今年の猛暑、たまらない!涼しい劇場でしっかり笑おうと出かけました。ところが、意外や意外、笑いが少ない!最期に家康様の大演説でバカものと怒られたような作品でした。(笑)
派手なコスチュームで笑わせる作品と思ったら、歴史の偉人たちの逸話、言葉を使っての大真面目な政治の話。今の日本に求められるもの。歴史の知識は必要最小限、現代劇のような時代劇だった!
惜しむらくはもっと若い人たちに観て欲しい。でないと作品を作った意味がない!
原作:眞邊明人の大ヒット同名ビジネス小説(2021)、監督:「テルマエ・ロマエ」「翔んで埼玉」で武内英樹、脚本:徳永友一、撮影:谷川創平、美術:あべ木陽次、編集:松尾浩、音楽:Face 2 fAKE、主題歌:新しい学校のリーダーズ。
出演者:浜辺美波(記者:西村理沙)、赤楚衛二(坂本龍馬)、GACKT(織田信長)、髙嶋政宏(徳川吉宗)、江口のりこ(北条政子)、池田鉄洋(徳川綱吉)、小手伸也(足利義満)、長井短(聖徳太子)、観月ありさ(紫式部)、竹中直人(豊臣秀吉)、野村萬斎(徳川家康)、音尾琢真(石田三成)、山本耕史(土方歳三)、梶原善(部長:森本慶一)、足立英(吉田拓也)、小籔千豊(島川徹)、酒向芳(日本党幹事長:御子柴学)。
物語は、
コロナ禍の2020年、首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は最後の手段として、水口博士が開発したAIホログラムで歴史上の偉人たちを復活させて最強の内閣をつくることに。江戸幕府を作った伝説の男・徳川家康(野村萬斎)を総理大臣に据え、織田信長(GACKT)や豊臣秀吉(竹中直人)といった偉人たちが集結した夢のような内閣が誕生する。
その圧倒的なカリスマ性と実行力に日本中が熱狂する中、アナウンサー志望の新人テレビ局員・西村理沙(浜辺美波)はスクープを狙い、政府のスポークスマンを務める坂本龍馬(赤楚衛二)に接近する。が、ひょんなことから偉人内閣の活躍の裏に渦巻く黒い思惑に気付いてしまう。果たして、陰謀の正体とは?そして、日本史に新たに刻まれる“事件”の真相とは?! (HPより抜粋)
あらすじ&感想(ねたばれあり:注意):
偉人内閣の閣僚が官邸に集まる。
なんといっても派手なのは秀吉だ!「お祭り気分で乗り切れ」と秀吉ダンスで乗り込んでくる。(笑)秀吉役の竹中直人さんは何回目の秀吉役か、見飽きた!(笑)。
ひな壇の閣僚たち。コスチュームとメイクに圧倒される!コロナ対策に聖徳太子、紫式部の役割が気になる。(笑)1カ月ももたないという声がある。
偉人閣僚の初閣議。
最初に出てくるのか家康からのロックダウン。これに伴う補償として給付金の交付。財務大臣・秀吉に鶴の一声で生まれた秀吉交付金、「一人50万円、10日以内に交付」というもの。(笑)
情報バラエティ番組では「10日間でどうやって配る絶対無理、口座を持たない人がいる」とあれやこれやと気楽に難癖をつけ否定する。
発動されるや否や、ロックダウンは警備隊の土方歳三による徹底した取締り。給付金の交付は財務副大臣・石田三成が所掌して速やかに開始。「口座がない者がいる」という財務官僚・吉田には秀吉から「その場で現金でやれ、嘘ついたやつは打ち首にせよ」の指令が飛ぶ。(笑)
厚労大臣・徳川綱吉の肝入りで緒方洪庵によるワクチン開発の促進、外務大臣・足利義満が英語で諸外国と調整してのワクチン確保。(笑)総務大臣・北条政子は「政子の部屋」を立ち上げ積極政府広報。
紫式部は「教育を止めない」とサテライト授業で源氏物語を読み聞かせる。(笑)仕事を失った者には農水大臣・徳川吉宗による開拓地への入植事業が推進される。
テレビニッポンの記者・西村理沙は政治部長の森本から官房長官・坂本龍馬番を命じられた。
理沙が「財源は大丈夫なの」と官房長官に聞くと「心配いらん!信長がどえりゃことを命じた。大企業を引き受けてもらうきに」という。信長は企業に基金負担させ「これを拒否する場合は殺せ!比叡山と同じ堕落だ、焼き尽くせ」と指示する。(笑)
「総理やれるのか?」の国民の声に、
家康は「やれるものからやる。数千、数万の命を守る」と応じる。綱吉は“暴れん坊将軍”で売れているがこれで頑張ると言い、足利義満はゴルフで上機嫌。北条政子は「政子の部屋」で「よ悩み」を読み上げ国民の心を掴んだという。紫式部は「これで大河への出演が決まった」と喜ぶ。
信長が「民の不安を取り除いた。三蜜、三つの接点を挙げて観よ、是非に及ばず」と言う。
当時、強い施策が採れない政府に不満を持っていたので、このバカバカしい話を、そう感じなかった!
偉人内閣の支持率は85%となり最強の内閣となった。
施策に成功の兆しが見えると「日本がどう生きるべきか」が語られ始める。理沙は部長から「本当に最強か」と疑問を投げかけられた。
家康は「この国に戻った理由は信頼をうること」という。が、秀吉が財務大臣を下りると言い出す。家康は石田三成を財務大臣に任命し吉田にしっかり支えるよう指示した。バラエティ番組が「予算はどこでやる?」と批判しだす。
理沙は龍馬に「偉人内閣の陣容を変えたら何かが起こる」と疑問を投げた。龍馬は「自分に期待しなさい」と応えた。
秀吉はステージトラックを繰り出してお祭り騒ぎを起こす。花火が上り偉人内閣への期待は高まる。
10か月後、
日本党幹事長と秀吉、龍馬が会談。
幹事長は「うまく行っている」というが、秀吉は「1年で上手くゆくわけない。世間は与党圧勝だと言っている。総選挙だ」と言い出す。龍馬は「1年では足らない、日本を変えるときだ。内閣解散後総選挙だ」と意見を述べた。
理沙は家康を取材した。
家康は二条城を臨みながら「安寧な世をつくりたい。しかし簡単には手にはいらない」という。理沙は「今のこれが安寧ですか?そうではない」と言うと、「頼みたいことがある。未来に安寧があるか調べてくれ!」と言う。
理沙がトランプ占いで調べると“スペードのキングとバク(動物)のカード”を引き当てたが、この組み合わせの意味が分からなかった!
信長は世間が「世界の経済が大きく成長している」と言う意見に「この流行り病の今こそ、強く突き進むべきだ」と楽市楽座施策を推し進めることを主張しだす。
情報バラエティ番組では家康、信長、秀吉の対立は取り上げられ、信長待望論が出てくる。秀吉が信長に近寄るようになり、信長は家康とすれ違っても物も言わない。
理沙が部長にトランプ占いの話をすると、「それはプログラムのバグだ。誰かがキングに代るということだ」と言う。(笑)理沙は「天下を統一する人か?」と声を上げた。
観能会。舞台で「人生50年天下の・・」と信長が舞う。
別室で家康も舞っていた。すると、突然信長が消滅した。会場は大混乱に陥った。秀吉が「信長が暗殺された。明智だ!全国の明智を検挙せよ」と言い出す。
そこに日本党幹事長が現れ「信長はフィルモグラフィーに入った。2度と出てこない」と知らせた。情報バラエティ番組が「犯人は偉人内閣内にいる」と騒ぎだす。(笑)
「家康を捕らえろ!」とデモが発生した。幹事長が龍馬に総理引退を薦める。
これを知った理沙が「安寧を求める家康が犯人などありえない!スペードのキングがダビテ王だったら相手は誰か?分かった」と龍馬のところに。
理沙は龍馬に会って「信長殺しの犯人は秀吉!」と伝えた。龍馬は閣僚に伝えると奔り出し、理沙は会社に戻って調べ事。
そのころ秀吉と幹事長は家康を尋ねていた。
幹事長が「水口博士と組んで作ったが、水口がなくなり自分が誕生させたプログラムだ」と言う。「秀吉が毒を盛り家康を毒殺するプログラムだった」というわけ。家康が議員バッチに戻り総務省の個室に安置された。(笑)これで綱吉は犬になった。(笑)
「家康退陣、秀吉総理誕生。全世界を支配する」と号外が出た。
聖徳大使が「どうしたものか?」と悩む。紫式部は「秀吉物語を書く」と秀吉に媚びを売る。(笑)
秀吉が総理の座に就いた。
龍馬は「これでは民主主義が終る。俺は薩長同盟をやった。秀吉を止めて家康総理を取り戻す」と決意した。理沙は逮捕され総務省に拘置された。
秀吉は閣議を開き「意見はないか?」と聞き、「理沙は切り裂いてもよい」と指示した。
そこに天照大神が「秀吉!」と犬を連れて現れ、「目を覚ませ!日の本は彼等の国、ヤマト魂を取り戻す」と説教する。(笑)
理沙は家康の安置場に入り、家康の議員バッチを持ち出した。
秀吉は大会場の演壇に立ち、国民に初心を述べようとする。
そこに家康が現れた。家康は「信長が暗殺される前に、私に俺ができないことをやったから任せると言ったんだ。偉人内閣は重い、痛い、抜け出したい」と語り始めた。この会場には多くの国民が駆けつけ「日本に革命を!」と叫んでいる。
これに秀吉が答えた。
「閣僚になれというからなった。俺のどこが悪い。国を守ることなど興味のないし何も起きない。神に任せていたからこうなった。選挙がどうだというが誰も行く気はない。能無しのお前らは言うだけだ。俺が調べて決めてやる。皆で話さなければ決められない。逃げるだけ!優れた老将がひとりいれば良い。俺がひとりで決め、皆を導いてやろうと思っている」。
家康が答える!
秀吉の言分にも一理ある。私は今の民たちを信じたい。政治のいい加減さ、代案なく居眠り。信念を持ち論議し尽くすべきだ。情報を信じ己の考えを言うべきだ。情報に気付いてない、流行り病は恐ろしい病だ。にも関わらず時の権力者の言うとおりになっている。秀吉が教えてくれた。一切の人間が江戸幕府と平和の上にあぐらをかいたことに気付いた。
「今の世に生きる者、大いなる世の己に期待せよ!」日本は最古の世界で現在に続いている。時代は大河、荒れるときは正しく流れるよう堤防を築く。今の人を信じる。「現在のものに大政奉還する」、お前らひとりひとりでよりよい未来を作れ!
観衆の歓声と拍手に溢れた。
家康が「肩の荷が下りた」と言い、龍馬は「日本の夜明けだ」と喜び、秀吉は「龍馬が疎ましい、家康は狸親父だ!」と消滅した。
家康は目の前の東京の街を見ながら「偉人内閣は今をもって解散する」と消えて行った。
理沙はニュースキャスターになる夢を止め、選挙の投票率向上のため地道な記者活動で的確な情報を国民に伝える今の生活を選んだ。
まとめ:
少し寝落ちして、いい加減なところがあるかもしれない!(笑)
世に伝えられている偉人達のキャラクター・功績で描くコロナ対策、そして未来の日本。
前段、コロナで苦しめられた三蜜徹底、マスク・ワクチンの不足を、家康のロックダウン、秀吉の給付金、緒方洪庵のワクチン製造などであっというまに解決してしまう偉人内閣の凄さ!笑う暇もなかった!
ところが後段でこのやり方を反省、民主主義とは何ぞやを問う凄い物語だった。
後段、内閣支持率が上がり、今後の日本はいかなる国を目指すかで陰謀が動きだす。龍馬と理沙のコンビで陰謀者が秀吉と炙り出し、最後に明かされる秀吉と家康の日本の未来像。家康の言葉に我々へのメッシージがある。
このメッセージが素晴らしい。何でこんな簡単なことが実行できないのかと感動すら覚えた!ここに歴史を学ぶ意味があると思った。
前段のスピード感と後段のミステリアス感のあるストーリー展開、さらに後段で前段の偉人内閣の行き過ぎを反省するというストーリー展開、これは素晴らしかった。笑いだけではなかった!
偉人たちのコスチュームと俳優たちによるキャラクター表現がすばらしい。
以外だったのはしっかりロケ撮影が行われ、エキストラが多いこと。民主主義というテーマに合わせた配慮だと思うが、これでドラマが生きていた。
多くの人に見て欲しい作品。もっと若者を集客できるキャステングを考えるべきでだと思ったが、どうでしょうか。
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