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「サマーフィルムにのって」(2021)好きだと、斬って!斬って!斬りまくる1分間。これぞ未来に残る青春映画!

元「乃木坂46」の伊藤万理華さんが主演を務め、時代劇オタクの女子高生が映画制作に挑む姿を、SF要素を織り交ぜながら描いた青春ストーリー。元「乃木坂46」の伊藤万理華さんと聞いてもぴんと来ない年齢なんです(笑)しかし、「桐島、部活やめるってよ」(2012)っぽい作品のようだとWOWOWで鑑賞しました。

驚きました!すばらしいの一言。ラストシーンだけでもいい、観て!!

監督:松本壮史、長編映画初監督作品とのこと。脚本:三浦直之 松本壮史、撮影:岩永洋 山崎裕典、編集:平井健一、音楽プロデューサー:剣持学人、主題歌:Cody・Lee(李)。

出演者伊藤万理華、金子大地、河合優実、祷キララ、小日向星一、池田永吉、他。


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あらすじ:

高校3年生ハダシ(伊藤万理華)は時代劇映画が大好きだが、所属する映画部で作るのは好きというセリフだけのキラキラ青春映画ばかり。好きを映像で見せる時代劇で撮りたいが、武士役にぴったりの理想的な男子が見つからない。

そんなとき映画館で時代劇を観ていて、涙している男の子に出会った。追っかけて無理やり主役猪之助を演じてもらうことにしたのが凛太郎(金子大地)。脚本を読むと意見を言ってくれる。なんかいい感じで撮影を開始した。

タイトルは「武士の青春」。ラストシーンはまだ決まっていないが、「決闘しない!どちらにも感情移入して殺せない」結末にしたい。

撮影:天文部のビート板(河合優実)、殺陣指導:剣道部のブルーハワイ(祷キララ)、音響:ボールの音を聞いて投手があてられるという増山(池田永吉)と駒田(小日向星一)、照明:変な自転車乗りの小栗(篠田諒)(笑)、凜太郎の相手役“ねのすけ”:ダディボーイ(板橋駿谷)。

今年の部の製作作品は花鈴監督(甲田まひる)に決まっているので、ハダシにはお金が回ってこない。それでもメンバーでアルバイトして資金を作り、文化祭でゲリラ上映して花鈴作品に挑戦したいと考えていた。

ハダシは「お祖母ちゃんが勝新の映画を観て喜ぶ姿に見て、映画は過去に繋がる。私は未来に繋がる映画を作りたい!」と皆に自分の考えを話すと凜太郎が、口が滑ったか、「俺未来からハダシ監督の映画見たくってきた」と言い出した。「未来の映画は5秒がスタンダードで1分は長編、映画館はない」と凜太郎がもってきたタイムマシーンが語る。未来の映画を撮りたいハダシは悩む。「今はまだパラドックスは起きてない!」というビート板の意見で、映画を撮ることにした。

そんな中で、夏の合宿を迎えた。花鈴組は順調に進んでいるみたいだ!焦るハダシ。遂に合宿旅館を抜け出して行方不明。      みんなで必死に探すと、陳太郎とハダシが海岸で佇んでいた。いや佇んでいたのではなく、映画が撮れないハダシを懸命に凜太郎が「おれが未来で残してみせます。未来を変えます!」と説得していた。ふたりを見たビート板とブルーハワイは「凜太郎に失恋した」と泣いた!しかし、すぐにふたりは、凜太郎をハダシに譲り、立ち上がった。(笑)

ブルーハワイはこの経験を生かし、花鈴に請われて彼女の映画に出演して大喝采を得た。(笑)ハダシも花鈴組から支援を得てラストシーン「猪之助はねのすけを斬らない!さよならと言わない。ふたりは未来で生きる」をなんとか撮り終えた。

ビー板とブルーハワイはタイムマシーンから「作品は終わったら捨てられる。凜太郎はそっちに行ったらいけない人間だ。未来ではいなくなる」と聞かされた。ふたりは文化祭が終るまでハダシには言わないことにした。

しかし、花鈴が撮ったブルーハワイの演技を見て「自分の作品に愛はあるのか?」とラストシーンが気になる。

編集作業で、「さくらと果実」作品をふたりで観て、花鈴が「何度観ても泣ける、思いを伝えないのがいい、でも私なら捨てる!」と言う。ハダシは「撮った作品で行ける!」と判断した。

文化祭。ビート板がハダシに「好きと言ったら!」と勧めたが、「私、言えない」と。ハダシは凜太郎と文化祭の各部出し物を見て廻り楽しんだ。
いよいよ映画部の作品上映。先に花鈴作品が上映され、ブルーハワイの出演シーンで涙を流す子が多かった。

いよいよ「武士の青春」の上映が始まった。が、ハダシは映写室に走り込み上映を止め、ステージに駆け上がり、スタッフ・キャストをステージに上げ、「愛があってこそ真剣勝負になる。ラストシーンを取り直す!」と観客生徒に詫びた。ねのすけ役のダディボーイが「俺の役ではない」とその役をハダシに譲り、ハダシと凜太郎が「好きだ!」「好きだ!」と叫ぶながら、ステージ上で斬り合った。お互いが斬り違えたところで幕。

感想

座頭市」は私にはたまらない青春映画。本作で座頭市を演じる主人公ハダシの青春が分かる。伊藤万理華さん演じる座頭市、素晴らしかった。

サマー“フィルム“というタイトルの意味。この作品は未来の作品ということ。本作のテーマは「未来の映画」。私にとっては当時から60年後に出会った作品となり、未来で観ていることになります。十分楽しめました!

「女学生がスカートでちゃんばら演じて興ざめ」という意見があるようですが、全くそれはなし。青春のエネルギーと愛を感じました

ラストのステージ上で撮り直しするちゃんばらシーン。斬って!斬って!斬りまくって、好きだと告白するこの1分間。これこそが未来に残る作品だと思いました!

ただの青春背映画だけではなかった。映画界の抱える問題をぶつけるという若者の熱意、未来に届くといいですね。

ナイスキャステイングでした

主人公の伊藤万理華さん。座頭市の居合抜き、眠狂四郎円月殺法、見事でした。それに可愛かった。ブルーハワイの祷キララさん。剣士姿がりりしく、凜太郎に失恋したて花鈴監督の作品に幽霊役で出演して愛を告白するシーン、わずか数秒でしたがすばらしかった。

天文オタクの河合優実さん。凜太郎が好きだったがそれを表情に現さず、カメラマンとして懸命にハダシを支える姿。文化祭ではちゃんと恋人に出会ってうれしい表情。だれかに恋されるという、これも青春です!

篠原悠伸さんはまだ高校生が演じられる。(笑)これが恰好よかった。宮本武蔵を演じ恰好よかった。ギャグがたまらなく好きです。

イトマンの篠田諒さん。自転車こぐ姿がもうおかしくって、がんばりましたね!

はっちゃかめっちゃかのストーリー展開、これが面白かった。しかしこのなかに、本音でぶち当たって行く、青春の友情や怨嗟が混じっていて、当時の気持ちがこみあげてきます。

なんども脚本を考え直しやっとたどりついたラストシーン。愛を叫びながらの好きな人との斬り合い!これぞ未来の映画をめざした「武士の青春」映画でした!(笑)

青春とは何か?「悩みと情熱!」、こんな簡単なことをこんなに面白く伝えてくれました。

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