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第30回「潰されざる者」

今回は方久、政次、直虎、さらに氏真といずれもが「潰されざる人」。交す会話がサスペンスフルでした。特に政次と方久のやり取りにはらはらしました。自分の意見を述べる方久・ムロツヨシさんの滅多に見せない力の籠った演技に驚きです。(#^.^#)
方久、強い金への執念が逆に利用され氏真から調略されました。絶対に打ち明けられない方久、びくびくしながら過ごす姿が痛々しい()
「方久は井伊を裏切ったか」、そうではなく、やむを得ずこうなったというところ。方久は戦で財を成した男、起こるであろう戦のすう勢を読んでの行動。「徳政がなければ力をもって潰される」の言葉に表れています。
直虎が再度「商いに精を出すのはよいが、戦の見通しなどは考えておろうな!」と釘を差したのは的確な指示で、方久を責めなかったことは、井伊にとって欠かせぬ男と読んだからでしょう。

政次は方久を脅し氏真の罠を暴きましたが、方久を罰することはなかった。同じ立場にあることを認めているのでしょう。むしろ、自らが氏真に嵌められているかもしれないこと、また、井伊の家臣たちを騙し続けることができるかを恐れています。百姓たちが騒ぎ出すことを読んで、事態を収拾して自身の潔白を証明する一方で「俺を信じろ!」と直虎を庇う策は見事でした。

直虎は迫りくる危機に対して何とか答えを導きだそうと、答えは一つでないとしっかり考え、すこし先を見通すことで良い案が見つけました。ここには、直虎を信じる百姓たち、命を落とさないよう配慮されたもの。案を見つけても決心することは難しいことです。「百尺竿頭に一歩を進む。大死一番、絶後再び蘇る」という言葉と南渓の後押しが直虎の人生最大の決心を促しました。
子ども時代の伏線を生かしてくるところは、しっかり子供時代を描いた意義が伝わり、この決断を納得させます。

史実にぴたりと合わせてきました。しかし、ひにくにもこの段階で視聴率が落ちるとは。おとわのような忍耐が必要です!()
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井伊は密かに今川を見限り徳川と結ぶことにしました。しかしその策は亡き寿挂尼に見透かされていました。一方氏真は武田、徳川と戦を決意。遠江の国衆やその目付たちに戦備えを申しつけたのでした。
今川館の控えの間
集まった国衆たちに方久が「戦準備には気賀にお知らせを」と挨拶変りに抜け目なく商売を始めています。政次は鈴木重人喜と菅沼忠久が交わす噂話しのなかに「寿挂尼に呼びだがされた者が処断されている」を聞き、「わたしとしては残念だ」と周りに漏らします。これに「残念か!」と近藤が不審がります。
そこに関口が入って来て「気賀の。太守様より折り入ってお話があるようじゃ」と呼び出します。政次は「方久に何が?」と不審に感じます。
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○氏真、方久を調略
氏真は「蔵を建てるのは認めてよいが、こちらにも望みがある。戦に備え井伊の領地をわが直轄領にしたい。井伊を取潰す」と言い「井伊が潰れてもお主の領地は安堵する。そのかわりに徳政令を受け入れよ」と命じ「このことは但馬にも内緒にするように。お方様があの尼と同じ穴のむじなじゃと睨んでおられた。他言すれば・・」と念押します。

駿府から帰った政次は直虎に「下知のとおり戦準備にかかられますように」と今川に指示を伝えます。政次は去ると直之と六左衛門が「われらは武田に?」と不審げな顔をします。
直虎は「ここは今川に咎められないようにほどほどに支度をするがよい」と指示するのでした。
その夜、直虎は、井戸端で、政次に「但馬はすべて知っていると告げてしまいたい」と話すと「お方様と面会したとき何を話したのですか」と尋ねます。直虎は政次の話しを聞き「あれは試されていたのか、あれから時間が経っているし疑いないとされたのではないのか。考え過ぎじゃ」と答えます。

気賀・堀川城では、方久が氏真からの授かった安堵状を懸命に隠しています。()

数日後、直虎と直之が戦備えを方久に依頼するため気賀にやって来ます。そこでモグラ・カジに会い「方久は今川から浜名一帯の戦備えを請け合い、そのために蔵を建てる」という話しを聞くが、井伊にその注文が来ていないことを不審に思います。
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方久に会って「戦備えを頼みたい」と言えば「どちら?」と聞いてくる。「武田であろうが」と直虎は訝る。材木の話しを持ち出すと、えらく取り乱し目線を会せない。「商いに精を出すのはよいが、戦の見通しなどは考えておろうな!」と釘を差します。方久は神妙に「案じていただきかたじけなく存じます」と答えます。方久の慌てぶり、やりすぎて笑えない!

その夜、直虎が政次に気賀のことを話すと「蔵を建てよ、と今川から・・」イメージ 4と不審気な態度を示す。政次は「今日はこの辺りで」と囲碁を止めて井戸端にやってきて、「俺の考えすぎか、亀」と橘に木に問いかけます。そして、政次は「ひとつ、こちらから仕掛けてみるか」と動き出します。

○政次、氏真の罠を暴く
堀川城では、関口が徳政令を下知する途中だと立ち寄り「そなたの身も狙われるかもしれない」と方久に告げ井伊谷に発ちます。
そこに龍雲丸がやってくる。方久が「しばし身を隠したい」と言うが「三河のお方があんたに会いたいという者が来ている」と誘い出し、龍雲党のアジトに連れてきます。
イメージ 5そこには政次が待ち受けている。政次がいることに驚いた方久は、必死に何かを隠そうとしている。政次は「知らぬであろうが、私はお主を見張るように太守様から言われておってな」と脅しをかけます。
三河からの引き合いが来たと聞いてやってきた。これは、どうしたものかのぅ。井伊を取り潰す話からは、但馬を外すと言われたか?」と問い詰ます。方久の表情が険しくなる。政次は、さらに方久を追い詰める。
「私も同じことを言われている。私は井伊を取潰したあと気賀を任されることになっているが、お主にはどういう話しになっている?」。方久は背中に何かを隠すように手を回している。それに気づいた龍雲丸が方久の手を押さえ書状を取り上げる。政次が開くとそこには「徳政令後は瀬戸方久の土地を安堵す」と書かれていた。
政次は龍雲丸に、
「徳政令とは領民たちの借金を帳消しにするものだ、帳消しになれば、方久はその代わりに井伊家の借金を取り立てる。すると、返す金などない井伊は土地を方久に差し出すしかなくなる。そうなれば井伊は潰れたも同じ。今川は一兵も動かさず、井伊を直轄地にできる」と説明すると、龍雲丸が「尼小僧に取り立ててもらったんじゃねえのかよ!」と激怒する。
方久は開き直り「気賀だってどう転ぶかわからない、わたしがその場で成敗され大沢か浜名が入って来る。それでもいいのですか。悪うございますがね、徳政がどうであれ、井伊は取り潰されますよ。今川の目当ては、井伊を直轄にすることですから!徳政がなければ力をもって落ちるのです」と反論する。
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○関口、徳政令発布を指示
直虎は甚兵衛を呼び出し仕事の相談をしているところに関口氏経が訪れ「かねて井伊領内の百姓らの願い出たる徳政令、井伊に速やかに行うことを命ずるものなり」と徳政令の実行を命じます。直虎は、「百姓たちは徳政を望んでいない」と反論するが、関口は「銭主の瀬戸方久が申し立ててきている」と取り合わない。
直虎は、「方久はそれをせぬことと引き換えに、井伊の家臣となった」と反論しますが、「しかし、わしはそう聞いておるゆえな!では、ただちに徳政を行うという誓詞をしたためられよ。明日までに」と言い残し立ち去ります。これを甚兵衛が聞いていました。

直之・六左衛門が「方久を問い質しましょう」と言うが直虎は、「方久は全てを承知している」と宥めます。そこに政次が現れ、「これはお方様が判断したことです」と言い「こたびの徳政をはねつければ、力に訴えられましょう。かような形でのお取り潰しは、むしろ今川の温情かと。おとなしゅうお受けなさいませ」と説得します。
直之が「勝手なことをほざくな。銭で潰れたなど、末代までの恥さらしじゃ!」と怒りだす。直虎は「よせ。この男はただの犬じゃ」と直之をなだめ「もう一度よく考えさせてほしい」と政次の策を引き取り。
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○直虎、徳政受入れを決意
直虎の話しを聞いた南渓は、「お方様に井伊の二心を見透かされていたか!政次の二枚舌も見抜かれておったか」と言う。「私の油断で直親も“しの”殿にも合わせる顔がない」と涙を見せると、南渓はおとわの時代に出家することで人質を逃れようとして駿府に出向いた時のことを思い出し「どうしようもなくなったとき、おとわが『明日は今川館が焼け落ちるかも知れん』と言うた」という話しをします。
そして「こたびはどうじゃのう。井伊を取潰した今川がひと月、ふた月・・分からぬが、そう遠くないのちに潰れてしまうとなれば」という言葉が直虎を捕らえます。

直虎は碁盤を引っ張りだし井伊の生き延びる策を考えます。同じころ、政次も一人、碁を打ちながら井伊の進むべき道を考えるのでした。空間を超えふたりは語ります。
「もし徳政令を受け入れれば」と直虎。
「井伊は潰される。今川の直轄となりましょう」と政次。
「そうなればどうなる」と直虎。
「民百姓は今川の兵として戦うことになりましょう」と政次。
そして出した答えは「あえて井伊を潰したうえ今川の懐にはいる。そして関口の首を挙げ徳川に差し出せば井伊は蘇る」。
南渓が、「思ったより長くかかったのう」と話しかけると、直虎は「思いつきはしたがいざその策をやると思うと足がすくんだのです」と言います。
そして直虎は、「百尺竿頭に一歩を進む。大死一番、絶後再び蘇る」と語るのでした。南渓はこの言葉を聞いて、「すべてを捨てて生まれ変わるか」と問えば「はい」と改めて決意をはっきりさせます。
そこに、直之が駆け込んできて「瀬戸・祝田の百姓たちが、関口の宿に押しかけようとしているらしい」と告げます。
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○百姓たち、徳政に反対
関口が宿とした蜂前神社に瀬田村、祝田村の百姓たちが、甚兵衛の指図で集まり、「徳政令を望まない」と訴え座り込んで「わしらは徳政を望まんに!」と唱え続けます。
そこに政次が小野の郎党をつれて引き連れて駆けつけますが、郎党が神社に入るのを「まだだ」と制します。
そのとき関口の手下が神社から出てきて、「うるさいぞ!うぬら、ここで何をしておる!」と脅すが「わしらは統制を望まない」と百姓たちが去る気配を見せない。
関口のひとりが刀を鞘のまま振り上げて八助を打ち据えます。血を流しながら八助は「わしらは徳政を望まんに」と叫ぶ。これに呼応すうように百姓たちは「わしらは徳政を望まんに!」と題目のように唱え続ける。
そこに直虎と直之が駆けつけます。直虎が政次を見つけるが、脇差を首に突きつけ「俺を信じろ」と囁くのでした。
                                   ***つづく***
記事 20170731