映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ラプラスの魔女」(2018)

イメージ 2
ここのところ洋画が多いので、ここは邦画と本作を選びました。原作が東野圭吾さんの同名ベストセラー小説(未読です)、かつ出演者も豪華。広瀬すずさん狙いで観ることに。監督は三池崇史さん。主演は櫻井翔さん、福士蒼汰玉木宏リリーフランキー豊川悦司さんらが共演です。公開日初回、劇場は満席でした。狙いは主演の櫻井翔さん、東野作品?
 
自然現象を予知できる超能力を持つ男が引き起こす殺人事件を、「ラプラスの魔女」という未来予知能力をもつ女性に導かれ、事件の顛末を見定めるという地球化学教授の物語。サスペンス・ミステリーというのが売りです。
 
物語は、竜巻にあい母と離れ「ママ、ママ」と叫ぶ少女の映像に次いで、ある温泉町で起こった硫化水素事件でガスマスクを被って調査し「もう安全、この数値なら問題はない」と安全宣言をする地球化学教授・青江(櫻井翔)。雪の中から死体が現れる。
イメージ 1

事件現場に赤い帽子・コートの女性(広瀬すず)が「死体はどこ?」とやってくるが、立入禁止と断れる。事件担当刑事・中岡(玉木宏)が、教授に「殺人事件の可能性は?」と聞くが「濃度が低い、それはありえない」と否定。
旅館に再び刑事が訪れ、ガスによる事件性についてしつこく聞く。この旅館にあの赤い帽子の女性も宿泊していて、子供が
イメージ 6
ジュースを零す前に、携帯をよけてしまう。(この動作が魔力と、あとで気づく())ここで「タイトル」。次いでラプラスの方程式が表示され、青江教授の講義シーンにつながる。
 
この冒頭シーンから、いろいろなことが見えてくる。本作、「“ある瞬間”の全物質の力学的状況とエネルギーを知り、計算できる知性があれば、すべての未来が見える」というラプラスの方程式をモチーフにした物語。超高速コンピューターを頭脳に備えた人間が、“状況方程式”を高速計算し、予測結果を知ることになる。冒頭の「子供がジュースをこぼす前に、携帯をよけてしまう」シーンが超能力です。() このような力で、どうやって殺人事件が起きるのか? 
 
メッセージ性があり、物語としては、とても面白い。しかし、知性、恐怖、意外性、感動などが伝わってこず、映像化にとても苦労したのではないで
イメージ 3
しょうか。それだけに、既読者から叩かれるでしょう。ドライアイスによる硫化水素ガスの滞留実験、10分前に雨を予測するシーンなど超能力といわれても映像的に迫力がない。()
 
竜巻で母と離れ「ママ、ママ」と叫ぶ少女の映像が、いったい何を表しているのか。物語が進むと、この少女は羽原円華(広瀬すず)で、この事故で母(壇れい)を失った悲しい経験から自ら志願して竜巻の発生を予言するため危険な身体改造をしたことがわかる。しかし、ここに、この映像を持ってくることの狙いがわからない。さほどに、過去の事実を伝える映像の挟み方に問題があり、誰の情報なのか、いつのことなのか分からず、混乱をきたす。プロットのつなぎが悪すぎる。
 
犯人は早い段階で割れ、その動機に焦点が置かれるが、サスペンス・ミステリー感はあまりない。主題になるのが映画監督・甘粕才生(豊川悦司)家族
イメージ 5
のはなし。あまりにもおぞましい!もうすこし丁寧に描がいてもらわないとよくわからない、感情移入しにくい。
TAOさん演じる桐宮、高嶋さん演じる武尾の役割がわからず、その必要性があるのか。
 
自然現象を予知できる犯人の物語。硫化水素が停滞することでの恐怖、竜巻の恐怖をしっかり見せる必要があるがぱっとしない。カーアクションや格闘技の見せ場もあるが、予算に制約があったのか()監督の出番が少なかった。ミステリーに挑戦し苦労したのではないでしょうか。
そんななかで、物語のハイライト、廃屋での決闘シーン。ほんとに狂ったような建物や内部美術にあぜんとさせられた。ここでは決闘より、犯人の吐くセリフがよかった。
( ^)o(^ )
イメージ 4
しかし、佐藤江梨子さんの「勘違いしないで、私があなたを利用したの!」というセリフは理解できなかった。こういう観る人を置いてきぼりにするセリフが散見される。
 
主演の櫻井さんは、「ラプラスの魔女」という魔力をもつ広瀬さんを追い事件の成り行きを見定め、ラストで原作者・東野さんのメッセージを伝える役割。肩書は年齢風貌から、教授というより助手でよかったのでは?
ラストの「超能力はいらない」「夢をみたい」のメッセージがとてもよかった。人類にとって、科学の進歩は真に幸せをもたらすか。このことを問うているようで、原作が読みたくなる作品。()最後に、広瀬すずさんの目の輝きに魅せられました。( ^)o(^ )
****