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第31回「虎松の首」

イメージ 2盛夏にふさわしく、今週は、政次が首を刎ねその首を直虎が抱き抱えるというホラーでした!()
井伊家は取つぶしになるが、直虎はこの事態にあわてない。的確な指示で一族を隠れ里に移住させ、さらに井伊が蘇ることに必要な虎松を遠くに落とすことにします。直虎には亀之丞(直親)を逃がした幼いおとわの記憶が蘇っていたでしょう。そして今度は直親の子虎松を逃がすという不思議な因縁に驚きます。

直虎は一同に政次の真の姿を明かしました。ここでの虎松の政次の記憶、政次がしっかり答えがでるまで虎松に碁を教えていたことに涙がでます。おそらく政次は直親になり代わって教えていたのでしょう。虎松も生涯このことを忘れず、政次は虎松の心のなかに生きるでしょう。直政の政は政次の政?
そして直虎は落ちて行く虎松に「生き残ることが大将の仕事」と教えます。これは虎松生涯の心に残る言葉となるでしょう。しかし、この言葉、父直親が今川の咎めを受けて駿河に出向く際に生まれたばかりの虎松にかけたことばでもあります。

一方で井伊館に残る“なつ”。この事態に微動だにしない覚悟はみごとで、政次と井伊に対する限りない愛が感じられます。亥之助も真実を知り井伊に尽くす武人に育つでしょう。

直虎と政次、「あうん」の呼吸で井伊再建計画を寸分の狂いもなく進めています。今川の虎松の首要求はすでに予期したこと。この難題をふたりがどう乗り切るかに井伊の運命が託されていました。首実検で子どもの首を見た直虎は、政次の計略を悟り、大芝居を打ち見事な成功でした。ここでの直虎・柴咲さんの哀愁をおびた読経、涙の演技はみごとでした。
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二心を疑われている政次は、農民騒動をうまく利用して関口の疑いを解き次いで虎松の首要求に自らの手で刎ねた幼子の首を虎松の首と関口を騙し井伊領主の座をものにします。が、修羅の道を歩み始めた直政、決して直虎・“なつ”にさえ真の顔を見せない、一生さんの冷たい目、無表情の演技が凄い。
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井伊は再び今川から徳政令を受け入れるよう迫られ取つぶしの危機を迎えていました。そんななか「わしらは、徳政を望まんに!」と百姓たちは関口の者に打ち据えられても訴えをやめようとしない。そこに直虎と直之が駆けつけ「但馬何をしている」と問うと政次は刀を直虎の首に圧しつけ「俺を信じろ、おとわ。行くぞ」と囁くのでした。

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○徳政令受け入れ

「わしらは、徳政を望まんに!」と百姓たちは打ち据えられても訴えをやめようとしない。政次が直虎を百姓の前にひきずり出し「これは殿が仕組まれたことか?」と聞く。

百姓らが「殿のせいではない」と直虎をかばうが、政次は直虎に「百姓たちの前で井伊は徳政令を受け入れこの地を手放すと仰せられよ」と迫る。直虎は「信じろ、おとわ」の言葉を信じ「井伊は政令を受のけ入れる。この者たちがしたことはお許しくだされ!」と声を上げると、政次が関口の家臣に「関口様に取り次ぎ願えるか?小野但馬が目通りを願うておる」と伝えます。

政次が、社殿の関口に直虎を引き合わせると、「口ほどでもない、明日を待たずに受け入れるのか」と言い支度を命じる。直虎が政次の差し出す書状に名と花押を書き入れ、全ての施行手続きが終わります。直虎は万感の想いのなか、六左衛門とともに皆の待つ館に向かうのでした。

政次は井伊取つぶしのことを知らされなかった理由を関口に聞きます。関口が大方様の指示だと答え、事後のことを託して駿河に戻ります。

○追われる井伊家。
翌日、直虎は一同を主殿に集め、今川に嵌められ井伊が潰れたことを伝えます。も聞いていなかったあやめは驚きを隠せません。高瀬は、「この先はどうなるのですか?」と問う。「今川に歯向かったわけでもないのでひどいことには」という六左衛門に、祐椿尼は「お取り潰しはお取り潰しでございましょう」と語気を強めます。
「そう思うて動くのが肝要」と直虎が賛同した時、政次が手勢を連れてやってきて「この館は井伊のものではない!急ぎ立ち退かれますように」と指示する。
イメージ 5直虎は率先して主殿を出て「之の字は皆を連れてひとまず隠し里へ行け。虎松と直久を連れすぐにあとを追う。六左、参るぞ」と指示し、龍潭寺へ駆けだします。

直虎と六左衛門が龍潭寺に着いた時、虎松、直久、亥之助は手習い中でした。直虎は三人に、「虎松、直久、われと共に行くぞ」と声をかけますが、亥之助には声をかけない。直虎

は、虎松と直久を連れ出そうとすると「私は?」と亥之助が聞く。直虎は「そなたはよい」と返事し「和尚様、虎松の行き先を」と聞くと「すでに傑山を向かわせておる」と云う。

直虎と六左衛門は、虎松と直久を連れて去っていきます。一方亥之助は小野の家に駆けだします。

○なつの覚悟
亥之助に気づいた政次が「手習い中ではないのか?」と声をかけと「なぜ叔父上はここに居られるのか」と問います。政次は「今日からは、これが私の役目だ。今川に臣従したのでな」と返すと「私は信じませんでした。人がなんと言おうが、伯父上は誤解されておるのだと。まことに井伊に尽くしておられるのだと!」嘆く亥之助に「嫌ならなつと一緒に出ていけ」と冷たく言い放ちます。
イメージ 4亥之助は、急いで母なつのもとに走ります。家に帰ると、このことで母はショックを受けていると思っていましたが、全くそんな様子はない。
「母上は平気なのですか?伯父上は井伊を裏切ったのですよ!」と声を荒げる亥之助に、なつは静かに話し掛けます。「なればこそ、ここにとどまらねばならぬと思いませぬか」と。

○直虎、政次の真の姿を明かす
直虎たちは川名の隠し里にやって来ると、粗末な屋敷を見た虎松はあぜんとします。屋敷の中には先に到着していた祐椿尼たちがいるのでした。イメージ 6
ここで直虎は、一同に「一度しか言わぬ。そして一度聞いたら忘れてほしい。井伊は確かに潰れた。じゃが、ひと月、ふた月のうちには蘇らせようと思う。今年のうちには戦が始まるはず。そして、井伊には徳川が攻め込んでくる。その徳川と井伊はすでに通じている。徳川に応じて挙兵し関口の首を挙げ徳川に差し出せば井伊はまたたく間に蘇る」とこれからのことを話します。梅が「小野はどうするのでございますか?その折に成敗?」と聞きます。
直虎は「但馬は、実は全て知っておる。井伊の敵のふりをすることで今川に対する盾になってくれている。此度はあえて井伊を裏切り今川の城代として城に入ることで井伊を守ってくれる」とこれまで秘していたことを思い切って公表します。
六左衛門が「但馬殿は、お味方ではないかと思うておりました」と言う。高瀬や祐椿尼も気づいていたらしいことに、直虎は拍子抜けしてします。しかし、大の小野嫌いの直之が納得しない。そのとき、
虎松が「但馬は大層、碁がうまい!故に、虎松は負けてばかりじゃ!じゃが、但馬はどこで間違えたのか確かめよと、ずっと待ってくれるのじゃ!」と言えば直久も「そうなのです!」と声をあげる。
ここで直虎は「騙されておったとしてもこちらはこちらで井伊が蘇る策を成功させればよい」と直之に言い渡します。

虎松が縁に佇み棚田を眺めているところに直虎がやってきて「昔、お主の父上と但馬がこの隠し里を守った」と話すと「虎松もここを守らねばなりませぬ」と誓うのでした。虎松の笛の音が豊かな実りの隠し里に流れるのでした。

○氏真、寅松の首を要求
氏真のもとにやってきた関口が「但馬は刃向かうことはないので考え直し信用して協力させては。私の本拠は駿府で武田との戦を控え井伊にさほどの手は割けませぬ」と進言しますが、イライラしている氏真は「井伊を断絶させイメージ 7よ。虎松の首を取れ」と言い放つのでした。これに関口は「それでは、直虎はことのほか民に慕われており、要らぬ火種になります」と反論するが氏真は狂気の目で「断絶させよ」と氏真の狂気の目。これまでの数々の失敗で臣下を信じることができず寿挂尼の遺言のみを信じるという状態。これでは臣下の求心力を失うでしょう。尾上松也さんのうまい演技です!

○直虎、虎松を隠すイメージ 8
一方、直虎は、亀之丞が落ち延びたときを思い出し、今川は虎松の首を要求してくると読んで虎松を逃がす準備をしていました。「身を隠さねば!」と言うが、虎松が渋るので傑山が矢を放ち「戦場とはこういうもの」と脅します。虎松が小便を漏らします。()
直虎は寅松に「父上が逃げ、その後に帰ってきたことが井伊にとっての希望の光になった。そちのせねばならないことは逃げることだ」と説きます。直久が「虎松さま!必ずや城を取り戻し、お迎えにあがります!」と大きな声をあげる。虎松は涙し「こんな大将でよいのか?」と聞くのでした。直之は笑いながら六左衛門を指し「顔から失禁しておる」と虎松を励まします。六左衛門は顔じゅう汗びっしょり。
イメージ 11虎松は母と別れしっかり育っています。部下の気持ちが分かるいい武将になりますね!
直虎は六左衛門に「虎松にとって、そなたの人柄は救いとなる。頼まれてくれぬか」と虎松の守り役を任せます。直虎は寅松を見送り、直之を残して、びとりで井伊谷に向かいます。

○直虎、虎松の首実検
政次が施行令がうまく実施されていることを関口に伝えると「駿府はそなたを城代にと考えている。ただしそれは虎松の首と引き換えだ」と指示される。これに政次は「お易い御用です」と答えます。

直虎は尼姿に戻り龍潭寺にやってくると南渓から「井伊谷には徳政令が周知され、関口が戻ってきている」と聞かされているところに、怒鳴り声が聞こえてくる。小野の郎党が昊天に「こちらへ虎松様を引き渡されよ!」と言い、突き飛ばす。
イメージ 9そこに政次がやってきて「太守様が虎松の首をご所望じゃ。虎松が捕まらぬ折はそなたで満足いただく」と告げます。南渓、直虎がとぼけていると、政次の指示で直虎は連行されて部屋に閉じ込められてしまう。直虎は、政次の冷たい目を思い出し悪い想像ばかりしている。

そのころ政次は「これで関口殿もいなくなり名実ともに井伊が小野のものとなるのだぞ」と板上の動かぬ幼子の首を「案じるな地獄にはおれが行く」と斬り落とす。
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直虎のところに見張りの者がやってきて「庭に来い」と言う。ここで直虎は虎松の首実験に立ち会います。主殿に関口とその手下の者、庭先には政次と小野の郎党たち、庭の片隅に南渓、昊天そして領民たちが呼ばれていました。
関口の家来の指示で直虎は、震える手で首桶を開けます。中には子どもの首が入っていたが、虎松のものではない。
関口の家来が、「何故このような厚い化粧が施されている。このありさまでは誰の首かわからない」と怒ると、政次は「虎松様は疱瘡を患っておりましたので、かようにするが礼儀かと」と答えます。 これを聞いた関口たちはたじろぎます。政次が「いかがしましょう」と言うと関口は「・・」と躊躇します。
ここで直虎は、首桶を前にお経を唱え、涙を流して首を抱きます。一同はその姿に圧倒され、「ようもあのようなことができるな!」とつぶやくのでした。
南渓は「我が子ならば、抱かずにはおられますまい」と言い、昊天と共にお経を唱え始めます。政次は(これでよい)無表情で聞き入る。

寺に戻った南渓は、井伊の事情を探りにきた龍雲丸に「虎松の身代わりに但馬がひとりの子を殺めた」と話します。
龍雲丸が井戸端にやってくると直虎が穴を掘っているのでした。「手伝いやしょう」と声をかけるが直虎の対応はそっけない。龍雲丸は「その子は親が売ったんです。あの人はその子を斬ったこと、これぽっちも悔いていない。あの人は守りたいから守ったんだ。いやあなたを」と慰めます。これに「なにが分かる!」とキレる直虎でした。この幼い命と、その命を奪い己の手を汚した政次を慰めていたのでしょう。

そのころ、政次は井伊の館で庭を見つめていました。そんな政次に亥之助が「伯父上。かけがえのない友を、かたじけのう、存じます」と声を掛けます。亥之助は自分の考えの浅さを恥じて頭を下げたのですが、政次は「早く休め」と相手にしません。こんな政次の姿になつは「義兄上はどこまで修羅の道を歩みなさるのか」と痛ましそうに見やるのでした。

小さな名もなき命と引き換えに小野但馬守は井伊谷を手に入れた。そして井伊直虎は井伊家復活への新たな闘志を手にいれたのでした。
                                       ***つづく***
記事 20170807
おんな城主 直虎:第31回「虎松の首」視聴率は自己ワーストの10.6