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第28回「走れ大地を」

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ロサンゼルスオリンピックが迫るなか、関東大震災からの復興に手ごたえを持つ東京市長永田秀次郎イッセー尾形)は、東京にオリンピックを招致する構想をぶち上げる。田畑政治(阿部サダオ)がロスの前哨戦と位置づける日米対抗水上競技大会が開幕すると、日本水泳陣はアメリカチームの圧勝。本大会に向けて勢いに乗る田畑たちだったが、その矢先に満州事変が発生する。混迷する政局。田畑はスクープを狙って高橋是清(荻原健一)を訪ねるが・・・。
感想:
「走れ大地」はロサンゼルス・オリンピック派遣選手応援歌。このお披露目の日、515日、参加を楽しみにしていた犬養毅首相(塩見三省)が海軍将校たちに暗殺されたという。
オリンピック応援歌の発表会で「走れ大地」の曲が流れ、水泳選手が懸命に練習しているなかで、犬養毅が官邸で銃撃される状況が語られるという演出。犬養への軍の襲撃が一層無法な惨いものに思え、この世情に大きな怒りを感じ、犬養の「武力に訴えてはいかん。話せばわかる」という言葉が生きて、胸に迫ってくる。緊張感のあるいい演出でした。
 
瀕死のなかで「今の若い者をもう一度呼んで来い!話してやる!聞かせてやる」と叫び、息を引き取った壮絶な死。塩見三省さんの犬養毅そっくりなメイクでの熱演、みごとでした。
 
選手壮行会で治五郎(役所広司)が語る「こんなときだからこそ諸君は、スポーツ大国に成長した日本の姿を世界に見せなければいけない!国際社会で孤立しつつある日本を背負って、懸命に戦ってくれ!」には、スポーツを愛する日本人を知って欲しい、平和へ願いが滲み出ていた。
 
犬養毅の生家近くに住んでいるものですか、資料館もあります、ここが紹介されなかったのは残念でした。
 
こんな暗い時代に、政治をはじめ選手たちは懸命に練習し、日米対抗水上競技大会では米国を打ち負かして、オリンピック参加への道を開いた。政治の努力が如何に大きかったが分かります。
勝つことに執念を燃やし突っ走る政治に、しっかり選手の心情を理解して指導する松澤とのコンビ。松澤さんの演技に癒されました!
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田畑政治が水泳の総監督としてロサンゼルスオリンピックで勝つことを目標に邁進。オリンピック前に、日米対抗水上競技会を開催しアメリカを徹底的にたたきのめし自信喪失に陥れてやると意気込んでいた。
昭和61931)年87日、日米対抗水上競技大会が幕を開けた。13千収容の神宮プールのスタンドは超満員となり、大声援のなかで、日米のベストチームがしのぎを削った。女性の大声援で入場する高石(斎藤工)が恰好よかった!() 日本は世界の王者アメリカに圧勝した。
 
河西アナウンサーの司会で熱戦を振る返る番組が放送された。男子100自由形では1位は米のハウランド、2位宮﨑、3位高石。平泳ぎの鶴田(大東駿介)は2位とベテランが振るわない。女子平泳ぎで前畑(上白石萌歌)が優勝するなど、女子のはつらつとした泳ぎが注目を集めた。田畑は、ベテランにも期待できるとする監督・松澤(皆川猿時)と異なり、この成績に満足しなかった。
日米対抗水上競技大会は興行的にも大成功だった。政治はアメリカの監督キッパスと「この勝負、ロスで決着をつける」と約束した。
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政治は治五郎から体協理事への就任を要請されたが「水泳走監督としてロスに行く。体協理事なんてよけいな看板。口ひげを生やしたご隠居さん」と断った。治五郎は「無礼な!」と激怒した。
東京市庁舎での永田市長面談に、陸上総監督・山本忠興と共に同行させた。
 
面会の席で永田は、昭和151840)年東京オリンピック誘致計画を語った。山本はすでにIOC委員のエドストロームと会談しており、可能性はゼロではないと言われていた。
関東大震災から7年がたった今、日本を世界に見せたい。日本人の精神に触れて持ち帰って欲しい」という永田に「世界中の人が東京にやってきて、人種も思想も超えてスポーツで技を競い合う。まさに平和の祭典だ」と治五郎は賛同した。
 
しかし、治五郎には資金調達のめどがまったくなく、山本とともに誘致計画について岸(岩松了)に話すと「オリンピックの何たるかを知らん政治屋に耳を貸す暇はない!こちらロサンゼルス大会を前に地獄の集金だよ!」と激怒される。
 
水泳の盛り上がりで国民のスポーツ熱が高まり、治五郎は、東京オリンピック誘致の機が熟したと感じていた。だが岸は金、通訳、宿舎、交通機関と、何もかも足りないと反対する。
岸(岩松了)が「補助金を渋っていた役人に、手の平返しの“たわごと”に脅され・・」と言えば、治五郎が「たわ事から始まるんだよ!たった二人の選手でストックホルムオリンピックに参加して20年、東京オリンピックは日本国民に希望を与える大仕事だ。これが私の悲願なんだ」と説得する。「やってみます」と岸に返事。
 
ところがその出鼻をくじくように、9月に満州事変が起きた。記録フィルムで紹介。
政治が所属する朝日新聞政治部では、「事態は戦争に発展する、いや爆発は大したことではないとか」と情報が錯綜していた。実は関東軍の自作自演だったのでした。
そんな中で政治だけがオリンピック応援歌を一般から募集するための記事を書くのに夢中になっていた。()
 
政治は河野(桐谷健太)とバー「ローズ」(薬師丸ひろ子)へ行き、「満鉄の爆破は関東軍による自作自演だ」と聞かされる。そして、河野が「中国との戦争が長引けば、日本は国際社会で孤立する。オリンピックどことではない。俺は記者を辞める。新聞はもうだめだ、言論の自由が軍に奪われる。お前どうするんだ。記者なら特ダネひとつでも取って来い!」と発破をかけられた。
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政治は高橋是清邸(荻原健一)をお土産に派手な履物を持って訪ねた。()「バカ!」と一喝される。「君は政治には向いていないが、悪運に強い」と言いおいて「若槻礼次郎内閣が総辞職し、犬養毅塩見三省)が次の総理になる」と明かした。そこに犬養が現れ政治は仰天した。これは本物だと電話で社の書記(麻生久美子)に伝える。なんとこの女性、「速記文字」を使って書き取っているではないですか! ここでの麻生さんは昭和の女性らしく、とても美しかった。( ^)o(^ )
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「犬養内閣発足、目玉は大蔵大臣、高橋是清」という、政治にとって初めてのスプープ記事をものにした瞬間だった。
 
緒方(リリー・フランキーは「応援歌もやってよし!」と政治を褒め、御祝儀だと言って見合い写真を渡した。日本橋で工業用品を買い付ける「酒井商店」の社長令嬢(麻生久美子)の写真だった。政治は「それどころでない、忙しい!」と出て行った。()
 
昭和71932)年3月、関東軍満州を占領し「満州国」独立を宣言した。
 
軍の不満が高まるなかで犬養が政治の取材に応じてくれた。政治の目的は、犬養に、515日に開かれるオリンピック派遣選手応援歌発表の式典に出て欲しいと頼むことだった。
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「今、アメリカでは反日運動が盛んだ注意しろ、いまの日本には難しい」と言い、話題が満州問題になり「満州国建国を認めるつもりはない。関東軍は愚かだ」と語る。そして、「いかなる場合も武力に訴えてはならん。スポーツはいいな、戦争は勝つほうも負けるほうもつらく苦しい。スポーツが勝っても負けてもすがすがしい。応援歌を楽しみにしている」と笑顔で語った。
社に帰って口述して酒井嬢に筆記させ記事を書き始めたが、俺はオリンピックをやると記事を書くのを止めて、応募してきたオリンピック応援歌の選定に入る。
 
東洋一のYYMCプールでオリンピック参加選考合宿が始まる。男子は全裸で泳がせた。()
政治は、練習中、高石、鶴田がいないことに気付く。鶴田は満鉄に就職が決まり、満州に旅だったという。政治は小池礼三がいるからと鶴田がいなくなったことを意に介さなかったが、助監督の野田(三浦貴大)から「鶴田がいなくなって張り合いがなくなり小池が不振だ」と聞かされ、「直ぐ呼び戻せ!」と怒鳴りつけた。
 
女子の合宿が始まったが前畑がスランプに陥っている。聞いてみると両親を立て続けに亡くし「毎晩両親が枕元に、やっぱり実家の豆腐屋を継ぐべきやったんやろうか。働きもせず水泳ばかりして」と悩んでいた。
そこに、満州から鶴田が戻って来て前畑に声を掛けると、憧れの鶴田に会い言葉を交わしたことで、明るさを取り戻していった。
 
一方、男子チームのキャプテン・高石勝男(斎藤工)は、政治から「今の君にはメダルは取れん。試合には出さん」と言われ憤然としていた。高石は政治の指導能力に疑問を抱き、松澤に激しく食ってかかる。松澤が「ピークを過ぎた選手にもっと目を向けるべきだ」と政治に意見するが、・・・・。()
松澤役の皆川猿時さん、今回は大奮闘。この人で、チームがまとまっているのが分かるという演技でした。
 
オリンピック応援歌は、48千通もの応募の中から、東京の中学生・斎藤龍の作品「走れ大地を」に決定した。
 
ここからは、オリンピック応援歌の発表会で「走れ大地」の曲が流れ、水泳選手が懸命に練習しているなかで、犬養毅が官邸で銃撃される状況が語られる。この演出で、犬養への軍の襲撃が一層無法な惨いものに見え、この世情に大きな怒りを感じる。犬養の「武力に訴えてはいかん。話せばわかる」という言葉が生きて、胸に迫ってくる。緊張感のあるいい演出だった。
 
お披露目の日の515日、首相官邸青年将校たちが闖入、「話せばわかる」という犬養に向かって発砲した。応援歌の式典は中止となり、犬養は瀕死のなかで医師に「今の若い者をもう一度読んで来い!話してやる!聞かせてやる」と叫び、午後1126分に息を引き取った。壮絶な死でした!
塩見三省さんはメイクで犬養毅そっくりだ。が、消えてしまうのが残念!
 
記事室では、「犬養首相凶弾に散る」の記事を見て、社内に「撃った将校は英雄扱いだよ」「世直しだとか、政党政治の終わりだと騒いでいる」の声がある。政治が「社の編集方針は?」と緒方に聞くと「これ以上軍に睨まれたら潰されかねない。こんな時にオリンピックか」。「こんな時だからこそオリンピックだ」と政治が声を上げた。
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ロサンゼルスオリンピックに出場する水泳選手の壮行会が行われた。YMCAプールに集まった選手団と政治を前に治五郎はこう語った。
「こんなときだからこそ諸君は、スポーツ大国に成長した日本の姿を世界に見せなければいけない!国際社会で孤立しつつある日本を背負って、懸命に戦ってくれ!」
政治は、ロサンゼルスオリンピックで選手たちの活躍を伝える電報を書いて歓声を上げた。これを見る酒井嬢。政治たちはオリンピックの地ロサンゼルスへと出立した。
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