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「ハント」(2023)祖国を愛するが故の二人の情報部次長の壮絶な対決!

 

Netflixの大人気ドラマ「イカゲーム」で主人公を演じたイ・ジョンジェが脚本を手がけて自らメガホンを取った監督デビュー作といってもNetflixを観ていないし、監督がどんな人か分からないが、1980年代の韓国となると全斗煥大統領の時代、これは面白そうだなと本作をえらびました。

全斗煥大統領時代の史実を上手くつかって、安全企画部(旧KCIA)の内部対立をサスペンスフルに、そして圧巻のガンアクションで見せてくれました。

監督・脚本イ・ジョンジェ撮影:イ・モゲ、編集:キム・サンボム、音楽:チョ・ヨンウク。

出演者:イ・ジョンジェチョン・ウソン、チョン・ヘジン、ホ・ソンテ、コ・ユンジョン、キム・ジョンス、チョン・マンシク、他。

物語は

1980年代の韓国。安全企画部(旧KCIA)の海外班長パクと国内班長キムは、機密情報が「北」に漏れたことから、組織内にスパイがいることを告げられる。組織内の人間全員が容疑者という状況の中、パクとキムはそれぞれ部下とともに捜査を開始する。二重スパイを見つけなければ自分たちが疑われるという緊迫した状況下で、スパイを見つけ出すことができないパクとキムは互いの動向を監視するようになり、次第に対立を深めていく。そんな中、大統領暗殺計画が発覚し、その緊張は頂点に達する。(映画COM)


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あらすじ&感想(ねたばれ:注意)

時代背景として全斗煥(チョン・ドゥファン)時代を知っておく必要があります。ということで、

1979年10月、陸軍出身の全斗煥は朴正煕大統領が金載圭中央情報部部長により暗殺され、この捜査を指揮する中で、クーデターを実行し、軍事独裁政権を確立した。これにより民主主義政治を希求する反政府運動、大統領暗殺事件が起こった。本作では1980年5月、陸軍部隊を送って鎮圧した光州事件。1983年10月ミャンマー歴訪中の大統領を狙った北鮮工作員による爆弾テロ“アウンサン廟事件”を取りあげている。そして今日でも国民の全斗煥に対する厳しい目がある。作品ではこの他に1983年の北鮮の空軍大尉がミグ19戦闘機による亡命事件が取り上げられている。さて本題に、

海外次長のパク(イ・ジョンジェはこの道13年の経歴者。温厚で思慮深い。亡くなった上司の娘ユジョン(コ・ユンジョン)を預かっている。一方の国内次長のキム(チョン・ウソンは陸軍の中佐。軍人らしく感情は直行型で行動力がある。ふたりの性格は正反対で、組織内にいるスパイを求めて対立を深めていくことになる。

1983年の全斗煥大統領の訪米時民主主義を求める在米韓国人の大規模デモが発生した。キムが「早く収めろ!」とパクに求める、さらに米CIAが発見した首謀者をキムが射殺したことも「所轄は自分だ」とパクに不快感を持っていた。

パクとキムを演じるイ・ジョンジェチョン・ウソンにしっかりとキャラクターの特性が読み取れ、デモ隊の行動、銃撃シーンに迫力がある。ほんと、韓国映画のよさが出ている。

パクが帰国するとユジョンが学生デモに参加して逮捕された。パクは釈放されたユジョンに「悪いやつに関わるな!」と注意し金を渡すが、彼女は受け取ってもそっけない態度だった。

デモの首謀者を逮捕して尋問が始まる。それをパクとキムが視察すると暴力で尋問していた、キムは「辞めさせろ!」と指示した。キムの胸には耐えられない傷があった。

カン部長から「大統領の訪日に合わせ、417特殊作戦の中止と北スパイ・トンニムをあぶりだせ」と指示が出た。

パクは北の訪日倍賞交渉団の中にいる原発専門家からの亡命情報が持たらされたと部長に報告した。パクは日本に飛び亡命希望者と電話接触すると「特殊作戦は失敗、トンニムがいる」と連絡し電話が切れた。

パクは交渉団が建物から出てきたところで亡命者を確保する作戦に出たが、北鮮側との撃ち合いになり亡命者は死亡、チームからもヤン課長(チョン・マンシク)を失うことになった。

パクは部長から責任を取り辞職を勧められたが、「何時かは退任する」と部長を殴った。パクは大統領から絶対的な信頼を得ているという自負があった。

部長がアン部長(キム・ジョンス)に交代した。アン部長はキムとは親しい間柄だった。アン部長はふたりの次長を呼び「組織が腐敗している。内部にスパイがいる、炙り出せ!」と指示しパクとキムを競わせることにした。パクは海外逃亡者名簿を洗い、キムは被疑者を逮捕し尋問する。

そこに北から戦闘機で中佐は亡命してきた中佐の尋問から北鮮は大規模作戦を行うために工作員を増やしているいることを知り、また多くの秘密書類を得た。部長は「48時間で調べろ!」と指示を出した。

キムは亡命中佐の暗号書を解読し、クリーニング店を襲う。激しい銃撃戦で男を逮捕した。この男に厳しい尋問を続けるが効果がない。キムは自分が参加した光州事件で警官から殴られ苦しむ民のことを思い出していた

一方、パクは情報収集のベテラン課長パン・ジュギュン(チョン・ヘジン)の機転で国防省の資料から「キムに軍事関連企業の代表チェ・ギュチャンから多額の金が渡っている」ことを掴んだ。チェを呼び出し、訊問を開始した。

キムが逮捕したクリーニング店の男が「トンニムだ」と自供した。激しく疲労のため病院に収容した。パクが会いに行くが会えない。院外から男が狙撃され死亡してしまった。パクは「417作戦を何故やった!」とキムは「いつからスパイになった」と掴み合いの喧嘩をした

キムに外国のバイヤー?から「チェが困っているからハントを止めて欲しい」とクレームが入る。アン部長から「パクを監視しろ!」と指示された

キムは学生のジュギュンを逮捕し尋問を始めたパクもキムから尋問を受けた。パクは拘置所を訪れジュギュンに「心を曲げても答えるな!」と教えた。

ここらあたりから眠気が出てきた!(笑)それほどにこちらに考える間を与えず進んでいく。(笑)

パン課長が大統領の私話テープを入手しキムに見せた。チェがワシントンで成功するためにペトロ(大統領)に50万ドル準備した・・」という内容だった。キムがこのテープに動揺しているところに、パクが現れキムの首を絞め、「狙撃したのはお前か?」と聞いた。キムは認めた。

パクは呼び出しを受け出向くと北鮮派に捕まり、樹に吊るされ拷問を受ける「俺はペテロ作戦なんか知らん!」と話すとさらに拷問が激しくなり「安全企画部へ連絡してバンコクで殺すと言え!」と声を挙げた。そこにキムが駆け付け銃撃戦の末にパクを確保した。キムは散らかっている「平和革命」のビラを見て「犯人にされたのか?」とパクを解放し手を差し出した。「チェはどこにいる?」とパクに聞いた。

パクはチェに「誰が社を動かしている」と尋問を始めるが「やるならやれ」と応じない拷問で遂にチェが死んだ。パクがキムにチェの死を伝えた。キムは「バンコクで殺す。スパイ情報だ、北がペテロをバンコクで殺す。銃や軍で民を踏みつけるんだからこれでいい」と返事してきた。まさかまさかの展開だった。

大統領のバンコク訪問。パクとキムはバンコク首相官邸に乗り込み大統領を迎えた。

キムは「何をやるか分かっているな!」とパクに問うと「成功したら北と戦争になる」と答えたが「止めろ」とは言わなかった。

次々に車列が入ってくる。キムが突然走り、大領領車に拳銃弾を浴びせた。一度は車が止まったが走り去る。キムは全身に射撃を受けて瀕死の状態。北が送り込んだ兵により官邸が爆破炎上!パクは「パク!パク!」と呼ぶキムのところに駆け寄った。パクの腕の中でキムは亡くなった。「パク、ここから先を頼む!」に聞こえた。

このシーン。ちょっと理解できないところもある作品でしたが、ここにきて作品のテーマがよく分かるシーンでした。ロケ地もすばらしいが、銃撃戦も壮大で見ごたえがありました

パクは帰国し手錠を掛けられたキムの妻にキムの認識票を渡した。妻は泣きくずれた。

その後、海の見える丘でジュギュンに会い「お前の人生を歩め!」と自分の娘パク・ウンスの名のあるパスポートを渡した。しかし、ジュギュンが連れてきた北の男に射殺された。

まとめ

史実を上手く使い、安全企画部の潜入したスパイを炙り出すために国内チームと海外チームを競わせ、ミスレリアスで激しいガンアクションのあるスパイ物語となっていた。シナリオがすばらしい。脚本を書いて、初監督だというイ・ジョンジェは凄いね!

パクとキムの対決。イ・ジョンジェチョン・ウソンの相手を落とし入れるところからお互いが理解し合うようになる緊迫した演技が素晴らしかった。ふたりは手段は異なるが改革を求める男だった。

すばらしいエンターテイメント作品の中で南北対立や民主主義のありがたさを描き、忖度でなく自分で考える力を持つことの大切さを教えてくれます。

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