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第17回「西郷入水」

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吉之助(鈴木亮平)たちは、苦しい旅をしながら、薩摩にたどり着く。いきなり家に入ってきた吉之助たちを見て、吉二郎(渡部郷太)たちが驚く。月照尾上菊之助)を着替えさせ、布団を敷いて休ませ、「上人様は殿と縁の深い人で、命に代えて守らねばならない」と皆に事情を話して納得させる。おばばのきみ(水野久美)の年老いた姿に年月を感じる。
 
鶴丸城。久光(青木崇高)が嫡男茂久(中島来星)を連れて、お由羅(小柳ルミ子)とともに江戸から薩摩に戻ってきた斉興(鹿賀丈史)に挨拶のため訪れれる。
実は久光は、死の床にあった斉彬(渡辺謙)に呼ばれ、遺言があったという。まさかここで、斉彬が出てくるとは思わなかった。() 
家督は嫡子・哲丸ではなく、茂久に譲る。久光には茂久を支え、家中の不穏な者たちを抑える役目を頼みたい」というもの。その際、「兄上のご無念
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を晴らしかち思っておいもす」と答えたという。「そちが兵を挙げるのか。よくわかった」と斉興はあっさりこれを認め、うす気味悪い笑を漏らす。この笑みの情報が欠けているのでは?
 
江戸城。家定(又吉直樹)を亡くした篤姫(北川慶子)は落飾し天璋院と名乗り、新たに将軍の座に慶福(荒木飛羽)が就き家茂と名を改めた。
天璋院は、家茂に真の母と思って頼って欲しいと訴えるが、直弼(佐野史郎)に悪口を言い含められている家茂は「母上は私が嫌いでは。徳川を継ぐのをよく思っていない」と態度は冷たい。この様子に、幾島(南野陽子)は「十分務めは果たした。薩摩にお戻りなさい」と勧める。しかし、天璋院は自分は家茂の母だと言い張り「もう帰るべき家は薩摩ではない」という。
幾島は「戦に負けた者が咎を受けるのがあたりまえ、大老にもこれで示しがつく。京に帰ります」と申し出る。天璋院は「ならぬ」と涙ながらすがり止めようとするが、幾島は「しっかりせなあきまへん!」と言葉を残して去る。襖の外で、幾島が涙を見せる。おふたりの切ない感情がよくでたお芝居でした!
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吉之助が帰ったことを知った正助が西郷家に走り込んできて、「腹を切って、殿の後を追ったんじゃなかか」と無事を喜べば、「まだ死ねん。あす城に上がって月照様の庇護を進言する」と言う。正助(瑛太)は江戸から斉興が帰り、事業が変わって無理だと諭す。しかし、なんとかして月照を隠したいという吉之助の頼みを聞き入れ、満寿(美村理江)を介して山田(徳井優)と会う。正助は、額を床にこすりつけ、ふたりを助けて欲しいと嘆願書を山田に渡す。
 
家臣一同が顔をそろえた謁見の間。藩主・茂久の脇に久光が着座している。そこに「まて!」と斉興が入ってきて、「これからは新しい殿を皆で支えご公儀に恭順の意を示す。斉彬のように兵を起こすことなど言語道断である。金のかかることはせん。これから鎌倉以来の威信を取り戻す」と言い渡す。久光が抗議するがことごとく撥ね付け、斉彬の非をあげつらう。
威厳のある態度に家臣たちから斉興を支持する声が上がる。山田は勢いに飲まれて、嘆願書を出すことはできなかった。斉興は実権を取り戻し、吉之助と月照には、日向送りの沙汰が下る。
 
隠屋の一室。「二人そろって日向おくりはおかしい」と仲間たちがいきり立つ。これを聞いた吉之助は「無駄な血を流すな、藩の者同士が争うときでない。自分たちが相手にしなければいけないのは異国と、異国に言いなりの幕府だ。この大義を忘れたらいかん」と諫め、皆に酒を勧める。「この大義をわすれたらいかん」というなら、自らが死を選ぶ選択岐はないはず。
 
吉之助は月照に「すいませんでした。お救いすることはかないません」と告げると、「私の命はとおにあげてあります」と月照。西郷はなぜ斬らせてくれと言わないのか。
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正助は「まだ諦めん!」と翌日、記録所で囲碁を並べる久光に吉之助の助命を直訴するが、久光は「おれには力がない。ふたりの命など知らん」と足蹴りして断る。
 
正助は再度、山田に頭を下げて、斉興に目通りして吉之助の助命を願い出る。「このままでは藩中に争いが起きる。西郷なら抑えられる。やらせて見せます」と申し出ると、これに斉興は乗る。
 
ことの重大性、正助の身分から、この設定には無理がある。正助が自分の判断で月照を斬れ」と勧めればよい。正助の非情さが浮き彫りになり、西郷を思う気持ちも表現でき、正助の凄さが出てくる。
瑛太さんの佇まいがここにきて変わってきて、才が立つという感じ。演技も自然でいて力があり、西郷が小物に見える。
西郷は家族にうなぎ料理を食べさせ、すでに死を決めて、家族とのひとときの歓談を楽しんでいる。
 
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夕刻、正助は吉之助に会い「手をつくしたが駄目だった」と話せば「いまの薩摩には俺も月照様も生きたらいかん。運命だ」という。「ひとつだけ策がある。月照様を斬れば、おはんの命だけは助けてくださるち。ご隠居様に直談判した。死ぬことはなか!頼む!」と懇願する。吉之助の顔色が変わる。「斬れか!」「薩摩のため、日本のため、いや俺のため」。「正助さん、あいがとな。そこまでやってくれて」とこれを受け入れる。吉之助は、斉彬暗殺を企てたと嫌疑した斉興の許しでは、その恩にすがれない、すがる気持ちもない。
 
船上の吉之助と月照。吉之助が「寒い夜なのに寒くない」という月照に「震えている」と吉之助。月照が「やはり未練ですね!心に決めても身が生きようと震えます」としたためていた歌「大君のためには何かしからん 薩摩の追門に身は沈むとも」を取りだす。
 
吉之助を見送った正助に熊吉(塚地武雅)が「斉彬から賜った短刀を床に間に飾って出た」という。正助は「行かせてしもうた。吉之助、死ぬな!」と叫び走る。
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吉之助は震える月照の手を握って「ともに参りもんそ!」と声をかけ、「ありがとう。これで長い旅も安心できます」という月照と肌を合わせたまま、やすらかな顔で海の中に身を躍らせた。「二つなき道にこの身を捨て小舟、波立たばとて風吹はばとて」と絶世を胸に忍ばせた覚悟の入水であった。
 
吉之助は月照を伴い、苦労をしながら薩摩にたどり着いたが、斉興の時世。正助の懸命の努力ではあったが、月照を斬ってまで生きることはできぬと命を絶つ。吉之助のこれまでの人生最大の決断。しかし、月照を斬れない心情が伝わってこない。理由がわからない。山中で涙して誓った「殿の遺志を果たす、生きて、生きて、生きる。ありがとうございもした」はなんだったの
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か。月照を斬って生きて斉彬の遺志を継ぐのが本懐だろうに、わからない。非情のなかで生きていくには、西郷はやさしすぎたということなのか。
入水の映像が随分と凝ったものになっている。映画「シェイプ・オブ・ウオーター」(2017)でした。
() なにを訴えたかったのでしょうか。BL?
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記事 20180507
西郷どん>第17回視聴率12.0% 0.9ポイント回復