映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「泥棒役者」(2017)

イメージ 2
あさイチ特選エンタメに西田征史監督自ら出演し、ゲストの萩本欽ちゃんの前で本作の笑いのポイントなど説明。欽ちゃん、「面白そうだね!観ないとわからない」との所見。それではこちらもと、鑑賞することにしました。
監督はNHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」の脚本で広く知られるようになりましたが、映画では「小野寺の弟・小野寺の姉」(14)でデビューし、本作が2作目。2006年に作・演出を担当した同名舞台を映画用にリライトしたコメディーです。
所見ですが、脚本がすばらしい、前作より数段おもしろい。2時間笑わしてくれ、観るひとの人生にちょっぴりアドバイスが入って、とても暖かいエンデイングになっています。(#^.^#) 小さな作品ですが、クリスマスに大きなプレゼントを貰ったような暖かい気分になります。
イメージ 10
ストーリーは、かつて泥棒稼業に手を染めたことがある溶接工員の大貫はじめ(丸山隆平さん)だったが、今は真面目に働き、恋人の藤岡美沙(高畑充希さん)と幸せに暮らしている。ある日、昔の泥棒仲間・畠山則男(宮川大輔さん)から、過去のことを美沙にばらすと脅され、仕方なく豪邸に忍び込むことに。しかし、出会う人々に「豪邸の主人」「編集者」「絵本作家」に間違えられ、正体がばれないよう勘違いされた人物を演じて事態を収拾しようとするが……という展開。(allcinema
****
冒頭、小さな工場でビービーと鋼材を研磨し溶接する“はじめ”、「これでおわり」と急いで恋人美沙の待つアパート201号室に急ぐ。そこでは美沙が天ぷらを揚げながら待っており、「これ食べて」。「温かいうちに食べて欲しイメージ 3
い。明日は誕生日よ」と、とても暖かい関係のふたり。美沙は「弁当屋さん」に勤めるしっかり者、団子髪にメガネ、短パンツの充希ちゃんがとてもチャーミングで自然な演技です。うまくなりました、わずかな出番でも存在感大です!
 
【勘違いで巻き起きる大混乱に笑い】
翌日、街で美沙を待ていると、ばったり昔の泥棒仲間である則男に出会う。少年院に入っていた過去を美沙にばらすと脅し、「鍵屋の“はじめ”が必要」と誘う。
イメージ 4
盗みに入った豪邸、ドアーを開けると広い応接間。目に付くところに大きな金庫がある。()はじめはさっそく仕事開始。
そこに教材のセールスマン轟良介(ユースケ・サンタマリアさん)がやって来て、「申し訳ないご主人ですか?」と聞く。はじめ、しばらく間をおいて「そうなんです~う」とにこり。ここでの“はじめ”:丸山さんの表情がまじめで、小心者に見え、うそがつけない泥棒役を見事に演じています。
イメージ 5
二階の自室から出てきたこの家の主漫画家前園俊太郎(市村正親さん)、マッシュルームの髪型に下着服装、あらかじめ編集者が来ることになっていたらしく、「代わりは君か」と聞く。はじめ、間を置いて、「そうなんです~う。どうも」と編集者を演じることになる。ここでの前園:市村さんは、原稿が書けなくなって編集者から逃げている漫画家で、その言い訳をとてもユーモアをもって演じ、こんな市村さんを観るのは初めてです。
イメージ 6
前園が部屋に戻っている間に、本物の編集者奥絵里子(石橋杏奈さん)が「もう逃がしません。わたし奥江里子です。前園先生ですよね?」と入ってくる。はじめ、「そうなんです~う」。前園が女装で、“はじめ”を呼び「あれ誰?」と聞く。「奥さんです」。「あんた奥さんいるの?」「はい、先生のフアンです」。これを聞いた轟が江里子は“はじめ”の奥さんと勘違いする。
奥江里子:石橋さんは、帰国子女で、自分の意見を押し付けたことで某小説家の担当を外された編集員。時に英語を交え、てきぱきと仕事をすすめる明るい編集員をうまく演じています。
前園を見てはじめに「お手伝いさん?変わった人!」という。前園が赤いガウンで江里子に「前園です。あんたのことは旦那さんから聞いている」と挨拶する。「かみ合わないよね!」と江里子。「あの人を気にしないで、最近気のせいでおかしい」とはじめ。()
イメージ 7
ここからは、江里子の原稿取り、轟の絵具販売に前園とはじめがからみ話がすすみますが、勘違いが拡大し轟:ユースケさんの早とちりでめちゃめちゃな展開。原稿がとれずお腹が痛みトイレに駆け込む江里子に、「江里子は妊娠している、“はじめ”は結婚せよ。結婚届けを書け」ということになる。江里子、「何で先生が結婚届けを書いているの?」(大笑い)

【原稿テーマのネタ探しに笑って、泣ける】
“はじめ”が前園の部屋に入り、前園が孤児のころ読んで感激した「タマとイメージ 1
ミキ」の原作者であることを知り、「この続編を読みたい」と迫ると、「描けないんだ、お前かけ」と言われ漫画家になる。()
はじめ、前園に脅されて書き始めるが書けるわけがない。そのうちに、江里子と轟に気付かれ「前園先生にゴーストライターがいた」ということになる。
前園の書けない理由に泣かされて、なんとか書こうと筆をとると、「チリ紙交換!」と廃品回収屋の声が聞こえ、“はじめ”の人生をもじり「捨てられたゴミ」という構想が出来上がるが、出版社が受け付けない。()

もうだめだと思っているところで、どんでん返しが(クローゼットに隠れていた則男が活躍)・・・。ここからはハートフルストーリーに変換です!
イメージ 9
隣家に住むユーチューバー高梨仁(片桐仁さん)。けん玉をしながら歌う動画をYouTubeに投稿して一日を過ごす。が、ほとんどアクセスがない。なんか三山ひろしさんに似てる!「うるさい」と前園家にクレームをつけるが、この売れないユーチューバーの歌への熱意が前園の心を動かす。片桐さんの変人ぶりの演技がおもしろい。
 
なんとか「タマとミキ」の続編を出そうと、皆で知恵を絞るなかで、それぞれがこれから生きていくヒント(会話が混乱した理由)を得るんです。これがすばらしい。
前園は、過去としっかり向き合い、もう一度チャレンジしよう。
江里子は、先生の気持ちを考えて、前園をしっかり支えたい。
轟は、人の話を最後まで聞いて、セールスをする。
はじめは、嘘をつかない。美沙に真実を伝える。
イメージ 8
夜遅くアパートに戻った“はじめ”。寝ていた美沙を起こして告白。
「隠していたことがある。昔、盗みで少年院に入っていた。俺は美沙が思っているような人間ではない。」
「思っている人間ってどんな? 私、“はじめ”が頭が良いとか、恰好が良いとか思ってないよ。はじめちゃん、ラインをしっかり返してくれるし。早くカミングアウトしてくれないかと。工場長さんに頭下げてたのを2年前に見ていた。まじめに働いているから、根っこがしっかりしているから、こうして付き合っています。もう終わり、この傷どうしたの」
はじめは、轟にもらった太陽のブローチ(手製)を渡し、
「誕生日、おめでとう」。
「これ似てるな~あ」とはじめの顔を見る。
これ、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」です!ラブストーリとしても、とても質が高い!楽しいクリスマスが迎えられると良いですね!
                                             ****