期待していた作品の公開、朝一番で観ましたが、満席でした。MCU作品は映画作品のみの鑑賞で、前作を復習して望みました。予告記事も多少読んで、「ストレンジの敵が自分だ」というのも、未知部分の多いこの男の暗部を描き出してくれるものと、さらに監督が「死霊のはらわた」のサム・ライミならどんなおぞろおぞろしい物語にしてくれるかと楽しみにしていました。
監督:サム・ライミ、製作:ケビン・ファイギ、撮影:ジョン・マシソン、美術:チャールズ・ウッド、衣装:グレアム・チャーチヤード、編集:ボブ・ムラウスキー ティア・ノーラン、音楽:ダニー・エルフマン。
出演者:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、キウェテル・イジョフォー、ベネディクト・ウォン、ソーチー・ゴメス、マイケル・スタールバーグ、レイチェル・マクアダムス、他。
あらすじ(ねたばれあり:注意):
ストレンジ?はどこか分からない世界でタコ系怪物と戦う少女を救おうと術を掛けたが利かず捕らえられた。そのとき少女が見つからない・・。
こんな夢を見て起床。正装して医者でかっての恋人クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)の結婚式に参加した。クリスティーンに「犠牲を負わせるばっかりで御免!」と謝った。「あなたはメスが好きだから」と皮肉られたが、新郎に代りたいという気分だった。そんな時、街に緑色のひとつ目のタコのような巨大怪物が現れるという大事件が起きた。暴れまわる怪物、あの少女が降りてきて果敢に攻撃するが触手で振り払われる。そこに相棒の魔術師ウオン(ベネディクト・ウォン)が駆けつけ、ストレンジはふたりで怪獣に挑んで倒した。少女はアメリカ(ソーチー・ゴメス)と言い、ウオンのいるカマー・タージで預かることにした。
アメリカの話しは夢と同じで、夢ではなかった。アメリカは次元の間を移動できる特別な能力を持っていた。アメリカは夢の男と魔術書“ヴィシャンティ“を探していて悪霊に襲われたという。夢の中の男の死体を示され、この話を信じることにした。夢の男を葬り、未曾有の危機を感じたストレンジは、アベンジャーズの中で最強のマジックパワーを持つワンダに協力を求めることにした。
ワンダは双子の母親だったが、ある事件でこれを失い、今ではリンゴ園に身を隠して生活していた。「ワンダヴィジョン」(2021)を観ていないので、ことの経緯は全く分からない!これはいけませんね!
ストレンジがリンゴ園を訪ねると、彼女は「アメリカを連れてくれば守ってあげる。失った家族を取り戻すためにアメリカのパワーが必要。渡さないならスカーレット・ヴィッチとなって奪いに行く」という。
ストレンジは彼女の要求を拒否し、カマー・タージに戻った。ウオンは「ダークホールに取り付かれたスカーレットは宇宙を破壊する」と寺院の防備強化に乗りだした。他の寺院から多くの魔術師が駆けつけた。
暗黒の雲を張って、スカーレットがカマー・タージに現れた。ストレンジに「クリスティーンのいる世界と交換しよう」と交渉してきたが、ストレンジがこれを拒否した。スカーレットと寺院の魔術師たちとの激しい戦いが始まった。しかし、スk-レットは魔術師たちをマインドコントロールして寺院内に進入してきた。ストレンジは「君に子供たちはいない」と攻撃を止めるよう促すと「どのマルチバースにもいるの!アメリカの能力を使って、2人の息子がいる世界に行く」とその映像を見せて襲ってきた。ついにストレンジはアメリカの星形ポータルで、他のバースに飛び出した!
着いたのは花の街、ニューヨークだった。
アメリカはまず腹ごしらえにとピザ店に立ち寄ると店主がストレンジの敗れた服装を貶す。ストレンジはこの親父に顔を叩き続ける魔法をかけた。この親父が「死霊のはらわた」の主演・ブルース・キャンベルだった。(笑)ほとんど笑いは起きなかった!ここからいよいよ死霊の世界へ入っていきます。
アメリカは幼いころ、蜂に刺される恐怖から父母を異次元にふっとばした記憶で、この能力を未だコントロールしきれないことを知った。「どこかで会える!」と励まし、このベースにあるストレンジ記念館前で銅像になっている自分を見た。アメリカが「あなたが死んでいるなら、マスターは誰?」と聞いてきた。こんな調子でふたりの間に友情が芽生え始めた。
サンタムを訪ねるとそこには兄弟子のモルド(キウェテル・イジョフォー)がいた。魔術書“ヴィシャンティ“を探していることを告げると「恐ろしい術だ!一瞬でも”ドリームウオーク“に取り付かれると抜けなくなる」という。スカーレットと子供たちの話しを持ち出すと「知っているが、お前らふたりの方が危険だ!」と睡眠入りのお茶を飲まされた。
ストレンジが目覚めると、四方が透明な壁で出来ている檻の中にふたりは閉じ込められていた。クリスティーンがやってきて「ここはバクスター研究所。他バースからやってきたあなたたちを検査する」という。
ストレンジはモルドに連れ出され、“イルミナティ”という身元調査委員会?で審査されることになった。委員会のメンバーはモルドのほかにキャプテン・カーター、ブラックボルト、キャプテン・マーベルのマリア・ランボー、・・ら6人からなる組織だった。このあたりはよく分からなかった!(笑)
このころカ・マータージではスカーレットがウオンに魔術師たちをいたぶりながら“ダークホールド本“を出せと責めていた。ウオンは遂に「焼いてしまったが碑文が残っている」と、自らのポータルで、雪のワンダコアに案内した。スカーレットは現れたタコ怪獣とハグを交わし「ここは私の玉座だ!」と席に着いた。ウオンは結婚式の日、怪獣がニューヨークの街を襲ってきたのはスカーレットの指図だったと分かった。スカーレットはダークホールドを駆使してアメリカを連れだすことにした。
一方、ストレンジは調査委員会でサノスとの戦での活躍を褒める発言もあったが「君が来たことでベースが不安定になっている。これではどちらかのベースが潰れる。ストレンジはどのベースでも自分マル出しで、自分のものにしてしまう」と批判され、モルトと決闘する羽目になった。ストレンジはモルトを倒し、“ヴィシャンティの書”を手にするため、このベースのシニスター・サンクタムに住む自分に会うことにした。ここはかなり端折っています!
アメリカはクリスティーンによって檻から放たれた。ストレンジはアメリカ、クリスティーンを伴って、スカーレットの追撃を逃れようとしていたが彼女に捕まり、アメリカが連れ出された。
ストレンジはシニスターストレンジを訪ねた。シニスターは痩せ衰えていたが鋭い眼光を持っていた。ストレンジは凍った池で妹を死なせたことを反省していると身分を明かすと、シニスターが「そんなことはどうでもいい!なぜクリスティーンの愛を受け入れられなかった?」とストレンジの自分本位な性格を突き、「本はない!勝ったらダークホールドの術を渡す」という。ストレンジはシニスターに挑んだ。ストレンジがピアノに触れたことで、戦いは音符が飛び交うという格闘になった。(笑)ストレンジが勝利し、この格闘で”ドリームウオーク“術を習得した。
ストレンジは”ドリームウオーク“技でアメリカ救出に向かいたいが、クリスティーンに「生きていてはその術は使えない!」と言われ、夢に出たきた男の死体に化け、ゾンビ・ストレンジとしてワンダコアに乗り込んだ。
ここからは映画でゾンビ・ストレンジとスカーレットの戦い、その結末を楽しんでください!
感想:
マルチバースが舞台というから、どのバースからいかなるキャラクターが飛びこんでくるのか?というのも楽しみでした。公開されているキャラクターでは、前作のものにワンダが加わっているのが目につくぐらい。何でここでワンダが脚光浴びるのかが分からなかった。
幕が開くと、あれ!というほどにストレンジの敵が違っていて、ワンダの“エンドゲーム”後の生き様を描いた「ワンダヴィジョン」(2021)を観ていないと物語について行けないという、慌てました!さらにX-MENにまで及ぶとお手上げでした。よく分からないというところも多々ありましたが、サム・ライミ色いっぱいの壮大なホラー感のあるストーリーとアクション、映像美を楽しみました。
テーマは死霊で描かれる「最大の敵は自分だった!」ではないでしょうか。
ワンダの人生はあまりにも悲劇的だった。ヴィジョンとの出会いは最大の喜びであったが、自らの手で始末しなければならなかったという運命。それだけにふたりの間にできた子供は放せなかった!自分を犠牲にしても取り戻すという母親の心情。ポン・ジュノの「母なる証明」(2009)の母親イメージで観ることにしました!(笑)それだけにラストシーンはいいところに落としたという感じでした。
一方のストレンジ。アメリカとマルチバースを旅することで、自分ではどうにもしようもない自我に出会い、これにうまく付き合あう方法を見出していく。“謙虚“こそが自分の成長に繋がるという結末。これは「ドリームプラン」(2021)と同じ結末になりました。次作の紹介があり、ストレンジの成長を見届けたいと思います。
本作は人間心理を深く追求しようとするストーリー性に優れていて、アクションよりストーリーを楽しむ作品でした。ところが残念ながら、コアなフアンの方には絶品と評価されますが、マルチバースの描写も含めて、素人には分からない部分が多かった。これはつらい!!1回の鑑賞では無理ですかね!(笑)
他を圧するスケール感のある映像が楽しめる作品だけに、分かりやすい作品にして欲しい!
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