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「決算!忠臣蔵」 お金の掛かる部分を全部カットした「忠臣蔵」物語、おもしろかった!!

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12月が近付くと「忠臣蔵」ということで、この作品を選びました。同じような考えの人が多いのでしょうか、劇場は、朝一番でしたが、満席でした。
いわゆる泣かせの松の廊下や、討ち入り、隊士の切腹などのシーンがない、吉良が全く出て来ない、これまでの忠臣蔵とは一風変わった忠臣蔵。しかし、これまでのものより、納得のできる、今の時代に繋がる物語でした。すばらしいエンタテーメント作品でした!
原作は東大教授・山本博文さんによる『「忠臣蔵」の決算書』(新潮新書)。大石蔵之介が実際に残した決算書を基に、討ち入り計画の実像を記したものだという。現在のお金に換算して、隊士らの行動を説明するところに説得力があります。
おおよそ1億円の予算で邸宅に押し入り吉良を討つという計画。赤字を出すことなく達成。なぜこのことが出来たか?昼行燈の大石蔵之介に、一瞬の戦機を逃さない状況判断と決断が問われます。
「銭の勘定が出来ない者に戦はできない」という赤穂藩兵学者であった山鹿素行の教えが痛いほど伝わる物語。このことは、現在の「兵站が分からない者に軍の指揮を任せられない」に繋がっています。

監督・脚本は「殿、利息でござる!」「忍びの国」の中村義洋さん。主演が堤真一岡村隆史さん、共演に濱田岳横山裕妻夫木聡荒川良々竹内結子石原さとみ・阿部サダオさんの他に、大勢の吉本喜劇の面々です。キャステインがすばらしく、堤さん、岡村さんの役は嵌り役ですが、多くの隊士のキャラクターを演じる吉本喜劇の方々の演技が凄すぎて、それぞれの想いがしっかり伝わり、分かり易い、笑いのあるドラマになっています。しかし、堀部安兵衛が何故荒川良々さんなのか?(笑)

あらすじ:
江戸・元禄年間。赤穂藩藩主の浅野内匠頭(阿部サダオ)は、江戸城内で幕府の重臣吉良上野介に斬りかかるという刃傷沙汰を起こし、幕府より即日切腹と藩のお取り潰しという厳しい裁定が下る。筆頭家老の大石内蔵助堤真一)は、幼なじみで勘定方の矢頭長助(岡村隆史)の力を借りて残務整理に追われる日々。そんな中、一部の藩士が仇討ちを口にして勝手な行動に出たり、討ち入りを期待する世間のプレッシャーも日増しに高まっていく。ところが、いざ討ち入りするにも相当のお金が必要なことが判明する一方、どうにか工面した予算800両(約9500万円)はみるみる減ってしまい、いよいよ追い詰められていく大石だったが…<allcinema>

****(ねたばれ)
冒頭、内匠頭が火消し装束で火事を消す訓練をするシーンから始まる。訓練といっても本物の家に火をつけての訓練だからびっくりです。江戸では、赤穂藩は火消しの藩として名を知られていた。この金はどこから出ていたか?そして、後にこの訓練・火消し装束が吉良を討つことに大きくかかわってくるところが見どころ。火事シーンが実にうつくしく撮られていました!

幕府の内匠頭切腹沙汰を聞いて開かれた赤穂城での大石大評定。
藩は幕府の一方的な処置に意見するとして籠城するか、城を開け渡すかと大揉め。このとき勘定方の採った行動は金を準備するために武器を売った。これには怒る者もいるが、これから生活するためにどうするか、還賦金(退職金)が必要だというもの。籠城なら27万円。開城なら180万円。どうするかと提示。

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大石は退職金を考慮し、駆けつけた大垣・広島の親戚藩の意見を聞き、内匠頭の弟・大学を藩主として幕府に認めてもらう(再興案)として「開城」に決めた。これまでの忠臣蔵には出て来ない策です。

大石は残務整理を始める。浅野藩取り潰しと聞いて、次から次へと借金の請求書が来る。矢頭がこっそり貯めていた預金で何とか切り抜ける。そこに、江戸の藩士堀部安兵衛荒川良々)が赤穂にやってきて「吉良を討つべし!」と宣言し江戸に帰って喧伝し始める。これでは再興案がおじゃんになる、どう説得して収めるかと苦慮。
再興案の根回しにと浅野家の菩提寺遠林寺の祐海和尚を将軍綱吉が奇帰依する真言宗・護持院の隆光大僧正の元に派遣した。旅経費が270万円だった。

苦しい台所事情のなかで、矢頭が内匠頭の妻・遙泉院の化粧料を塩問屋に貸し付けた証文があるという。大石はさっそく自ら出向いて回収にかかり、20%しか回収できなかったがその額9491万円。
赤穂藩の財政は塩業でなりたっていて、吉良がこれに目をつけたと言われている。

江戸は生類憐みの法で犬がわがもの顔で闊歩していた。こんな世だから赤穂の浪人たちはいつ吉良に討ち入るのかと話題になり、再建案を推し進める大石は堀部ら江戸組を説き伏せるために原惣右衛門木村祐一)ら要人を次々と江戸に送った。各々に260~80万円。しかし、堀部らを説得できず、大石自らが大高源吾(濱田岳)を伴って上京。これに385万円を要した。それでも堀部らは納得せず、1年先送りして様子を見ることにして900万円を渡した。彼らの住む屋敷を視察すると廃屋同然の荒れた屋敷で、これに900万円払ったという。これには何か訳がありそうですね。
矢頭は「使いすぎだ!」と注意した。この時点での残高は5429万円であった。

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吉原遊郭を見学して、遙泉院を訪ねると「どのように使っているか?良からぬ処をうろついているらしいな」と窘められ、「自費で遊んでいる」と答えたため事後大石は遊びは自費ということになった。(笑)遙泉院から「とむらえ!」と言われ、用人の落合与左衛門(笹野高史)に確認すると「墓」だと言う。山を購入することにして1518万円を支払うことにした。

大石は京都に戻り、江戸組と吉良の目を欺くために自腹で遊郭に通いドンチャン騒ぎを続けた。見かねた矢頭が派手すぎると注意し、大石は妻・理玖(竹内結子)と子たちを妻の実家に帰した。駕籠も使わせなかった。

江戸組は大石が本当に討ち入りを諦めたのかと不安がるが、吉田忠左衛門(西村まさ彦)が、西村さんの熱演で(笑)、これを否定して彼らを支える。

吉良は隠居という噂を聞いた大石は「それでは沙汰がないのか?」と大垣藩主・戸田采女正(滝藤賢一)を訪ね再興のことを糺すと、「俺のところに来ないか?」と誘われた。

このようなとき、料亭で偶然江戸に送ったはずの祐海和尚に会った。和尚は「もはや手遅れ。浅野の弟・大学は広島藩に追放され、再興の望なし」だという。怒った大石は、駕籠で行けという矢頭の申し出を断り、これを知りながら言わなかったと物頭の進藤源四郎(近藤芳正)ら元に急いだ。駕籠でこれを追った矢頭が何者に襲われ瀕死の重傷を負う。

進藤らは「再興などできない。お上は赤穂を手放さない。大人しくしてほしいだけ」という。大石が「それでは武士の一分が立たん!敵は幕府」と反発しているところに瀕死の矢頭が運ばれてきた。大石が「討ち入りに銭は足りるか?」と聞くと「やるなら大事に使え!しっかり見積もり先々を考えろ。ムダに使うな!」と言い残して逝った。この言葉に皆が泣き、討ち入り決行が決まった。この物語のハイライト、堤真一さんが大石に見えました!

大石は丸山で決起大会。予算上、決行日は三周忌(翌年の3月14日)、江戸につれていけるのは29人と決め、同志のリストラを開始する。説得に大高源吾と貝賀弥左衛門(小松利昌)があたり、大石がこれまでやってきた女遊びの悪行を使い忠義意欲を失わせることでバッサバッサ切っていくところがみごと。(笑)

この時点での残高1638万円。

江戸に出て、900万円で買った屋敷に急ぐが、焼けた!という。長屋14軒を3月までの約束で借り490万円。
密偵のための屋形舟代16000円、刀など武具購入費14万円・・・と準備しなければならないものがでてくる。“もう金がない”

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12月2日、全員揃って討ち入りのリハーサル。采配を振るうのは軍師・菅谷半之亟(妻夫木聡)。Ⅰ回で勝負!と計画を詰める。討ち入りは午前4時、屋敷前で二手に。梯子がいる、トラを打つ14万円、かけやが6個で9万円、カスガイ、松明、弓矢と計算。衣装は夜間で目立つもので1262万円と試算、火消し衣装で間に合うとほっとした。3人一組で行動、そのうちの一人はくさりかたびたが必要として15人分823万円。すでに予算を287万円オーバー。さらに笛が必要だ。
大石は呆然としているところに、吉良の動向を探っていた源吾が「吉良は14日に在宅している」と伝えた。
殿の命日は3月14日。この日でなければという意見もあったが、それでは必勝のための資材が整わない。3月分の生活費が浮かせて完全装備で討ち入りできると12月14日を討ち入り日と決めた。

大石は決行の前日、遙泉院を訪ねたが会えず、側人・落合与左衛門に決算書を渡して帰った。
遙泉院と落合が決算書を調べると貸した金は全部使い切っていて、遙泉院は「でくの棒!」と決算書を投げたが、別に100両の金貨があった。

この金貨は、決行後家族の子供たちを救うための金だった。この人情噺に泣けます!
どうやって大石が100両もの金貨を作ったかは、ラストシーンで示されます。世に伝わる大石の遊びは大嘘だった!

お金の掛かる「忠臣蔵」を金の掛かる部分を全部カットして、こんな面白い物語を作ったスタッフ、キャストのみなさん。すばらしかった。

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映画『決算!忠臣蔵』予告90秒 11月22日(金)全国ロードショー