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「犬が島」(2018)字幕版

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91アカデミー賞アニメ映画賞部門にノミネートされた作品。「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が日本を舞台に、「犬インフルエンザ」の蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちが繰り広げる冒険を描いたストップモーションアニメ。
 
監督独特な絵、とぼけた会話。まずはこれに驚かされます。監督の間の取り方、キャラクターの動きがとてもユニークで、観ているだけで笑いを誘います。また、字幕版での犬は英語、人間は自国語となっており、犬目線で描かれています。
そして、監督の日本文化へのこだわり。神道、浮世絵、寿司、相撲、ラーメン屋、俳句、和太鼓など日本の文化がしっかり取り入れてあります。特に寿司弁当の作り方がコミカルに描かれています。()
 
近未来の日本。メガ崎市で“犬インフルエンザ”が大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。そこに住む犬たち、高校生の犬愛護活動家・ヒロシ編集長と交換留学生のトレーシー・ウォーカーらの協力で、スポットに再会し島に犬たちを救済。さらに、独裁化していくメガ崎市政を改革するという話。
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監督の皮肉とユーモアで「犬は人間のペットではない」というメッセージ。気に入らなくなればポイと捨てる日本の動物愛玩風潮に一石を投じています。
 
アタリと行動を共にする犬たち。仲良しの元ペット犬の4匹、快適な家の中で飼われていたレックス、22本のドッグフードのCMに出演したキング、高校野球で最強チームのマスコット犬ボス、健康管理に気を使ってくれる飼い主の愛犬デューク。
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5匹の犬が並んでいるシーンには、どのシーンにも癒されます。「なぜこいつらは捨てられたのか、逃げたのか」と人間の犬に対する無神経さに腹立ちます。()
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犬たちは英語で話すが、アタリには通じているのか? 本当の犬好きには分かるということ。犬たちは多数決で採るべき行動を決め、独裁でないというのが面白い。
チーフがノラになった経緯。子供が可愛いい撫でたのだろうが、チーフには大きな恐怖で噛みついて大怪我をさせたので家を出たという。これは犬と付き合う上で気をつけねばならないこと。
 
アタリはスポットを救出し、犬島の犬全滅を図ろうとする市長と対峙し、犬の救済を“俳句”「何ゆえに 人類の友 春一度花」に託して懇願する。これに市長が感激して、計画を取り下げる。() 日本の文化や伝統の中に、危機を救う鍵があるということでしょうか。
この懇願には世界に向けたすばらしいメッセージが託されています。( ^)o(^ )
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この作品の見方は、難病、貧困、世界人口の激増、差別等をメタファーにした物語としてとらえることができ、いろいろな解釈ができる面白い作品だと思います。
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