたが頼んだことで何人が死んだか」と声を掛ける。凜は「仇を取る。愛する人のためなら何をしてもよい。小父さんは私のために命を張っている。死なすわけにはいかん」と怒鳴り返す。これに乙橘は「その男、死なせるな!」
 
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小屋に帰って万次の治療をしている凜に「俺のために命を張るな。次にこのようなことがあったら用心棒を降りる」と厳命する。
一方、乙橘は「私はあなたの側にいる資格なし。あの男を斬れなかった」と髪を切って行方不明になります。愛を知らない女の剣でした!

朝、万次が墓参りに出かけると凜が練武にと森に入り、そこで天津に出会う。ヒ首を飛ばすが避けられる。「死にたいか小娘、お前が浅野の娘か。俺の叔父は異国の剣を使っただけでお主の親父にやられた。だからお前の父を斬った」と言う。
凛が「何故殺さぬ」と問うと「おまえは我々と同種の剣士だ」と答える。凜は小屋に帰っても万次と話しをしない。天津は敵か?と考え込む。
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「あの男は逸刀流」と斬り掛け首を飛ばす男尸良市原隼人)。「えぐい殺し方するな」と万次。
万次と凜は尸良とその仲間の百琳栗山千明)と手を組んで天津が高野山に向かうのを待伏する。

宿で見張っていると女が現れ、怪しいと尸良が斬りつけると、これが罠でふたりの逸刀流派の男が待伏せしていて斬り合いになる。

凜が「あんたは私が恨んでいる連中と同じだ」と尸良を止めようとすると、尸良が凜に襲い掛かる。ここに万次の放った鎖鎌が飛んできて尸良の腕を斬り落とす。万次が現れ尸良を追い詰める。

夜、凜は「あんな頭のいかれたやつと喧嘩するのはバカだ」と万次を責めると、「俺は好き好んでこんな身体になったのではない。むかし私腹を肥やす旗本とその警護員6人を斬った。その一人が妹・町の旦那だった。それで町の気が振れた。俺が町を連れて逃げ守ってやった。俺が死ぬと思ったときにあの婆がこんな身体にした。御蔭で剣の腕が鈍ってしかたがない」と語り小屋を出て行く。

凜は質屋で金を作り旅立ち姿で小屋を後にする。凜は「万次さんは死なないと思っていたがそうではなかった。私の用心棒となり死なせたくないと思ったときに一緒に居られなくなった。万次さんありがとう」という手紙を残していた。これを読んだ万次が凜を追う。
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天津が伊羽研水山崎努)を訪ね「引き受けさせていただきます」と申し出ると「あの話とは流れた」と断られ、外にでると幕府の兵に囲まれる。伊羽は流れた責任を取り切腹

天津が帰り道、凜と出会う。しかし、幕府軍に包囲されてしまう。急ぐ万次は逸刀流派に囲まれ斬り合いになり片腕を失う。「虫ども働け」と叫ぶも働かん!老婆が出てきて「何故生きようとする。じっとしていれば願いが叶うのに。永遠の命を捨てられる。結局、あの娘の命が大切ということか、あわれな男よな!」と呟き何もしてくれないので自分で腕を拾ってくっ付ける。
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幕府軍と対峙する天津と凜の前に屋根から飛び降りて万次が登場する。「雇主が用心棒を心配してどうする。何で天津を庇う?おれは誰を斬ればいい」「私を斬ろうとする人」と凜。これで万次と天津は斬って斬って斬りまくる。ここに天津を助けたいと乙橘が駆けつける。吐鉤群がにぎり飯を食いながら観戦中。

凜が投げたヒ首が万次に当たる。「ばかおめえは」() 尸良も万次に斬られた腕を治しイメージ 9
馬で駆けつけ万次に向かってくるが、万次が捉え滝壺に落とす。
オールスターの登場で激闘の末、残ったのは万次と天津に凜。最後に万次と天津が死闘を繰り広げ、万次が天津の止めを刺すよう凜に小刀を渡す。天津は最後の力で戦斧を万次に投げて絶命。これを受けた万次も動かない。凜は「万次さん、私のために死なないと言ったのに」と泣いていると「そこは兄様だろうが」と万次の声。()  キムタクさんの頑張りがすごい。時代劇の傑作です!!
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