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第35回「蘇えりし者たち」

イメージ 2堀川城の戦。民を逃がしてから攻略するという家康との約束を反故にした酒井忠次の攻撃で、多くの民が斬殺され、龍雲丸も危機的な状態に陥ります.
城を持つことに反対だった龍雲丸に城を持つことを勧めた直虎。身体で温め、口移しの投薬など命懸けの看病に努めその甲斐あって龍雲丸が生還します。方久は薬を商売にして生き返るという。配下を失った龍雲丸も現実を受け入れ蘇えってきます。このことが直虎にとって大きな生き甲斐になるでしょう。

直虎、これからの人生を考えると復讐心だけでは生きて行けない。鈴木重時に息子重好の望みを聞き届け経を上げ、また、後藤康用にも治療を施すなど、政次の宿敵に救いの手を差し伸べ、政次の非業の死に対する怒り(復讐心)を少しづつ乗り越え、蘇えろうとしています。このことが将来、直政との縁に繋がるように思えます。
井伊の人々は、但馬が配慮したように何事もなかったように生きている。そして皆が但馬のことを思い出す。“嫌われ政次”ではなく皆の中に記憶として生きている、このシーンにもらい泣きをしました。映像に政次は出てきませんが、そこに映っている感じです。

今回の最高の蘇えりし者は氏真・春夫婦です。
家康の申し出で家康と氏真、お互いに戦は嫌いだということで、和睦することになりました。氏真が、家康を恨むことではなく自分の身丈に合った生き方を選択し、人生を蘇えらせました。氏真の選択は、今川家が徳川家と深い関係を持ち続け徳川幕府で代々の将軍に仕えて活躍しており、見事な今川家の蘇りであったと言えます。氏真の決心には春の支えが大きな力になっていたことに感動です。
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正気を取り戻した直虎は、龍雲丸たち気賀の者が気になり、南渓、傑山昊天も同行し急ぎ気賀へ向かう。
堀川城は死体の山だった。城を建てることを勧めた直虎は、責任を感じ立ち尽くす。
南渓らが生存者を探していると、直虎は見覚えのある水筒を見つける。直虎があたりを見回すと、わき腹を切られた龍雲丸が見つかる。直虎の呼び掛けには全く反応しない龍雲丸だったが、かすかに息がある。

○直虎、懸命の龍雲丸介抱イメージ 1
すぐに南渓を呼び、龍雲丸は傑山らによって龍潭寺に運び込まれる。皆で必死に手当てするが、龍雲丸の体温は一向に戻らない。
昊天が、血止めの薬を処方し飲ませようとしても、口からこぼれるだけで飲み込まない。直虎は、口移しで龍雲丸に飲ませる。そして直虎は肌着になってピッタリと龍雲丸に体を寄せて「戻ってこい」と温めます。NHKではめずらしいシーン(笑)

方久が南渓と昊天に気賀の惨状を話し始めます。「家康様に相談し民を逃がしてから攻め落とすと約束しました。しかし、見せしめがいるとその約束は守られることはなかった」と。

○家康の掛川攻略案?イメージ 3
この徳川のやり方は、遠江の今川方の国衆を大きく動揺させた。そして、酒井忠次の言う通り、浜名湖周辺の平定に繋がっていく。
忠次が「堀川城大沢基胤が降伏したのち、気賀は近藤康用に任せてはどうか」と家康に進言すると「降伏した民まで射殺したそうではないか。そこまでせずとも湖岸は落とせたのではないか」と怒りを露わにする。しかし、忠次は「切り取った地を治めるには、寛容だけでは足りませぬ。逆らえば恐ろしいことになることを示すことも肝要」と反論する。「これで後顧の憂いなく掛川が攻められる」と忠勝。
忠次が掛川城攻略の支度にかかるとき、家康は数正を呼び「誰にも気づかれないように常慶を呼べ」と指示する。

○龍雲丸の回復
寺では龍雲丸の治療が続いていた。体温は戻ったが、今度は高熱を発している。直虎も寝ずの看病で疲れの色を見せ、昊天から休むよう言われてしまう。
イメージ 4そして直虎は部屋を出て休もうとしたが、軒先で声をかける少年がいる。その少年に誰だと問うと、少年は鈴木重時の子・重好と名乗った。
重好は、「この度の大沢攻めに参加した父・重時が討ち死にしたため跡を継いだのだ」と言う。そして重好は「父のためにお経をあげて欲しい」と頼むのでした。しかし、直虎は「南渓和尚に経をあげてもらったほうがよい」と勧める。「父は生前、次郎様の歌うような経を聞いてみたいと申しておりました。父のやったことは存じております。なれど・・・どうか、どうか哀れと思ってやってはいただけませぬか」と重好は諦めない。
少年の必死の願いに直虎は経をあげます。美しい経でした。 経が終ると、重好は涙を浮かべ、喜びます。
「美しい経でございました。父も喜んでおりましょう」と礼を述べ「これから戦に向かう」という。直虎が武運を祈り送り出します。重好は辞儀を言って帰って行くのでした。

そこに龍雲丸が意識を取り戻したと報告がある。急ぎ部屋に戻ると、昊天や方久がホッしたと顔で笑っている。
直虎は龍雲丸に近寄り声をかけると、うっすらと目が開け「経が聞こえてきて」と言う。「よう、よう戻ってきた」と直虎は涙をこぼします。
安心したせいで直虎は眠ってしまったため、龍雲丸は南渓から他の龍雲党メンバーの行方を聞く。南渓は「次郎はすべてを失った、頭が戻ってきてくれたことが次郎には大きな支えになる」と答えます。「俺なんぞでよかったのか、銭か」と龍雲丸。

直虎はさらに忙しく龍雲丸の世話をする。方久がこれをしっかり見つめています。
直虎はこれを無視して薬湯を渡すと、龍雲丸は苦い薬をいやいやながら飲み干し「これまで自分はどうやって薬を飲んだのか」と聞くと「和尚様が口移しで飲ませていた」と答えます。「お、和尚?」と龍雲丸は呆然としているところに南渓が入ってきたので龍雲丸は気まずそう。この龍雲丸の姿を見て、南渓は「なんじゃ水くさい」と心配になり近寄る。そんな二人が面白すぎて、直虎は笑い転げるのでした。

○直虎、仇敵近藤康用の治療
そんな時、傑山がやってきて「近藤の者がやってきた」と告げる。これを聞いて直虎は「頭のことが分かってしまえば、あの近藤なら必ず殺す」とうろたえるので、南渓が応対する。南渓が戻ってきて「近藤の者たちは、館の病人を診て欲しいとお願いに来ただけだ」と言う。
直虎は近藤たちのあまりの都合の良さには怒りを覚える。病人のいる館へは昊天が向かうことになったが、龍雲丸は「大きな恩を近藤に売るチャンスだ。尼小僧さんが行くべきだ」と主張する。しかし直虎は、「近藤の者など勝手に死ね」と悪態をつく。龍雲丸が直虎のよき助言者になっていくようです。
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しかし、直虎が昊天と共に井伊の館にやってくると病人は、あの近藤重用でした。昊天は治療を開始し、直虎にもケガの手当をするよう命じる。直虎が布団をめくると、近藤は足にとんでもない大ケガを負っていた。大沢攻めの堀江城で深手を負い、近藤の医者では手に負えないらしい。直虎は近藤の苦しむ姿を見て、この男も戦乱の犠牲者かと憐れむ。
近藤が目を開き直虎を見て「わしを殺す気か?」と恐れる。直虎は「殺すつもりならば、このまま捨て置きます」と刃物を振りして近藤の足をきつく縛っている包帯を切るのでした。(笑)
寺に戻った直虎は、近藤の話を龍雲丸に「おかしかったが、あわれでもあった。勝つというのは、なんなのであろう。勝ったところで、また戦に駆り出される。まことの勝ちなのであろうか」と語るのでした。

○家康、氏真と和睦イメージ 6
家康は常慶を通じて今川氏真と会い、氏真に和睦を申し入れる。「何故助けるのか」と問う氏真に、「我が方もすり減ってきているから、そちらも同じかと」と答えます。氏真が「答えになっていない」と氏真が問い詰めると、「すこし戦に嫌気がさしてきた」と本音をぶちまけます。しかし氏真はそれを本音と取れず「はぁ?」と聞き返すと、家康は「私は戦を好き好んでしていない。せねばならぬように追い込まれているだけだ」と言う。すると氏真が「大名たちは、蹴鞠で雌雄を決するようにすればよいと思うのじゃ」と訳の分からんことを言い出す。しかし「蹴鞠の上手い者を巡り、奪いごとが起こり、それが引き金となり、同じことが起こる。和睦はありがたいぞ、三河守殿」と頭を下げる。家康も氏真に敬意を表して頭を下げるのでした。

方久が昊天が薬を作っているのを見ている。傑山が「薬に強いと何かと助かる」と話しかけると「カーン」と思い付き「僧にならねば学べないか」と聞きます。

○蘇る井伊谷の人々イメージ 9
龍雲丸は、しだいに回復して、直虎に髪を洗ってもらいながら「このあいだの戦。実は井伊はさして負けておらぬのでは?家の名や土地はのうなりましたが、皆さま生きている。民百姓も戦には連れてゆかれねぇ」と言う。これを聞いて直虎が「但馬を失った」と無念がります。
そこに、直之が久しぶりにやって来たので、気賀の状況を話し隠し里の様子を聞きます。直之は、「なつも亥之助も皆、落ち着きを取り戻した」と言い、一通の手紙を差し出します。手紙には、
イメージ 7「皆が慣れないながらも田畑で生き生きと働いていること。亥之助と直久は、小石を拾ってきて“地面で碁”を打ち始めたが、この碁盤はすごい、二人の碁は但馬に習ったことで同じ手筋で進まないこと。皆が但馬を思い出し泣いたこと。いまでは避けてきた政次の話を、みんなでできるようになり、政次のモノマネをしていること」が書かれていました。
手紙を読み終え直虎は涙し「但馬は生きておったのか」と喜ぶのでした。直之が「虎松様にも、ずぶとく生き続けましょう」と言い添えます。

○蘇える直虎と龍雲丸
龍雲丸は、廊下で直虎と直之の様子を見て微笑んでいると、前から方久とお付きの辰がやってくる。なんと、ふたりは頭はツルツルにし、薬草を持ってやって来る。
イメージ 8理由を聞けば、「昊天に弟子入りし、もう武器を売るのは止め、代わりに人を助ける薬を売る。大儲けをする」と言います。
方久が「あんたは、これからどうするの」と聞くと、龍雲丸はなのも言わず空の雲を眺めている。その後、龍雲丸は姿が見えない。昊天が心配するのを聞いた直虎はいつものごとく駆け出すのでした。

直虎が向かった先は気賀の根城。龍雲丸は仲間の誰かが戻っていないか確かめに来たらしい。
龍雲丸は「悪運が強えというか、なんで、いつも俺だけ生き残っちまうんでさあね」と呟いている。直虎も「われもじゃ、頭。われも、わればかりが生き残る。なれど、そなたを助けることができたことだけは良かった」と涙で話し掛けます。龍雲丸も、手を直虎に置き、泣いている。
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○今川氏の滅亡
掛川城。氏真と妻春の実家、小田原に向かう準備をしています。氏真の表情には悲壮感はなく、むしろ吹っ切れて晴れ晴れしています。
氏真は春に「叱られるかもしれぬが、肩が軽うなった。桶狭間から10年、わしは身の丈に合わぬ鎧を付けられておった気がするのじゃ。これからは、わしのやり方でも舵取りができるような気がしてな」と言います。春も「頼りにしております」と笑顔を返すのでした。

こうして家康は掛川城に入り、遠江全域を徳川が支配することになりました。家康が岡崎城のときと同じように「入れたの。入れてしまったの!」とはしゃぎます。(笑)酒井忠次はすかさず「これで済むとお思いですか?武田は怒り狂いましょう」と言います。
家康は、自分に言い聞かせように「まぁ、なんとかなるのではないか?きっと、なんとかなる」と呟くのでした。信玄が「徳川が遠江を、おのれ!」と激しい闘志を見せる。龍雲丸は根城に「井伊で待つ」の旗を残して再会を待つ。
記事 20170904 
柴咲コウ主演NHK「直虎」瀕死の龍雲丸11・3%
***つづく***