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第29回「女たちの挽歌」

今週のタイトルは「男たちの挽歌」(1986)のもじり。3人の兄弟愛と友情を描いたもの。ここでは直虎と“しの”の熱い女たちの友情ものがたり。ともに直親を愛した女。「井伊家の安泰」を願うが故に葛藤を乗り越え友情に結ばれることに涙です。そして貫地谷さんと心ちゃんの圧巻の演技に泣かされました。

人質として松下家への輿入れを受け入れて欲しいと思うが“しの”の気持ちを大切にする直虎。直虎の気持ちを知りながら、渋って見せその役割を受け入れる“しの”。
ここで“しの”の覚悟、志に泣かされます。子供を育てるということはどういうことかを教えてくれます。ふたりの気持ちがよくでた柴咲さんと貫地谷さんの演技がみごとでした。
“しの”の「この結婚を井伊に役立てて欲しい」という気持に、早速、直虎は「徳川が攻め入ってきたら城は素直に明け渡すが、徳川に兵はださない。これ以上の安堵は望まない。井伊の目指すところは、民百姓を一人も殺させないことである」と徳川に伝えることで応じました。

そして“しの”と寅松の別れ。将来の寅松のことを考え再婚することを昏々と説得するところに涙でした。共に暮らしたいが、わが子の将来のためになると涙を呑んで別れを告げる。これもまた母の愛です。とても良い話しでした。
愛情一杯で育てられた虎松は決して母の恩を忘れることなくすばらしい男に育っていくでしょう。涙ながらに寅松を説得する“しの”、聞きながら次第に受け入れていく虎松。とてもよかったです!

虎松を受け入れる直虎が、「われのことは父と思え!」に、しのに対する感謝の気持ちがしっかりでていて、立派に虎松を育てる気概が見えます。

氏真は、上杉と組んだことが武田の知ることとなり、山縣昌景に「遠江を割譲しろ」と迫られ、ついに井伊に罠を仕掛けることになります。さあ、来週は「潰されざる者」、井伊の運命やいかに・・。

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○直虎から家康への書状イメージ 5
岡崎城に一通の書状が傑山により届けられます。瀬名は「井伊からの書状」と急ぎ家康に差し出すと「戦をここでとどめるという考え方はないか、上杉と結ぶとか」と書いてあると言う。家康は「すぐには返事できぬが考えてみる」と言い、その旨瀬名が傑山に伝えます。直虎は傑山の報告を聞き安堵します。

寿桂尼の死イメージ 6
永禄11年(15693月。春が書斎に入ると文机にうたた寝をしている寿挂尼を見ます。開いた帳面の「我がむくろ、艮に葬るべし。死して今川の家を護らむ」を見て驚きます。尼御台とも女戦国大名とも異名をとった寿挂尼は今川混乱のさなかついに帰らぬ人となりました。
長年にわたり男に時に敵となり味方となった女子でした、女たちにとり敬愛と畏怖を同時に覚えさせる女子でした。直虎にとって、その全てでした。直虎は涙をこらえ、経を唱え続けるのでした。浅丘さんご苦労さまでした。すばらしい演技を見せていただき、ありがとうございました。

○家康からの返事、「武田と組む」
直虎は寿尼渓の弔問に行っていた政次から「駿河はもう終わりだという気分が立ち込めており、武田が攻め込んでくるというのが大方の見方でした」と聞きます。そして「三河が上杉と組んだ噂は聞こえてこなかった。立ち消えになったのでしょう」と言います。

このとき、直虎のもとに山伏・松下常慶が訪ねてきて「返事が遅れたのは三河でも揉めてためだ。ことの起こりは井伊様の書状です」と言います。
「家康様は直虎様の進言を認め上杉と誼を通じるべく密書を送りましたが、この時、武田の使者・山県昌景殿がやって来て徳川家と武田家が同時に今川領に攻め込み、大井川から西を徳川、東を武田で切り取るという話しを持ち掛けてきました」と言う。そして「酒井忠次様が山県殿の提案に賛成し家康様と強く勧め、上杉と通じるは断念することになりました」と告げます。

○井伊が徳川と組むなら“しの”を人質を
直虎は常慶に「戦になるのはもう避けられぬか?」と問うと、「恐らくは今年のうち、遠江に徳川が攻め入ることになるでしょう。それでも井伊様は、今川方として戦うおつもりかと確かめに参った次第です」と答えます。
直虎は、「それでも、とは?」と聞き直すと、常慶は、「あの書状は明らかに、今川に味方する者の意見でしたから確認に参りました」と言う。
直虎は、「戦を避けたかっただけだ」と言うと、常慶は「では、徳川にお味方なさいますか?」と聞いてきます。
直虎は意を決して、「できれば、さようにと考えておる」と。すると常慶は、「では人質に虎松様の母君をいただきたい」と言い出します。直虎は驚き、「まて、何故に人質を渡さねば」と理由を問いただすと、南渓も、「今川の手前、人質を三河に送ることはできないのでは?」と問う。常慶は、「私の実家の松下ではどうですか。兄・松下源太郎が後添えを探していて、そこに嫁ぐという形ならば、今川の目に止まることはないのでは」と提案してきます。
直虎は、「虎松には父がおらぬ。このうえ母まで奪えと、そう言うのか!」と言うと、常慶は「では、お考えくださいませ。また参ります。」と去って行くのでした。

○しの、「松下家輿入れを承諾」
政次がやってきて「勇み足になりましたな」と言う。直虎は「かようなことになろうとは」と後悔をします。「言いにくければ、私からしの殿に言いましょうか。太守様より下知が下ったとでも」と声をかけます。
しかし直虎は、「われから言う」と政次の提案を拒否し、自分で“しの”に話をすることにします。
イメージ 8直虎はしのを訪ねことの次第を話します。“しの”は「要するに、殿が大それたことをおやりになったせいで、私を人質にという話になってしまったということにございますか」と不満を漏らす。直虎は、ただ頭を下げるしかない。
「まこと、もう、どうわびてよいものやら」
しのは、直虎を厳しく責めるが最終的には「虎松には、なんと話せばよろしゅうございますか?」と聞いてきます。
直虎は、恐る恐る顔を上げ、「行って、くれるのか?」と返します。
しのは、「こうなれば、致し方ございませんでしょう」と覚悟を示します。直虎は、この返事に安堵します。
しのは桜、桔梗の婚礼で示した直虎の気持をよく知っているので、ちょっと拗ねてみせましたね。しのは井伊家のことをしっかり考える女子のです。()

○虎松、“しの”の輿入れに反対
しの、虎松に「母は殿の申し付けで嫁ぐことになりました。母が他の家に行かなくてもいいようにするにはどうしたらいいのか考えるように」と課題を与えます。
虎松はいろいろ考えた末に直虎のもとにやってきて「母は行きたくないそうです。今すぐ、取り消してくださいませ!」と詰め寄ります。
直虎は、「母上に行ってもらう以外に手がない」と説明します、南渓に「答えはひとつでないですよね」と確認し、直虎をにらみつけ「殿は、考えつかぬだけの阿呆なのではございませんか」とかつて「おとわ」が言った言葉を言い放ちます。これを聞いた南渓は「因果、因果」とにんまりします。
直虎は、とりあえず虎松にも分かるように、「母の嫁ぎ先は井伊がここと仲よくしたいと思う家じゃ。剛力じゃ。母上が嫁ぐならば信じてやろうと言われたのだ」と丁寧に事情を説明します。
虎松は、「それは、人質というものではないですか?」と聞き返します。
直虎は、「武家のならいであるから仕方ない」と説明しますが、虎松は納得できず、「殿が人質に行けばいい」と言い出します。()
直虎は、「われが行ってしまっては、誰が殿をやるのじゃ」と言い返すのでした。

直虎は、政次に「結ぶ先を武田に変えたらしのを人質に出さなくてもいいのではないか」と相談します。
政次は、「徳川が抑えようとしている遠江に、武田と結んだ国衆がおるほうがおかしい」と言い「しの殿が今さら嫁ぐのが嫌だと言いだすのはおかしいので真意を聞くように」と助言します。

虎松が夜になってもしっかり母を嫁に出さない方法を考え「これだ!」という案を思いつきます。
次の日、気賀から方久がやってきて新たに蔵を建て戦そなえで稼ぐと話しているところに寅松があやめと一緒にやってくる。イメージ 9
虎松が「あやめ様に母上様として嫁いでいただくのはどうでしょうか」と言い、あやめも「先方はしの様の顔を知らないというから、このままでは私も嫁がないで終わってしまいます」とまんざらでもなさそうです。直虎は「その偽り、見つかると叩き斬られる。その案請け合いかねる」と退けます。()

○“しの”、虎松の説得
直虎がしのを訪ね詫びを持ち出すと、「少し焚きつけしすぎたようです。いずれ虎松は党首となる身。近しい者を人質に出さねばならぬということを考える良い機会とも思いまして。あえて行きたくないと言うてみせたのです」イメージ 7と言います。
そして改めて、しのは嫁ぐことを約束し「私が嫁ぐということを、うまく取り引きにお使いください。井伊のためになるように。そして、いつかその話を、虎松にしてやってくださいませ」と言うのです。“しの”の覚悟に、直虎は、涙しながら「心得た」と頭を、パッチがよかった、返すのでした。
イメージ 1
その夜、“しの”は虎松に話して聞かせます。
「さんざん考えてくれて、母はうれしく思いますよ」
うつむいている虎松に、しのは静かに語りかけます
「実は、虎松が考えている間に、母も考えたことがあるのです。やはり母は行きたくなってしまったのですが、行ってよいですか?」
虎松は驚いて顔を上げ、理由を尋ねます。しのは「父上の望みであるから」と答えます。
「そなたの父上は、あるお家と仲よくしようとし、殺されてしまいました。こたび母が嫁ぐのは、そのお家と再び仲よくするためです。父上の志しを母が継ぐことできる。これはやりがいのあることです。行かせてくれませぬか」
イメージ 2それを聞いて、虎松は叫びます。
「ウソじゃぁぁ!母上は虎松と離れたくないはずじゃ。母上は虎松のことが一番お好きなはずじゃ、一番大事なはずじゃ!」と泣きじゃくります。
虎松を抱きしめて、しのは言う。
「虎松は母の宝です。だからこそ大事にしたいのです。」
しのは続けます。
「母は力強い味方を沢山沢山つくってやりたいのです。母が嫁げば、そこは井伊のお味方の家となるし、子ができれば、そなたの兄弟が増えます。笑って送り出してはくれませぬか?」虎松はしのに抱きついて、最後のお願いをします。
「お行きになるまで、毎晩、虎松とともに寝てくだされ」
しのは、歯を食いしばって泣きながら「もちろんですとも」
貫地谷さんと心ちゃんのとてもいい演技でしたね!!
“しの”は梛の木を植え、父直親の残した笛を渡します。

○直虎、徳川への加勢拒否を決意イメージ 3
数日後、直虎は、再び龍潭寺を訪れた常慶に、しのを松下の家に差し出すことを伝えます。
しかし直虎は、一つだけ条件「徳川が攻め入ってきたら城は素直に明け渡すが、徳川に兵はださない」と厳しく言い伝えます。
驚いた常慶は、「それでは新しい土地の安堵はできかねる」と言うが、直虎は「これ以上の安堵は望まない。井伊の目指すところは、民百姓を一人も殺させないことである」と説明します。
これに常慶は「承知しました。徳川様にさように伝えます」と言う。
直虎は六左衛門に「近く戦になるのでしの殿にはその証として嫁に行ってもらう。虎松を頼む」と言い直之に「表向きは今川に従い、戦備えをする」と伝えます。

こうして、母からもらった笛を懸命に吹く虎松に見送られ、しのは松下家へと旅立ちました。( ;∀;)
直虎は龍潭寺で虎松を迎え梛の木を指し「誰が植えたと思うか」と問います。梛の木は愛する者の無事を祈る木と言われます。
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○氏真、井伊に罠を仕掛ける
駿府に山縣昌景がやってきて「今川が武田との和睦を破り上杉と結んだことを許す代わりに、遠江を譲り渡せ」と迫る。首をもった朝比奈泰勝が駆け込み「そちらが調略した家臣の首だ。和睦を破ったはどちらか主に問え」と叫ぶ。これにより今川と武田の決別が表沙汰になる。すべてが戦に持ち込みたい信玄の策であったのです。信玄の高笑いが聞こえます。
今川の家臣が朝比奈の行動を責めますが氏真は「もうよい」と武田との戦を決心し「北条と味方とすれば負けるとはわからん。国衆に戦備えを命じよ。内通者は躊躇わずに斬れ」と命じます。そして井伊については寿挂尼の言い残したことを進めることに。寿挂尼が最後にしかけた罠が動きはじめます。

○直虎、寅松の父となる
直虎は「今日からは、われがそなたの義母となるが、母とは思わんでよい。われに“しの”殿の代わりはできぬ。われのことは父と思うてほしい」と言います。
虎松は「はい!」とはっきり答えます。

井伊に戦国史上まれにみる数奇な運命が迫っていました。**つづく**

記事 20170724
柴咲コウ主演NHK「直虎」魔の手迫る11・9%