映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ジェントルメン」(2020)英国ではもう「ジェントルメン」という言葉は死語?(笑)

監督は「アラジン」(2019)「キャシュトラック」(2021)のガイ・リッチー。私が観た作品はこれだけ!ということで、監督の原点である「犯罪劇」作品を観るのは初めてです!(WOWOW

監督・脚本ガイ・リッチー原案ガイ・リッチー アイバン・アトキンソン マーン・デイビス撮影:アラン・スチュワート、美術:ジェマ・ジャクソン、衣装:マイケル・ウィルキンソン編集:ジェームズ・ハーバート ポール・マクリス、音楽:クリストファー・ベンステッド。

出演者:マシュー・マコノヒーチャーリー・ハナムヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、ジェレミー・ストロング、エディ・マーサンコリン・ファレルヒュー・グラント、他。


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あらすじ

イギリス・ロンドンの暗黒街に、一代で大麻王国を築き上げたマリファナ・キングのミッキー(マシュー・マコノヒー)が、総額4億ポンドにも相当するといわれる大麻ビジネスを売却して引退することにした。果たして、これが可能か?

冒頭パブに入ってきたミッキーは、バーテンダーにビールとピクルドエッグを注文し、ジュークボックスにコインを投入するとアメリカンロックのBGM。電話でデートの誘いをしていると、背後から男が銃を発射。ビールグラスに血が流れる。ミッキーは誰に電話し、誰を撃ったのか、血は誰のものか?

ミッキーはユダヤ人大富豪マシュー(ェレミー・ストロング)に売却を打診した大麻生産農場を見せ、農場と従業員、顧客リストまで全て込みで、総額4億ポンドで売却したいと提案。マシューは細部を検討して回答すると返事を保留した。

ミッキーには宿敵、ゴシップ紙の編集長ビッグ・デイヴ(エディ・マーサン)がいた。名士のパーティーでミッキーに恥をかかされた恨みだった。デイヴは私立探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)を雇いミッキーを潰す情報を持ってくるよう指示した。報酬は15万フランだった。

物語はフレチャーが情報収集し、これで作ったという映画シナリオをミッキーの腹心レイ(チャーリー・ハナム)に2000万フランで買ってくれとやってきた。

〇映画シナリオには

大麻ビジネス売却をめぐるミッキーとマシューを初めてとするロンドンの悪役たちの思惑が描かれていた。レイはフレッチャーのシナリオを聞きながら自分の見聞きした状況を重ねて聞いていた。

マシューとの交渉後、ジョージ卿(トム・ウー)率いるチャイニーズ・マフィアの若頭ドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディングがやってきた。高級車の修理工場を経営する妻のロザリント(ミシェル・ドッカリー)に10万ポンドの手土産を持ってきたので、ミッキーは交渉に応じたが提示した額が桁外れだったので断った。

ところがこの後、大麻農場が地元のストリート・ギャングに襲われ、盗まれ、その凱旋状況がSNSで公開されるという事件が起こった。怒ったミッキーは「犯人はマシューかドライ・アイだ」と見当をつけた。が、マシューが金のペーパーウエイト(小型拳銃)をプレゼントに持ってきたので、犯人はドライ・アイと見た。

そこに昵懇にしているジェントルマンのプレスフィールド卿(サミュエル・ウェスト)から、ヤク常習犯のロック歌手と失踪した娘・ローラ(エリオット・サムナー)の救出依頼が来た。これは優先事項と、レイがリーダーとなり彼らの隠れ家に踏み込み、ローラを救い出した。が、一緒にいたロシアマフィアの息子・アズラン(ダニー・グリフィス)が逃亡しようと二階から飛び降り死亡するという事件が起きた。運悪くこの現場を学生たちの悪ガキに撮影された。レイが追っかけてこれを回収した。

ここでフレッチャーが「自分が撮った!」とアズランの写真を示し、「ロシア・マフィアに言うぞ」とばかりに圧力をかけてきた。レイは写真の少年はアズランの遺体を撮影した少年であることを確認した。

ボクシングジムのトレーナー・コーチ(コリン・ファレルが「うちのガキが農園を襲った!ドライ・アイのところの若衆・ファ・アック(通称ファック(笑))から聞いた情報だ。二度と農園を荒らすことはさせない。なんでも協力する」とミッキーに謝罪に現れた。

ところがファックは逃走中に車事故でなくなり、ミッキーは「犯人はドライ・アイの親分・ジョージ卿だ」と判断して、彼に事務所に乗り込み、赤痢菌を飲ませて吐かせた。(笑) しかし彼は関与を否定するので、ミッキーは「農園に関わるな!」と釘を刺して放免した。この後、ジョージ卿がドライ・アイに問い詰めたとき、彼に射殺された。

フレチャーは「世間はあんたらふたりが殺したと見る」と「ジュージ卿の殺人犯人はミッキー」と言いがかりをつけてきた。

このあとドライ・アイはロシア・マフィアの親分に近づき、彼と共闘して、ロシア・マフィアがミッキーの事務所、ドライ・アイがロザリンドの事務所を襲った。

こうなったのは、サッカー場で密会しているマシューとドライ・アイの望遠映像を見せて、「お前はドライ・アイ、俺はマシューだ。彼らの喋りに合わせてこの原稿をよめ!」という。(笑)ドライ・アイは「俺が仕切る!」と言い、マシューが「雑魚が何を言うか!」という映像だった。マシューはドライ・アイを使ってミッキーの大麻事業の買い値を操作しようとしたが、ドライ・アイが力をつけて、マシューを裏切ったのが、この結果だという。

フレチャーはロシア・マフィアがミッキーの事務所に進入する写真を示し、あとはあんたが知っていると、大胆な推論を述べ、ドライ・アイを殺したのはミッキーだと結論づけてきた冒頭シーンはここに繋がり、フレッチャーの2000万フランの強請りシナリオは終わりです。

ミッキーの事務所に現れたロシア・マフィアはそこにいたレイが射殺した。グラスの中の血液はマフィアのもの。電話はロザリンドからのもので、ミッキーとレイは車でロザリンドの店に急いだ!途中で追突事故!ミッキーが車からはい出して急いだ!(笑)

ロザリンドはやってきたドライ・アイの子分ふたりをマシューから贈られたペーパーウエイト(小型拳銃)で射殺したが、弾切れで、ドライ・アイがロザリンドをレイプする寸前、そこにミッキーが飛びこんできて拳銃でドライ・アイの脳天をぶち抜いた。

〇レイはフレチャーのシナリオを聞き終わって

「実は俺がお前をつけていた!お前が喋るネタは俺が撒いたネタだ!」とシナリオの購入を断った。

フレチャーは「1日待つ、万一の場合の編集長・ディヴにシナリオが渡るよう担保してある」と釘を刺し、帰っていった。

レイはコーチを呼び「ディヴが2度とミッキーに関われない処置とフレチャーの隠し資料を確保しろ!」を命じた。コーチはストリート・ギャングを使ってうまくレイの要求を達成した。中でもディヴの処置はR15で語れないものだった。(笑)

なにも知らないマシューがミッキーの会社に現れ、値斬り交渉をしてきたフレチャーの資料ですべてを知っているミッキーは「お前の画策で大麻ビジネスに大損害が出た、それ以上に妻ロザリントが汚された」とマシューをベニスの商人に見立てて、1ポンドの肉片による支払いを命じた。(笑)

フレチャーがレイにシナリオを買うかどうかを聞きにやってきた。レイはコーチが集めたフレチャーの資料を示し、購入を拒否した。するとフレチャーは「ロアイア・マフィアとレイの双方にこの資料を売りつけた!もうすぐ、ロシア・マフィアが攻めてくるぞ」と逃げ帰り、編集長・ディヴにこの資料を渡した!(笑)

ロシア・マフィアがミッキーの車を襲ったが、ドラーズが重機関銃で撃退された。

フレチャーがディヴに資料を渡してタクシーに乗ると、運転手が「ミッキーだ!」と名乗りを上げた!

感想

ジョーン卿を赤痢菌で責める、ディヴを豚で責める、「こんなのあり!」と大笑いしていると、果敢に撃ってスカットする銃撃戦にカーアクション。「一体この結末はどうなるんだ」と思っていましたが、二転三転してミッキーが「ジェントルメン」を改めて目指すという、収まるところに収まりました!

とんでもないギミックな映像!下もネタ、他作品や人物の引用・批判、これ以上下劣な表現はないと思われるセリフの数々(笑)、大いに笑いました。しかしそんなことより、陰謀、襲撃、賄賂、恐喝の渦巻く裏社会を、私立探偵フレッチャーの映画シナリオで見せ、その結果を現場で確認させるという、手際よい演出手法で複雑に絡む対立関係を分かりやすく、面白く見せてくれるところが凄い!

ガイ・リッチー監督の「クライムサスペンス」とはこういうものかと楽しみました。

英国にはもう「ジェントルメン」という言葉は死語になったんですかね!これテーマ?(笑) 唯一「ジェントルメン」だと言えるのは、終始ミッキーを裏切ることなく役割を果たしたコーチでしょうか。コリン・ファレルのとぼけた演技が最高でした。彼のトレパン・ファッションがまたよかった。(笑)

ドラマの主人公はミッキーだが、映画の主人公はフレチャーとレイチャーリー・ハナムヒュー・グラントの掛け合い騙し合い演技が圧巻でした。

音楽と凝った舞台装置でドラマに引っ込まれます!最高に面白かった。

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「カサブランカ」(1942)花の名ではない!1942年に製作・公開されたことに意義がある!

名画としてよく紹介される作品、まだ観ていなかった!

1942年に製作開始し、同年11月には公開されたという作品。「親ドイツのヴィシー政権下のフランス領モロッコカサブランカを舞台に、かつて深く愛し合った末に別れた男女の思いがけない再会とその愛の行方を描くラブサスペンス。

 まさか戦時下でこのようなラブサスペンスドラマが?という思いと、「20センチュリー・ウーマン」(2016)を鑑賞した際、アネット・ベニング演じる1924年生まれ母親ドロシーが映画「カサブランカ」を繰り返して見てハンフリー・ボガートが理想の男性だったという話、何故か?

このふたつの疑念を持ってこの作品を観ることにしました!なるほどそういうことであったかと納得する作品でした!(笑)第16回アカデミー賞(1943)で、作品賞、監督賞、脚色賞を受賞しています。

原作:マレイ・バーネット、ジョアン・アリスンによる舞台劇「皆がリックの店にやってくる」(未公開)

監督:マイケル・カーティス脚本:ハワード・コッチ、ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン。撮影:アーサー・エディソン、編集:オーウェン・マークス、音楽:マックス・スタイナー主題歌:「時の過ぎゆくままに」助監督:ドン・シーゲル。(まさかドン・シーゲルが絡んでいたとは!)

出演者:ハンフリー・ボガートイングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト、他。


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あらすじ

1941年12月カサブランカ。「ドイツの連絡員2名が列車で殺害された。犯人はカサブランカに入っている。疑わしき人物を逮捕せよ。失われた文書を回収せよ」と警察電話。疑われたひとりの男が逃げる際、ヴィシー政権首班のフィリップ・ペタン元帥の肖像画の前で官憲に射殺された。市内/は疑わしき人物が引っ張られていくという緊張状態。

この状況下で現地司令官としてドイツ空軍のシュトラッサー少佐(コンラード・ファイト)は着任してきた。少佐は警察署長のルノークロード・レインズ)はに「例の犯人は?」と問うと「リックの店に現れる!」と自信を持って答えた。

リックが経営する店「カッフェ・アメリカン」。カフェと隠し賭博場で稼いでいる。そこにはドイツ軍に占領されたヨーロッパ各国からアメリカ脱出を目指す人が闇の通行券を求めてやってきて、渡航資金を稼ぎ出すために賭博をやる。

キャバレーでは黒人のサムの弾くジャズが大評判。街の親分・ファレーリ(シドニー・グリーンストリート)が訪ねてきて、「サム付で店を売れ!」というが、断った。

そこに闇の通行券売人ウーガーテ(ピーター・ローレ)が訪ねてきて、「ちょっと隠れるからこれを預かってくれ」と封筒を渡す。リックはふたりのドイツを殺材したのはウーガーテだと分かったが、これを預かった。

ルノー署長がやってきて「有名なレジスタンスの男・ラズロ(ポール・ヘンリード)がナチ強制収容所から脱獄してここにくる、美人と。協力して欲しい」とやってきた。私には関係ないと席を外した。

店を厳重警備にしてシュトラッサー少佐がやってきた。ここでウーガーテが官憲に見つかり射殺された。少佐からラズロ逮捕に協力してくれと頼まれた。

店にラズロと美しい女性・イルザ(イングリッド・バーグマン)が入ってきた。サムが女性に気づいた!バーグマンの美しさと気品に魅入りしますね!席に着いたラズロは「ウーガーテに会えなかった」と話す。そこに同志が顔を出し「バーに来い」と合図してきた。

ルノー署長が席を訪ねてきた!イルザが「あの黒人は?」と署長に訪ねると「サムだ」と教えた。次に少佐がやってきて「明日10時出頭せよ」と言って、去った。

女性歌手(コリンナ・ムラ)がギターを持って歌い始めた。ラズロは席を外し、バーの同志のところに。「ウーガーテに会えなかった」と伝えると、「明日同志の集会がある、来い!」と告げられた。ルノー署長がバーにやってきた。同志は帰って行った。

サムが「久しぶり」と挨拶。イルザが「昔の曲を弾いて!」とリクエストした。「リックは?」と聞かれたサム、「もう帰った、女がいる」と言うがイルザは信じない。「あの曲を弾いて!」というイルザに「禁止されている」と答えた。「弾いて!」と迫られ、彼は曲「時の過ぎゆくままに」を弾いた。歌ってというから歌った!

この曲を聞いてびっくりしたようにリックが現れた。そこにイルザがいて驚く!ルノーとラズロがバーから戻ってきてテーブルに着いた。パリが陥落した日のことをイルザは楽しそうにリックに話す。それをラズロが聞いていた。

イルザとラズロが帰ったあと、リックは「他に店もあろうにどうしてここに!」と悔やみ、サムにあの曲を弾かせて、パリにいたころを回想した。

リックはイルザと出会い「君の瞳に乾杯」と愛し合う仲になっていった。しかし、ドイツ軍のパリに進攻にことになり、彼はかってスペインで対独工作をしていたことから、イルザを連れてアメリカに戻ることにした。しかし、疎開客でごった返す雨のパリ駅でイルザを待ったが「私が愛していることを忘れないで」と置き手紙をホテルに残して、現れることはなかった。

回想を終えたところにイルザがひとり訪ねてきたが、リックがイルザの不誠実をなじったことでイルザは帰っていった。

翌朝10時、ラズロは居イルザを伴ってシュトラッシャー少佐の元に出頭した。少佐からグループの指揮者の名を明かせば出国させると示されたがラズロは拒否。これで出国許可書は手に入らなくなった。ルノー署長からウーガーテは死んだと聞かされた。

シュトラッシャー少佐は「ラズロはここでも外に出しても危険な人物だ!確保せよ」とルノー署長に指示した。

ラズロが闇市で闇の男フェラーリに会えばなんとかなると聞き、彼を探していた。フェラーリは訪ねてきたリックに「ウーガーテの持っていた通行証を売れ!」と急かす。リックはそのとき闇市をうろつくラズロを見た。そして布地を見るイルザを見つけ、近づいて昨夜のことを侘びた。そして「別れて俺のところに戻るか?」と聞くと「ラズロは夫、パリにいた時から」と言って去って行った。

ラズロとイルザはフェラーリの店を訪ねた。フェラーリは一枚なら何とかなるという。ふたりは一緒に行くことにしてフェラーリに断ると「一枚はリックが持っているという噂がある」と教えてくれた。

リックの店。大勢のドイツ兵が入ってきた。ドイツ兵とイタリア兵が喧嘩する。

そこに若い女性が「アメリカへ亡命への資金作りの夫が賭けで負けそうだ」と応援を求めてきた。リックはこの若いカップルのためにいかさま賭博で金を作るのを手伝った。彼は店を経営しながら裏ではヨーロッパ各国からアメリカへの逃亡を手助けしていた。

そこにラズロとイルザがやってきた。ラズロが「アメリカで行動を持続したい!」と協力を求めたが「わけは奥さんに聞け!」とリックはこれを断った。

そのとき、ドイツ兵たちがドイツの国歌「ラインの守り」を唄っていた。これに憤慨したラズロがフランス国歌「ラ・マルセイエーズをバンド演奏させ、店内の全ての客が起立して、ドイツ兵たちに対抗して歌った。(「ラ・マルセイエーズ」の歌詞を知らない人がぜひ調べてみて!)これに怒ったシュトラッシャー少佐が店の停止をルノー署長に命じた。

ラズロはイルザに「リックが一枚持っている。渡さないという、理由はお前に聞けと言われた」と言い、仲間の集会に出かけた。

イルザはひとりリックの部屋を訪ね通行券の発行を依頼した。リックは「何を今更!」と拒否した。イルザは「女のことで仕返しなどしないで!もっと世界のことを考えて欲しい!」と説得しようとするが、リックが聞く耳を持たない。イルザは拳銃を向けて説得しようとしたが、出来なかった。イルザは「今でもあなたを愛している!」と涙し、ことの顛末を語った。「ラズロを逃がして欲しい。自分はあなたといたい!Zあなたに任せる!」という。リックは「君の瞳に乾杯だ!」とこれを認めた!

そこにラズロが集会で官憲に追われ手に傷を負って戻ってきた。リックはウェイターのカール(S・K・サコール)にイルザをホテルに遅らせ、ラズロを話し合った。ラズロは「あなたと妻の関係は知っている。でも妻を愛している。妻を出国して欲しい!」と訴えた。そこに警官たちが踏み込んでラズロを逮捕した。

リックはルノー署長を訪ね「ラズロを店に散れて来い。強制収容所に送って手柄を立てよ!俺はルイザとずらかる」と言い含め、フェラーリを訪ねて「カッフェ・アメリカン」を売った。

リックは釈放されたラズロとイルザを部屋に招いてふたりで脱出することを傳えた。そこにルノー署長がラズロを逮捕すると部屋に入ってきたが、リックが拳銃を突きつけ空港に2人が搭乗することを電話させた。が、署長の電話はシュトラッシャー少佐に繋がっていた。少佐が空港に急いだ。

空港に着いたところでイルザは昨夜話したことと違うという。リックは「彼には君が必要だ!一生後悔するぞ!俺達にはパリの記憶がある。俺にも大きな仕事がある。君の瞳に乾杯!」と搭乗を急がせた。

そこにシュトラッシャー少佐が駆けつけたがリックが拳銃で射殺した。警備隊にルノー署長が「犯人を捜せ!」と指示した。

ふたりの乗った航空機を見送って、ルノー署長が「お前をレジスタンス支部へ送ってやる。美しい友情の始まりだ!」とリックに話しかけた。

感想                                                     

ルノー署長とリックが連合国の未来に希望を持たせながら宵闇の中へ消えていくラストシーン。この結末、なかなか読めませんでしたね!とてもスリリングな物語の展開でした。

 リックとラズロ、イルザの三角関係。リックの“忍ぶ恋”という結末。戦争勝利のためにとイルザとの恋を諦めたリックの男らしさに、前述の「20センチュリー・ウーマン」に出てくる母親ドロシーは憧れた!(笑)

イングリッド・バーグマンとにかく美しく気品がある。数度にわたるキスシーン、この時代にこのシーンは圧倒的に受けたでしょうね!

この作品はアメリカのプロパガンダ作品だと言われています。いたるところにそのエピソードがあり、その匂いがする作品でした。しかし、リックとイルザの恋の結末にどの程度関与があったか?関係していても名作です!

イングリッド・バーグマンは失敗作だと思っていたが、戦後この映画を見て「こんなによく出来た映画だったんだ!」と述べたと言われています。

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主題歌:「時の過ぎゆくままに」


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「カモン カモン」(2021)ここに出てくる子供たちの声が凄い!未来の彼らに対する親の責任は!

監督が「20センチュリーウーマン」(2016)のマイク・ミルズ。時代をとび越えた母と子の生き様、絆が暖かくユーモアたっぷりに描かれたこの作品が大好きで、本作に期待していました。

監督・脚本:マイク・ミルズ撮影監督:女王陛下のお気に入り」のロビー・ライアン、美術:ケイティ・バイロン衣装:カティナ・ダナバシス、編集:ジェシーファー・ベッキアレッロ、音楽:ブライス・デスナー アーロン・デスナー。

出演者:「ジョーカー」(2019)のホアキン・フェニックスウッディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、スクート・マクネイリーモリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト。

あらすじ

NYを拠点にアメリカを飛び回る独身のラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)がシカゴで子供たちの未来を聞くインタビュー中に、LAに住む妹ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)kら「演奏旅行で家を空けてる夫ポール(スコット・膜ナリー)が精神疾患で倒れたので数日面倒を見て欲しい」と電話がかかってきた。LAに駆けつけ、9歳のちょっと風変わりな甥ジェシー(ウッディ・ノーマン)と対面。その後、ポールの症状が芳しくなく、ジェシーを連れてNYに戻り、子育ての厳しさを味わうことになったが、驚きに満ちたかけがえのない体験をした。この体験を通して、ヴィヴやジェシーと新しい家族としての絆を築くことになっていく・・・。

物語は、監督が前作で父親や母親を物語のベースにしたように、この作品では息子の子育て体験をもとにして作られたと言われ、情感豊かでリアルです。

ジョニーは「現在の生活」「世界について」「未来について」と米国各地の子供たちをインタビューして巡る。この行動と甥の面倒を見る物語がシンクロナイズして描かれ、「大人は子供の未来に責任がある」という強いメッセージ性を持つ作品となっています。エンデイングで沢山の子供たちの発言が紹介されますが、我々の想像を超えたもので、素晴らしい。このことで一層、子育ての重要性を認識することになります。

ホアキン・フェニックスとウッディ・ノーマンが父と子の関係になっていく自然に演技に魅せられます!

感想(ねたばれ:注意):

エピソードを追いながら感想を述べ、最後にまとめたいと思います。

 デトロイト

ラジオジャーナリストのジョニーが子供たちに「将来はどうなっていると思う?」「未来は今よりも良くなっているかな?」「正しいことをするために大人は何をするべきだった?」とインタビューするシーンから始まる。

自動車産業で栄えた街。未来は思いのほか早く終わったと思っていたが、子供たちの答えは「良い未来になる、希望を持っている」と決してそうではなかった実際にホアキンが学校を訪ね収録したとのことで、子供たちの自由な発言力に驚かされます。本作がドキュメンタリータッチで社会の問題を覗くというのがいい。

LAに住む妹・ヴィヴから「夫・ポールがオークランドで倒れた!様子を見に行くので、ちょっとの間、面倒見て!ジェシーは風変りだが問題ない」と電話が入る。ジョニーは1年前に亡くした母親の介護をめぐる妹との確執がよぎり、この申し出を引き受けた。物語はジョニーの子育てでありながら、思考を広くして、ヴィヴとの邂逅の物語でもある!このあたりは「20センチュリーウーマン」と同匂いがする作品でした。

ロサンゼルス

モノクロで空撮の映し出されるLAの街が美しい。ヴィヴとジェシーに迎えられ、ジェシーが一番大きい部屋だと案内し、「すべてが繋がって木は大きくなる。そのためには栄養を詰め込む必要がある」と絵本の一節を口にした。この一節はラストシーンに繋がる大切なシーンになります。

なんでこの一節を喋ったか、確かに変わった子だ!母親ヴィヴの“読み聞かせ”がしっかりなされていることが伺われる。子供の成長に絵本がいかに大切か!

ヴィヴは寝る前に絵本を読むことだけを言い残して夫の元へと旅だった。朝、大音響のクラッシク音楽で目が覚めたジェシーの黙って出て行った母への苛立ち!だった。それにしても母のメモが楽譜というのもすごい!ジェシーには理解できない世界だった!

ジョニーは機嫌伺いに「君の未来は?」とマイクを差し出すが受けてくれない。しかし、録音機、収録音に興味を示す。ジェシーをLAの街に、海岸に、遊園地へとジェシー連れ出し、音を収録して過ごした。

ジェシーから「母と何を話した?」と聞かれ、母親の介護で意見が合わなかったことしか思い出せない。しかし、ジョニーは母と自分との関係を考え、これがヴィヴ、ジェシーへの想いとつながっていく!

なぜ結婚しない?」と聞かれ、「分からん!君には経験がない」と子供にどう答えるべきか分からず、やたら絵本を読み聞かせた。(笑)ジェシーが父の口数が少ないことを聞いてくる。「君が好きなように話したらいい」と言えば「子供たちが可哀そうだ!」という。もう俺にはこの仕事は向いてない「お前は変わりもんだ!」と投げ出したい気分になった。

そこにヴィヴから「夫の状況は、今しばらく様子見する必要がある。ジェシーには言わないで」と伝えてきた。ジョニーは、断ろうと思ったが、海辺で一心に海の音を聞くジェシーの姿を見て、ニューヨークに連れ戻る決心をした。

ニューヨーク:

ジェシーの学校の送り迎え。ヴィヴと携帯電話で話しながらのジェシーとの生活。ヴィヴが「母親というのは究極の生贄!世の中を明るくする仕事だ!」という。ジェシーが母・ヴィヴのこと、「寝かせ方」などを話すが、女性のことはさっぱり分からない。もう少し女性の構造を知っておけばよかったと思うようになった。(笑)

ジェシーの体に発疹があることに気付いた。ヴィヴに話すと「栄養でなないか?」という。ジョニーもインタビュー資料の整理などで忙しい。これはまずい!とジェシーを連れてショッピングに出かけた。ところがジェシーがいつの間にはいなくなった。ジョニーは不安で!必死に探していると、何もないようにジェシーが現れた。ヴィヴにこのことを相談すると“ホームシック”と分かった。「ここにいるのは父親のためだ!(我慢しろ」」と言うとジェシーが起こる。父親のことを何も知らせてなかったことで彼が頑張る力を失ったと分かり謝ったこの謝ったことがいい結果に結びついていく!心が通じ合うようになった。風呂で髪を洗ってやる。「もう寝るときの本読みもいらなくなった」とヴィヴに携帯で伝えると「そんなもんよ!最初は自己流でいいのよ」と返してきた。

ニューヨークでは新しい世界を求めてやってきた移民の子供たちのインタビューをする。子供たちの声の録画がスムースに進む!

ピザ店でジェシーが「母となぜ兄妹らしくしない!なぜあなたは孤独なの?」とインタビューで迫ってくる。「自分を理解しないこともある」と答えると「薄っぺらだ!」と怒る。(笑)

街を歩いて、家に戻りふたりでふざけているところにヴィヴから「彼をMHに入れる、絶望的!」と伝えてきた。「俺といればジェシーは丈夫だ!」と返した。ジェシーには電話を渡さなかった。

翌日、街を歩いていて突然ジェシーがいなくなった。バスに乗っていた。昨夜の電話が気に入らなかったらしい。ジェシーを連れ戻し、次の日、荷物をして「もう面倒見切れん!」とジェシーを空港に送る途中で、彼がダイナーのトイレに入って出てこない。「ママはパパのことでいっぱいなんだ!」というと「分かった!何を怒っている」と出てきた。

ニューオリンズ

いくつかの地域が水没してしまう地域、ここでのインタビュー。ここにジェシーを連れてきた。昨日のことを「短気で悪かった!バカ中のバカだ」と謝った。「叔父さんは身勝手だ!」という。父親の病気について心配させまいと配慮したことが裏目に出た。「伝えるべきは伝えないとダメ!」

夜、ジェシーがジョニーのベッドに潜り込み、母親の話をする。「母は優しいし、僕を愛してくれているが、全部は分からない!」と本音を話した!

ハリケーンで苦しむ生活の中でも、子供たちは未来への希望を語っていた。控室でジェシーが泣いている。「星の子供たち」を読んで泣いていたのだった。「旅が楽しくても、帰るときは不思議に悲しくなる」と感想を述べた。ふたりはもう次の生活を考え始めていた。

パレードを見ていたジョニーが倒れるとジェシーが「人間には回復ゾーンがある。だからちょっとそこを触っただけ」と介護した。もうジェシーはジョニーが大好きになっていた。

森の公園を歩きながらジョニーが「未来を考えたことがあるか?」とジェシーに聞くと「未来は考えもしないようなことが!だから前へ前へ進むしかない!」「カモン カモンだよ!」と声を上げた。ジョニーも一緒に声を上げ「泣いている?笑っている?」と囃した。もう大人でも子供でもない関係になっていた!

美術館で絵を鑑賞。そこにヴィヴから「パパはよくなっている、迎えに行く!」と電話が入った。

ジェシーは母ヴィヴと一緒にLAに帰って行った。ジョニーはジェシーと過ごした日々の記録をまとめ、「傍にいてやるから、無茶苦茶でいい。落ち込んだらすべてを思いだしてあげる」と書き送った。

まとめ

エピソードが面白くセリフが洒落ているので感想が長くなりました!

母親が迎えにくる前の公園でふたりが「未来が分からないだから・・」と「カモン、カモン」と叫び合うシーン、ふたりが大人でも子供でもない一緒に未来に期待するシーンに感動しました。

子育ては未知への挑戦!正解なんかない!と子供の自主性を大切にして、強制しないで“よく聞く“ことが大切だと教えてくれます。今の日本の社会、「聞くということが疎かにされている」ように思われ、「茜色に焼かれる」(2021)でもこのことを強く感じました!

ホアキン・フェニックスとウッディ・ノーマンの叔父と姪っ子演技ノーマンが自由変化にすこし変わった子をリアルに演じる。これにジョーカーのホアキンがふりまわされながら、優しい叔父さんへと脱皮していく。2人のやり取り、演技がなんとも魅力的!すばらしい子役が生まれましたね!

ヴディ・ノーマンの描く未来とは「よりよい世界を目指すなら、今抱えている問題をとにかく解決しなければならない。今、世界の指導者たちが過去200年に起きた出来事を赦し、忘れて、その先に進むことが大切だ」という。この言葉に、子供たちに未来を託したいと感動しました!

仕事、仕事で過ごした人生。今にして思えば、子育て以上の大きな仕事はなかった。もっと、もっと聞いて、話して、共感しておけばよかったと反省しています!

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「茜色に焼かれる」(2021)相手の言い分を聞くだけでいい、聞いてやれないのか!それで悪いと思ったら謝れ!

舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の石井裕也監督作品で観たかったんですが、当地では上映されなかった作品。WOWOWに初登場でやっと観ることができました。

アルツハイマー症の運転手が起こした交通事故で夫を失い、さらにコロナ禍により経営していたカフェが破綻し、花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちで働く母親。母の仕事で息子はいじめにあう。こんな理不尽な社会に翻弄されながら懸命に生きていく母と息子の物語。

監督・脚本:石井裕也撮影:「花束みたいな恋をした」の鎌苅洋一、編集:石井裕也、岡﨑正弥。音楽:河野丈洋主題歌:GOING UNDER GROUND「ハートビート」。

出演者:4年ぶりに単独主演となる尾野真千子、和田庵、片山友希、永瀬正敏、大塚ヒロタ、泉澤祐希、コージ・トクダ、他。

社会の眼が向かない人々や弱者に暖かい目線を向ける監督の作品が好きでずっと監督作を観続けていますが、監督の考えや不満が噴出したような作品になっていました。

あらすじ(ねたばれ:注意):

冒頭、夫・田中陽一(オダギリジョー)が車に跳ねられるシーンが、おもちゃの車を使って描かれます。事故状況の説明というより、「運転手はこんな気分で運転していた」と受け取りました。

相手の運転手・有島敦がブレーキとアクセルを間違えての事故だった。この事故を有島は保険会社に任せっきりで、謝罪することはなかった。有島は高級官僚で、アルツハイマーだったということで罰せられることもなかった。このことに妻の良子(尾野真千子)は「夫はバカにされている」と保険金を受け取らなかった。夫はバンド編成して反戦の歌をやったりしながら良子とふたりでカッフェを経営、たいした仕事はしなかったが、読書が趣味で沢山の本を集めていた。

7年後有島敦が92歳で亡くなり、中田良子(尾野真千子)が葬儀に出向くと、有島の息子(鶴見辰吾)が「あなたはおかしい!嫌がらせは止めてくれ!警察を呼ぶ!」と会葬を拒否し、これを成原弁護士(嶋田久作)が引き取って良子を追い返した。良子は香典1万円を置いて帰った。

脅しであったとしても、この程度の問題になんで「警察を呼ぶ!」ということばがでるのか?安易に使われ過ぎる。コミュニケーション能力の低下を感じます。

良子はコロナ禍でカッフェの仕事に行き詰まり、花屋のバイトと風俗の仕事を掛け持ちで働くことにした。他人に迷惑を掛けないよう、家計簿はしっかり付けていた。

良子は風俗の仕事で客に「年取ってるな!コロナじゃないな!もっと若いのがよかった」と侮られるがじっと我慢して「まぁ、がんばりましょ」と自分を励ます。知り合った風俗嬢のケイ(片山友希)は「馬鹿にされてる!」と耐えられない!

指名がかかって急ぐケイがゴキブリを見て悲鳴。そこに店主の中村(永瀬正敏)が駆けつけスプレーで退治。「私たちはゴキブリか?」とケイ。(笑)

良子はこれでいいが、13歳の息子・純平(和田庵)は上級生に呼び出されて「賠償金を取って、風俗で働いて、市営住宅か?」と虐められる。純平は家に帰り母良子に「変な仕事してない?税金で暮らして」と聞くが、良子は「してない!ルールは守る」と言葉を濁した。

純平のシャツに血が着いていた。良子は学校を訪ね、担任に正すと「知らない」と言い「風俗の仕事をしていないでしょうね」と聞いてきた。良子は「純平に何かあったら許さない!責任感のない人はそういう風に薄ら笑いをするんです!」と抗議して帰った。(笑)

良子も花屋のバイト先で、「(痛んで)処分する花を持ち帰るな!」とひつこく注意されたり、学校からの呼び出し電話(携帯)を店の外で取ろうとして「規則違反!」とネジャーの斉木(笠原秀幸)に責められるという、店長(コージ・トクダ)が就職を頼まれた子を採用するために、解雇されそうになっていく。そして2カ月前の解雇通告を無視して上の指示だと解雇を言い出される。

良子は義父を老人ホームに入れて面倒を見ていた。この出費16万5千円が大きい!そだけに頑張っていた。純平を連れてホームを訪問した。

コロナ禍でモニター超しでしか会話はできない。このシーンを映画の中に取り込んでおくのはいい着眼だ。義父は「職員のいらない自転車もらったら」と話す。純平はもらうことにした。(笑)立ち去り際、ホームではコロナ禍での慰安に“リモート慰安コンサート”を行なっていることを知った。良子は、学生時代、芝居にハマっていたので興味を示した。このシーン、どうでもいいシーンですが、後の伏線として大切なシーンとなります。(笑)

夫陽一の命日に、かってのバンドメンバーたちによる陽一を忍ぶ会に良子が参加するとメンバーの滝(芹澤興人)から「金に困っているだろう」と言い寄られる。迎えにきた純平がこれを見て、「セクハラだ、嘗められている」と心配をする。

ある日、良子が風俗店で家計簿をつけていると、ケイがインスリン注射を打っていた。糖尿病で子供の頃から死ぬまで一生注射する。「母は死に、父から8歳の頃からレイプされていた」と言う。そこに中村がやってきて「腕を切って死のうとする子がいたが、生きているからましだ、売れる!しかし何で苦しんで生きる!」と言い、「あんたはどう思う?」と良子に聞いてきた。良子は「分かります」と曖昧に笑って「無理して生きるのは馬鹿!」と返した

こんなことがあって、良子はケイを一緒に飲み屋で飲み、自分の本当の気持ち「旦那を理不尽な事故で失った。虫ケラ扱いだった。相手は自分のことだけで、マスコミ対応がうまかった。葬儀の差はなんだ!私はあの人の味方になる。納得できないで自分探しをしている」と打ち明けた。そして酔い潰れてしまった。ケイは純平を呼んだ。ケイの純平の無邪気さが気に入り、デートに誘い電話番号を教えた。

純平はケイに心奪われ、父が読んだ本で恋愛を学び、ケイに会いにゆくた老人ホームから自転車を譲り受けて乗る練習を開始した。不器用な純平の自転車練習が上級生たちの笑ものになった。

雨の夜、良子は神社で雨宿りしていて、かっての恋人熊木(大塚ヒロタ)に出会った。熊木の「離婚した。原因は夫婦が家族になって刺激的な愛が亡くなった。人生は失敗しても何度でもやり直せる。俺に全部任せればいいんだ」という言葉に、良子は熊木が本気で付き合ってくれると思った。

良子は中村に風俗店を退職すると伝えると「そいつは大丈夫か?金を貯めることはどうなるんだ!風俗で働いてること話したか?難かあったら電話しろ!」と スプレーでゴキブリを退治し、そのスプレーを良子に渡した。(笑)

良子は担任に呼ばれて学校に出向くと「純平の中間テストの成績が抜群で、なぜなのか」と担任に聞かれた。成績の悪い子をどう面倒見るかが先生だろうが。。。(笑)でも、とにかくうれしい良子でした。

純平は自転車でケイに会いに行くと、ケイのひも男((前田勝)に車で病院に連れて行かれるところだった。純平は「逃げよう!」と誘ったが、ケイは「何をやっても無駄!」と応じなかった。純平はこうして大人の世界を理解し始めていた。

ケイは病院で堕胎手術を受けた。

純平が父の本で父に隠し子がいることを知り良子に知らせた。良子はとっくに知っていてこの子の療育費を払っていたが、滝を介して増額の申し出がきた。

良子は熊木にホテルに誘われた。そこで良子は風俗で働いていたことを告白した。すると「自分は家庭持ちだし、遊びじゃん!かえって刺激があっていい」という熊木に良子が騙されたと思った。この年齢でこの様、良子にも落ち度がありますね!

良子はケイに会って泣いた!ケイは純平みたいな子が好きだと言い、癌であることを告げた。良子はカフェやるから一緒にやらない!と勧めた。

夜、純平が本を読んでいるところに上級生が「売春婦の子!」と冷やかしにきて純平と喧嘩になった。腹いせに火を掛けられボヤの発生。これで市営住宅を追われることになった。良子と純平がもう逃げ場がなくなっていったというのは分かるが、このエピソードはちょっとひどすぎる!(笑)

神社に熊木を誘い出した良子は茜色の勝負服で包丁をバックに忍ばせて出かけた。この勝負服に疑念を持った純平が追った。良子は近づいてくる熊木に包丁を取り出したが、純平がこれを取り上げた。逃げる熊木を純平が追ってぶん殴り、追いついた良子が泣くり、そこにやってきたケイが殴り、止めは中村が殴った。(笑)中村は「元ヤクザの俺に任せておけ」と中村をオレオレ詐欺の受け子にして警察に渡し、弁護士として成原を雇ったという。(笑)

ケイがビルから飛び降りて亡くなった。良子と純平、それに中村がケイの葬儀に参列した。「よくしてもらってありがとうございました」という父親の挨拶を白々しく聞いた。

その帰り、良子と純平は自転車にふたり乗りしていた。純平が「母ちゃん、俺、負けそうだ」と言うと「私も。ずーっとまだ夜にならない。まだ空が真っ赤っか!」と良子が答えた。純平は「母ちゃんが頑張るなら俺も頑張る。母ちゃん、大好きだ」と。

良子は、タイトル「神様」で老人ホームの慰安コンサーに参加した。神棚に向かって、「本当は結ばれるべきでなかった。くだらない男でも愛して、子供ができた。愛して、愛してる。生きがいだ!何が悪い!神様、これ以上に私に生きる意味を問うのか、試すのか?」とひとり芝居をし、中村に撮ってもらって、ホームにリモート送信した。

老人ホームで純平母親の芝居を見たが理解できなかった。それでも「この人こそが、俺の自慢の母ちゃんだ」と思った。(笑)監督作品には必ずぶっ飛んだシーンがあります。「愛のために生きる」、それがこれだった!!(笑)

感想:

良子や純平、ケイにとって理不尽だというエピソードが沢山紹介されましたが、どうでもいいようなものも入っていましたが(2、3コ省略)(笑)、良子が言いたい不条理は冒頭の夫が交通事故で亡くなるなるエピソードに尽きると思います。

迷惑防止条例違反で隣人に訴えられ、20日間の拘置所生活を不起訴で終えたばかりでこの作品を観たせいか、この不条理がリアルで情けなく、なんとかならないの?と感情移入して観ました。

警察を呼ぶ、弁護士を使う、規則だから、上からの指示と言わず、ちょっとでいい、相手の言い分を聞くだけでいい聞いてやれないのか!それで悪いと思ったら謝れ!。もう少し人に愛があれば!これで随分と社会は過ごしやすくなると思うのですが。これは西川和美監督の「すばらしき人生」(2020)でも描かれたテーマです。

尾野真千子さんの演技。「まぁ、がんばりましょ」と不思議な笑顔で自分を殺し毅然として愛に生きる演技に、これまで彼女が体験したもののすべてが出ているようで、この物語の続きにきっと光が差すと思わずにはいられない力、存在感がありました。すごい女優さんになりました!この演技で、この年のキネマ旬報ベスト・テン 主演女優賞を受賞しています。

                                                           ****

「我等の生涯の最良の年」(1946)勝者の帰還兵にも大きな戦争の傷が残っていた!

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第2次世界大戦後のアメリカを舞台に、同じ故郷へ戻ってきた3人の帰還兵が様々な社会問題に直面しながらも再生していく姿を描いたヒューマンドラマ(モノクロ作品)。1947年・第19回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞(フレデリック・マーチ)、助演男優賞(ハロルド・ラッセル)など9部門に輝いた作品です。

戦争終結直後の戦場帰還兵の物語、これはめずらしいとNHKBSプレミアムで鑑賞しました!

監督:後に「ローマの休日」など数々の名作を生んだウィリアム・ワイラー。原作:マッキンレー・カンター、脚本:ロバート・E・シャーウッド撮影:グレッグ・トーランド音楽:ヒューゴ・フリードホーファー

出演者:マーナ・ロイフレデリック・マーチ、ダナ・アンドリューステレサ・ライトバージニア・メイヨ、キャシー・オドネル、ホーギー・カーマイケル、ハロルド・ラッセ、他。

あらすじ;

1945年8月に第二次世界大戦終結した。陸軍軍曹アル(フレデリック・マーチ)、空軍大尉フレッド(ダナ・アンドリュース)、海軍水兵ホーマー(ハロルド・ラッセル)の3人の帰還兵がたまたま同じ軍用輸送機B=17に乗り合わせアメリカ中部の町ブーンシティ(架空)に帰還した。

ホーマーは両手が義手。器用にマッチを擦ってタバコに火をつけて、相手にも勧める。しかし、恋人が待っているというがどこか表情が暗い。フレッドは階級に似合わないぐらいに腰が低く、陽気だ。結婚して間もない妻が待っているという。アルはこの中での年長者、なんでこの人が軍曹なのかという、落ち着いた雰囲気がある。

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それぞれが家族の元に帰った。

ホーマーは両親に暖かく迎えられてが、ホーマーの儀手を見た両親の複雑な表情を目にした。そして恋人ウィルマ・キャメロン(キャッシー・オドネル)を複雑な気分で抱擁した。気まずい気分を払うように叔父ブッチ(ホーギー・カーマイケル)が経営するナイトクラブに向かった。

フレッドの両親は沢山の勲章をもらって生還したことを喜んだが、妻のマリー(ヴァージニア・メイヨ)は家出してナイトクラブで働いていると知ら、すぐに妻を捜しにナイトクラブに向かった。

アルは豪奢なアパートに戻り、妻ミリー(マーナ・ロイ)、娘ペギー(テレサ・ライト)や息子ロブ(マイケル・ホール)に会った。彼は出征前、銀行の役員だった。妻は帰還を喜んでくれたが、娘は無関心、息子に至っては「日本人は家族の絆を大切にすると聞いた」と言い、「レーダーやミサイルに原子力が結びつけば悲劇になるから人類は共存すべきと物理の先生が言っていた」とアルが日本軍と戦ったことを批判するような発言をする。気分晴らしにと妻と娘を連れてクラブに出向いた。

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ナイトグラブに集合

ホーマーは叔父ブッチの弾くピアノに惹かれていた。彼は傷痍軍人で年金が貰えるので就職を考える必要がなかった。これから両腕がない体でどう生きるか、その答えを探していた!

アルは戦争の憂さを晴らすように飲んだ。フレッドはアルに勧められて飲み、そして踊った。取っ払ったフレッドはアルの車で送ってもらい彼の豪邸に止めてもらうことになった。

夜中、フレッドは戦友が亡くなったときのトラウマで苦しみ、ペギーの介助を受けて彼女の優しさが忘れられないものになった。

翌朝、フレッドはアルに車で送ってもらったマリーのアパートに戻った。

マリーは大喜びで、制服で劇場に行って友達に勲章をもらった話をして欲しいと言い出す。フレッドは仕事を見つけなければならないと言いながら、これを受け入れた。

仕事探し、

アルは元の職に戻って欲しいという頭取の希望で、融資部長として復職した。最初の仕事が新規事業を始めるという復員兵への融資だった。担保なしで融資したことで、頭取から注意を受けた。

帰還祝いのパーティーで挨拶に立ったアルは「戦場で攻撃せよと指示されたが勝目がないと断りえらい目にあった」話をして、「復員兵には担保がなくても積極融資をする」とスピーチして、大喝采を得た。これを聞いたミリーがことの他喜んだ。出征前のアルは堅物で融通が利かない男だったようだ。

フレッドは元のドラッグストアーを訪ねた。後輩が彼に職に就いており嫌だったが、マリーにせかされ、薄給ではあったが、香水売り場の職に就いた。そこにペギーがやってきた。フレッドは驚いた。ペギーを送り出すとき、思わず抱きしめた。これにペギーも驚いた。

ホーマーは家に籠って、人を近づけず、猟銃射撃などで過ごす。ウイルマが訪ねてきてもそっけない。そんなホーマーにウイルマは昔と同じように愛していると伝える。ホーマーは戸惑っていた。

フレッドとペギー

ぺギーはフレッドの気持ちを知ろうとフレッドとマリー夫婦をクラブに招待した。マリーは放縦にフレッドより他の客たちと楽しそうに過ごす姿を見て、フレッドに惹かれていった。

こんなペギーにアルは「妻のいるフレッドとは付き会うな!」と注意した。アルはフレッドをクラブに招いて、「ペギーとは付き合わない」と電話するよう促した。そこにはピアノが弾けるようになったというホーマーがいた。アルがピアノを弾くホーマーに話しかけているとき、フレッドは「君に特別な気持ちはない。会うのはよそう」と電話した。このシーンはアルとフレッドのふたつの行動が深度の深いカメラで同じ画面に収められていると話題になったシーンらしいです。

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ホーマーとウイルマ

ホーマーがフレッドのいる店に顔を出すと、そこにいた客から「日本やナチス共産主義を絶滅出来たのに我々は英国に利用されてしまい、無駄な犠牲を払た」と批判され、ホーマーが怒って殴りかかろうとするところを、フレッドがホーマーを庇ってその客を殴り倒した。フレッドはこれで店を首になったが、ホーマーに「結婚しろ!俺が立会人になる!」と伝えた。

町を出るようにと家族に言われたウィルマはホーマーを訪ねそのことを彼に伝えた。ホーマーは避けていたウイルマを寝室に呼び入れ、両腕の義手を把持して何もできない自分の姿を見せるとウイルマがパジャマのボタンを留める。この姿に感激したホーマーは「愛している!」と本心を打ち上げた。

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フレッドの再就職

フレッドがアパートに戻ってくると、マリーが男を呼び入れていた。フレッドは男を殴り、荷物を持って、別れて新しい仕事を探すと空軍基地の飛行場に向かった。

飛行場には大量の爆撃機が解体され横たわっていた。フレッドはその一機に乗り込んで懐かしんでいるとあのトラウマに襲われた。これを乗り越えるにはどうするか?

そこに解体爆撃機を管理している男がやってきて「仕事がないなら解体を手伝わないか?」と仕事の話をもってきた。フレッドは新しい物に生れ変えるこの仕事に意義を感じ、就職を決めた。

ホーマーとウイルマの結婚式。

ここにはアル夫妻、ペギーも招待されていた。結婚式のシーンではふたりの誓の言葉を述べるシーンがとても丁寧に描かれます。誓の言葉に促されるようにフレッドはペギーの元に近づき、やさしく抱擁した。

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感想

戦争が終わった次の年に、この作品。淀川さんが言うように「本当は最悪の年なんですね。この3家庭を通して、アメリカを見事に見せたんです。うまいんですね」というように暗い社会を救った作品でした。タイトルが見事だと思います。

物語は淡々と語られるというか、まるでそこに居合わせたようは平凡なストーリーですが、リアル感があり、アメリカは勝利したのにそこには大きな悲劇があり、戦争の無意味さが伝わる作品になっています。この時期に、この作品!映画の役割がありましたね!

アメリカ本国には戦争被害はない」と思ったが、使用することがなくなった爆撃機の墓場や帰還兵には戦争の大きな傷が残っていた。これがリアルに描かれる。ワイラー監督が戦場を経験していたからでしょうか、すばらしいです。

そして新しく生きていくという帰還した3人の生き様がいい!

語られない戦場の傷。ホーマーは恋人と別れる決意で戻ったが、同じ悩みを知るフレッドに励まされ、ウィルマの愛を受け入れ、予想される困難をふたりで克服するであろう長い結婚の誓の言葉!

戦場と平時の生活は全く異なる。戦場では英雄であっても平時をうまく生きるとは限らない。フレッドは名爆撃手という名誉を捨て、新しい仕事を得てミリーとともに新生活に踏み出す!マリーはちょっとひどい嫁でした!(笑)

アルは戦場で自分本位の自分を見つめ直し、復員兵に暖かい手を差し伸べるようになった。

印象的なのは、語られる部分は少ないが、ホーマーの物語で、ハロルド・ラッセルの不安な表情演技が冴ていた。次いで、トラウマを抱えながらも新しい環境に勇気をもって飛び込んでいくフレッドの物語。

アルの生き様はよく分からなかったが、演じたフレデリック・マーチがアカデミー主演男優賞!「復員兵への暖かい手を!」という社会的要求によるものだったんですかね!

               **** 

「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」(2022)刑事物語、7年にもわたる連続爆破事件を同期生が命をつないで解決する感動的な話

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第25作目の劇場版「コナン」。監督が本作シリーズ初の満仲勧さん。そして音楽:第1作から担当の大野克夫さんから菅野祐悟にバトンタッチ。

原作:青山剛昌脚本:第21作「から紅の恋歌」第23作「紺空の拳」の大倉崇裕さん、撮影監督:シリーズすべてに参加している西山仁さん。主題歌:BUMP OF CHICKENの「クロノスタシス

コナンといえば謎解き、アクション、恋物語。一つの節目の作品に新旧混ざったスタッフでどう攻めてくるか?

3年前の連続爆破事件。降谷をはじめ5人の警察学校同期生が絡んだ事件。現在生存しているのは降谷のみ。降谷にとっての因縁の事件解決にコナンの協力を得て挑むという物語「ハロヴィンの花嫁」とどう絡むの?これが面白いところです。

声優;常連さんに加えて、今回は省察学校同期生と事件関係者が加わります。

神奈延年(松田順平)、東地宏樹(伊達航)、三木眞一郎(萩原研二)、緑川光(諸伏景光)、三宅健太(村中勉)、山口由里子(クリスティーヌ・リジャール)、ブラーミヤ、白石麻衣(エレニカ・ラブレンチエワ)、ボルケーノ太田(オレグ・ラブレンチエワ)。

あらすじ:

謎解きが勝負の作品!少し原点に戻った感じ。ということでネタバレは厳禁ということで最小限に努めます。

 高井刑事と佐藤刑事の結婚式。会場から「えらく急に!」との声が。「特命です!」と高木。そこにいきなり警官が飛びこんできた。佐藤刑事の胸に赤い血が!日暮警部が「ある人に頼まれた!訓練じゃ!」と部屋に入ってきた。毛利小五郎やコナンたちはびっくり。佐藤刑事は訓練とは言え、高井刑事の顔が3年前に所属していて爆破事件で殉職した松田刑事の顔に重なり、恐怖で青くなっていた。

このころ公安警察官の降谷は謎の人物を追っていた

このあと、毛利小五郎やコナンたちは警視庁に事情を聞こうと向かう途中で、外国人男性がタブレットの爆発で亡くなり、小五郎が大怪我をするという事件が起きた。このとき灰原が男が落とした松田陣兵の名刺を拾った。なぜこの男が、何のために松田の名刺を持っていたのか?

「事件発生!」の事情を聴いた日暮警部らは連続爆破事件を思い出し、「高木はたしかに松田似だった」という。コナンは佐藤刑事に連続爆破事件について質問した。佐藤は「事件があったのは3年前の11月7日のハロヴィン。名刺交換するとすれば6日しかなかった」と語った。

高木と佐藤は7年前に亡くなった萩原の墓参りに出かけた。車の中で、佐藤は「3年前の11月6日、松田と巡邏中に荻原の墓参りのメールを待っていた姿を思い出す」という。墓守の住職が「4人で毎年墓参りに来ていたが今ではひとり、降谷だけだ」という。

2人が警察学校で4人の資料を漁っていると公安軽擦官・高見がやってきて「公安の事件だ。命令だ!手を出すな!」と止めた。

コナンが小五郎が入院している病院に行くと、元警察庁捜査一課長の村中と婚約者のクルスティーヌが訪ねてきていた。結婚式でのスピーチ依頼だった。少年探偵団に「眺望のいいホテルだから見学に来ないか」と誘った。欄に村中とクルスティーヌの印象を聞くと「村中さんは尻に敷かれている(笑)」という。

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コナンが何者かに誘拐され、目隠しをしてとある地下セルターに連れてこられた。厳重なバリアーのある部屋の中に首に爆薬付首輪を着けた降谷がいた。

彼は3年目の連続爆破事件について語り始めた。「同期4人は萩原の墓参りの帰り、渋谷でガス漏れ騒ぎがあり、ビルに飛び込むと外人の男がうずくまっていた。松田が名刺を出して警察に行け!と促した。鳥覆面の不審者がいたので俺が屋上に追い詰めた。松田が爆発物の処理にあたり班長の伊達が監視してた。屋上で不審者に手榴弾を投げられ気を失ったとき諸伏に助けられた。松田は信管を電気式として処理していたが爆薬液の混合によるものだと気づき、ガムを使って混合を防止するといううまい処理をした。その後、「ビルから退避させろ!」という松田の指示で、3人がこれにあたった。突然大爆発でビル内全員が亡くなった。公安上層部がなぜかこの事件を封印した。松田の死は報じられていない!」。降谷はコナンに協力を求めた。コナンは降谷の立場を十分に理解し、自らの判断で動くことにした。

少年探偵団に「友人の知らせで荷物があるビルにあるので取ってきて欲しい」というクリスティーヌからの依頼が灰原に入った。コナンらは示されたビルに入ると布で隠された荷物があった。荷は爆薬だった。コナンは4人を退避させ処理しようとしたが間に合わずスケボで飛び出した。ビルが爆破炎上した。

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コナンは「爆破物は連続爆破事件と同じものだ」と考え、日暮警部に報告した。現場を刑事たちが調査する中、カボチャの作り物で変装した一群が取り巻き、千葉刑事が拉致された。千葉の携帯電話で下水道に「松田刑事を寄こせ!」と要求してきた。高木が「自分が行く」と手を上げた。

高木を要求したのはロシア人のあるグループでリーダーは女性で名をエレニカという。

ここから伏せます!

このロシアグループの行動目的は、なぜ松田が必要だったのか、そして3年前に松田が名刺を渡した男との関係、この男は警視庁の前に何しに来ていたのか、想像してみてください。

誰が連続爆破犯人か、これを知ったコナンと降谷の行動は?渋谷交差点で繰り広げられるラストシーンが見事です!

感想:

コナンは楽しいですね!毎年、この時期に観れることが幸せだと思っています。突っ込みどころも散見されますが、あまりこだわりはありません!

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今回は謎解きというか、刑事物語になっていました。7年にもわたる連続爆破事件を同期生が命をつないで解決するという感動的な話でした。刑事たるものこのような執念、人を信じる力を持ってもらいたい!

刑事物語に高木と佐藤刑事の恋を絡ませてありますが、降谷が仲を持ったように見えるのがよかった。

アクションは控え目でした。その分、ストーリーに力点があったように思います。テンポよく、伏線もうまく繋がる。そしてイデアも面白い。渋谷交差点付近が一番の低地で水が集まるという発想、これから生まれる物語!

絵はとても美しく、ダイナミックで楽しめました。渋谷交差点でのハロヴィンシ-ン、これは圧巻でした。

               ****

声優:高山みなみ江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也毛利小五郎)、降谷徹(安室透)、高木渉高木渉)、湯屋敦子(佐藤美和子)、緒方賢一阿笠博士)、岩居由希子(吉田歩美)、大谷育江(円谷光彦)、林原めぐみ灰原哀)。

 

「イン・ザ・ハイツ」(2021)

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トニー賞4冠、グラミー賞ミュージカルアルバム賞受賞の2005年初演ブロードウェイ・ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」の映画化作品。

ワシントンハイツに住む若い移民者たちが、人権や貧困、差別などの逆境に立ち向かいながら、夢を追う姿を圧倒的パフォーマンスで描くというミュージカル作品。

 原作:リン=マニュエル・ミランダ、監督:「クレイジー・リッチ!」(2018)のジョン・M・チュウ脚本:キアラ・アレグリア・ヒューディーズ、撮影:アリス・ブルックス美術:ネルソン・コーツ、衣装:ミッチェル・トラバーズ、編集:マイロン・カースタイン、作詞:リン=マニュエル・ミランダ、作曲:リン=マニュエル・ミランダ、振付:クリストファー・スコット。

出演者:アンソニー・ラモス、メリッサ・バレラ、レスリー・グレイス、コーリー・ホーキンズ、オルガ・メレディス、ジミー・スミッツ、グレゴリー・ディアス4世、ダフネ・ル:ビン=ヴェガ、ステファニー・ベアトリス、ダーシャ・ポランコ、リン=マニュエル・ミランダ、マテオ・ゴメス、他。

あらすじ:

ドミニカからの移民ウスナビ(アンソニー・ラモス)は従兄弟のソニー(グレゴリー・ディアス4世)とともにNYマンハッタンのワシントンハイツ地区で親から受け継いだコンビニを営んでいる。ウスナビというのはUS Navy(アメリカ海軍)から着けたというのが面白い。(笑)

そこには日々、同地区の人々がやって来て買い物と会話を楽しんでいく。

熱波が警告される日、最初に店にやってきたのは街のおばあちゃんとして慕われているアブエラ(オルガ・メレディス)、家賃が高くなったと言い、コンデンスミルクに宝くじを買った。次に来たのはタクシー会社経営のケビン・ロザリオ(ジミー・スミッツ)、バンと牛乳に宝くじを買った。この街から唯一大学(スタンフォード)に入った娘ニーナ(レスリー・グレイス)が帰ってくると話す。

美容院経営のダニエラ(ダフネ・ルービン=ベガ)、美容師のカルラ(ステファニー・ベアトリス)、クカ(ダーシャ・ポランコ)がやってきて「暑い!熱い!」と宝くじを買った。この三人は踊りの名人で笑は全部持っていく。

ソニーが遅刻してやって「生活費が高くつく、この暑さ!停電になったら困る」とぼやく。

ロザリオのところの社員ペニー(コーリー・ホーキンズ)がボスのためだと新聞と砂糖を買った。「お前にはスキルがないから大変だろう!」と揶揄する。

そこに美容室で働いているバネッサ(メリッサ・バレラ)が「金が貯まったから引っ越しする!」と入ってきた。ウスナビは「さよなら」と挨拶。これを見たペニーが「お前はバカか!」と一喝した。(笑)ウスナビはバネッサに好意を持っていたが、今ではここの暮らしに先が見出せないとソニーと一緒に「父親の故郷ドミニカに戻ってバーをやりたい」と考えていたから・・。

ウスナビが外に出て街を見ると、この街の人たちが物価や家賃が上がり明日は見えないが、宝くじを買うのもそのひとつで、小さな夢を追っていた(市民の踊り)。

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大停電の3日前

ウスナビ、ニーナ、バネッサが夢について悩んでいた。

ウスナビはドミニカに帰っていたという弁護士のアレハンドル(マテオ・ゴメス)から「故郷はハリケーンでやられた。本気で帰る気はあるのか?」と問われ、「必ず故郷に帰る」と決意を述べた。ソニーを誘うが、彼は「ここが居場所だ」といい返事をしない。ウスナビはアブエラに相談すると「ソニーも一緒に!」という

ニーナが街に戻ってきた!街は大騒ぎだ!

ニーナは父の会社に立ち寄りペニーに挨拶して、父が不在なのでアブエラを訪ねた。ペニーはニーナに好意を持っていただけに残念そうだった。アブエラに「大学はむなしい!」と相談すると、アブエラは「子細なことでいいから、私たちの尊厳を示しなさい」と励ました。

ニーナは「ここが自分の居場所だ!」と思うが、街の人に期待されていただけに大学を辞めることに躊躇もある。父に会ってカフェで「学費が滞るから」とその理由を話すと、「金は心配するな」と辞めることに反対された。

ダニエル美容院。ダニエルが「先祖は奴隷船を生き延び、タイノ族の虐殺に生き延び植民地支配にも生きた。なんでD列車ごときに生きられないの?ここに留まって街に貢献する」と息巻いているところにニーナがやってきた。(笑)

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ニーナーは皆に大歓迎された。しかし、大学を止めると話すと皆がびっくりして、「退学か妊娠ではない?」と疑われた。(笑)

バネッサはファッションデザイナーになりたいと、ファッションカレッジを受験するが、準備した資金も足らず親のサインもないと固い証明書が必要と入学を断られた。バネッサはウスナビの店にやってきて「ダンスクラブに一緒に行く」と約束し、「決してファッションへの道は諦めない!」と伝えた。

暑い日だった。ウスナビたちがプールに行こうと店を閉めて出かけようとしたところに、「宝くじの当たり券が出た!9万6千ドル」という知らせが入った。プールではこの知らせにみんなが夢を描き、大盛り上がりとなった。

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ウスナビは「街に出てバーを開く。店はソニーに譲り、残りはアブエラにやる」。

バネッサは「街に出てデザイナーになる」。ソニーは「人権のための抗議活動を行う」。ペニーは「実業家になりタイガーウッドをキャディーにしてゴルフをする」。

当選番号が発表されたが誰も現れなかった。ウスナビは「皆が夢を持てた。夢の実現には働くしかない」と思ったという。至言!

大停電1日前

ペニーとニーナ。ペニーはアフリカ系黒人でここでは孤独、これがニーナの孤独と結びついて、ふたりはお互いを労りあうようになっていた。

アブエラがアレハンドロを訪ね宝くじの当たり券を渡すが、アレハンドロは「持っておけ!」と受け取らなかった!

ウスナビはソニーの父親を訪ねソニーのドミニカ行きを説得するよう依頼するが、受け入れてもらえない。アレハンドロを訪ねると「父親の店は手に入った」と言われ、「いよいよ帰るぞ!」とウスナビは覚悟した。

大停電の日

ウスナビたちはアブエラのアパートに集まってパーティー、故郷の料理や歌を楽しんだ。ケビンが「ニーナ、店を撃ったから大学に行ける」と披露すると皆が喜びの乾杯!しかしニーナは「金の問題ではない、友人のネックレスが無くなって疑われ、人種差別の問題よ」と怒って出て行った。

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パーティーが終ってダンス会場に向かった。美しいバネッサは男たちに大もてで「踊ってくれ!」と引張りダコ。ウスナビが悔しがる。(笑)そこにとんでもない女性が現れて踊りに誘われた!(笑)辛い世相のなかにあってもこのド派手なパーティー中南米の人たちには敵わない。(笑)

ウスナビがやっとバネッサと、そしてペニーがニーナと踊れるようになったところで停電!!

真っ暗な中でバディの相手を探す。見つからない。花火を上げろ!の声。会場は大混乱。美しい花火が上がった、

皆は暑い!暑い!と言いながらアブエラのアパートに戻ってきた。ところがアブエラの様子がおかしい!彼女は移民としてここに来たころの苦しかった生活を思い出し、去るべきか残るべきかを考えるなかで、「忍耐と信仰よ」と言葉を残して息を引き取った。アブエラの死が報じられると、街中の人々が灯りをもって弔意に駆けつけた。

大停電から3日後

ウスナビはバネッサに国に帰ることを傳えた。バネッサは悲しんだ!

ニーナは父ケビンから母と一緒にNYに出てきたころの苦労話を聞かされた。そしてソニーと一緒に“移民者集会”に参加した。ソニーが「一生懸命働いて、ルールさえ守っていればいいと思ってあくせく働くうちに故郷を忘れる。ニーナの話を聞いていて恥ずかしくなった」と漏らす。ニーナはこの言葉に衝撃を受けた!

家に戻ったニーナは「大学は出口ではなく入口!ここに戻る!」とケビンに話すと「お前は俺を追い越した!ニューヨーク・リコだ!」と喜んだ。

暑い!暑い!と停電にうちひしがれた街の人たち。ダニエラら3人が「この体たらく!ラテンだろうが!地元のカーニバルよ!母国旗を上げろ!」と踊りを促す。街中が踊りだす!街に灯りが戻ってきた。

大停電から30日後

ニーナが大学に戻る日。エニーとニーナは別れを惜しんで踊った。まるで周囲が見えないほどに愛しく思うふたりだった。このカメラワークが面白い!

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ウスナビはここにいるのか今日が最期の日と部屋を訪ねると、アブエラの小物入れがあり、その中に宝くじの当たり券が入っていた。これが最期と訪ねてきたバネッサは「街に残って欲しい!」と訴えた。

ウスナビはアレハンドロに会い「宝くじを現金にしてくれ!」というと「勝算は低いぞ!」という。ソニーに永住権は5年も10年も先だと同行を勧めたが、受けなかった。

バネッサはウスナビと別れての帰り、いつも建物の壁にドミニカの風物をペイント描きする男に会った。彼が捨てたペイントがついた布の模様に閃いた!

バネッサはウスナビをアトリエに招き、自分のデザインで作ったドレスを見せた。ウスナビは「帰るのをやめた。この金で頼む!俺は残る!」と声を出した。

「ウスナビが残るぞ」の声が一気に広がり、街中が踊りに包まれる・・・。

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感想:

見どころはダンスと歌主人公ウスナビがラップで歌い出して、もうほとんどノンストップの歌とダンス。歌とダンスの中にドラマがあるというミュージカル作品。他に例をみないでしょう!

しかし、年寄りにはこの尺(143分)は疲れました!(笑)

それでいて若者たちが先の見えない社会の中で夢を見つけるという社会派ドラマ。今の世界に求められる普遍的なテーマ、「小さな夢」「尊厳を大切に」「忍耐と信仰」など心にしみるセリフに励まされます。

夢のため、如何に民族としてのアイデンティテが大切かを教えてくれます。ニーナは大学に残る、バネッサは故郷の風物から採った着想でデザイナーに。これなくして移民者の生きる道はない。海外に出ていくとき「柔道だけは身につけておけ!」と言いたい。

長い忍耐は辛いが、実は力を貯めている、力をつけている時期なんだ。それだけに苦しければ苦しいだけ、夢がかなった時の喜びは大きい。

舞台とは違ってスケール感がある映像にダンス。ぜひスクリーンで観るべき作品であったなと!

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