映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「殺人狂時代」(1947)この時代に12人の女性を殺した殺人者の方便は?

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「モダン・タイムス」(1936)「チャップリンの独裁者(1940)に次ぐチャップリン作です。NHKBSプレミアムのチャップリン特集で観賞しました。

金の為に殺人を続ける男アンリ・ヴェルドゥ(チャールズ・チャプリン)が、真相が発覚し死刑台に送られるまでの顛末を描くというもの。

無声映画からトーキー作品への変化で、チャップリンこれまでのトレードマーク、チョビ髭に山高帽にドタ靴姿を捨てて、投資家、船員などの姿で登場し、女性の騙しテクニックで笑いを取るというお喋り作品になっています。そしてそのラストは一変して、殺人者としての立派な方便をしてくれます。(笑)

監督・脚本・音楽:チャールズ・チャップリン、「撮影」:ローランド・トザロー

「キャスト」:チャールズ・チャップリン、マーサ・レイ、マディー・コレル、イゾベル・エルソム、マーガレット・ホフマン、ロバート・ルイス、マリリン・ナッシュ、他。


Charlie Chaplin - Monsieur Verdoux (Trailer)

あらすじ:

30年務めた銀行を首になり、株投資家となって病弱な妻と息子お生活を支えるアンリ・ヴェルドウ(チャールズ・チャップリン)。

フローレ家では娘のセルマがヴェルドウに騙されて行方不明と警察に届を出すという。警察は「犯人は3年間に12人の女性が消えており、この女性ではいか。すべて中年の女性で、同じ男と結婚している。船乗りか?」という。

ヴェルドウはセルマに成りすまして郵便屋から現金書留を受け取って、金を勘定する。長年銀行官だけに数えぶりが堂に入ってる。(笑)バロン証券会社からの電話に、指値で大陸ガスを500株注文を出して、金は明日送金すると約束。

ヴェルドウは不動産屋として、売家の下見にやってきた客グロネイ夫人(イソベル・エルソム)に家を売ろうと案内。が、独身で金があると見ていきなり「星座が一緒だ!」なんぞと言い出し関心を引く。が、グロネイ夫人はその気がなく帰っていった。

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ヴェルドウがパリの家具店に戻るとバロン証券から「株価暴落で5万フラン必要だ。期限はあす午前中だ!」と連絡を受けた。

5万フランの金作りに、船員服装で愛人のリディア(マーガレット・ホフマン)を訪ねる。「銀行が潰れる。金を降ろした方が良い」と嘘ついて降ろさせ、これを奪ってドロン!(笑) 最近頻発する事件に似ていますね!(笑)

久しぶりにトランクを持って紳士となり結婚10周年だと家族の元に帰り、金を渡して妻・リナ(マディ・コレル)を労わる。新聞を見ると「世界的不況、失業が拡大中」とある。慌てて列車で、愛人のアナベラ(マーサ・レイ)の元に急ぐ!

アナベラを演じるマーサ・レイ。このガラガラ声とひょうきん表情で芸達者なチャプリンに挑む演技が笑えます。(笑)

アナベラは金満家で貴金属や株、不動産に興味を持っている。これをせしめよと「暴風で浅瀬に乗り上げて!」と船員服で訪ねた。アネベルは「待っていたとボネール!」と呼ぶ。(笑)「無駄使いをするな!不動産や宝石に投資しろ」と忠告するが、偽物の宝石を買わされ、“太平洋電力株”に手を出し、現金は降ろして家に隠してあるという。屋敷はヴェルドウ名義になっているというので安心した。クロロホルムを嗅がせて眠らせ、金を盗んでやろうと思うが、メイドがウロウロして実行できない。諦めてパリに戻った。(笑)

パリに戻ったヴェルドウは紳士服で花屋を訪ねグロネイ夫人に花を週1回贈ってくれるように依頼して、店に戻った。

友人のモーリス(ロバート・ルイス)から「心臓病に似た症状でパタンといくが検出できない薬がある」という話を聞く。(笑)

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さっそくこれを試そうと、街で出会った女性(マリリン・ナッシュ)を店に連れてきたが、女性の旦那が病気で亡くなり窃盗罪で捕まり今出て来たばかりという話を聞いて、自分のことのように思え、薬を試すのを止めた。マリリン・ナッシュの美しさが冴えています。

花屋によって、グロネイ夫人にはきちんと花が届けられていることを確認して、店を出たところでモロー刑事(チャールズ・エヴァンズ)に捕まった。

店に戻って刑事から尋問を受け、「重婚罪」で捕まった。このとき街の女のためにテーブルに出しておいたワインを刑事が飲んだ。本当かどうかを確認に妻のところに移動する列車の中で刑事が死亡した。ヴェルドウは逃げた!

アナベルから金を手に入れようとアナベル邸に乗り込んだ。アナベル用の毒薬瓶とメイド用の漂白罪瓶を準備していたが、手違いでアナベルに漂白剤がメイドに毒薬が渡った。(笑)メイドは髪が全部抜けて大騒ぎ!アナベラが苦しがり、おかしいと飲んだヴェルドウは腹痛で苦しむ。駆けつけた医者の指示で田舎でしばらく養生することになった。(笑)

田舎暮らしのなかでボートで釣りに出て、アナベルの首に重しを着けて湖に鎮めようとするがボートが揺れて自分が湖の中に落ちた!(笑)

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花屋に顔を出すと、グロネイからの電話番号が届いていた。電話すると「あなたに根負けした」というから歯の浮くような言葉を一杯投げ掛けて(笑)、グロネイ邸を訪れ、求婚した!

グロネイとの結婚式。招かないのにガラガラ声のアナベラが参加している。ヴェルドウは見つからないようにと隠れるが駄目だった。遂に式場から逃げ出した。(笑)

「株が大暴落パニックが広がる」「銀行が倒産 暴動が発生 自殺者が出る」のニュースが踊る

ヴェルドウは銀行に電話すると「抵当権を行使する!すぐ返済しろ!」と言われる。家族はどうなるんだ!

そしてバロン証券に「全部株を売ってくれ!」と電話するが「バカ!君は破産だ!」と。

さらに「ヨーロッパに危機迫る。ヒトラーの登場」「ナチがスペインを空爆 民間人が犠牲!」のニュースをカフェで読んでの帰り、「雨の夜アパートに招いてくれた人」と街で声をかけた女性に呼び止められ、カフェ・ロイヤルで食事をした。彼女は「人生大逆転!軍事工場の経営者に出会った」という。ヴェルドウが「今は絶望で早晩死ぬだろう」と答えると「その前に楽しみなさい!人命は理屈を超えているもの。運命に従うのよ」という。

「運命か!」と思っていると、セルマの家族がカフェにやってきた。この家族から必死に逃れようとしたが、彼らが呼んだ警官たちに捕まった。

裁判が始まった。検察官が「法廷史始まって以来の極悪犯罪だ」と主張し、「知性があるのにまともな生き方を捨て善良な授精を殺し財産を奪った」として斬首刑が適当と下された。

「刑の宣告前に言うことなないか」と弁護士(リチャード・アボット)に聞かれ、ヴェルドウは「35年間頭を正直に使ったが、その後誰にも必要とされず自前のビジネスを始めた。世界は大量殺人を奨励しています。大量破壊兵器のためだ。そして罪なき女性や子供を吹き飛ばす。私は大量殺人においては素人です。しかしじきに失う頭だ。いまさら湯気を立てても!」と述べた。

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刑務所に訪れた記者から「君は人を殺し、盗み続けた」と質問され、「ビジネスだ!歴史的に殺しは一大ビジネスだ。戦争も紛争もビジネスだ。人を殺せば悪党、1000万人を殺せば英雄だ。敵が罪を正当化する」と答えた。

神父が「神との和解を取持ちます」とやってきた。「神とはいい関係です。私の敵は人間です」と答えた。「罪への悔いは?」に「罪とは何ですか?天から生まれ落ちたこと。最終的な運命など誰もしらない。罪がなければあなたは失業だ!」と答えた。「魂に神の慈愛あれ」に「私の魂はもともと神のものです」と。

刑の執行官に導かれて断頭台に!

感想:

どうでしたか、笑えましたか。チャプリンは本作を最高傑作と評価していたそうですが、あまり笑えなかった!(笑) アナベラとの毒殺劇やグロネイとの結婚詐欺劇で笑わせ、街で声をかけた女性とのしんみりしたやり取りで人生とは何かを語る脚本。無性に信じたくなる人生の機微に富んだセリフがよかった!(笑)

しかし、この時代を「殺人狂時代」としたタイトルが光る作品で、殺人狂時代のなかにあって、12人の殺人者としての方便が面白い。

前2作に引き継いで観てくると、世界大恐慌から世界大戦の中で市民生活を見て来た貧乏人チャップリンの「機械化が貧富の差を作り、これが戦争を産む」という想いが詰まった方便でした。

共産主義者として米国を追われる一因になった作品とういことですが、戦争直後の戦勝に湧く中でよくもこんな作品を作ったなというチャプリンの想い、覚悟を知る作品でした。

この作品が公開時受け入れられず、受け入れられるようになったのはベトナム戦でアメリカが敗北して時期であったという。この戦で軍産複合体勢力の無謀が明かされ、今もこれが続いていることを思うと、本作の凄さが分かります。

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「ノマドランド」(2020)あなたの人生の見方が変わるかも!

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ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞、トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、今年のアカデミー賞最有力候補といわれる本作、観て参りました。

ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンドは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに亡き夫との思い出や、人生の全てを詰め込んだ彼女は“現代のノマド(放浪の民)”として車上生活を送ることに。

過酷な季節労働の現場を渡り歩き、毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ねる。誇りを持って自由を生きるファーンの旅は、果たしてどこへ続いているのか――。(映画.comから引用)

アメリカでは家を持たずキャンピングカーなどの車上生活で各地を転々としながら仕事をする人を「ノマド」と呼ぶようです。

原作はジャーナリストのジェシカ・ブルーダーが2017年に発表ノンフィクション小説「ノマド漂流する高齢労働者たち」、未読です。

監督・脚本・編集は中国出身で新進気鋭の女性監督クロエ・ジャオです。初めてお目にかかりますが、マーベル新作「エターナルズ」を手がけることが決まっています。

ここで描かれるのは格差社会とか生活苦などの社会問題を扱うのではなく、そういう世界を越えた話、“人はどう生きたらいいか”、“何に生きる価値を見出すか”を問うものになっています。

社会に出て、自分の能力も見えたと思う人にはうってつけの話で、きっと美しいものが見つかります!😊

撮影監督:「ゴッズ・オウン・カントリー」「ザ・ライダー」のジョシュア・ジェームズ・リチャーズ、音楽:「最強のふたり」や是枝裕和監督作「三度目の殺人」などのルドビコ・エイナウディ。

出演者:俳優は主人公ファーンを演じたマクドーマンドと、ファーンと心を通わせるノマドのデヴィッド役を演じたデビッド・ストラザーンのみで、ほかに登場するノマドたちは実際の車上生活者だそうで、とてもうまい演技ではなく、ありのままのお姿で、彼らの話が違和感なく受け入れらます。

もうひとつの主役:自然。美しい夕日、荒涼とした原野、神秘的な岩石の山。荒々しさ海の映像に、きっと心打たれるでしょう。おそらく放浪の旅の中で見る風景は、全てのものに命があると、自分の運命を変えてしまうほどに感動的なのだと思います。


『ノマドランド』予告編

あらすじ(ねたばれ):

2011アメリネバダ州。USジプシムの工場がリーマンショックの影響から閉鎖し、街ごと消失。そこで暮らしていたファーン(60歳)は家を失った。彼女は手製のキャンピングカー(ヴァンガード)に最小限の生活品に亡き夫ポーの思い出品を積み込み、薄い雪の荒れ野を走って、季節労務者としてアマゾンの配送センターで働くことにした。

配送センターにつき、モータープールに車を停める手続きをする。なんと各地から集まったキャンピングカーが村を成していた。車内に寝て食べて洗濯して、出勤してコンベアーで運ばれる物品を梱包するだけの仕事。かってファーンは代用要員をしていて、子供から「先生!ホームレスになったの?」と聞かれ、「ホームレスでなくハウスレス」と言い返すのだった。f:id:matusima745:20210327163234p:plain

仕事仲間のリンダ(リンダ・メイ)からノマドになった理由を聞かされ、砂漠でのノマドの会同(RIR)、リーダーのボブ(ボブ・ウエルズ)の説話ビデオを見せて誘ってくれたが、そのときは曖昧な返事しかできなかった。

仕事が減ってきて、次々とノマドが去っていく。いよいよモータープールが閉塞。「仕事がしたい」と、リンダに勧められたRIRに参加することにして、砂漠を目指した。

砂漠はキャンプカーで埋まっていた。リンダと再会。ボブを紹介してくれた。

「一緒に!」と食事に誘われ、話の輪に加わった。ベトナム兵だった男のPTDSから心が穏やかになった話を聞き、ボブに「夫を肝臓で亡くしたが人生を無駄にしたくないと旅に出た」ことを話した。ノマドたちの体験談を沢山聞いた。ボブはみんなの話を聞いて「家族の全部を失った。魂を探すのはここだ!自然だ!人生の見方が変わる!」と話した。朝になるとハーレイの一群が消えていった。

次の日はノドマ同士の物々交換で必要な器具などを手に入れ、講習会でノドマとして生活する具体的技術知識、パンク修理や排泄処理などを学んだ。そして未来のRVショーとして、彼らの中の素晴らしいRVを見せてもらった。夜はキャンプファイアーで飲んで歌って過ごした。ファーンはデヴィット(デビッド・ストラザーン)に誘われ踊った。

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ファーンはノマドにコミュニティがあることを知った。

朝になるともうみんなが去って行ったことを知った。ファーンはもう少しここに残ることにして石を売る店でバイトすることにした。タバコを吸っていると「タバコをくれないか」という若い男(ディック)にタバコとライターを渡した。

自分のヴァンに戻るとパンクしている。隣の白いキャンピングカーのスワンスキー(シャーリー・スワンスキー)に助けを仰いだ。「あんた死んだっておかしくないよ!」と怒られ、放浪の旅に必要なことと色々教えてくれた。「絶対にGPSを持て!車がボロ過ぎる、ペンキを塗り直しておけ!」(笑)

ヴァンの中でクラリネットを吹いて、慌ててウンコ!(笑)そこにスワンスキーッがやってきて「気分が悪い!」という。病院に運んだ。肝臓がんで手術して今は脳に転移しているという。そんな彼女は大自然、特に鳥を見て回り、余りにもその美しさに「もう死んでもいい!」という。夜空を見ながらふたりで散歩、そのとき「死んだら石を入れて!」と言った。

このスワンスキーの話はファーンの生き方に大きな影響を与えたように思った!ヴァンの中で夫の写真を見て、微笑んだ!

朝、スワンスキーの髪を梳いて「私は夫を苦しい目に合わせた」と十分に看病できなかったことを悔やむと「そうではないよ!」と声を掛け、彼女は去って行った。😢

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ファーンは放浪の旅を続け、新しい職場「パットランズ国立公園」に清掃員として働くためにやってきた。モータープールにはノマドが集まっていた。ここでまたリンダとデヴィッドに出会った。公園内の岩山の迷路?を歩いてみた。遠くからデヴィッドが見ていた。

リンダが「また別れね!また来て!」と去って行った。

ファーンが蟻に襲われて荷物整理をしているところに、デヴィッドが「これを飲んだら!消化にいいよ!」とリコリスを届けてくれた。そして頼みもしないのに手伝って大切な皿を落として割ってしまった。激しい怒りを見せて、接着剤で丁寧につないだ。

ファーンが食事を作ってデヴィッドを訪ねると寝込んでいた。憩室病だった。病院に入れた。彼は「退院したら公園近くのウォール・ブラックで働く」という。

ファーンはデヴィットと一緒にウォール・ブラックで調理賄いとして働いた。

ふたりは動物園を訪ねたり、星を見たり、料理を作って砂漠を見ながら食事した。

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そんなところにデヴィッドの息子・ジャームスが訪ねてきて、断食会の方が父には合っていると連れ帰そうとする。デヴィッドは「父親らしいことはしてないので帰りたくない」というが、ファーンは「帰ったほうが良い」と勧めた。「一緒に来ないか?」と誘われたが、「そのうちに!」と返事した。朝、デヴィッドが訪ねてきたがドアを開けなかったら、「遊びに来たらいろんな石を見せる」と書いた紙片を残していた。

ファーンは公園を名残り惜しみ、次の仕事場に急いだ。イモ?の収穫だった。顔を泥だらけにして働いた。スワンスキーから鳥を追っかけているメールがきた。

ここの仕事を終えて次に移動しているときに車が故障した。修理に金がかかるためバスでカリフォルニアの妹に会いにいった。妹家族が暖かく迎えて金も準備してくれた。妹は一緒に住もうと勧めてくえたが断った。妹は「ノマドアメリカの開拓者だから」とこれを認めた。

デヴィッドに会いに向かった。休憩所でノマドに出会った。タバコとライターを渡した男ディックだった。「恋人がいるんだけど彼女が田舎を離れない」という。ファーンは自分の結婚体験を話して聞かせた。その夜、自分の生まれてからのアルバムを見た。途中で大樹の森に入り、木に触れて命を感じた。スワンスキーの生き方が分かるようになってきた。

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西海岸に出て、デヴィッドの家に着いた。立派な家だった。彼のキャンピングカーが壊されていた。感謝祭で一族が集まって、ファーンも大いに歓迎された。デヴィッドは孫を抱いてあやしていた。ファーンも抱いたが、しっくりこなかった。デヴィッドが息子とピアノの連弾を楽しんでいるのを見た。ファーンはデヴィットから求婚されたが、夜はヴァンの中で寝た。次の朝、昨夜いた部屋には何もなかった。家を出て雨の中の海岸でたっぷり海の香りを喫って、アマゾンで働くため砂漠に戻った。

そしてRIR(砂漠の集い)に参加しボブに会った。そこでスワンキーが亡くなったことを知り、みんなで焚火に石を投げ入れスワンキーの冥福を祈った。

ボブが「息子を5年前、33歳で亡くした。長い間息子のいない世界になぜ生きているのかと思っていたが、人を助けるのが息子を供養、支えということに気付いた。

ノマドは人の悲しみのかたちだ。この生き方が好きなんだ。サヨナラがない。また何処かで何時か会える、だから大好きなんだ!君も夫ポーと一緒に生きていくんだ」と話しかけてきた。ファーンは微笑みを返した。

夜、ここを発ってエンパイアに戻り、倉庫に預けていたものを一切処分して、夫の働いていた廃墟の工場を見て涙し、薄い雪の荒野に“ノマドとして生きる”とヴァンで走り出た。

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感想:

ストーリーは、過去の思い出を引きずるファーンの心理に寄り添って展開しノマドたちとの旅の中で、彼女はすべての過去を捨て、何を持たずとも夫は自分の中で生きていると、見える物に拘らない自由な生き方格差社会の生き方を見たように思います。飄々としたマクドーマンドファーンの佇まいはファーンそのものだった。

ファーンがノマドとして生きる決心をした背景には、美しい自然に触れながらスワンスキーの自然を愛した幸せに心動かされ、旅のなかで何度も出会いを繰り返すノマドの世界に、しっかりした精神的支柱(哲学)と強いコミュニティが存在することを確認したからで、彼女はもう孤独ではない。極めつけはボブのノマドのさよならの真意”でした。強い自我を持つファーンだからこそ、妹やデヴィッドと暮らすことより、ノマドとして生きる道を選んだと。この生き方に自分はどう生きるかというヒントを貰ったと思うのですが・・・。

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「悪人伝」(2019)はみ出し刑事とヤクザ親分が組んで、連続殺人犯を追う異色の捕り物帖。

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韓国映画の勢いのある映像を観たいと、WOWOW初公開で観ました。

はみ出し刑事とヤクザ親分が組んで、連続殺人犯を追う異色の捕り物帖。これ、実話に基づく物語とのこと。

刑事とヤクザが組んでサイコパスを追うという発想の面白さ、スピード感のある展開、“あっ”と驚く結末に気分が“スカッ”とする作品マ・ドンソクが“伝“となる演技が圧巻、韓国映画の勢いを感じる作品でした。

監督・脚本:イ・ウォンテ、撮影:パク・セスン、音楽:チョ・ヨンウク。

出演者:マ・ドンソク、キム・ムヨル、キム・ソンギュ、ユ・スンモク、他。


映画『悪人伝』予告編

あらすじ(ねたばれ):

2005年8月のある夜。高速道路から人気のない街に、白いセダンが黒い車を追う。追突!黒い車の男を白いセダンの男がメッタ刺し。殺人鬼!天空から疾走する車を追う映像が力強く美しい!

翌朝、この事件を追う天安市警の刑事チョン・テソク(キム・ムヨル)。道路が渋滞し時間がかかるとパトカーを降り、居並ぶ用心棒たちを威嚇して遊技店に押し入り、「違法換金!」と脅して景品係にスクーターで現場に送ってもらうという、型破りの刑事。しかし、成果を挙げてはやく昇進したいとは思っているらしい。(笑)現場に到着し、車後部に白ペンキ痕を見つけ、連続殺人犯の仕業?と鼻の利く男。

このころ街を牛耳るヤクザ親分チャン・ドンス(マ・ドンソク)は事務所でサンドバックを叩いていた。バックの中身はサンドではなく、ホン・サンド組の若い衆。(笑) バックに入れて殴り殺すという狂暴親分!警察とはテソクの係長と手を結んでいる。

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ドンスは死体を持ってサンド(ユ・スンモク)の事務所に「縄張りを犯すな!」と抗議に行く。先輩ドンスに横柄な口を利くサンドに、「先輩に対して!」と横から口を挟むドン舎弟オゾンに絡むサンドの子分。

ドンスは「目上の者が話しているのに、話を挟むな!」とその場で舎弟のオゾンをぶん殴り、サンドの子分の歯2本抜いてサンドに贈るという、ドンスのドスの利かせ方。

テソクとドンスの灰汁のある性格を簡潔な映像で、なによりもドンソクの狂暴性を面白く見せてくれ、この作品に嵌ります。(笑)

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サンドの店からの帰り、雨の中自分が運転していて、白いセダンに追突され、この男と格闘してドンスがゼウス入院する羽目に。オゾンらはすぐにサンドの仕業と店を荒らす反撃に出た。

殺人犯はドンスを刺した後、犬のブリーダーを襲って犬と飼い主を刺し、さらに白いセダンを捨ててダンプを盗みその運転手を刺し殺し、車外に放り出す際に犯行に使ったナイフを落とした。

テソクはゼウス病院のドンスを訪ねたが、「自分でやる」と何も話さない。帰りに、病院の地下駐車場を洗い、ドンスの車が追突され白い塗料が着いていることを確認した。

サンドが入院見舞いにやってきて「ヤクザが刺されてみっともない」と貶して帰って行った。ドンスは「ヤクザは面目が立たん!」と犯人捜しにやっきになり、犯人のモンタージュを作った。ドンスの手下が殺人犯の白いセダンと凶器のナイフを探し出した。

警察署ではテソクが「ドンスが相手の顔を見ている。彼を使って連続事件犯を捜査すべきだ!」と班長に提案するが、「ヤクザと組めるか!」と拒否される。「自分でやるしかない!」とテソク。

ドンスはテソクを飯に呼び「ヤクザは面子!やつを八つ裂きにする。うちの若いやつを使え、金は出す、情報は共有だ」と言い出す。

テクソは「俺は刑事だ。俺が掴まえれば法で裁き、あんたが掴まえれば抹殺する」と掴まえた方がやりたいようしようと提案。ドンスはこれに同意した。ドンスはモンタージュを渡した。

テソクは同僚のふたりを説得して前の事件現場新灘津駅付近の監視カメラ映像を調べた。

ドンスはテソクが先に犯人犯を逮捕したときのことを考え、アゾンらを使ってサンドの寝込みを襲わせた!凶器に殺人者のナイフを使った。このストーリー展開が面白い!

警察はサンド殺しの捜査を始めるが行き詰まった。ナイフの科学鑑定の結果は連続札事件で刺された者たちのものだった。

テソクはドンスの事務所に駆け込み「あんたの仕業か?」と殴り掛かり、ふたりで殴り合った!そしてドンスが「サンドは俺が殺した!連続殺人捜査は一緒にやろう!」と提案。テソクは「これが終わったらサンドの件は俺が調べる」と取引をした。

連続殺人試験は忠南警察庁の広域捜査隊に移管された。サンド殺し犯人のDNAは連続殺人犯人と同じものとTV報道され、これを見た殺人犯は「俺ではない!」と呟いた。

ホ・サンドの葬儀。ドンスは参加して焼香。殺人犯も参加してサンドの配下に「誰かが俺のナイフで殺した!」というメモ渡した。

ドンスの店の倉庫。テクソとドンスが殺人犯の車から指紋を採取していたとろに、サンドの組員たちが殴り込みをかけてきた。ふたりはこいつらと激しく戦い死者も出る有様。テクソは「なんで俺が攻撃されねばならん」とバカバカしくなってきた。

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そんなとき「主人が誘拐された!」という誘拐事件が起き、テクソが担当することになった。誘拐犯人からの要求金を妻がウォルション洞の第1軽食で渡すことになり、テクソが張り込んだ。誘拐犯人らしき男を見つけ追っかけたが逃げられた。第1軽食の女将は「男から頼まれただけ。男は焼酎を飲んだ」と聞き、ゴミ集積所でその瓶探したが何も見つからなかった。

ドンスが遊技場店主を集め、これまで通りの商売ができるようにと酒を振舞っていた。サンドのように死んだとき香典をくれと言い出すやつがいたので、“このバカ”とこいつを徹底的に殴った。この殴り方が・・・(笑)

白い車のハンドルカバーから出た連続殺人犯の指紋が、3~4か月行方不明になっているカン・ギョンホ(キム・ソンギュ)のものと一致することが分かった。

テクソがギョンホの部屋を調べると、女性と一緒に撮ったギョンホの写真がありモンタージュに一致することが分かった。女性は。第1軽食の女将。テクソは「これが最期だ!場所はウォルション洞の第1軽食」と写真を添付してドンスにメールした。

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ギョンホの電波発信地が主にソウル安山市テギョン洞であることが判明。ドンスとテクソが合同の捜索隊を組んで、ワンルーム、簡易宿舎、ネットカフェ、カラオケ店などを徹底的に捜索。しかし発見できない。雨の日、傘を持たない女学生にドンスが傘を貸す。狂暴親分にこんな優しさがあったか!

その夜、慰安会をやっていて、この女学生が殺害されたTVニュースを見る。もうドンスの怒りは収まらない。「行くぞ!」と子分たちに発破を掛けて捜索、やっとギョンホのいた部屋を見つけた。

ギョンホが帰ってくるのを待ち伏せして、顔を見て「こいつだ!と確認したところで気づかれ逃げられる。

ここからが本作でもっとも売りの、狭い路地中でのカーチェイス

ドンスは逃げ込んだカラオケボックスでギョンホを捕まえ、「俺が貰った!」と自分の店に戻った。連れ帰って徹底的に痛めるドンス。不気味な笑いのギョンホ。

ドンスの「安山に戻った!」知らせで、急いで戻り、車と一種に店に飛び込んだ。この衝撃でドンスは重傷?ギョンホを逮捕し、倒れたドンスを残して去った。

ドンスは病院で治療しながらTVを見ていた。「暴力団ドンスは不正事業に手を出している」と報じている。「まずい!」とドンス。

ギョンホの裁判。被告側は「証拠のナイフと事件の相関性を調べてない。刺された被害者の証言が必要だ」と無罪を主張。そこにドンスが証人として現れ、裸になって刺された傷を見せ、ドンスが抵抗した明かしの肩の傷がギョンホにあるはずだと証言。傷があった。さらにギョンホがサンドの手下に渡した「誰かが俺のナイフで殺した!」の「誰かが」を切り取って証拠物として提出した。

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実はテクソは裁判前にドンスを訪ね、激しく怒るドンスから「ドンスが証言台に立つ。そうすればギョンホと同じ刑務所にいれてやる」という質を取っていた!!

その後テクソが優秀警察官として表彰された。

ギョンホは死刑。ドンスは「極めて暴力的で人命軽視の態度が顕著」ということで逮捕され、彼の子分たちがいる刑務所に収容され、そこにはギョンホもいた。ドンスはにこやかな笑みを漏らした!

感想:

あらすじは正しく書けたか?というほどに伏線が複雑だ!(笑)

刑事とヤクザが共闘して、それぞれの正義をどう成立させるか脚本がすばらしいが、突っ込みどころもある。それを激しいアクションで吹っ飛ばしてしまう。テソク刑事が一網打尽にヤクザたち一味とサイコパスを牢にいれ、ドンス親分がサイコパスを最後に仕留めるという結末に、もう言うことなしでした。👏 

“伝“となるにはロープを持ってシャワー室に忍び込むまで描かないと収まらない!マ・ドンソク満面のニタリが最高でした。

マ・ドンソクの見事なアクション演技、怖い顔を持ちながら憎めない!ラストで見せる笑みが最高だった。演技なんかどうでもいい(笑)、こんな顔のできる男はいない!

韓国社会が垣間見える映像、冒頭の高速道路に鉄道、殺人現場の天安市土地開発地、田舎に立ち並ぶ高層マンション群、韓国の住宅バルブ風景。ウォルション洞、ヤクザと警察が一緒になって大捜索を繰り広げる猥雑なソウル安山市テギョン洞と楽しかった!

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「ミナリ」(2020)世代を継いでアメリカに逞しく根を張って行く韓国家族の物語!

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アカデミー賞有力候補作品ということで観て参りました。

農業で一山あてたいという父親に連れられ、アメリアーカンソーの高地に移住した韓国人家族が大自然の中で困難に立ち向かい生き抜く姿を描いた物語。

ミナリとは韓国語で香味野菜のセリ(芹)のことで、「逞しく根を張り2度目が美味しいということから、子供の世代の幸せのために、親の世代が一生懸命に生きるという意味が込められている」そうです。

監督はアメリカ生まれの韓国二世のリー・アイザック・チョン。出てくるエピソードはいずでも自らが体験したもので、これらをうまくアレンジして作られた物語だそうです。

それだけに異国異民族の中でどう暮らしていくかという生き方がリアルに描かれています。この話は移民に止まらず、これからの時代をどう生きるかに繋がる物語でもあります。

未知の自然を相手に、苦難を克服しながら家族が強く結ばれて、アメリカの中に溶け込んでいくという、気の遠くなるような時の流れのなかで、すばらしいエピソードで紡いでくれ、とても心癒される作品でした。

監督・脚本:リー・アイザック・チョン、撮影:ラクラン・ミルン、音楽:エミール・モッセリ。 

出演:主演に「バーニング劇場版(’18」のスティーヴン・ユァン、共演にハン・イェリ、アラン・キム、ネイル・ケイト・チョー、ユン・ヨジョン、ウイル・パットン、他


【公式】『ミナリ』3.19(金)公開/本予告

あらすじ(ねたばれ):

時代は1980年代。韓国人の一家、夫・ジェイコブは「アーカンソーの高地は韓国野菜を作るのに最適な土地だ」と妻・モニカ(ハン・イェリ)、長女・アン(ネイル・ケイト・チョー)、長男・デビッドを引き連れて、カリフォルニアから移住してきました。

カリフォルニアの韓国村?で孵卵業(ヒヨコの雌雄判定)に従事していたが、ジェイコブの一旗揚げたいという思いからの移住でした。彼はかなり農業には詳しいが、アメリカの土地・気候でやっていけるか?それにデビットは心臓欠陥のある子でした。モニカはデビットのことが不安だった。

農場に着くと住宅は車輪のついた平屋。これを見たモニカは夫に騙された!と言い、彼は「夢のためだ!」と家族に自分の夢を押し付けての移住だった。

孵卵の仕事をしながら、野菜作りを始めることにしました。孵卵場初出勤の日、場長が韓国から来た人と紹介し、歓迎の拍手を促しても誰も拍手しない。韓国人が嫌われているんですね。それでも韓国出身の女性がいて、モニカに声を掛けてくれます。

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野菜作りに当たって現地で白人の農夫・ポール(ウイル・パットン)を雇って水源を探るが、ポールはダウジングで探すというもので、ジェイコブはこれを信じず地形を観察し試掘して見つけます。ポールから耕運機を譲り受け、原っぱを耕すことから開始。この際、ポールが一緒に働きたいというので仲間に加えました。

ポールは朝鮮戦争に従軍した人のようです。韓国とアメリカ人の関係は日本にはないものがあります。この戦争を契機に米軍は韓国に駐屯し、以来ずっと人の交流があり、日本は知らないが韓国は知っているというアメリカ人が結構います。ジェイコブはいい人で、精神的にずいぶん助けられました。彼は教会には顔を出さない。礼拝の日には十字架を背負って苦行をする人。

ある日、トルネードに襲われた。家の中がびしょ濡れになるという被害。しかし、モニカには野菜作りが出来るのか?それ以上にデビットの心臓が心配だった。夫婦は大喧嘩を始め、ふたりの子供は「止めて!」と紙飛行機でサインを送った。(笑)

韓国からお婆ちゃん・スンジャ(ユン・ヨジョン)に来てもらい、子供たちの面倒を見てもらうことで妥協しました。

このお婆ちゃんが、デビットにとっては、とんでもないお婆ちゃんでした。(笑)

ケーキは作れないし男のパンツをはくし、中でもお婆ちゃんが作る薬湯が大嫌いだった。それでいて花札が好き!これには喜んでつき合う・・。

しかしスンジャが来たお陰で、モニカは孵卵仕事に精を出すことができ、ジェイコブの畑仕事も捗ります。今までの不仲がどこに行ったようでした。

いよいよ種まき。ポールが厄払いをと勧めるが、「そんなものはいらん」と韓国風に種を植え付けていきます。ジェイコブは無信仰で己の力を信じる人のようだ。予想できない天候気象や害虫で失敗したとき何に救いを求めるか、これは問題です!

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ジェイコブとモニカが孵卵工場に、アンが学校に行くと、家にはお婆ちゃんとデビットだけ。デビットはお婆ちゃんのお供で畑を通りこして、きれいな流れの小川を見つけた。あ婆ちゃんは“水か良い”と言い、ミナリの種を撒いた。その夜、お婆ちゃんは「ミナリを植えてみてはどうか?」と勧めたが、返事はなかった。

モニカは家計の足しにと家にひよこを持ち帰ってうまく判別が出来るようにと練習をする。そんなモニカにジェイコブが「寂しくないか?」と心配すると「友達が必要、教会に行こう」という。家族で教会に行くと、皆さんに歓迎され、アンにもデビットにも友達が寄って来る。デビットはジョニーという男の子に「遊びにいっていいか?」と問われる有様。あ婆ちゃんとジェイコブにとって教会は苦手のようだった。

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お婆ちゃんとデビットの関係に大変なことが起こった!TVのプロレスリング試合を、薬湯を飲みながら観戦するお婆ちゃんに、デビットがコーヒーを入れてあげると、小便をいれて飲ませた。(笑)

これを知った父母はデビットに棒で叩くという罰を与えるのですが、お婆ちゃんが「おしっこを飲むのも楽しかった!」と必死に止めた。デビットは7才になってもよく寝小便をする。お婆ちゃんは両親の厳しい躾けが原因であると読んでいた。よく出来たお婆ちゃんだった。このことがお婆ちゃんとデビットの関係を特別のものにあいていった。

しっかり野菜が育ってきたところで、ジェイコブは土地が乾いていることに気づき、モニカに「責任は自分が取る」と言い高価な水道水を使った。モニカには「夫は自分のことしか考えない、このようなことが続くと家族はどうなるの?」と心不安になってきた。夜には空に雲が広がる。自然を相手の野菜作り、難しいところです!後に彼はポールのダウジングを受け入れ土地を耕します。

こうして出来た野菜の出荷先を探すが、見つからない。ジェイコブは「韓国人を馬鹿にしている。水道代が無駄になった」と悔やむ。悪いことが重なり、水道が出なくなったり、モニカが孵卵の仕分けで失敗、デビットが足首を挫く。

お婆ちゃんがデビットの足を包帯で固定して「走ってみろ!」と連れ出し、ミナリの生育状況を確認に出掛けた。立派に成長していることを確認して大喜び。

デビットが「ヘビがいる」と石を投げるのを「やめなさい!見えるのが良い、危険を避けられるから!」と咎めた。とても理にかなった生き方を教えます。

お婆ちゃんはモニカにデビットはしっかり歩ける力があることを明かし、心配し過ぎを注意します。さらにデビットが就寝時教会で教わった通りに「夢の中で天国を見る」ということに「夢を見なくてよい」と教えます。病弱なデビットは天国を死んで行くところだと思っていると。お婆ちゃんはとても現実的な生き方をする人です。

こんなお婆ちゃんが脳梗塞で倒れた。モニカは「お婆ちゃんに二度と迷惑を掛けてはいけない!」と看病します。モニカはポールを食事に招いて、家の厄払いをしてもらった。ジェイコブは「必要ない!」というが、モニカは「ありがとう!」と感謝した。お婆ちゃんは完全にボケてしまった。デビットは「お婆ちゃんはここに来なければよかったのに!」とお婆ちゃんのベッド側で寝るようになった。

モニカはお婆ちゃんが工面してくれたお金でデビットの心臓疾患治療を受けるため、ジェイコブは韓国料理店に野菜を買ってもらおうと、お婆ちゃんを家に残して家族で韓国街の病院に出てきた。

デビットの診断が終わって結果を待つ間に、モニカが「喧嘩ばかりしたがあなたなしではダメだ。カリフォルニアに一緒に帰ろう」とジェイコブを誘うが、彼は「ここで頑張る」を拒否した。

診断結果は「水のせいで、手術は必要なく穴は埋まる」というものだった。モニカは喜びの声を上げた。

野菜を買ってもらう交渉は「来週から買いましょう!」という好結果だった。しかしモニカは「あなたは家族より仕事が大切な人。今、結果がよくても将来はない、別々に暮らす」と伝えた。

夜になって車が家に近づくと変な匂いがする。お婆ちゃんがゴミをドラム缶で燃やしていて、火が納屋に移って大火事になっていた。

ジェイコブは燃える納屋に飛び込み、収穫した野菜を運び出す。これを見たモニカも納屋に飛び込んだ。ふたりで精一杯野菜を運び出した。「風と共に去りぬ」の火災シーンのように何もかもが燃え尽きた。疲れ切ったモニカをジェイコブは抱いた。この間、姿が見えなくなったお婆ちゃんをアンとデビットが懸命に探した。デビットが走っていた。やっと見つけて「家に帰ろう!」と連れ戻した。

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5人は焼け残った家でぐっすり眠った。翌朝、ジェイコブはデビットの案内で小川に出向いて、お婆ちゃんの育てたミナリを見つけ「お婆ちゃんのお手柄だ!」と採取した。

感想:

「あれ!これでお終い」という感じで、もっと観ていたかった。終ってからじわりじわりと感動が出てくる物語、自然の映像が美しい作品でした。デビットのアラン・キムの愛らしさ、ユン・ヨジョンの破天荒な元気婆ちゃんぶりに大拍手です。

お婆ちゃんの撒いたミナリが移住家族の生活を支え、家族がアメリカの生活に根付いていく、まさにミナリの持つ意味どおりでした。うまいタイトルと、よくできた筋立てでした。

とても静謐で辛い物語でしたが、ユーモアたっぷりのお婆ちゃんとデビットのエピソードに笑い、生きたセリフと出演者の自然な演技で見せてくれる、家族の絆の深まりに感動しました。

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ジェイコブは仕事優先で家族は二の次、一方モニカは今の家族の幸せを大切にする人。ふたりの葛藤がラストの火事で吹っ飛び、家族が再生されていく様は圧巻でした。火災が発生し生産した野菜全部を失うときのジェイコブの死をも覚悟した姿を目にして、モニカは彼を放っておけなかった。実は苦難に遭うたびに家族は強くなっていた。

植物が火事で燃えてその後に新しい芽を出すように、火事で納屋が燃えて家族の中に新しい絆が芽生えたようです。異郷の地で生きるには「何度でも立ち上がる勇気」「孤独の克服」が大切であることを教えてくれました。このことはいかなる仕事、環境であっても同じです。

孤独を克服し社会に溶け込んでいくためには、「郷に入っては郷に従え」という諺があります。ポールを雇ったこと、キリスト教徒であったモニカが大きな役割を果たしました。未知の大自然に立ち向かうには神を信じる心が必要ですが、これが過ぎるとポールのようになってしまう。うまい描き方だったと思います。

お婆ちゃんの家族の生活を変えるほどのインパクトのある生き方は痛快でした!先の読めない状況で夢ばかり追っていてはとんでもないことになってしまう。現実をしっかり見る目が大切で、お年寄りの人生は役立つことを教えてくれました。これが一番かな!(笑)

東洋系に対する暴行事件が多発している今だからこそ、観るべき作品ではないでしょうか!

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「モダン・タイムス」(1936)進取の気性に富む勤労者を讃える物語です«(笑)

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チャールズ・チャップリン作のなかでも1、2を争うといわれる作品。NHKBSプレミアムで観賞しました。

1930年代、大恐慌時代の労務者の悲哀を描いた作品。バブルで過剰生産に駆り出されたチャーリーという“ちばけた”男が生産工程の自動化という単純作業で精神病に罹り入院。回復して社会に戻るが大恐慌の真っただ中で、仕事を見つけてもすぐに首になる。そんななかで出会った少女ゴダードと家を持ちたい夢をもって旅立つというコメディ作品。(笑)

チャップリンという稀有のコメディアンの演技で、大恐慌時代の下積み労働者の息苦しさを面白可笑しく目の当たりにしましたが、その裏では“今の世界の格差社会”に繋がる資本主義批判になっています。後にチャプリン赤狩りで米国を追われる理由のひとつがこの作品ということが頷ける作品でした。監督の先見性と覚悟を知る作品でした!

盗みが生業、見えない大富豪、掘っ建て小屋に枯れ木集め等、まさに大不況真っただ中の映画でした。どのシーンも見逃すわけにはいきません。

映像は白黒ですがとても美しく、建物や車、風景や人物が当時の世界を映し出すようにしっかり描かれています。チャップリの滑稽を通り越した演技に、相棒ポーレット・ゴダードの美しさにうっとりさせられます。(笑)

監督・脚本:チャールズ・チャップリン、撮影:ローランド・トザロー アイラ・モーガン、音楽:チャールズ・チャップリン アルフレッド・ニューマン

出演者:チャールズ・チャップリンポーレット・ゴダード、ヘンリー・バーグマン、チェスター・コンクリン、他。


Charlie Chaplin - Factory Scene - Modern Times (1936)

あらすじ:

工場に急ぐ労働者。これが豚に変わる。

主人のチャーリー(・・)はエレクトロ製鉄会社の工員。

工場の現場はTVで監視され、社長(アラン・ガルシア)の指示でベルト・コンベアー速度が制御され生産効率があげられるようになっている。チャーリーはコンベアーで運ばれてくる部品をスパナでねじ締める作業のみ。ねじ締めの癖がついて女性の被服ボタンを見ても締める!(笑)締め作業が遅れて機械の中にに引き込まれ、ギアに喰い込まれて廻るというとても有名なシーン。(笑)

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昼食時にも作業できるようにと自動飲食マシーンなるものの導入が検討され、チャーリーがそのテスト要員に。とんでもない機械だった。(笑)

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チャーリーはついに制御レバーを止めようとコントロール室に忍び込み、油指で管理人の顔を襲う(笑)人を見れば油指。(笑)これで頭がやられたと判断されて神経病院に送られた。(笑)

神経症は回復したが職がない。人が街に溢れている。工事車が落とした赤旗を拾うとそこに「自由・団結」で気勢を上げるデモ隊。チャーリーがその先頭にいた。駆けつけた警官に「お前がリーダー!」と逮捕されて刑務所に。(笑)

一方、ヒロインの浮浪少女のゴダードポーレット・ゴダード)。父親が失職で食べるものがない。弟妹を食べさせるためにバナナボートに侵入して泥棒稼業に枯れ木拾い。通りがかりの人々に分けてやる。バナナの房を切り分けたナイフを加えるゴダードの美しさ!

チャーリーの刑務所生活

監房の中、立派な身体の男が刺繍をやっている。(笑)朝食時、麻薬捜査が始まり、隣の男が麻薬を食卓瓶に隠した。それを知らずチャーリーはたっぷり瓶を料理に振って食べ身体がおかしくなりトイレに。(笑) 出てくると監視官が二人の囚人に捕らわれ監房に押し込まれているところだった。薬でいかれたチャーリーの奮闘でこの監視官を救出。これで立派な独房で美味い物食べて、新聞読んでのらくちん刑務所暮らし。しかし、やってきた牧師に「もう少しいられませんか!」とお願いしたが出所することになった。(笑)

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出所したチャーリー。造船所に雇ってもらった。

与えられた仕事は「くさび型の木を持ってこい!」だった。チャーリーは進水前の船底からこの木を取り出した。(笑)すると船が・・・。即刻首になった。

しょしょぼと街を歩いていると、パンを盗み逃げるゴダードにぶち当たった。チャーリーはパンを拾って「俺が盗んだ!」と警察に申し出たが、ゴダードは通りすがりの人の証言で警官に捕まった。

チャーリーは「刑務所が一番らくちんだ!」と無銭飲食で捕まった。護送車される車にゴダードも捕らえられ乗っていた。(笑)

ふたりは車から飛び降り逃げた。立派な屋敷の庭で休んでいると屋敷から出てきた夫婦の幸せそうな声が聞こえる。ふたりはこんな家が持ちたいとしばし夢を楽しんだ。

デパートで事故が発生。駆けつけると夜警員が骨折したと知る。

チャーリーは夜警員にしてもらった。ゴダードを誘い入れ、喫食コーナーで「食べろ!食べろ!」と無銭飲食。このデパートにはエスカレーターが設置されていた。これでデパー内を見物。4階のオモチャ売り場で、ローラースケートを楽しむチャーリー、すごく上手い!5階の寝具売り場ゴダードがふわふわベットが気に入り寝てしまった。チャーリーは「朝まで寝ていろ!」と夜警勤務に。

泥棒団が侵入。一味の中にエレクトロ製鉄の流れ作業で一緒だったビッグ・ビル(スタンレー・サンドフォード)がいた。「泥棒じゃない生業だ!」という(笑)久しぶりに出会って飲食コーナーでしっかり飲んだ!(笑)朝目覚めたところは衣服売り場で、店員に発見され警察に突き出された!(笑)

10日後、刑務所から出所。

ゴダードが出迎えた。いいところがあると掘っ建て小屋大恐慌のシンボル。

とんでもない小屋だった。(笑) が、楽しかった!風呂代わりにと小川に飛び込むと浅すぎた!(笑)

ある日新聞で「工場再開、ジェットソン製粉工場!」を見て早速向上に。大変な応募だったがそこはチャーリー、上手く門を通過して、機械技師(チェスター・コンクリン)の助手として採用された。

チャーリーのレバー操作ミスで技師が機械の中に吸い込まれ、首だけ出すが動きが取れない。昼めしはこの恰好でチャーリーが食べさせた。(笑)デモ参加に参加せよと誘いに「もう参加しない!」と拒否したが、踏んだ板の上にあった石が跳ね警官に当たって再び刑務所に。(笑)

それから1週間後、ゴダードは遊園地で踊っていたところをスカウトされてキャバレーにデビューした。これが大好評だった。

さらに1週間後、チャーリーが出所。ゴダードのとりなしでキャバレーの主人(ヘンリー・バーグマン)に認められ、この店で働くことになった。歌が歌えるというのが条件だった。(笑) ボーイとして料理運び。この不況にキャバレーは大盛況。ロブスターを注文した男に届けるのにひと苦労!(笑)

ダンスが終わり、チャーリーの歌の時間。歌をゴダードに教えてもらい、歌詞をカフスに書いてステージに立ったが、カフスがない。即興で「ティティーナ」を唄い、踊った!(笑) これがチャプリンの初めて発声=歌でした!


ティティナ(モダン・タイムス)チャップリン Titina (Modern Times) / Charles Chaplin

大拍手だった!これで正規採用されることになったが、次の出番のゴダードがステージに立ったところで「使命手配!」と警官が駆け込んできた。2人で逃げ出した。

朝が明け、しっかり旅したくをして、「努力しても駄目よ!」というゴダードを「元気出せ!諦めるな!ふたりなら出来る」と幸せに続く真っすぐな道に踏み出した。

感想: 

「進取の気性に富む勤労者を讃える物語」の前出しがあって、工場に急ぐ労働者の姿が屠殺場に送られるブタに見えた?(笑) これ、皮肉ですか! (笑)

機械化文明で“人”は機械の一部になって苦しみ、挙句の果てに大不況。失業、貧困、格差に痛めつけられるが、一方でデパートには物が溢れ、クラブは満席。誰が買って、飲んで、歌ってるの?今も変わらない社会構想、世情です!チャプリンの先見性を感じる作品でした。

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山のあなたの 空遠く「幸」住むと人のいう夢を目指して最愛の人との旅立、こんな世界にも希望を持とうというエンデイングでしたが、泣けます。

山高帽に大きなドタ靴、ちょび髭にステッキという扮装のチャプリンの演技。歯車に巻き込まれる、自動給食マシーンの実験台にされる、ローラースケートで踊る、「ティティーナ」を声を出して歌うシーン、そしてラストのチャップリンゴダードが手をつないで道を歩いてゆくシーンなど忘れることはないでしょう。

             *****

「アウトポスト」(2020)“こんな馬鹿なところに!“というアウトポストだから見る価値のある戦争映画!

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アフガン紛争の実話にもとずくミリタリー・アクションもの。特に2009年の戦闘実話(オバマ大統領の戦い方)ということで観ることにしました。

アフガニスタン紛争のなかで最も過酷な戦闘であったといわれる、アフガニスタン北部の要衝カムディシュの戦闘を描いたものです。ここに配置された前哨(アウトポスト)は四周が険しい岩山に囲まれ、なんでこんな低地に作ったかと戦争を知らない人でも分かるというバカな前哨で起こった戦闘です。「こんな馬鹿な!」というところに、この映画の面白さがあります。

2009年10月3日アフガニスタンのカムディシュで、数百人のタリバン兵がアメリカ陸軍のキーティング前哨基地にいた僅か50名ほどの兵士に総攻撃を仕掛けた。配置されていた部隊は歩兵第師団61騎兵連隊ブラボー第3中隊。戦闘が始り、銃撃戦は12時間以上に及ぶ過酷な戦闘となった。航空支援が到着する前に、8人の兵士が死に、多数の負傷者を出す悲劇となった。ところがこの部隊の兵士がアフガニスタン戦争で最も多くの名誉勲章を手にしたという戦闘です。

原作はジェイク・タッパーの「The Outpost: An Untold Story of American Valor」。監督は「ザ・コンテンダー」のロッド・ルーリー

思っていた以上に当時の米軍の戦法がよく描かれ、ここで戦った兵士たちの気概に心打たれ、ベトナム戦の教訓がしっかり生かされているなと感じる作品でした。実戦感覚のある監督が作った作品で、とてもリアルな映像でした。兵士を讃えるが決して戦争を賛美する作品ではないことを言い添えておきます。

出演はスコット・イーストウッドケイレブ・ランドリー・ジョーンズオーランド・ブルーム、マイロ・ギブソン。ジャック・ケシー他、ということで豪華です。

沢山の兵士が出てきて、分けわからんというところがありますが、これがこの映画の狙いのひとつ(「仲間」)であるように思います。


映画『アウトポスト』予告編

あらすじ(ねたばれ):

物語はこの前哨に着任するロメシャ曹長スコット・イーストウッド)らの空輸ヘリシーンから始まる。ここはもっとしっかり実際の地形を見せて欲しかった。(無理だったのかな?)

前哨に着いて最初に目についたのが、黄色に塗装された装甲戦闘車両(LMTV)と長距離偵察監視車(LRAS)、トラックを見て驚く。国連の「白」に対応するもの?そして迫りくる四周の山だった。

突然の射撃を受ける。兵士はいつものことと持ち場に走り対応。「白黄燐弾撃て!」「迫撃砲を撃て!」、これで戦闘は終わり。相手の射撃は何を意味するか?射撃でストーリーを語るなどうまい演出です。

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隊舎(しっかり防弾対策がなされている)に入ると、糞尿を処理している兵士がいた(笑)。この兵士が特技兵のカーター(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)。戦場での糞の処理を描いた映画作品などないから、まさに“これが戦場だ!”と唸りましたね!(笑)

翌日、隊長のキーティング大尉(オーランド・ブルーム)が兵士を集め、「現地人と仲良くなり、敬意を払え!俺たちを狙っているかもしれないが穏やかに話せ!これで勝利を勝ち取る」とこれから始まる村の長老たちと話し合いでの注意をする。

テントに彼らを迎え話合いをする。「タリバンと離れてくれ!金を払う。これで開発しろ!分かったら武器を捨てろ!」と話す。彼らは武器を捨てた。隊長は契約書を交わし、金の支払いは結果を見てとした。

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契約が出来たとうことで、夜会のバーベキューで大騒ぎ。あいつらは暗視装置を持ってないからだという。一緒に糞の始末!焼却する!(笑)

朝になると射撃をしてくる。兵士に移動があると射撃してくる。射撃が収まったところに、連隊から「物資をナレーまで取りに来い!」という指示が入った。隊長は情況報告を兼ね?自らがLMTVとトラックを率いて、夜間険しい崖道を走っていて、転落死。これでオーランド・ブルームの出番は終わり!(笑)

基地で丁寧な葬儀が行われた。ずいぶんと兵士に慕われた隊長だった。

後任がイエスカス大尉(マイロ・ギブソン)。着任祝いに「キリレンコ」の下着が贈られた。イーストウッドギブソンの2世役者対決です。(笑)

ロメシャが新任隊長の施設案内をしていると突然の相手の射撃。いつもの挨拶射撃だが少しひつこい、隊長の度胸試しでしょう。運悪くこのときシャワーを浴びていたのがベテラン軍曹のカーク(ジャック・ケシー)。フリチンでライフルを持って戦闘加入。(笑)

昼間、ロメシャが崖の偵察をした。真下に前哨陣地を見て、迫撃陣地、武器・弾薬庫が脆弱と見た。そして敵は正門に押し寄せると判断。「この陣地を守るには爆撃機B-1Bが必要だが時間がかかる。俺たちは連隊と孤立分断されて終わりだな!」という所見を持った。

現地採用の通訳がスマホで写真を撮っているのを発見し掴まえて審問する。写真を村人に送っていたことが分かったが、隊長は「協力してくれる!」と信じて、この通訳の罪を問わなかった。

通訳の言う「タリバンの攻撃がある」の徴候を調べるための、対岸の森林内を調査する作戦を開始した。が、隊長が吊り橋に仕掛けられた地雷に接触して亡くなった。これでギブソンの出番も終わり!」看板に偽りありです。(笑)

フロワード大尉(クワメ・パターソン)が隊長として着任。イエスカス大尉を殺した男の身分証明書を示すが、7日後には撤退だ!」と言い、捕らえようとはしない。ロメシャは「これを知ったらやつらは攻めてくる」と思った。この時期に部下に撤退を漏らすなど考えられない!

いつもの敵の射撃が始まると「よく確認して撃て!あやしいだけで撃つな!」と指示する。こんなことが出来るか?外に出ると狙撃されると、小便は部屋でコップにとりこれをカーターに始末させる。実戦経験のない、臆病な隊長のようだった。兵士のなかに“不満が出始めた”。

相手が夜間に射撃してきた。彼らは暗視装置を手にしたようだった。

長老たちが「若者が殺された」と抗議にやってきた。「金欲しさだ」とロメシャは隊長に耳打ちした。そのとき前哨で飼っている愛犬が長老に噛みついた。これをネタに金をせびる長老を見て、隊長は犬を拳銃で撃ち殺し、「機密費で払っとけ!」と指示した。隊長は更迭され、ポーティス大尉(トレイ・タッカー)に代わった。

兵士たちに本国への電話が認められ、家族との電話団欒を楽しんだ。

2009年10月3日、早朝。いつものように村の祈りの声が聞こえる。ロメシャ

が起きてLRASの情報を確認にしていると、通訳が「村人が消え、タリバンが一杯だ!」と報告する。まさかと思って周囲を見るとタリバンだらけ。「まずい!」と声を挙げた。5時56分で、兵士たちは寝ていた。「起きろ!」、皆は慌てて配置に着く。「RPGを狙え!」と叫ぶ。これほどにRPG―7の射撃が激しかった。

次々に負傷者が出る。必死で戦いながら、負傷者を収容して医療棟に担ぎ込む。ひとりに7人が関わることになる。

ロメシャはLRASに乗り、M2重機で撃ちまくった。本部にヘリ要請するが「自分の持ち場を守れ!」と追い返えされる。まだ本格的なタリバン攻撃という感覚がなかった。

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弾切れとなり「弾持ってこい!」と声が上がる。カーターがパンツ姿で弾薬ベルトを肩に、駆け回る。なんで弾薬を分散堆積してなかった?プライベート・ライアン」(1998)におけるミラー大尉の拠点守備部隊戦闘を知らなかったんですね。(笑)

カークが撃たれて身動きできない。ロメシャがカークの収容をカーターに指示した。敵の射撃の中、果敢にカークに近づき収容し、衛生兵を呼び医療棟に運び込む。カークは応急処置でヘリによる野戦病院への救出を待つことに。

タリバンが陣地内に侵入し、接近戦闘となる。2台あるLRASから兵士は下車して近接戦闘に加入。

ロメシャは正門で敵を撃破する許可を取って、兵士を募り、LMTVで正門に急ぐ。兵士の中のひとりメイスが負傷。カーターが一人でメイスを担ぎあげ、LMTVに収容した。カーターの活躍が目を引くのは、後に分かりますが、彼が名誉勲章を受章したひとりだからです。

ロメシャのM203ランチャーの弾薬が尽きて、「敵が多すぎる!」と上を見たところに戦闘ヘリ“アパッチ”が現れた!「終わりじゃない!」と女性パイロットの声!隊長から「全員伏せていろ!」の警告が出た。F-15EからのJDAM弾発射だった。次から次へと航空機による波状攻撃。

オールディン大尉が率いる救援隊が駆けつけ、山の上から航空機に爆弾投下位置を指示する。

夜、戦場は静まり、ロメシャはカーターと焚火で暖を取り、カークのヘリ後送を見送った。カーターはひとりになって沢山の遺体と一緒に眠った。基地を徹底的に焼き、翌朝基地を後にした。輸送ヘリのなかでメイスの死を知った。

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カーターが目覚めたとき、そこに美しい女性がいた。カウンセラーだった。カーターは何があったか思い出せず「彼を救えなかった、メイスを!」と泣くばかりだった。

感想:

後半の戦闘アクションが売りの作品ですが、前半のまどろっこしい描写があっての作品です。戦争という時間は毎日が糞の時間で、戦闘は一瞬です。(笑)兵士の強さは糞の時間で作られたものでした。

バカな陣地の意味が分かるのは前半、村の長老たちとの話し合いのシーンに出ているように思います。

映像から分かるように、この谷は水の源あり、村人たちにとってのオアシス、村人が集まってくる場所。前哨を潰す計画はあったが、オバマ大統領の力でねじ伏せるのではなく話合いで住民の心を掴み解決しようとする政策を生かそうと、谷底の陣地という戦術上の欠陥を圧倒的な航空攻撃力でカバーできると考え、あえてこの前哨を残したのではないでしょうか。ベトナム戦争の教訓を生かした戦い方でしたが、大尉クラスの部隊長には、この任務を全うするには荷が重かった。

決まったような相手の射撃。中隊長が変われば射撃。この射撃でこちらの出方を探るという威力偵察で、前衛隊長の出方を探っていた。中国が尖閣列島に巡視船で接近してくるのと同じ。10月3日に何故前哨が攻撃されたかが分かるストーリー展開は見事でした。

戦闘描写は、近接戦闘を主体で、迫力満点で見事でした。カメラの動きがとても良かった。弾薬切れと負傷兵救出をしっかり描いているところが本作のテーマに合っていました。

前衛からヘリによる脱出は「プラトーン」(1986)のラストシーンを彷彿とさせるものでした。その後のカーターがカウセリングで泣くシーンはこの男がこんなに優しい男だったのかと涙が出て、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの光る演技でした。

この厳しい条件下で懸命に任務に励む兵士を讃えた作品。「なぜ彼らは戦うことが出来るのか」を追う作品でした。エンデイングで生存者たちが登場し戦闘を回想しますが、彼らは「友を助けるために戦った」と誇らしく話します。勲章なんかではない生きることに必死で、友を助けるために闘ったと。「友情だよ。“4年間の付き合い”が必要だった」という言葉が耳を離れない!この結末は「イーストウッドの「父親たちの星条旗」(2006)にも描かれています。

主役はスコット・イーストウッドでした。親父さんに似ていて、終始落ち着き、寡黙なベテラン曹長の演技はみごとでした。

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「コンタクト」(1997)「証拠もなく説明も出来ないが、生命体は存在する!」と信じたい!

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とても評判のいい作品、WOWOWで観賞しました。地球外知的生命体探査(SETIに憑りつかれた女性研究者が電波望遠鏡で奇怪な電波を捕え、分析の結果、ヴェガ星から発信された運搬機設計図であることが判明。運搬機の建設と搭乗者を巡る論争、その運用成果は?というSF物語

原作は天文学者カール・セーガンによる同名SF小説SETIプロジェクト、人類と宗教、科学、政治、地球外生命などをテーマとしているという。

とても難解そう!特に宗教と科学に関わる作品ということで、無信仰者の自分に分かるのかと心配でしたが、ここは気楽な気分でと、挑むことにしました。

監督は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキス撮影:ドン・バージェス、美術:エド・バリュー、音楽:アラン・シルベストリ。編集:アーサー・シュミット。

出演者:ジョディ・フォスターマシュー・マコノヒージョン・ハートジェームズ・ウッズトム・スケリットデビッド・モースウィリアム・フィクトナーロブ・ロウアンジェラ・バセット

SETIがなぜ必要なのか、どんな気持ちで取り組むべきかを天文学者ジョディ・フォスターと神父マシュー・マコノヒーの愛の物語のなかで描かれ、堅苦しい物語にならず、SETIプロジェクトの神秘性が理解でき、“えっ!”という結末に「証拠もなく説明も出来ないが、生命体は存在する!」と“未来に夢を馳せられる”すばらしい作品でした。

天文学者を演じる「羊たちの沈黙」(’91)のジョディ・フォスターの美しくて頑固で知性溢れる演技に圧倒されます。マシュー・マコノヒーは後に映画「インターステラ」(2014)で元宇宙飛行士として宇宙探索に旅立ちますが、本作品との強い因縁のようなものを感じます。


"Contact" Theatrical Trailer (1997)

あらすじ(ねたばれ):

冒頭、地球がどんどん遠ざかっていくなかで、「私は嘘つきでない」「R・ケネディが暗殺された」「ついに我々は自由だ!」「ケネディ大統領暗殺を狙い」「あなたは共産党員ですか?」・・・「グッドニュース1939年のお時間です」「北米の皆さんこんばんは」と米国の歴史が逆転していく!誰の記憶でしょうか?

エリー・アロウエイ博士(ジョディ・フォスター)は幼いころ、父の影響で無線機による遠距離からの声を聞くことに魅せられていた。最初に捕えた声はフロリダ州ペンサコーラからのものだった。ここに行ったことはないがちゃんと風景が描けた!そしてどんどん距離が遠くなっていき、宇宙からの声を聞きたくなった。父に「宇宙に人はいるの?」と聞くと「分からない。だけど人がいなかったら宇宙が勿体無い」と言った。9歳のとき父を亡くしたが、この言葉を確かめようと天文学者になった。

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ドラムリン教授(トム・スケリット)のもとで研究していたが、自らの耳で宇宙からの声を聞きたいとアレシボ天文台勤務を願い出てここにやってきた。ケント・クターク博士(ウィリアム・フィクトナー)ら4人とともに宇宙からの電波観測を続けることになった。

着任早々に、牧師のパーマー・ジョス(マシュー・マコノヒー)がやってきた。「小説を書くために科学の文化的影響について調べている」と言い、エリー

の研究に興味を持っているらしい。

政府の科学技術顧問となったドラムリン博士が観測所の視察に訪れた。視察目的は研究の有益性。ドラムリンはエリーの観測は無益だと思っている。ドラムリンと顔なじみのパーマーが視察現場に取材でやってきた。彼は「エリーの研究が“真理の追求”であればいい」という考えでドラムリンと対立していた。

視察後、エリーとパーマーにSETIの必要性について喋った。夜空を眺めながら「大宇宙の中で人がいるのがひとつの星だけ・・・」と喋っているとパーマーが続けて「だけど人がいなかったら宇宙が勿体無い」と続けた。「父と同じ考えだ!」と男を寄せ付けなかったエリーもパーマーを受け入れ、ベッドを共にした。

SETIの期待のかかった予算をドラムリンがカットしたことを聞きつけたエリーはパーマーを置き去りにして(笑)、予算獲得に奔走する。しかし誰も研究の必要性を認めない。遂に政府科学委員会?にニューメキシコ電波望遠鏡(VLA)建設計画を示し「この研究はSFではない。もっと大きな視野で見て欲しい。深い感動の瞬間がすぐそばにある」と訴えるが反応がない。そのとき部屋の監視カメラが動いた!「援助する」が決まる瞬間だった。

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4年後、ハデン基金の支援を得て27機のVLAを有するニューメキシコ観測基地が完成した。エリーの砂漠の中での観測は昼夜を忘れて続いた。一方のパーマーは“信仰喪失”を上梓し、売れっ子作家としてクリントン大統領の宗教関係顧問となっていた。「科学で毒された社会、科学が求めるものは何か」と嘆いていた。

ある日、エリーが奇怪な電波を受信した。所員を叩き起こし全VLAを作動させて電波をキャッチし、音波分析の結果、素数による暗号で発信元は琴座の中心ベカ星であると判明した。オーストラリアでも受信したという連絡が入る。

これを聞きつけた政府からドラムリン国防省顧問のキッツ(ジェームズ・ウッズ)、多くの報道陣が観測基地に押しかけてきた。一気に世間の注目を引く。キッツが国防上問題だから相談してやってくれと声を荒げる!今まで無益だと主張していたドラムリンが強い興味を示し出した。

データーにヒトラー1936年ベルリンオリンピック開会式で行った演説映像があることが明らかになった。これが冒頭で描かれる謎の映像です!びっくりです。(笑) 世間の大きな話題となり、大統領から「多面的に検討せよ」と指示が出た。

大統領顧問者会議が開催された。いつの間にか暗号解析チームリーダーがドラムリンとなっていることにエリーは驚いた。彼は「ヒトラーの映像はオリンピックの26年後にヴェガに届いたものでこの星に文明があることが証明された」と証言した。このときケントが電話で「データーに膨大な暗号テキストが隠されている」と知らせてきた。エリーはこれを披露して引き続き、解析のチームリーダーとして指揮することになった。

CNNニュースが宗教的な側面からの意見が起きていることを伝える。「地球を汚す!神との会話を許していいのか?」と観測基地のある砂漠に大量の反対運動者が集まってくる。

エリーは解析が進まずイラついているところにハデン(ジョン・ハート)から専用機に来いという誘いが来た。ハデンは「解読法だ!」と、暗号テキストを3次元で展開した図を示した。

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エリーは大統領顧問者会議で解読結果として「ヴェガに行くひとり乗りの運搬機設計図」であることを報告した。この会議にパーマーも加わっており、建設について「宗教的側面から反対だが、心配し過ぎかもしれない」と意見を述べた。

顧問者たちのパーティーに参加してパーマーの意見を糺そうと、ブティックに走り、美しい装いでパーマーに近づいた。(笑)エリーも成長しました!

エリーは「神は宇宙を創造したのち自己存在証明を放棄した、あるいは存在しない神を人間が作った、よりどころを求めて!」と神の存在を否定した。しかし、パーマーの答えは「神のいない世界は考えれない。君もパパを愛しているだろう、それ!それ!・・」という。パーマーの助言はエリーに届かなかった。

米国は運搬機を製造することこうにして、世界各国に参加を求めた。日本は搭乗候補者を出さないが運搬機の下請けとして参加することを表明した。

運搬機が出来上がり、搭乗者は「人類の知性と信仰を信じる」と主張したドラムリンが選ばれ、最有力候補であったエリーが落選した。エリーはパーマーのせいだと思っていた。

ところが意外な展開に!ケープカナベルで運搬機のシステムテストを公開中に過激派宗教テロリストが紛れ込み爆破して、運搬機とともにドラムリンが亡くなった。

まさかと思ったが、ハデンからもう一機が日本の知床沖の建設してあり、これに搭乗して欲しいと依頼された。

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エリーは小型記憶装置を付けさせられ、万一だと薬を渡された。パーマーとキッツもエリーの旅立ち立会にやってきた。パーマーは「君を選ばなかった理由は他にもあった。君を失うかもしれない恐怖だった。必ずもどって来てほしい」と見送った。

エリーは洪烈な振動に耐え、ワームホールを抜け、すばらしく美しいヴェガ星の湖に降り立った。そこは幼いころ描いたペンサコーラの風景に似ていた。父の姿をした生物体に出会った。彼とは「運搬機は他の連中が作った。もうここにはいない。君たちは複雑な人種だ!美しい夢を追う力があるが破壊的な悪夢を描く。孤独を癒すのはお互いの存在だ!また会おう」という声を聞いて別れた。

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エリーが気づいたとき、運搬機が海中に落下していた。人は運搬機が故障で落下したというが、エリーは18時間ヴェガ星に旅していたと主張した。エリーがヴェガ星に辿り着いたかどうかは公開の調査委員会で明かされることになった。キッツは国防顧問を辞めて調査会委員としてエリーに挑むことになった。

公開委員会の公聴会。キッズは「証拠も説明もできない!自己補強妄想というもので、ハデンに操られて結果だ!幻覚だったと認めろ!」と激しくエリーを非難したエリーは「立証も説明も出来ないが、私の全存在が事実だと告げている。宇宙の姿に我々がいかに小さいかを教わった。この畏敬の念と希望を感じて欲しい!」と涙で応え、キッズの意見を概ね受け入れた。

公聴会に「エリー新世界を発見」のポスターを掲げて集まった群衆から、「これを信じますか?」と問われ、パーマーが「科学と宗教の違いはありますが、目指すものは真理の追究です。彼女を信じます」と返事した。

委員会のメンバーの中に「18時間のノイズ入りの記録は興味深い!」という意見があり18か月後、ニューメキシコ観測基地のVLAは27機から45機に増強された。大統領の粋な計らいです。

エリーは観測基地に訪れる子供たちの「宇宙人はいる?」という質問に「いる!科学的よ!自分で答えを探すことが大切。宇宙はとても広い!想像できないほど大きい、どんなものよりも大きい。地球人だけでは空間が持たない」と話して聞かせていた。

感想:

宇宙科学に立脚したストーリーだから、理系の人にはワクワクする作品ではなかったかと!とても知的な、ロマンを感じる物語でした。宗教、国防の視点から研究の在り方を問う展開はスリリングでリアルでした。

科学は実証と唱えながら、証拠がなく体験のみが証拠だというエリーは科学者として崖っぷちに立たされるが、科学も宗教も目指ものは真理だと助け船を出し、無神論者のエリーが救われるという結末に感動しました。人はどこかで宗教に救い求め、それが人類の希望に繋がっているのだと感動しました。

運搬機によるエリーの宇宙の旅、確かにエリーの魂は宇宙に飛ばされ、5次元世界にいたのではないでしょうか!これは「インターステラ」のクーパーがワームホームの5次元世界から娘マーフィーに話しかけるシーンと同じ発想だと思いました。

エリーとパーマーが論争するシーンは科学と宗教を比較しながら、ふたつが交わるところを探すというすばらしい論争でした。人類の望むものは幸せと安らぎ、これが科学あるいは宗教だけでは得られないという結末に納得でした。

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