競技かるたに情熱を注ぐ高校生たちの青春を描いた末次由紀さんの大ヒット・コミックスを広瀬すずさん主演で実写映画化した2部作の続編にしてシリーズ完結編、原作未読です。2016年映画化された「上の句」「下の句」がとても評判のよい作品でしたので、期待していました。
前作から2年後、3年生となった千早と太一、そして千早と全国大会で戦うために団体戦での出場を決意した新の3人が繰り広げる熱き最後の夏を描くというもの。
はるかに前2作を超えた、すばらしい作品でした。(#^.^#)
3年間の部活をどういう結末で終えるか、3人の成長をしっかり見せる作品になっています。このことは作中人物だけでなく演者にも言えます。
進学と部活、部活を続けるなかでの壁、友情、恋愛とこの年頃の悩みを描きながら、カルタに魅せられた彼らであるが故に辿りつき、今の輝きの一瞬を千年先に残す、“未来に託す”ために頑張りたいという結論に感動です。心に残るセリフが沢山ありました。(#^.^#)
自分の進路を見つめること、恋心などにしっかり和歌が組み込まれて物語が展開するので、日本人の美しさを見る思いです。
競技カルタをどう見せるか。札の飛ばし、運命戦などの札の取り合いをファントムカメラの使用などでとても臨場感のある映像で、ルールを知らなくても解説で楽しめます。
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物語は、千早、高校2年生。大江神社での「名人位・クイーン位決定戦」から始まります。名人戦は原田先生(国村隼)対周防久志(賀来賢人)。クイーン戦は若宮詩暢(松岡茉優)対我妻伊織(清原果耶)。綾瀬千早(広瀬ず)は会場で札ガールとして手伝いをしている。
名人は圧倒的な強さで周防に決まるが引退を宣言、そしてクイーンは詩暢に決まる。この会場に綿谷新(新田真剣佑)が観戦に訪れていて、周防に「やめんでくれ!原田先生の仇は俺がとる」と宣告、千早に「団体戦で全国大会に出る」と言い、「好きだ!」と告る。
この様子を真島太一(野村周平)が見ている。千早に対して新が「忍れど・・」、野村が「恋すてふ・・」という関係になります。そして周防名人の出現で太一の運命に大きな影響を与えます。
学校の進学指導が始まり、太一は家族から東大医学部を期待され、千早には話さず、部活を休み予備校に通うようになる。千早は進学に興味を示さず志望は「カルタクイーン」だという。
東京大会出場の名簿提出の段階で、千早は太一の退部の事実を知る。このことが受け入れられない千早を西田優征(矢本悠馬)、大江秦(上白石萌音)、駒野勉(森永悠希)が支え、大会は勝ち数で準優勝となり全国大会への切符を手に入れる。
試合での西田による新米筑波の鍛え方、相手の札合わせを見抜いて対抗する行動は面白い。
一方、新は4人のメンバーで前岡東高カルタ部を結成、1名は1年生ながらクイーンレベルの実力で新を慕っている伊織。
伊織が近づけば「俺、好きな子がいる」と口にする新。このコンビが面白いです。
太一の受験勉強は進まないし、カルタを忘れられない。彼は周防名人の門を叩き指導を求める。
千早は、太一の退部が受け入れられない。彼を思い出し泣くシーンで、広瀬さんの悲しみの演技に泣かされます。
しかし、ここから、新入部員を持つ責任感から、原田先生に「チャンスにドアノブーはついてない、力をつけておけ!」と教えられ、泰ちゃんの支えで和歌のもつ力を知り、カルタ部に何が残せるか、太一を受け入れるために何をなすべきかと、自分はこれまで支えてもらったがこれから支える側に立とうと成長していきます。
一方、太一はどうしたら今のカルタの実力をレベルアップできるかと考える。そして、原田先生から「運命戦は運命でない(自分で掴め)」、周防名人から「花の色は・・」(小野小町)の歌を例に「青春は二度とない。一瞬を永遠に留めよ!あとは君が一線を越えることだ」と教わる。このことばで太一は千早のもとに駆け出す。
ここからの怒涛の展開、すばらしいです。そして3人の愛の結末を・・・。劇場で確認してください。
千早は、自分本位に突っ走る子でしたが、太一がいなくなったことで大泣きし、他を思いやる子に変身して行きます。
広瀬すずさんがこれを見事に演じています。ご本人も役とともに成長したのではないでしょうか。アップの顔が頼もしい、すばらしい女優さんになりましたね!
松岡茉優さん、今回は出番が少なかったですが、松岡さんでなければ演じられない役、怪演でした。(笑) 大きく育っています!
清原果耶さんの伊織役、朝ドラ「あさが来た」(2015)から観ていますが、こんなに力強く演じられるかと驚きました。なによりもびっくりしたのは賀来賢人さん。陰のある、複雑な心情をもつ周防役を見事に演じていました。
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