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第26回「明日なき暴走」

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アムステルダム大会が迫り、体協が相変わらず資金難に苦しむなか、田畑政治(阿部サダオ)は記者人脈を生かして、政界の大物、大蔵大臣の高橋是清萩原健一)に選手派遣のための資金援助を直談判する。アムステルダム大会では女子陸上が正式種目に。国内予選を席けんした人見絹枝(菅原小春)はプレッシャーに押しつぶされ、期待された100mで惨敗。このままでは日本の女子スポーツの未来が閉ざされる。絹江は未経験の800mへの挑戦を決意する。
感想:
田畑政治高橋是清説得。あと2年の命と知った男の執念、勝鬨亭に生まれ落語を聞いて育った田畑に敵なしです。時代がこの人を求めていた、これでオリンピックと落語が結びつきました。() 荻原さんと阿部さんの絶妙な演技、これが見納めと思うと、残念で仕方がない。萩原さんのセリフが脚本通り?というのに驚いた。命がけの出演ではなかったかと。
 
しかし、政治はアムステルダムに監督として参加できず、「4年後のロサンゼルスで世界を制す」と誓った。命が短いということが、彼をして「夢」をも先取してしまう。
 
人見絹枝のメダル獲得。その原動力は、「負けたらやっぱり女はだめだ」というプレッシャーだった。全く経験のない800m走に出場するという決死の決断。明日なき暴走だった! 走る映像に涙がでました!ウルフのような目、菅原さんの一途さが見える演技が冴えていました。走る姿に、シマの姿が重なっていました! そして24歳で亡くなったと聞いて、涙が止まらなかった!
大根仁さんの演出回。自らがツイートした「はっきり言って自信作です。自己評価は10年に一本作れるか作れないかレベル」。確かに、こんなに力強い美しい人見さん:菅原さんの映像に感動しました!
人見さんの荒々しさと、女性らしさの溢れたすばらしい演出でした。( ^)o(^ )
絹枝の獲得したメダルを見たトクヨが「次は結婚ね」と尋ねると、絹枝は「もうしばらく走ります。私の走る姿を見て、勇気付けられる人がいるかぎり、人見絹枝は世界を駆け巡ります」と大きな走る意味を見出しました! 今日、日本の女性選手たちが世界で走っていて、過去が現在に繋がるというすばらしい大河ドラマになっています。( ^)o(^ )
 
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1928年オムステルダムオリンピックへの招待状が体協に届いたが、治五郎は経費のめどが立たず「金がない、やめる」と叫ぶ始末。岸が「自分で集めて来い!」と政治らを怒鳴りつけた。
そこで野良カッパの政治、渡航費を手に入れようと、高橋是清邸を訪ねると、高橋は「加納君がスポーツと政治は無関係だというから金も口も出さんでやってきた」とオリンピックなど興味がないという。
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政治が「政治家は金も出し、口もだせばいい。それで若い者が西洋人を打ち破れば、自分たちも立ち上がろうという者が出てくる。この力を利用したらいい」と説得する。このことばで、高橋はオリンピック特別予算として6万円を差し出した。政治は勝鬨亭に生まれだけに、落語を聞き慣れ、説得がうまい。()
 
これで水連は100自由形に高石、100m平泳ぎに鶴田ら11人の日本代表選手を選出した。政治は監督としてアムステルダム行くつもりで休暇届けを出すが、緒方(リリーフランキー)が「そんなにいたら政権が変わるぞ!尾高を行かせる」と認めない。そこに「アミキトク ハママツカエレ」の電報が届く。
 
今回は、人見絹枝、女子で初めてメダルを手にした選手の話です。
 
シマに陸上競技を勧められた人見絹枝が岡山から上京し二階堂体操塾に入学し、いくつもの種目で日本記録を打ち立てていった。
しかし、トクヨ(寺島しのぶ)が「幸福ですか?」と聞くとこれを否定する。三段跳びで世界記録まで出したが、国際大会への誘いを断ろうとしていた。彼女は「走ればバケモノと野次られ女子はスポーツをすべきでなく、子供を産むことが幸せかも。自分はそうなれないし、なれなくてもいいから不幸です」という。
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トクヨが「違う!どちらにも勝つ。あなたはメダルも取り、結婚もする。あなたには品がある。女性としての恥じらいがある。どっちも手に入れて、初めて女子スポーツ界に革命が起きるんです。国際大会に出て女子スポーツの未来を変えるべし!」と絹枝を激励した。
今ではばかなかしいような話ですが、大きな女性はバケ者という大きな偏見で見られ、絹枝は苦労したんですね!
 
こうして出場した国際大会で絹枝は好成績を上げ、総合優勝を果たす。この年、女子の陸上がオリンピックの正式種目に採用さえた。
 
しかし、体協では、絹枝のオリンピック出場について、四三(中村勘九郎)と野口(永山絢斗)が反対した。
四三は「オリンピック選手の最大の苦しみは、国民の期待を裏切ってはならないということ。女子には、メダルを取れず帰国するつらさに耐えられない」と自分の体験を述べた。いかにプレッシャーが大きいか分かります。
これに政治が「男でも女でも勝てる選手を出せ!」と口を挟む。野口が「勝ちではなく選手の気持ちの問題なんだ!」と反論する。政治は「選手の面倒を見るのが監督。今まで何してたの?選手に全部負わせるからプレッシャーになり、押し潰されて実力を発揮できないんだよ!」と言い返す。
いきり立った治五郎の「人見君はシマ君の意思を継いでいるんだ。人見絹枝は負けん!必ず勝つ!」で絹枝の参加が決まった。
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人見は記者会見で「精一杯戦ってきます」と語った。トクヨが「女性らしく戦ってください」と髪止めのピンとシベリアを贈った。
 
昭和31028)年6月、日本選手団シベリア鉄道アムステルダムに向かった。たった一人の女子選手である絹枝は、男子選手の洗濯や縫物の世話を任されていた。
 
728日、オリンピックが開幕。聖火台が初めて設置された。記事を書き、モールスで送られ文字にする。時間がかかった。写真は2週間前に、あらかじめ撮っておいて、気分の出た記事にする。政治たちは記者室に泊まり込み、成果に一喜一憂した。

絹枝は翌29日からの陸上競技に参加した。しかし、期待した100m走は準決勝で4位。人見は大きく落ち込んだ。日本の政治たちも「人見が負けた」と世界の壁を感じた。
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男子選手も振るわず、落胆ムードが漂うなかで、絹枝は一度も走ったことのない800m走に出たいと言い出す。
「男は負けても帰れる。でも女子は、負けたらやっぱり女はだめだ、男の真似して走っても役に立たないと笑われる。日本の女子の選手全員の希望が、夢が、私のせいで断たれてしまう。お願いです、やらせてくだし」と何度も涙しながら訴えた。この言葉には、シマやトクヨの想いが乗っているから、泣けます!
 
コーチの野口は絹枝の訴えを認め、800m走を走り抜くためのアドバイスをした。
 
82800m決勝の日、絹枝はトクヨから贈られたピンで髪を留め800m走に臨んだ。いきなTOPに躍り出る。野口が「下がれ!」と指示し、6位に下がった。2周目に入り、絹枝が順位を上げていくと、観客は総立ちとなり「ヒトミ!」コールが響き、最終コーナーで2位につけた。しかし、意識が遠のき思うように足が動かない。このとき野口の「足が重くなったら腕を振れ!」を思い出し、懸命に腕を振り、倒れ込むようにゴールした。2176世界新記録で銀メダルを獲得した。
実録の人見さんのはしり、日本人はこの走りを忘れてはいけません!ビデオで見せてくれてよかった。これに菅原さんの走りを白黒映像として見せるという、とても臨場感がありました。 また、ダンサーの菅原さんが懸命に人見を演じる姿に重なり感動しました。
 
日本では号外が出た。政治はみんなに胴上げされた。
 
絹枝の活躍に励まされるように、男子の織田幹雄三段跳びで日本初の金メダルを獲得。その後の水泳では鶴田義行大東駿介)の200m平泳ぎで金メダルを、800mリレーで銀、高石が銅メダルとメダル奪取が続いた。
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日本に残った政治は、バー「ローズ」で、緒方にオリンピックの心境を語った。
「メダルを取ったがアメリカの強さは圧倒的だ。いつになったら対等に戦えるのかと焦る。どうせ30歳までしか生きられないのだから、若い者のためになんでもやりたい。これを邪魔する年寄りは政治家だろうが軍人だろうが噛みついていく」と。ママはもう一度手相を見ると刃物をもって「生命線延長する」と政治に迫る。()
 
日本選手団が帰国した。政治は東京で待つのではなく国府津まで出迎えに出た。
駅で選手たちが奪取したメダルを示し「アメリカは強いが次は勝つ」と4年後の意気込みを語った。
これを聞いた政治は「わが水連は世界一を目指す!必勝のプランを立てて実行し、4年後のロサンゼルスで世界を制す」と誓った。
命が短いということが政治を突き動かしていますが、「夢をもつことの大切さ」を教えてくれますね!
 
人見絹枝はラジオで「あなたはバケモノと言われるが、世界にでれば何でもない、あなたは称賛に代わるとシマ先生に言われた。日本の女性が世界に飛び出ていく時代。皆さんは幸せな日本の女性です」と語りかけた。
 
絹枝は帰国後、銀メダルを手に二階堂体操塾を訪ね、真っ先にトクヨにメダルを見せた。「おめでとう。あなた、幸福?」「はい」「では次は結婚ね」。
絹枝は「もうしばらく走ります。私の走る姿を見て、勇気付けられる人がいるかぎり、人見絹枝は世界を駆け巡ります」と。そこには屈託ないダンスを楽しむ人見の姿があった。3年後24歳で人見絹枝は亡くなった。
今日、絹枝の意思を継ぐように、日本の女性選手たちが世界で走っていますね! すばらしいドラマでした。
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