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「ライフ・イズ・ビューティフル」(1997)このタイトルにこの落ち。イタリア人にしてやられた!

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とても評判のいい作品、NHKプレミアムで一連の反ナチ作品として紹介されたひとつ。ユダヤ人迫害(ホロコースト)の悲劇を如何に伝承するか?こういうやり方があったかと楽しみました。

あらすじ:

イタリアノ田舎から親父を頼りに上京中に偶然出会った娘さんは小学校の先生だった。ホテル勤務をしながら、とても手が届かないと思った先生を手に入れる。なんと運のいい人生か?ふたりの間に可愛い男の子ができて小さいながらも本屋さんを経営。そこにナチ・ドイツ軍が進攻し、3人は強制収容所に収容される。父子と母は別に収容され、なんとしても母の元に返したい父親の採った手段は・・・というコメディ&ヒューマンエンターテイメントです。


La vita e bella - Life Is Beautiful (ライフ・イズ・ビューティフル)

前段はユーモアたっぷりに二人の出会いが、ファンタジーでコミカルに描かれます。後段、強制収容所に収容され、状況は一変。暗い生活のなかで、数々のナチの非業に耐え、収容所を出る日を夢見ながら過ごす家族の姿が描かれます。前後段のチェンジの切り替えが絶妙で、後段のナチの非業が強烈に浮かびあがります。

強制収容所での父親のドイツ語通訳のシーン、腹を抱えて笑いました。これ、チャップリンの「独裁者」を観る思いでした。父親の謎かけがこんな結末になるとは・・・!脚本の魔力です!

笑のなかにナチの行った虐殺を描写して、二度とこのような迫害があってはならないと戒める本作、何度も何度も繰り返さねばならないキャンペーンにこの手があったかと思わせる作品!見事でした。

ロベルト・ベニーニ監督のエンターテーナーとしての圧巻のパフォーマンスに驚かされました。ジョルジョ・カンタリーニの可愛さ。母親がロベルト・ベニーニの実の奥さんとは!

監督・脚本:ロベルト・ベニーニ、撮影:トニーノ・デリ・コリ、音楽:ニコラ・ピオバーニ。

出演者:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジョ・カンタリーニ、ジュスティーノ・ドゥラーノ、セルジョ・ビーニ・ブストリッチ、リディア・アルフォンシ、他。

本作は第51回カンヌ国際映画祭(1998年)で審査員グランプリを受賞。第71回米国アカデミー賞(1999年)で作品賞ほか7部門にノミネートされ、そのうち、主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞を受賞しています。

感想(ねたばれ含む):

テーマは「ライフ・イズ・ビューティフル」。人生には上手くいかないことが付き纏うが、やりようでいくらでも幸せになることを教えてくれます。美しい妻をどうやって手に入れた?二人の間に出来た子供を、最悪のナチの迫害から、知恵と笑いで守ることができることを示してくれます。愛する子供を天国で微笑んで見ているでしょう。“彼の短い人生は美しかった!”

「これは素朴な物語であるが語るのはむずかしい童話みたいで、切なくて驚きと幸せが詰まっている」で始まる、息子ジョズエの幼いころ父と強制収容所にいた記憶。ええっ!という出だしです!

1939年、イタリア。ユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は友人フェルッチョ(セルジョ・ビーニ・ブストリッチ)と共に北部の田舎から山岳道をしゃれた車で叔父ジオを頼って、トスカーナ地方のアレッツォという小さな田舎町に目指していた。とても美しい風景です!

ブレーキが利かない。山岳道でブレーキのベーパーエアロック?修理中に屋根から落ちてきた美しいドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)。これが運命というものです。これをうまく生かすのがイタリア人。(笑)蜂に刺されたドーラの脚の傷口を吸って治療した。これが彼の運命を開くことになった。彼女を“お姫様”と呼ぶ。すったもんだがあって、二度目は盗んだ自転車でお姫様にぶち当たった。(笑)

グイドは叔父のレストランでボーイとして働くことに。料理の運び方やメニューの採り方はもうチャプリンを彷彿とさせます。ここで彼の特技はクイズ。ドイツ人医師レッシングに「白雪姫に7人の小人が遭遇する時間は?」と問題を出し、悩むレッシングに答えは「7”ミニ”ッツ」と明かしてすっかり虜にした。

客の視察官が姫・ドーラの学校を視察するという。あの姫は学校の先生。この繋がりも運命。レッシングに先立ち、視察官に化けて学校でドーラに挨拶し日曜日の歌劇観劇を聞き出す。そして、イタリア民族がいかに優れているか、裸になって具体的に体の特徴を示しながら熱弁を振るう。これにはドーラも驚くが、彼女の記憶に残ります。(笑)

そして歌劇鑑賞に劇場に潜り込むがドーラは2階席、隣の女性に愛嬌を振りまいた・・・。(笑)  婚約者ロドロフに置いてきぼりを喰わされ、雨で困ってるドーナを車で送ると、ドーナはしゃっくりばかり、そのうちに話が弾んで車が衝突!(笑)

ホテルでのドーラの婚約披露宴。披露宴開始前に、伯父が通勤用に使ってる馬がグリーンに塗られてユダヤ馬に注意”と嫌がらせが発覚。ユダヤに対する嫌がらせだが、グイドは差別なんぞ洗えばいいと気にしない。

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婚約者ロドロフは町の役人で美男子だが自己中な男で仕事の話ばかり。うんざりしているドーラ。グイドはテーブル下に潜り込んでドーラに近づく。こんなグイドにドーラがキスして「連れ出して!」。気づかないのは婚約者。落書きされた伯父の馬に乗って現れドーラをかっさらって、この場を自分とドーラの結婚式にしちゃった。(笑) これ反ユダヤ人に対する最大の皮肉!このシーン、映画「バード」(1988)でチャーリー・パーカーが使った手でしたね!

ドーラを連れて伯父の家に帰るが、鍵が見つからない。もたもたしているうちに彼女は隣の屋敷に入っていった。追ってグイドが入ると「ジョズエ」のというドーラの声。ふたりが出て来たときには、時が経て、息子のジョズエ(ジョルジョ・カンタリーニ)と一緒だった。うまい時の経過の描き方です!

人生にはいろいろと邪魔が入る!これにあつかましく挑み、ひっくり返せと教えてくれます。() イタリア流ですね。私のイタリア人の友人もこの典型でした!

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妻ドーラとジョズエを自転車に乗せて自分の作った本屋に出勤。これが幸せいっぱいのポスター写真です。妻が途中で仕事場に。

ジョズエは戦車遊びに夢中だった。ふたりでいるところにゲシュタポがやってきて、強制収容所行の列車に乗せられる。伯父も一緒だった。ジョズエは初めての列車の旅。「列車は座らない!やっと切符が買えたんだ!」と教えているところに、ふたりがいないことに氣づいたローラが追ってきて、「私も強制収容所に!」と列車に乗り込むが、別々の車両だった。

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強制収容所の中は数段のベット。すでに沢山のユダヤ人と一緒になった。怖がるジョズエに「ここにはここのゲームルールがあるんだ。人に見つかったり泣いたりして見つかったらゲームオーバー。だけど隠れ抜いたら点数がもらえるんだ、1000ポイント溜まったら戦車がもらえるよ!それで家に帰れる」と教えて毎日毎日このクイズに挑むことにした。絶望のなかでも夢を持てれば生きれることを教えてくれます。

そこにドイツに将校がやってきた。通訳がいない。グイドがかって出て将校の話を訳して伝える。「ゲームは全員参加だ。1000点取れば戦車が貰える、本物だ。得点はあの拡声器で流す。我々は悪役だから怒鳴る。怖がると原点だ!原点はます泣き出すやつだ!・・・」。 (笑)  役に立たないと女性と子供がガス室に送られていると聞いてドーラが心配する。

伯父と一緒に強制労働に駆り出されるが、戦車を作っていると誤魔化し、部屋に戻っては今日貰った点数をジョズエに話して励ました。

ジョズエは風呂に入れて勧められても、父親恋しさにグイドの、職場に来る。逃げ出していて、ジョズエは一命を取り留めた。親父はガス室で処刑された!こういう“悪夢の歴史的事実”を知らしめるよう作品は作られています。

ある日警備員をごまかして放送室に入り、女性ユダヤ人に向けて、自分たちは生きているとドーラにサインを送った。ドーラは処刑された人たちの衣類を整理する仕事をしていて、この放送でふたりが生きていると知って涙を流した。

グイドは健康診断で、もうちょいのところでガス室に送られるところで、ドイツ軍軍医となっていたレッシングに出会った。

ジョズエは人の体から石鹸やボタンを作っているという話を聞いてすっかり怯えて姿を見せなくなった。

レッシングに取り入りドイツ軍士官歓迎会のボーイにつけてもらった。友がなく寂しがるジョエズをここに連れてきて「ゲームだから誰とも話すな!」とドイツ人の子供たちに会せ、美味いものを食べさせ、クイズへの競争心を煽った。(笑)  レッシングから「デブで醜くて黄色でどこにいるかと聞くとココ ココと答える。歩きながらウンチをする。わたしは誰だ?」と謎を掛けて、これで困っているという。これは嫌味な謎かけですね!グイドは妻を励まそうと蓄音機で昔踊ったレコード曲を流したりもした。

監視が厳しくなり、ジョズエに「見つからなければ勝てる」と徹底的に隠れることを命じた。そんな時に終戦の前兆を知る。やつらは殺しにやってくるとグイドはジョズエをゴミ箱の中に隠し「誰もいなくなったらお前が一番だ!父がいなくても出ていい」と教えてドーラを探しに出た。ドイツ兵に追われてゴミ箱の前を通るとき、「ゲームだ!」とお道化た姿をジョエズに見せながら笑って消えてゆき、ジョズエの見えないところで射殺された。

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誰も居なくなって、ジョエズが道路に出ると本物の連合軍の戦車がやってきた。お父さんが言ったとおり一等賞で、戦車のプレゼントだったと喜んだ。この戦車に乗せてもらって行進中に母ドーラに出会って「僕一等賞だよ!」

「ドーラ生きろ!」と励ますグイド、自分の身を投げ出して息子ジョズエを救ったグイド。このタイトルにこの落ち、イタリア人にしてやられたという感じです!(笑)

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