龍雲丸の考え方を知った直虎は、政次と方久の智恵を借りて大沢元胤の窮状を掴み、これにつけ込み氏真から「気賀の城主直虎」を認めさせ龍雲党により城が完成するという、痛快な話でした。
直虎は、「気賀の城主直虎」案を、とても慎重に、最後は政次の後押しで引き受けることにします。直虎はうまく周りの人の動きに乗って彼等を動かし、彼等に慕われ、まさに統率者にふさわしい風格になってきた!統率者に一番大切なことは「大きな構想が描けること」と「部下を思う愛情、人を使ってなんぼ!」です。特に、龍雲丸について、彼の満たされない心をよく読み取って、できるだけの愛情を注いでいます。
方久は、「気賀の城主直虎」の構想を描くところから中村屋とよく連携を取り、大沢元胤、関口氏経、氏真を懐柔・説得するという直虎臣下としての強い責任感でことを運ぶ。カーン!カンカンカーン!とか言っているが、命を失いかねない事態もあったわけで、銭だけではないものに動かされたのではないでしょうか。
龍雲丸は直虎の言う「そなたが心の奥底で望んでいる土地など日の本にはどこにもない、己でつくり出さねば誰も与えてくれない」の心境にいたり、反省もした。多くの部下を抱え彼らを養う責任も感じる。自分でできることでなんとか夢を探そうと、これまでの風来坊のような生き方から真っ当な男の生き方へと意識に変化が出てきた!
中村与太夫は、町人にも武士も柔らかい姿勢で接し町の発展に尽くしているが、ここにきて龍雲丸の持つ力を用いることこそが町が生き残れる策であると、大沢の配下中村兵部に頭を低くして城の設計を請け負うことを願い出まる。そして方久に伴われて氏真に会い、必要なら意見を開陳したいという気概、ことによったら命を投げ出すぐらいの気骨のある商人。与太夫の心意気が本田博太郎さんの演技によく出てる。(#^.^#)
政次は、氏真の踊り狂った状況を見て、今川の運命を一番わかっているだけに、今のうちに直虎いや“おとわ”に良い思いをさせてやりたいという気持ちが出てきているようだ。直親の墓に「おとわが気賀を取ったぞ」と報告するが、よほどうれしかったのでしょう。
しっかり時代考証がなされたすばらしい伊賀の町並み・港の風景、美術品、そして当時の風俗を楽しんでいます!!
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○直虎、町人の気賀城主要請を受諾
井伊の館にやってきた気賀の商人たちが、「気賀を大沢様に代わって、直虎様にお預かりいただきたい」と願い出でる。
直虎は、「それは今川の命令に反することになるので」と躊躇するが、商人たちは「なんでも協力する」と言い、方久は大いに乗り気だ。
その後、直虎は政次に碁を打ちながら相談を持ち掛けると「戦もせずに気賀が取れるならこんなうまい話はない」と勧める。「この間は関わるなと言うておったではないか」というと「こうなれば、話は違ってくる。殿の決心次第」と引き受けることを勧める。
翌日、直虎は方久や気賀の町衆の前で気賀を治める決意を告げます。不安がる直虎に、方久は「大丈夫です」と自信たっぷりに「さっそく与太夫殿は大沢様に詫びを入れ、わたしは関口様に口添えを頼もうと思います」という。直虎は、「関口様が協力してくれるわけがない」と言うと、「井伊の目付だからこそ取り入る隙がある。私に任せてください」と自信たっぷり。
方久は関口氏経の屋敷を訪ね、南蛮の香を贈って、「気賀を大沢様に取られてしまうことは関口様にとってもったいないことです」と話し掛け「もし気賀が井伊の預かりとなれば、裏で港のもうけ話を差し上げたい」と誘う。この方久の甘言によって、関口氏は簡単に堕ち、氏真との謁見を取りつける。 方久、商売の視点からうまく攻め落としました。
与太夫が龍雲丸のアジトを訪ねると、大人数となった一党がこれからどうするかと思案中であった。龍雲丸に「井伊様は危ない橋だがともに渡るというって下さった。もう一度一緒にやらないか」と説得を試みます。気賀の港の風景がすばらしい!
○今川に異変で、直虎城主案の承諾延期
その時、家人が火急の知らせを持って飛び込んでくる。 氏真は、届けられた文を読んで激怒し、「どいつもこいつも俺をバカにしおって!」と脇差を抜いて掛け軸を斬り落とす。
方久と与太夫は骨折り損で伊賀谷に戻り、方久がことの次第を報告ししょんぼりしていると、与太夫が「気賀は諦めたわけではありません。そのうち再び・・」と話すのでした。「よい折があったら」と直虎は一度これまでの案を白紙に戻します。
政次は「方久が言い出す前に義信自害の報告があってよかった。あとならばたたき斬られていた」と言うのでした。
○龍雲丸の気賀城構築案
気賀に戻った与太夫が龍雲丸のアジトを訪ねると「頭は見回りに出ている」と不在であったが、間もなく帰って来たので「井伊に肩代わりしてもらう案は難渋しているが諦めたわけではない。当面大沢様に下に入ることになる」と話すと意外や「城の普請はいつか?」と問い「うちが請け合うのが一番いい」と言い出す。与太夫の大○のはでな演技に(笑)です。
そして「気賀のためになる城を思いついた」と話す。さっそく与太夫は堀江城の中安兵部を訪れて、「普請代を負担する代わりに城を龍雲丸の好きに造らせて欲しい」と願い出て「はやく図面を持ってくるように」という指示を取りつけます。
直虎は山から材木を回収するため方久を連れて気賀にやってくると、姿を消していた龍雲丸が気賀に居ることを知る。アジトを訪ねると龍雲丸は様々な城の絵図を描いている。
「まだ着かぬのか」と聞けば湖の真ん中で碇を下し「ここが城を築城する場所だ」と言う。
「この場所は、潮が引けば中洲になる。ここに城があれば潮が満ちれば船で攻め込むしかない。潮が引いてもぬかるんでいて馬は使えない。危うくなれば、敵が往生している間に、裏から船で逃げ出すことも可能である。城なんかないほうがいいと思っているが、もしこの世にあってもいい城があるとすればこの城だ」と説明します。龍雲丸の説明に、直虎は「捕まらぬための城か、実に良いと思うぞ」と感心するのでした。
気賀に戻る船のなかで龍雲丸に「空に雲があるから仕官できぬと言うたが?」とそのわけを問うとこれまでの生き様を話すのでした。
龍雲丸は、「父親が討死した城から落ち延びた後、盗賊の一味に拾われたが、その一味も捕まり、独りぼっちになってしまった。そんな時、空に立ち昇っていた龍雲を見て、これから先は何にも、誰にも縛られず、己の心のままに生きると決心した。しかし、気がつけば、仲間に縛られ、町に縛られ。ざまぁねぇでさ。」と笑うのでした。
直虎は、「心の奥底では奪われてきたものを取り戻したい自分がいるのではないか、だから仲間や根付ける土地を欲したのではないか。それが本当の龍雲丸ではないか」と龍雲丸に問うと「尼小僧様はいつも、俺の考えつかぬことを言う」と感心します。
アジトに戻って、直虎は龍雲丸に大沢側の意向について尋ねる。「早くしろとしか言わない。大沢は修繕している城が多い」と言う。
直虎は、この話に、「大沢のほうから気賀から手を引きたいと言わせれば、井伊が滑り込めるのではないか」と考え付き、ふたりは意気投合します。
直虎は政次にこのことを相談すると「大沢殿は徳川に寝返った城を取り戻すための戦もあり忙しいかもしれぬ。太守様に斬り出す時期は任せて欲しい」と言うのでした。
○氏真、気賀城主直虎案の承認
方久が堀江城を訪れて「気賀城を収めるのは大変ではないでしょうか」と大沢元胤の意見を聞くと「気賀は商人が治めてきた地、厄介であるとは思うておる」と話します。
方久は、「気賀を井伊に任せた方が今川のためになる」と大沢氏を説得し「大沢様から太守様に井伊を推挙してもらいたい」と願い出ます。
後日、方久は大沢と共に改めて氏真に目通りする。そこには関口も同席している。
大沢は、「わが大沢が浜名湖東岸の守りを固めるためにも、気賀は誼の深い井伊にお任せしていただけませぬか」と申し出ます。
方久も、「井伊にお任せしていただけるならば、太守様のために銭を稼ぎだそうと思うております」と言い添えます。
関口氏が、「恐れながらも、私もこの者らの申すとおりかと」とダメ押しする。すると氏真は、「好きにせよ!どうせ余は能無しじゃ」と投げやりに承諾するのでした。
井伊の館に戻った方久が結果を報告すると「よかったぞ方久!」と歓声を上げる。これを見た政次は井戸端に向かい「おとわが気賀を取ったぞ」と報告するのでした。ここが一番の感動でした!
やがて城が出来上がり、与太夫の案内で直虎、方久、政次が視察にやってくる。政次が「誰が普請したのか」と問うと「龍雲党」だという。政次は「たいしたものだ」と褒める。龍雲丸は「ここに根を張ることに決めた」と言う。
気賀を手に入れた井伊は右に左に頼もしい味方を備え、新たなる船出の時を迎えていた。
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記事 20170710
柴咲コウ主演NHK「直虎」統治へ一計12・4%