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「ザ・スクエア 思いやりの聖域」(2017)

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現代美術館のキュレーターが発表した展示作品「ザ・スクエア」が、世間に思わぬ反響を生み、とんでもない大騒動へと発展していく皮肉な運命の悲喜劇。監督は、リューベン・オストルンドスウェーデン)。初鑑賞作です。原題:THE SQUARE
70カンヌ映画祭パルムドール賞作品ということで、現代美術などあまり縁のない自分にはかなりハードルが高いですが、観ることにしました。( ^)o(^ )
 
“現代美術とはなんぞや“は理解できなかったが、() 主人公の理想とはほど遠い大矛盾行動に、そこに立っている自分を見ることになり、結構、身につまらされる話でした。観終わって、なにが正義かとじわじわと考えさせられる作品です。()
福祉国家であると思っていたスウエーデンに、そこら中に「物乞い人」が溢れていることに驚きです。
 
主演はクレス・バング(「ドラゴン・タトウ―の女」続編の出演決定)、共演にエリザベス・モス、ドミニク・ウエスト、テリー・ノタリー、クストファー・レス。
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物語は、冒頭、現代美術館のキュレーター・クリスティアン(クレス・バン
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グ)が、「ザ・スクエア」という地面に正方形を書いた作品を展示するにあたって、インタビューを受けるシーンから始まる。インタビュアーは記者のアン(エリザベス・モス)。何を論じているのか、インタビューが悪すぎてよくわからないが()、この美術館には宣伝する資金がないらしい。

コンセプトは「すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」という「思いやりの聖域」をテーマにした参加型アートで、現代社会に蔓延するエゴイズムや貧富の格差に一石を投じる狙いがあるというもの。この高邁な正義を掲げる彼が、現実の生活のなかでいかなる行動をとるかが問われる。
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朝の出勤時、道路沿いにたくさんの“物乞い”が並び街頭では「救いの手を」とチラシを配るが誰も見向きもしない。自分には関係ない、誰かがやると思っている。()
クリスティアンは、女性の「助けて!」に応じて彼女を守ろうとして携帯、サイフ、カフスボタンが盗まれる。盗まれた物を取り戻すため、GPS機能を使って犯人は移民者専用アパートに住んでいることを突き止め、“全戸”に脅迫めいたビラを配って犯人をあぶり出そうとする。
その甲斐あってか、盗まれたものはすべて手元に戻る。お金には一切手が付けられておらず、この金でクラブ「王宮」で遊び、酔っぱらった勢いで「彼女とは寝ない」と言いながらアンの部屋に押しかけ、関係を結ぶ。「こんなことに使う金なら、少しぐらい寄付しなさい!」
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濡れ場は北欧らしくたっぷり見せてくる。アンが激しく絡む。翌日、アンが彼の本心を確認にくると、思わせぶりな恰好つけた返事をする。遂に切れたアンから「あなたは自分の地位を使って女を征服する男よ」と辱められる。「高邁な男がこまい男」になっている。()「傲慢さ」「酒のせいにするな!」
 
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ある少年が「脅迫めいたビラ」で自分が盗みをしたと叱られたと、謝罪を要求してくる。部下に任せて対応していたが、自宅にまで押しかけられ、耐えられず突き飛ばしてしまう。しかし、彼の「助けて!」の声に苛まれ、紛失した少年の住所メモをごみ集積場のなかに探すが見つからない。なぜ謝罪しなかった。
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クリスティアンバツイチ、二人の娘がいる。喧嘩する娘たちを仲直りさせることはできないが、美術館に連れてきて「携帯をスクエアのなかに置いておけ!帰るまで預かる」と指示し作品のもつ「信頼心」を鑑賞体験させる。こんなクリスティアンが、なぜ、盗まれた携帯の捜索に脅迫まがいの執着心を持つのか。
 
現代美術愛好家を招いてディナー会を開催。美術館の展示写真モデル:モンキーマン(テリー・ノタリー)に猿のモノマネを余興で演じさせると、招待客は当初は笑ってみているが、行動が過激化してくると自分のところには来ないでと鎮座する。女性の髪を掴み乱暴を振舞っても、誰か助けるだろうと
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見ている。しかし、女性がレイプされかけた時、初めて人々は事態の重大さに気づき行動する。誰かが勇敢に飛び込むと、多くの男たちが援護に加わり、暴力で復讐する。集団のなかにおける個人の行動原理は「見て見ぬふり」「皆でやれば怖くない」。
しかし、この企画が理解できない。モンキーマンをモデルに写真展示したコンセプトは何か。モンキーマンに猿を演じさせることが、彼にとっては、悪意にとられるとわからなかったのか。
 
ザ・スクエア」の広報についてスタッフで論議が交わされるが、なかなかよい案が見つからない。そこでやり手のPR会社に任せることにする。彼らは、youtubeで動画を見せるのが効果的と、スクエアの中で物乞いをする移民少女が爆薬で吹っ飛ばされる映像を流す。動画はあっと言う間に炎上。スク
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エアのコンセプトとは真逆ではあると大問題になり、記者会見の場で糾弾され、クリスティアンは「担当者に任せていた」と釈明するが、辞職へと追い込まれる。他人任せの「責任逃れ」。
 
クリスティアンは、キュレーターの地位を失い、娘のチアリーデイングに付き合って仲間に支えられる姿を見て、「謝りたい」と少年の移民者専用アパートを訪ねるが、すでに移転したと聞かされる。彼は少年のことを悔い、ここから”思いやり”の第1歩が始まる。スクエアって、日本では「特区」ですね。先ずは自らの身を糺すことから始めねばならないですね。(笑)
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